平成24年 6月定例月議会 予算決算委員会 - 06月22日−01号
平成24年 6月定例月議会 予算決算委員会
1、開催年月日時刻及び場所
平成24年6月22日
自 午前10時00分
至 午後4時5分
於 本会議場
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2、出席委員の氏名
委員長 高比良末男君
副委員長 高見 健君
委員 加藤寛治君
〃 八江利春君
〃 三好徳明君
〃 田中愛国君
〃 馬込 彰君
〃 小林克敏君
〃 野本三雄君
〃 中山 功君
〃 吉村庄二君
〃 織田 長君
〃 橋村松太郎君
〃 楠 大典君
〃 溝口芙美雄君
〃 渡辺敏勝君
〃 江口 健君
〃 坂本智徳君
〃 瀬川光之君
〃 中島角義君
〃 徳永達也君
〃 山田博司君
〃 久野 哲君
〃 山口初實君
〃 下条ふみまさ君
〃 陣内八郎君
〃 高比良 元君
〃 外間雅広君
〃 堀江ひとみ君
〃 中村和弥君
〃 金澤秀三郎君
〃 末次精一君
〃 浅田眞澄美君
〃 山田朋子君
〃 浜口俊幸君
〃 松島 完君
〃 西川克己君
〃 小森明人君
〃 川崎祥司君
〃 前田哲也君
〃 友田吉泰君
〃 深堀 浩君
〃 中島浩介君
〃 山本啓介君
〃 松本洋介君
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3、欠席委員の氏名
なし
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4、委員外出席議員の氏名
なし
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5、県側出席者の氏名
知事 中村法道君
副知事 田中桂之助君
危機管理監 坂谷朝男君
総務部長 池松誠二君
企画振興部長 永川重幸君
文化観光物産局長 坂越健一君
国体・障害者スポーツ大会部長 藤原敬一君
県民生活部長 石橋和正君
環境部長 徳永孝二君
福祉保健部長 濱本磨毅穂君
こども政策局長 大串祐子君
産業労働部長 山田伸裕君
水産部長 荒川敏久君
農林部長 上田裕司君
土木部長 村井禎美君
交通局長 山口雄二君
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教育長 渡辺敏則君
教育次長 中川幸久君
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会計管理者 鶴田孝廣君
監査事務局長 溝江宏俊君
人事委員会事務局長(労働委員会事務局長併任)
辻 良子君
議会事務局長 立石一弘君
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警察本部長 入谷 誠君
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選挙管理委員会委員長 前田富雄君
選挙管理委員会書記長 山下和孝君
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議会事務局職員出席者
総務課長 金原勝彦君
議事課長 高見 浩君
政務調査課長 堀部芳夫君
議事課課長補佐 出田拓三君
議事課係長 天雨千代子君
議事課係長 佐藤隆幸君
議事課主任主事 大町慶吾君
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6、付議事件の件名
第80号議案
平成24年度長崎県一般会計補正予算(第1号)
報告第1号
平成23年度長崎県一般会計補正予算(第7号)
報告第2号
平成23年度長崎県母子寡婦福祉資金特別会計補正予算(第1号)
報告第3号
平成23年度長崎県農業改良資金特別計補正予算(第2号)
報告第4号
平成23年度長崎県林業改善資金特別会計補正予算(第1号)
報告第5号
平成23年度長崎県県営林特別会計補正予算(第2号)
報告第6号
平成23年度長崎県沿岸漁業改善資金特別会計補正予算(第2号)
報告第7号
平成23年度長崎県小規模企業者等設備導入資金特別会計補正予算(第2号)
報告第8号
平成23年度長崎県庁用管理特別会計補正予算(第4号)
報告第9号
平成23年度長崎県長崎魚市場特別会計補正予算(第1号)
報告第10号
平成23年度長崎県港湾施設整備特別会計補正予算(第3号)
報告第11号
平成23年度長崎県流域下水道特別会計補正予算(第4号)
報告第12号
平成23年度長崎県港湾整備事業会計補正予算(第5号)
報告第13号
平成23年度長崎県交通事業会計補正予算(第3号)
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7、審査の経過次のとおり
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−午前10時0分 開会−
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○高比良[末]委員長 おはようございます。
ただいまから、予算決算委員会を開きます。
なお、石塚副知事は、西九州自動車道建設促進期成会総会出席等のため、欠席しておりますので、ご了承をお願いいたします。
開会に当たり、一言ごあいさつ申し上げます。
6月6日の本会議におきまして、予算決算委員会委員長を仰せつかりました高比良末男でございます。(拍手・発言する者あり)
高見副委員長はじめ委員各位、並びに知事をはじめ理事者の皆様方のご協力を賜り、円滑な委員会運営に努めてまいりますので、よろしくお願い申し上げます。(発言する者あり)
予算及び決算の審査につきましては、議会の役割の中で最も重要なものの一つであり、これまで、ほぼ全議員が委員となり、それぞれ特別委員会を設置をして審議をしておりましたが、審査をより深めるため、このたび常任委員会として本委員会が設置されたところであります。
加えて、本県議会では、去る5月23日に、全国の都道府県議会で例のない通年議会が開会し、新たな審議体制をスタートいたしました。
本委員会といたしましても、これまで以上に県民の目線に立って審査を尽くしてまいりたいと存じますので、よろしくお願い申し上げます。
以上、甚だ簡単ではございますが、予算決算委員会開会に当たってのごあいさつといたします。(拍手)
これより議事に入ります。
まず、今定例月議会における会議録署名委員を、慣例により、私から指名させていただきます。
会議録署名委員は、久野委員、松本委員のご両名にお願いいたします。
次に、委員会の審査日程についてお諮りいたします。
今定例月議会における委員会の審査日程は、お手元にお配りしております平成24年6月定例月議会予算決算委員会日程案のとおり決定することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高比良[末]委員長 ご異議ありませんので、そのとおり決定されました。
本委員会に付託されました案件は、お手元の付託議案一覧表のとおり、第80号議案「平成24年度長崎県一般会計補正予算(第1号)」ほか13件であります。
これより、総括質疑を行います。
総括質疑は一問一答方式とし、答弁時間を含めてお手元に配付のとおりの時間の範囲内で行うことといたします。
まず、連立会派の質疑を行います。
なお、質疑時間は、答弁を含め100分であります。
高比良(元)委員。
◆高比良[元]委員 1、露地びわの寒害等被害対策について。
(1)農業共済への加入促進の取組について。
今年2月の異常低温によりまして、露地びわについては、平年収量の約70%の減収が見込まれているというような状況になっています。長崎市など5市町で約7億8,000万円の損失が生じたと。このために、減収補てんと経営再建にかかわる制度資金の利子補給として、長崎市と長崎県とで償還完了までの利子補給を行う資金制度を創設するというようなことであります。
資金需要額については約100人、約1億円を見込んだ中で、今年度の予算額を54万円とし、県として27万円を措置するといったことで、今回補正に挙がっていると思います。
それで、利子補給はそれでいいんですけども、要は先般も台風13号でやられておるわけですね。今回も寒霜被害ということで、またダブルでやられてしまった。その都度、こういった利子補給についての制度がつくられるわけでありますけれども、ちょっと言葉は悪いですが、対症療法というか、そういうふうな措置で終わってしまっている。今後、安定した農業経営とか、生産を継続させるという意味においては、まずは、農業が自然を相手にする業である以上、生産者自身が自然災害に対して自ら身を守るための保険を掛けると、つまり農業共済に加入するということが一番大事だというふうに考えます。
ところが、ご案内のとおり、びわ共済の加入状況は、長崎市で見て昭和58年の177人に対して、平成23年は7人しかいないんですね。なぜそうなっているのかということですけれども、これはその他の農作物と比べて、びわ共済の掛金率が非常に高いということに原因があるというふうに考えています。水稲の場合は6.911%、ばれいしょは5.7%、みかんは8.5%から11.1%、なしは7.9%から10.3%、これらに比べてびわの掛金率は全相殺で22.6%です。愛媛県の場合は10.1%、そういうふうになっているんですけれど、本県の場合は非常に高いわけですね。
そこで、特定の災害に限定して一定の補償を行う半相殺という制度ができましたけれども、これは掛金率5.1%というようなことになっています。それにもかかわらず、制度の周知というのが十分なされていないのかわかりませんが、先ほど言ったような加入状況でしかないわけです。
この半相殺で見た場合、どこまで補償を求めるのかという、その補償内容によって異なってくるんですけれども、大体標準的なもので、反当たり掛金で4,000円から5,000円と言われています。びわ農家の平均経営耕地面積は幾らかということを承知していませんので、単なる机上の計算でしかありませんけれども、仮に4反として2万円弱、あるいは5反として2万5,000円弱となるわけであります。これがやっぱり非常に高いということで支払わない、あるいは支払えないといった状況になっているんです。
そこで、まず、この果樹共済に加入を促進するために、県として、どうしようとしているのか、お尋ねをしたいと思います。
◎上田農林部長 露地びわの農業共済の加入についてであります。
寒害被害や台風による樹体被害、掛金の割高感、こういったものに対応いたしますために。平成19年産から新たに補償対象を凍霜害と樹体被害に限定した掛金の安い制度を、今、委員ご指摘のとおり設けたところでありますが、現在の加入戸数は7戸となっております。
今回の寒害の発生を受けまして、特に被害が大きかった長崎市を中心とした14部会を対象に、市や関係団体と協力して延べ20回の説明会を開催してきたところでございます。その中で、改めて補償対象を限定することで、掛金が他の品目並みとなったメニューがあることの周知や補償割合に応じて掛金を選択できることなど、制度への理解を求めるとともに、新たな支援対策において共済加入を要件化するなど対策を図ってきたところでございます。
その結果、部会単位での加入や役員が率先して加入するなどの新たな動きも出てきており、現在、約130名の加入意思が示されているところでございます。今後も説明会を重ねまして、さらなる加入者の拡大を図っていきたいと考えているところでございます。
◆高比良[元]委員 部会単位で加入をしていくということは非常に結構なことだと思うんだけれども、130名ぐらいの話が出たんだけれど、長崎市だけで見てびわ農家、経営体として644名ぐらいあると思うんですね。130というのはまだ非常に少ない数字だというふうに思うんです。
今、農林部長の方から説明がありましたけれども、そういった努力にもかかわらず、全体から見て加入のシェアというのがまだ非常に少ないわけですよ。ほとんどが半相殺だというふうに思うんだけれども、ただ、半相殺はどこまで補償するか、どういう災害に限定するかということで、加入をする側にとってみれば二の足を踏むというか、そういう状況もやっぱり一方にあるのではないかと思うんですよ。
この際、加入促進についてのインセンティブみたいなものを何か考えることができないのかといったことの質疑をしたいと考えているんです。
長野県内の市町村、あるいは愛媛県内のJA等では、果樹共済の掛金に支援をしている事例もあります。さらに、長崎市では今般、JA等関係団体と連携して果樹共済掛金への支援について積極的に検討すると。その際、県にも協力を求めたいというふうに言っているんです。したがって、一定の支援費、あるいは奨励費を出すという考えはないのか、改めてお尋ねをしたいと思います。
◎上田農林部長 共済掛金への県の助成ということでございますけれども、先ほど申し上げましたように、農家負担の掛金率、これは掛金率の半分ということになりますが、全相殺方式が11.3%という高い掛金率になっております。これは、それだけ危険率が高いということで、払い戻しの確率が高いということでの高さになっておりますけれども、これではなかなか入らないということもございまして、いわゆる凍霜害、あるいは台風による樹体被害、これが一番大きな災害の対象でございますけれども、これにメニューを限定しまして、凍霜害方式でございますと2.55%、それから樹体共済でありますと0.6%というふうに、まずは掛金率を下げるメニューづくりの働きかけを平成19年度から行いまして、いわゆる他の品目並みも同等程度のところまで下がる共済制度を設けたところでございます。まずはこれをしっかりと活用していただかないといけないと思っているところでございます。
共済制度そのものは、掛金率につきましては、国が半分を負担し、残りを農家が負担するという相互扶助のところでできている観点もございます。また、特定の品目に対する共済掛金の助成となりますと、他の品目も多うございます。そことの公平性が保てなくなるというふうに考えておりまして、掛金への県の助成については難しいと考えているところでございます。
◆高比良[元]委員 半相殺についてのメニューのバリエーションをたくさんつくるということも大事だと思うんですよね。びわ連だとか、あるいは農協のびわ部会とか、その他実行組合だとか、そういったところを通じた中で団体で加入する、一定その場合には掛金率が下がるというような、そういう特典もあったりして、そういったことをどんどん促進してもらいたいんだけれども、ただ、そういうことはもう既に考えてわかっておるというか、やっておられるわけですよね。やっておった上で、さっき言った644名に対して130名ぐらいの見込みという、そういう数字なんですよ。
だから、やっぱり問題は、もとに戻って、それではなかなか進まないというふうに思うんですよ。もちろん他の品目というか、作物とのバランスということはありますけれども、もともとは掛金率が非常に高いということから出発をしているわけです。それで、いろいろ半相殺のメニューをつくるんだけれども、ただ、入る側にとってみれば、どれを選択するのかということで、一定掛金は低いけれども、逆に補償についてのリスクというのはやっぱり持たざるを得ないわけです。だから、何か二の足を踏んでしまうというようなところがどうしても現実問題として出てくる。これは普通の保険の場合と一緒ですよ。そういうふうに考えざるを得ないと思うんですよ。
例えば、そういう意味でいって、一定期限を切って、農協とか、びわ連の加入促進についての奨励金を一定期間支出をするとか、あるいは共済組合に基本財産の一部を一定預託をして掛金率を下げさせるとか、あるいは生産者の出荷経費に掛金分を上乗せする制度を農協などにつくらせて、これに一定期間流通対策費、あるいは販促費というようなことで助成をするとか、まさに長崎は今「なつたより」等も含めて果樹等を進めながらブランド化をさらに促進していこうと。本当に長崎を代表する作物ですよ。一方で、そうした状況ですから、今言ったようなことが何か方策として考えられないのか、いま一度答弁を求めたいと思います。
◎上田農林部長 いわゆる加入促進を図るための新たな方策というお尋ねでございます。
私どもは、まずはしっかりと加入の拡大を図っていくための普及活動をやっていく必要があろうと思っております。加入者が増えれば、いわゆる無事戻しという制度もございます。いわゆる事故がなければ一定額が戻ってくるという制度、あるいは選果場単位での一斉加入ということになりますと、これも掛金の引き下げになるという可能性もございます。
そういったところもございまして、まずは加入の促進策として、今の制度のメリットをしっかりと農家の方々にお伝えするということが必要であろうと思っております。
これまで延べ20回開催してきておりますけれども、まだ説明会に全員が来られているわけでもございません。再度これを繰り返しやっていくことが必要だと思っておりますので、そういう対策を講じていきたいと思っております。
産地のあり方につきましては、当然ながら、委員ご指摘のように、びわは長崎の特産品でございます。これをどうやって維持していくか。高齢化の問題もございます。樹齢も高齢化しているということもございます。そういったこともひっくるめまして、産地のありようにつきまして、びわ産地活性化推進協議会においても議論をしていきたいと思っているところでございます。
◆高比良[元]委員 びわ産地活性化協議会とも議論をしていきたいという話なんだけれども、先ほど言ったように、支援のあり方として、長崎市は積極的に前向きに検討したいと言っているんです。そして県にも一定助力を求めたいというような言い方をしています。長崎市議会の方でそういうふうに言っているんですよ。
だから、そういう意味では、これまでの努力は多としますけれども、さっきから言うように、やっぱりこれ以上加入が促進されるかどうかということについて、私としては危惧をしているんですよ。そういう意味から、新しい方策を講じていくというのもやっぱり必要なのではないか、そういった意味で提起をさせてもらっているんです。
ですから、どうぞ農業共済とか、あるいは農協系統とか、あるいは長崎市とか、そういったところと積極的な協議をしてみてください。そして、おっしゃるように、その130人という目標に対して、実態として確保できるのかどうか。では、そこの努力をおっしゃるようなことで頑張ってやってみてください。その結果として、どうなるのか。本当にそのことによって加入が進むのかどうか。もし進まないとすれば、新しい方策を考えなければならない。ここでいろいろ押し問答しても、今からの話でしょうから、どうなるかわからないので、一定この辺で意見としますけれども、私としてはやっぱりここは一定知恵の出しどころではないのかなというふうに思っています。
イノシシの捕獲なんかについても奨励金を出したりするじゃないですか。国庫が入っていても、やっぱり県単で上乗せしたり、特段のどうしても必要な緊急対策としてやらざるを得ない時にはそういう措置をするじゃないですか。
ぜひそういったことを、今日の指摘を念頭に置いて努力をしてみてください、頑張ってください。できない時には、また議論をさせていただきたいというふうに思います。
(2)長崎市が予算計上を予定している長崎びわ生産・品質向上緊急対策補助金について。
長崎市ばかり言って大変恐縮ですけれども、長崎市は長崎びわ生産・品質向上緊急対策補助金というものを計上されるということになっています。
今回の被害に対して、病害虫対策及び品質向上対策としての資材導入の補助をしようということです。補助金額は1,760万円。県としては、これについては補助を出さないという形になっているんだけれども、これはなぜ市の方が補助をするのかというと、寒霜害による減収、したがって、生産意欲の減退あるいは離農、そのことによる放任園の増大、したがって、病害虫、有害鳥獣の増、そのことによる健全園への悪影響、すなわち産地の衰退というふうなフローをつくっている。
そこの中で、やる気を起こさせようというねらいというのが主眼としてあると思うんだけれども、県としては、これについては補助はしない、その考え方について述べていただきたいと思います。
◎上田農林部長 被害対策に伴います県の助成についてでございますけれども、県の助成につきましては、樹体被害などのように、通常の管理経費以外のかかり増し経費が発生した場合に限りまして、これまで支援を行ってきたところでございます。
今回のびわの寒害では、樹体被害はなく、適正な管理を行えば、かかり増し経費が生じないことから補助制度は設けなかったところでございます。
しかしながら、経営体としては、収入が減少したということもございます。対策としては、減収補てんのための無利子融資制度の創設により対応することとしたものでございます。
なお、本年度が産地再生計画の最終年度に当たりますため、今後、本県の特産品であるびわの産地維持を目指しまして、新たな計画を生産者、農業団体、県・市で構成します「長崎びわ産地活性化推進協議会」において検討することといたしておりまして、その中で再生のための必要な対策を協議していくこととしているところでございます。
◆高比良[元]委員 かかり増し経費について云々という話があったので、ちょっと視点というか、とらえ方が違うというふうに思うんです。それだったらば、今、長崎びわ産地活性化協議会の中で議論をするという話なんだけれども、一方ではもう既に、市の場合は具体的なメニューとして実施をしようとしているわけです。県は来年からと、どうなるかわからないと。そこで黙って引き下がるわけにはいかない。そうであれば具体的に産地の活性化のため、あるいは農業経営の改善のためにどういうふうな対策をとろうとしているのか、現時点での基本的な考え方というのを示してもらいたいと思います。
◎上田農林部長 現在、県の方で考えております再生のための考え方でございますけれども、具体的には、次の代の露地びわの産地を担います品種であります「なつたより」への更新をさらに推進していくこと、産地から要望がございます簡易ハウスの栽培や指定園制度の導入によります高品質化を進めていくこと、また、そういう品質、生産の対策をする一方で、担い手への樹園地の集積をどう持っていくか。あるいは労力の問題としまして、作業委託やヘルパー体制などの外部労力をどう取り込んで高齢化に対応していくか。ハウスにつきましては、価格が高いというところもございます。そういったこともございまして、リース制度の活用により推進が図られないか。さらには、安定出荷をしていくためには、どうしても必要となります共同の選果体制の整備、あるいは圃場の整備、こういったものを総合的に産地の今の実態をそれぞれ分析しながら、そこの課題、目指すべき方向性の議論を行っていきたいと考えているところでございます。
◆高比良[元]委員 今、農林部長が言われたことは、これまでもずっと言ってきたような一般的なメニューなんですよ。ただ1点違うとすれば、簡易ハウスの話があった。あと、ハウスのリース方式といったことについて述べられた。それは非常に重要なことだろうというふうに思うんですよね。今回の霜被害といったことも含めて、その対策としてはね。
(3)露地びわの寒害被害・台風被害の防止策の促進について。
そこで、その簡易ハウスだとか、あるいは果樹ネット棚とか、あるいは簡易被覆だとか、そういったことについて果樹試験場でこれまでいろいろ研究をやってきたと思うんです。一定実用化のめどはついているというふうに思っているんですけれども、これを今回、実証展示圃の中でやっていこうとされているわけでしょう。これは長崎市ともあわせて一緒に経費を負担しながらやるという話ですよね。
具体的にどういうふうなやり方をしていくのか。その上で、これは確かに有用性があると検証された時には、どういう形で普及をしていこうとしているのかといったこと。
それとあわせて、通常のハウス、これは反当大体800万円ぐらいするので、やりたくてもなかなか手が出ないと。だから、簡易ハウスで反当大体200万円ぐらいだから、そっちの方を普及させていこうという話なんだけども、通常ハウスのリースということについても、それを促進するためにはどういうふうに考えているのか、あわせたところでお答えをいただきたいと思います。
◎上田農林部長 寒害の回避対策を目的としました簡易ハウスの実証施設の設置についてでございますけれども、これにつきましては、長崎びわ産地活性化推進協議会からの要望を踏まえまして、本年度、輝くながさき園芸産地振興計画推進事業で2箇所程度実施する予定としているところでございます。
現在、県も入った同協議会におきまして、低コストな構造の検討、それから設置場所の具体的な検討を進めているところでございます。
設置後のいわゆる現地の実証後でございますけれども、関係機関と連携しながら、詳細な効果の検証や改良を行った上で導入マニュアルを作成しまして、いわゆる普及に向けた支援を進めてまいりたいと考えております。その際には、いわゆる農林部の方で所管しております助成制度を設けたり、活用したりしながら、農家負担の軽減をさらに図って推進を進めてまいりたいと考えているところでございます。
◆高比良[元]委員 農林部で持っている助成制度というのは具体的に何ですか。
◎上田農林部長 単独部分としましては、構造改善加速化支援事業、県単の支援制度がございます。それを基本に活用して進めていきたいと思っておるところでございます。
ただ、これにつきましては、先ほど申し上げました産地再生のための計画づくりの中で、どういった部分までニーズがあるのかということもひっくるめて考えて、対応できるような措置を検討していきたいと考えているところでございます。(発言する者あり)
◆高比良[元]委員 構造改善事業でその補助率は幾らになっていますか、3分の1じゃないですか。
◎上田農林部長 3分の1、それから、認定農家の場合には5分の2になっているところでございます。
◆高比良[元]委員 そこはやっぱり知事特認じゃないけど、少し補助率を上げていかないと、なかなかやっぱり先に進まないというふうに思いますよ。既存のメニューで対応するというだけでは足らんのじゃないですか。市の義務負担はないんですか。
◎上田農林部長 この単独事業につきましては、今、市が10分の1の負担を標準義務負担ということでしているところでございます。
◆高比良[元]委員 ここはやっぱり少し思い切って加算をしていかないと、なかなか普及が進まないと私は思います。本当に本腰を入れて被害対策について、そして、やっぱり露地じゃなくて施設栽培でないと、品質管理にしても、あるいは安定的な収益の確保についても、要するに農家経営ということから見ても、そちらの方に誘導するというのが今の行政の立ち方だと思うんですよ。そうである以上は、新しくそういうものを導入していこうという時には、それを導入しやすいような支援制度を一定期間設けるということが、私としては必然だと思っているんです。
だから、既存のメニューで対応するというだけではなくて、やっぱりこういうふうな状況ですから、十分かんがみていただいて特例の措置を講じてもらうように、ぜひお願いをしたいと思うんです。
それと、通常ハウスのリースの件です。これは農協等がつくる分について、リース云々ということが別としてあると思うんだけれども、県として設置をして、そして、一定の営農集団というか、あるいは認定農業者というか、担い手についてリースをするという考えはありませんか。こういうことは今まではやっていないのですか。
◎上田農林部長 県がいわゆるリースを行っているということはございません。ただ、いわゆる新たな技術導入という観点で、新規の実証をやる。ただ、その新たな技術がまだ確立されていない、かなりリスクが伴う場合等につきましては、県の方で実証圃を設置して、そこで農家の方に実際の営農を担っていただくと、そういう仕組みはございますけれども、通常のケースとして県がリースを行っているということはございません。
◆高比良[元]委員 今まではありませんよね。だから、この際、そういう方式の導入についてもいろいろ検討してみてはいかがですか。協業とか共同というものを基本とした農業経営、あるいは1次産業、水産も一緒ですけれども、そうしないとなかなかもう収益が上がっていかない。ところが、その初期投資が非常に高いものだから、なかなかあるべき施設整備ができないと。では、農協にやらせればいいじゃないかと。農協だって、そう簡単にはできない話ですよ。だから、モデル的にそういうものを幾つか先行してやってみると。一定の農業集団とか、実行組合をつくって、本当に若い後継者あたりが生産意欲を持って新たに頑張ってやっていこうと、そういったものをより助長していくための環境づくりとして、新しい仕組みとしてつくると、こういうのをぜひやってもらいたいと思うんです、ぜひ他県に先駆けて。今までがなかったから、どうだという話じゃなくて。本当にもうかる農業というものを標榜していくのであれば、新しい仕掛けをつくっていかないと、なかなか個人の努力のみにゆだねるようなそういうやり方じゃ、もう伸びませんよ。災害対策の件もあって、この点についてはぜひ前向きの検討をお願いしたいと思います。
2点目の項目については、残念ながら質問できませんでした。県議会・県政改革特別委員会の中で議論していきたいと思います。(拍手)
○高比良[末]委員長 山田(博)委員。
◆山田[博]委員 おはようございます。
連立会派・改革21、五島市選出の山田博司です。どうぞよろしくお願いします。
中村知事におかれましては、先般の政府施策要望、大変お疲れさまでございました。私も農水経済委員長として一緒に行っておりました。
知事が、特に諫早湾干拓につきましては、陳情に来ているのか、抗議しているのかわからないぐらい、しっかりとした思いというのが私にも伝わってまいりまして、国の役人の立場に立って見ていたら、理事者もこんなに大変なんだと、私も身をもってそういったことを痛感させていただきました。
それでは、通告に従って幾つか質問させていただきたいと思います。
1、県庁舎建設に対する県当局の取り組みについて。
(1)県庁舎整備にかかるプロポーザルについて。
まず最初に、今回、県庁舎のプロポーザル方式ができたわけでございますが、そこで、県庁舎のプロポーザルで新しくできた行政棟は、まず、基本構想につきましては、県庁舎建設課の方からいただいた大体の構想図におきましては、地下1階、地上16階〜18階で、17階とした場合、大体奥行きが40メートル、幅が72メートル。
それで、今回、日建・松林・池田特定建設関連業務委託共同企業体がされたのは、大体奥行きが63メートル、幅が何と130メートルなんです。
つまり基本構想に描いた分より幅が広くなったんです。こういった現状というのは、まず、総務部長は理解しているか、してないか。それだけお答えください。
◎池松総務部長 今度決定をした業者がプロポーザルの際にお示しをいただいた県庁舎の形というのは、今ご指摘のとおり、横の方に長い百数十メートルの幅を持った庁舎をご提案をいただいたということは理解をしております。
◆山田[博]委員 理事者におかれましては、ちょっと時間が短いものですから端的にお答えをいただければと思いますので、よろしくお願いたします。
そういった状況になると、そうすると、今回、130メートルになったんです。ということは、高齢者の方が130メートル奥まで歩かないといけないようになったということなんです。こういうことになったということが判明したということを、まずお話をさせていただきたいと思います。
実は、このプロポーザルに当たる前に、この県庁舎に係る展示施設及び交流施設の基本計画の業務を委託している。また、オフィス環境プログラミング業務を公募型プロポーザル選定結果において、まず最初に話した展示施設は株式会社丹青社で、オフィス環境プログラミングはジョンソンコントロールズが受注されていると。これは間違いありませんか。それだけイエスかノーかでお答えください。お願いします。
◎池松総務部長 そのとおりでございます。
◆山田[博]委員 その際、公募の条件というのは、平成23年2月にできた基本構想(地下1階、地上16階〜18階)でされたようで、要するに今言った地下1階、地上16階〜18階の基本構想に基づいてオフィス環境プログラミング業務と展示施設と交流施設基本計画がなされたというのは間違いございませんか。イエスかノーかでお答えください。
◎池松総務部長 基本構想をもとにしておりますが、仕様書の中には、それぞれ基本構想の中の何ページということで細かく規定をしております。
◆山田[博]委員 細かく規定しておりますけれども、いずれにしても基本構想に基づいて、私は何が言いたいかというと、先ほど言ったように構造が全く違うんですよ。この中で2つの業務が、例えば株式会社丹青社におきましては、長崎原爆資料館で南京大虐殺の実証でない写真が展示された問題が、1996年7月に長崎市であったということはご存じでしたか、総務部長。
◎池松総務部長 平成8年にそういう事案があったことは承知をしております。
◆山田[博]委員 そういった中で、その業者が今回、県庁舎の1階のフロアはされているということなんですよ。
そういったことをかんがみて、今回、先ほどの基本構想からも違う。本来であれば条件が全く違うわけです。先ほど言ったように大きさが、高層の建物の幅とか。その中で、あえてこの状況で先ほどの業務を遂行していくのか、いかないのか、その2点だけお答えください。
◎池松総務部長 ただいまご指摘があった2つの業務については、それぞれオフィスの中の使いやすさ、それから展示・交流施設の部分については展示のあり方、それから県民と交流するためのスペースの使い方等を調査していただくものでございまして、建物の高さが変わったことによって請け負わせた業務が変化をするとは考えておりません。また、当初から基本構想そのものの根本の理念については、今回、低層棟を整備することにしておりますけれども、大きく逸脱しているとは考えておりませんので、このまま業務を遂行していきたいと考えております。
◆山田[博]委員 ここは見解の違うところでありまして、この件に関してはまた別の機会にじっくりお話させていただきたいと思います。
私は納得はしてないわけでございますが、まだあと2つ質問項目がありますので、総務部長、まだマイクをおろさないでください。ひょっとしたら質問するかもしれませんから、ちょっと気が早いんじゃないですか。ちょっと待ってくださいね。
次の質問に移らせていただきたいと思います。
2、土木部における予算のあり方について。
(1)総合評価落札入札制度のあり方について。
土木部長、石塚副知事がいらっしゃいませんので、今日は土木部長に質問が集中するかもしれませんけれど、ご了承いただきたいと思います。
実は、私もいろんな地域を回っておりましたら、先般、私の地元の五島地域で、これは長崎建設新聞に、6月15日金曜日の1面に出ていたんですね、「五島地域で官民意見交換会」。五島振興局の辻本局長が部下を連れて、真摯に地元の方にいろいろ聞いておりました。
私が今回痛感したのは、いかに今のいろんな総合評価におきまして、ただ単に労務単価だけじゃなくて、建設資材の方々も大変なんです。ダンピングされて、もうこれでもだめかというぐらい指値でやられて大変厳しいと。そういった状況にあるということで、ただ単に労務単価だけじゃなくて、資材の価格もどのようにして契約を結ばれているかというのをしっかりと調査をしないといけない。
以前、この本会議におきまして、連立会派の中心的な存在である小林議員が、最低制限価格を85%から90%に上げた。そうしたら、この労務単価が上がるかと思ったら、全然上がっていないんですよ。ということは、業界の皆さんはそういうことを言いながら、実際には資材とか、労務費を払う時には、最低制限価格を上げるのは賛成していたのに、渋っているんです。つまり総論賛成、各論反対なんです。私は何が言いたいかというと、ただ単に労務単価も4職種じゃなくて、あらゆる業種の労務単価を対象にする、なおかつ資材関係の方々もしっかりとそういったことを調査項目に入れて、長崎県の経済浮揚をしていかないといけないと。
小林議員も、85%から90%に上げたら長崎県の経済が浮揚すると思ったら、なかなか上がらない。これはどういったことかということで、私もぴしゃっと調査をさせていただきましたら、こういうことがわかったんです。
土木部長、こういった労務単価は全部を対象にしてやると、資材関係もダンピングされてないか調査をすると、こういったことはやっぱりあなたしかできない。今、あなたしかできいないんです。土木部長、よろしくお願いします。
◎村井土木部長 幾つかご質問があったかと思うんですが、(発言する者あり)まず、総合評価方式においては、労務賃金の支払いを誓約するという項目を総合評価の中に入れているところでございまして、確かにおっしゃるとおり4職種を対象として実施している状況でございます。
この4職種でやっております公共工事設計労務の単価職種は51職種あるわけでございますけれど、その51職種の中で4職種は連動しているということと、4職種が主な職種で半数以上を占めているものであると。それとこの4職種が九州の平均単価と比べて相対的に低い職種だということで、逆に言うと九州の平均単価と比べて高いところよりも低いところの職種を中心にやるべきだろうということで4職種を選んでいるようなところでございます。
ご指摘のように全職種でやるというのが一番いいのかもしれませんけれど、その時に請け負った側の資料作成に労力がかかるということもありまして、請負側の負担増になるということもあるので、なかなか難しいかなと考えているところでございます。
もう一つの資材の関係でございますけれど、ダンピングというか、いわゆる指値ということかと思います。そういう実態、いわゆる優越的な地位の乱用というようなことがあるならば、公正取引委員会の方に調べていただくことになろうかと思います。
以上でございます。
◆山田[博]委員 土木部長、私は政府施策要望であなたと同行したんですね。それで、あなたの行動を見ていたら、これはやる気満々だと、さすが今までの土木部長と違うなと思っていたんですよ。今日はどうしたんですか、えらいトーンダウンしておりますね、土木部長。
確かにいろんな労務単価の調査をするのに大変かもしれませんけれど、今はそういったことを言っている場合じゃないんですよ。いかに経済浮揚するかということが大切なんですよ。
建設会社の方々にそういった一定の負担をしていただきながら、この長崎県の労務単価を上げようという意気込みがないといけませんよ。資材の関係の方々も大変苦労している。
土木部長、お願いします。県民の皆さん方は土木部長の発言に注目しているんです。よろしくお願いします。
◎村井土木部長 労務単価の向上ということにつきましては、当然大事な課題であります。
これにつきましては昨年度から県議会・県政改革特別委員会でも相当議論させていただいておりまして、ある程度私どもといたしましても、先ほどの総合評価で行っておりました4職種に対する誓約というのを簡易評価型という新たな制度を設けて、その場合、指名競争入札になるわけですけれど、その時においてもそういった誓約をすることで指名が受けやすくなるような制度を導入したいということで、今、議会の方にお話しているところでございます。
◆山田[博]委員 土木部長、要は今までいろんな政策をやりながら、設計単価を上げても上がらなかったんですよ。ここは例えば書類が大変であったら提出しなくてもいいけれども、それを前提にやってくださいと。しかし、抜き打ち調査をした場合に労務単価をきちんと払ってなかったら、それで厳罰を処置しますよと、そういうことでやったらいいじゃないですか。今までしてもなかなか上がらなかったから思い切ってやらないといけないんですよ。
土木部長、ここは前向きに取り組んでやろうという意気込みがなかったら、なかなか進みませんよ。今、中村知事も政府施策要望で一生懸命頑張っている。土木部長も頑張っている。もちろん田中副知事も頑張っているんです。
どうぞもう一度、土木部長、この論議はここで終わらせないといかんから、あなたの明確な答弁を、もう一度チャンスを与えますので、よろしくお願いします。
◎村井土木部長 私としても前向きに取り組んでいるところでございまして、(発言する者あり)先ほど申し上げましたように、簡易評価型等を活用して労務単価の上昇を考えているところでございます。
◆山田[博]委員 土木部長、前向きじゃないな、残念ながら。全然前向きじゃない。どうしたんですか、土木部長、今日は。いつもの土木部長と違うから、歯切れのいい土木部長じゃなかったから、この件に関してはまた別の機会にですね。まだまだ十分な論議はしてないんですけど、時間がもうございませんので、次にいきます。
(2)長崎県住宅供給公社のあり方について。
私は、長崎県が今関係している公社とか、団体の資料を毎議会ごとにずっと見ているんです。
そうしたら、そこの中に住宅供給公社のその他の資産ということで、これはすごい金額になっているんですね。どういったことかというと、皆さんに聞いてもらいたいんですけど、住宅供給公社が、いいですか、昭和50年から水田債購入といって土地を持っているんですね。ましてや公社が直接購入している土地が諫早地区にどれぐらいあるのかというと、びっくりしたんです。なんと6万4,438平米、これは間違いございませんね。長崎のビッグNの面積はその何倍になりますか、土木部長。
◎村井土木部長 おおむね2.5倍程度であろうかと思っております。
◆山田[博]委員 皆さん、驚きましたね。中村知事、よろしいですか。昭和50年から水田債購入で1万5,000平米だったんです。公社が直接購入したのは、昭和49年からで4万9,000平米だったんです。合わせて6万4,000平米が昭和49年からずっと眠っていたんです。
それで、こういった土地をそのままにするのかと。地元諫早の中村議員が、「工業団地を新しくつくらんといかん」と昨日言っていたでしょう。そうしたら産業労働部長が、「なかなか選定が難しい」と言うんです。これだけの土地をそのままにしてどうするんですか。ここは聞いたら虫食いだそうです。私の洋服ダンスにあるスーツと一緒で虫食いになっているんですよ。この虫食い状態をそのまま続けるのか、続けないのか。それをきちんと整理して有効活用していくか、いかないか。それだけお答えください。土木部長、よろしくお願いします。
◎村井土木部長 委員ご指摘の公社保有地、確かに虫食いの状況でございまして、6.4ヘクタールという広い土地の状況でございます。
実際には特定調停などの時に資産としての弁済計画から除いているわけでございますけれど、確かにそういう土地がございますので、おっしゃるように集めるとか、そういう形の活用を諫早市及び関係者と検討していきたいと考えているところでございます。
◆山田[博]委員 やっぱり住宅供給公社がこれだけの土地をそのまま放置しているというのは大変なことなんですね。政治的には、誰がその時していたかと。振り返ってみたら、その時の知事は誰だったかといったら、その住宅供給公社が破たんするか、しないかという時の知事は誰かといったら金子前知事だったんです。私は金子前知事がおったら、「−−あなたしかこれをきちんとできないんですよ」ということを言いたかったんですけれど、今、中村知事がぴしっと土木部長にそういう指示をされて、やっぱり中村県政になって変わったなと。
私は思うんですけれども、−−−はこれを知っていたはずですよ。私も県議会議員として6年、7年しましたけど、恥ずかしい限りです。こういった状況にあったということを県議会議員の1人として、ずっとそれを確認していなかった、チェックをしてなかった。これは私のみならず、県議会議員の方々にも大きく反省していただいてしていかないといけない。もちろんその執行部であった−−−における−−−にも猛省をしていただきたい。
しかしながら、今は参議院議員ということで、今日の放映をしっかり聞いていただいているんじゃないかと私は思っているわけでございます。
土木部長、これは早急にこの虫食い状態をきちんと整理して、関係者とやっていくということを、固い決意を持ってやるということでよろしいんですか。最後に土木部長、今まで答弁がちょっと歯切れがよくなかったから、やっとこれで歯切れがよかったから、よろしくお願いします。
◎中村知事 ご指摘の土地につきましては、経過は大変古うございまして、昭和49年ぐらいから県が県央地域の都市整備に関して計画を策定をし、その用地として取得を始めた経過がございます。
そういうことでありますので、−−−以前の事業スタートでありまして、この中にご指摘のように公社所有地が一部分散する形で6.4ヘクタール残っているわけでありますので、これの有効活用については、県としてもしっかり検討して取り組んでいきたいと思っております。
◆山田[博]委員 中村知事、大変失礼しました。−−−だけに責任があるんじゃないと、前にもあったということで、前の知事も高田知事というすばらしい知事がいましたけれど、てっきり私は−−−がこうしたんだと思っていたものですから。委員長、発言を後から適切に訂正していただければと思います。
今、私の隣に連立会派で県庁舎、土木行政に大変詳しい野本委員が待ち構えておりますので、私はこのあたりで質問を終わらせていただきます。
総務部長、土木部長、また別の機会にしっかりと県庁舎の問題も質問させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
先ほどの住宅供給公社の土地の問題は、本当に中村知事、ありがとうございました。
終わります。(拍手)
○高比良[末]委員長 野本委員。
◆野本委員 連立会派・県政改革県民の会の野本でございます。
質問の前に一言、二言、申し上げさせていただきたいと思います。
中村法道知事も早いもので、知事就任後2年4箇月になります。折り返し地点であろうが、通過点であろうが、知事は選挙公約実現のため、「人が輝く、地域が輝く、産業が輝く長崎県づくり」に、さらに、さらに邁進していただきたいと熱いエールを送り、来期も期待いたしているところであります。
私は連立会派の一員として、同僚議員の支援を得て県議会、並びに議会活動ができることに非常に感謝をしております。同僚議員の皆様に改めて感謝申し上げます。
今議会に限らず、主義主張の違いからか、一つ屋根も時として雨漏りがして、県庁舎同様、一日も早く補修、建て替えが必要ではないかという思いを込めておるところであります。
さて、予算総括質疑でありますので、多額の予算を投じている県政の重要課題を中心に何点か質問をさせていただきます。
1、県庁舎整備についてであります。
(1)低層の庁舎のメリットについて。
県庁舎については県の重要施策でありまして、これまで一般質問、また、県議会の県庁舎整備特別委員会等々において、私の考えを再三にわたって述べてまいりました。
我田引水ながら、その趣旨も酌み取っていただき、昨年2月に知事は、長崎魚市跡地に移転新築するという英断をされたわけであります。
しかしながら、その後、未曾有の災害が東日本を襲ったことから、昨年度、慎重に慎重を期して、建設予定地である長崎魚市跡地の安全性を改めて確認し、その上で昨年末になってようやく行政棟、議会棟の設計業務を発注し、念願の新県庁舎整備に向けた本格的なスタートが切られたところであります。
今年度は、新庁舎の設計経費等として3億255万2,000円が当初予算に計上され、県では現在、設計の作業を進めていることは承知しておりますが、その進捗状況については県民、長崎市民の皆さんが最も関心のあるところであります。
そこで、現在、検討されている内容等について、数点お尋ねいたします。
まずは、低層の庁舎のメリットについてであります。低層の庁舎を提案した設計者が選定された経緯については一般質問においても質問がありましたが、そもそも庁舎の高さについては、理事者からも標準的な階数が示されただけで、1年間をかけて議論を重ねた特別委員会においても、高層であるべきか、低層であるべきかという決定的な議論はなかったと記憶しております。
基本構想については、新庁舎の整備に当たっての理念や方向、方針などの考え方、あるいは予算や財源ともかかわる規模や機能を中心に、さまざまな議論がなされております。庁舎の高さそのものは、構想案で示された16階ないし18階の説明をもとに、私自身もこだわらなかったし、余り問題とされなかったものと考えております。
今回の設計者の選定については、どの設計者が県庁舎を設計するのに最も適しているかを判断するためのプロポーザル方式により基本設計を実施するための提案を出していただき、その企画力やデザイン力などの技術力を審査したものでありますが、その結果として低層の庁舎を提案した設計者が選ばれたわけであります。
低層の庁舎というのは意外とも思えましたが、別の視点からは非常におもしろい発想だとも正直思いましたし、日本を代表する設計者の企画力、技術力は大いに期待できるものと思います。
なぜこのようなことを申すかというと、私は3月に公開で開催されましたプレゼンテーションを実際に傍聴させていただきました。議員では、私と山田朋子総務委員長、川崎環境生活副委員長の3名のみだったかと思います。
その会場で提案者の説明を拝聴しながら、また、審査員とのやりとりを直接聞かせていただきました。提案内容に納得する点も多かったわけであります。
理事者の説明では、低層のメリットを活かしつつ設計を進めていくとのことですが、低層であることの具体的なメリットについて、理事者としてどのように理解しているのか、設計作業を進める中で気づいた点もあると思いますが、それも含めて説明をお願いいたします。
◎池松総務部長 低層のメリットでございますが、まず、構造上、柱を小さくできるということ。また、高層の鉄骨づくりに比べまして、建設費の安い鉄筋コンクリートづくりとすることが可能となること。それから、低層でございますので、階段の利用によりエレベーターの台数が減らせることなど、建設コストの縮減が図られるものと考えております。
また、庁舎の外側の面積が小さくなるため、外気の影響を受けにくく、冷暖房費用が抑えられるなど、ランニングコストの低減も見込まれるところでございます。
あわせて執務空間としては、各階の床面積が広いことから、関連の強い部局を同じフロアに配置できるなど、オフィスのレイアウトの自由度が高く、部局間の連携が図りやすいというメリットがあると考えております。
◆野本委員 今、低層の庁舎のメリットについてご説明をいただきました。このことは同僚議員も質問をされておりますが、私自身も言われる意味は理解できます。
(2)設計作業における検討状況について。
現在、行政棟と議会棟の設計が始まったわけですが、その状況が県民の皆さんにきちんと伝わっていない面があります。
というのは、県議会での意見書、決議を踏まえて、知事として決断し、関係予算も計上され、執行されているにもかかわらず、いまだに県庁舎は本当に魚市跡地に建つのかとか、県庁舎の整備はまだまだ先の話ではないかといったような声すら聞こえてまいります。
そこで、まず設計業務の現在の進捗状況と今後のスケジュールについてお尋ねをいたします。明快なご説明をお願いします。
◎池松総務部長 県庁舎のスケジュールでございますが、まず、行政棟、議会棟などの設計については、現在、防災緑地等を含めた敷地全体の基本設計方針というものを策定中でございまして、その後、7月から12月にかけて基本設計を行い、その後、実施設計を行うというスケジュールでございます。
次に、警察棟の設計につきましては、先ほど申し上げた敷地全体の基本設計方針が決まりますと、7月以降発注手続を開始いたしまして設計者を選定することとしております。
また、駐車場棟の実施設計につきましては、平成25年度に発注する予定としておりまして、全体として平成25年11月末ぐらいまでにすべての設計を完了いたしまして、平成28年度中の新庁舎の完成を目指しているというところでございます。
◆野本委員 今の点については理解いたしました。
県としては着実に進めていることが明確になりましたが、その事実を県民にしっかり浸透させるためには、作業の進捗状況や検討内容を具体的に目に見える形で県民に示すことが必要だと考えます。
この点については、例えばプロポーザルの提案内容については県のホームページで公表されていますが、そのページは印刷できない設定になっています。
提案者の著作権の関係からと伺っており、一定理解をいたしますが、県庁舎の整備について県民に関心を持ってもらい、理解してもらうためには具体的な整備イメージを広くお知らせすることが必要じゃないかと思います。
また、先日、議会棟の平面計画の素案が示されましたが、行政棟は執務室と県民協働スペースという区分のみが示されており、それ以上の内容がありません。まだまだ検討中で、素案としても示せる段階ではないとは思いますが、一刻も早く全体の計画概要や整備イメージを県民に示すべきと考えています。
そこで、設計業務の中で検討している内容はいつごろ県民に示すものか、お尋ねいたします。
◎池松総務部長 県庁舎の進捗状況につきまして県民の皆様にしっかり周知するということは、委員ご指摘のとおりだと考えております。
県庁舎の計画概要や整備のイメージにつきましては、県のホームページや「県民だより」5月号において、プロポーザルにおける最優秀提案のイメージ図などで県民の皆様にお知らせをしたところでございます。
また、現在検討を進めております敷地全体の基本設計方針につきましては、7月を目途に県民の皆様にお示ししたいと考えております。
また、基本設計の内容につきましても、一定の整理ができた段階でお示ししたいと考えておりまして、委員ご指摘のとおり、今後とも事業の進捗に応じて検討状況を県民の皆様へお知らせをしていきたいと考えております。
◆野本委員 その点、理解をいたしました。
新庁舎については、今回の震災を踏まえ、防災拠点機能ばかりが強調されているように感じます。防災機能の充実は建て替えの前提条件としてしっかり検討していただきたいと思いますが、私は県民のための庁舎という少し違った観点から新庁舎の中身についてお伺いします。
基本構想には基本方針の1つに、「県民に優しく、県民が親しみを感じる庁舎」という方針があり、新庁舎の役割としてはこの方針も非常に重要ではないかと思います。
新庁舎の中身については、現在、検討中の内容でありましょうから、今後の変更もあり得るとの前提で構いませんので、できる限り具体的に、県民のための庁舎という意味での内容を検討しているのかどうか、お尋ねいたします。
◎池松総務部長 新庁舎につきましては、委員ご指摘のとおり、単なる事務所機能としての建物だけではなく、基本構想にもございますが、「県民に優しく、県民が親しみを感じる庁舎」となるように検討を行っているところでございます。
まず、新庁舎の入口となる低層の階には、エントランスホールのほか、県政や観光等の情報発信、それと県民との交流や協働、県民生活の安全・安心を支える各種相談などの機能を配置したいと考えております。
また、エントランスホールや展望ゾーンは、平日はもとより閉庁日におきましても県民の皆様に広く開放できるようなシステムにしたいと考えているところでございます。
また、それぞれ機能を配置してもどう使うかというソフトの面もございますが、今申した県民の皆様方に親しんでいただくような機能を実現するために、敷地全体の基本設計方針において、各機能の配置の考え方を整理して基本設計に反映し、先ほど申し上げたとおり、一定の整理ができたところで県民の皆様方にもお示しをしたいと考えております。
◆野本委員 次に、県民のための庁舎という意味では、行政事務の効率化も最終的には県民に還元されるわけでありまして、効率的に働ける執務室を目指すべきと考えております。
最近の民間オフィスは、大きなワンフロアで効率化が図られており、基本構想でも新庁舎はオープンフロアとすることになっております。
そこで、設計作業の中で、執務室については具体的にどのような検討をしているのか、これも検討中の内容で構いませんので、ご説明をお願いいたします。
◎池松総務部長 執務室につきましては、基本構想におきましても「コンパクトな庁舎」という考え方をしておりまして、この考え方に基づきまして、必要最小限度の規模としますけれども、効率的で新たな施策をつくり出すことができるような執務環境の整備を目指していきたいと考えております。
具体的には、部局を超えてコミュニケーションが図られるオープンフロアを前提としておりまして、関連の強い課・室の近接性とか、それから組織改編、組織を改めた時のハード的な柔軟性などの視点から検討を進めているところでございます。
また、会議室につきましても、利用実態を踏まえた適切な規模と部屋の数の組み合わせを配置するということで検討を進めているところでございます。
◆野本委員 2、警察棟の設計者選定について。
警察棟の設計については、7月以降に発注手続に入るとのことですが、今回の行政棟、議会棟の設計業務の発注については、先ほどお話があったプロポーザル方式により選定し、3者によるJV、代表構成員には一定の設計実績を求めること、そして、WTO対象のため、県内企業に限定しないという条件であったかと思いますが、結果的に全国大手の設計者と県内2者のJVに発注されました。
県として、この結果をどのように評価しておられるのか、お尋ねいたします。
◎池松総務部長 行政棟、議会棟などにつきましては、委員ご指摘のとおり、WTOの政府調達協定の対象ということですから、設計JVの構成員は県内企業には限定できませんでした。しかしながら、結果的には、委員もおっしゃいましたように県内企業2者を含むJVが設計業者に選定されましたので、県内企業の技術力の向上が期待できるとともに、県内経済の活性化にも寄与できたのではないかと考えております。
◆野本委員 特に警察棟の設計業務はWTOには該当しないと思いますので、今回の結果を踏まえて、行政棟と議会棟と同等の仕組みを前提に、県内企業の受注機会拡大のために、代表構成員以外の2者は県内限定とすべきと考えますが、県の考え方をお示しください。
◎池松総務部長 警察棟の設計者の選定方法でございますが、これにつきましては、行政棟、議会棟と同様に大規模な建築物であることから、まず、プロポーザル方式を予定しております。
JVの構成員の数につきましては、県内企業の参加機会を確保する観点から、行政棟と議会棟と同様に3者でできないかということを検討しておりまして、JV構成員の要件につきましては、代表構成員には一定の設計実績を求める必要があるため、県内企業に限定はできないと考えておりますが、WTOの対象外でございますので、その他の構成員につきましては県内企業に限定をしたいと考えているところでございます。
◆野本委員 今の総務部長の説明で流れていくものとは理解しますが、結果から考えて、この警察棟を代表構成員1者、その他の構成員として地元2者という形でやっていくとすれば、行政棟、議会棟というのは、私は地元業者はちょっと数が足らなかったんじゃないかと、2者じゃなくて5者ぐらいでもよかったんじゃないかと思うぐらいであります。このことについては、今後のスケジュールの中で、ひょっとしたら変更もあり得るんじゃないかという気もするんですけれども、やはり一度メンバーを指名し決定したら、なかなかそう簡単にいかないですけれども、私はそういうことも今回の状況で危惧をしている者の一人であります。
次に、県庁舎の整備は、知事の英断によって、いよいよ本格的に動き出したわけですが、防災面はもとより、県民協働スペースや効率的な執務室など、県民の役に立つ、県民に喜ばれるような庁舎を目指して、さらには、県内経済への波及効果の観点からも、着実に進めていただきたいと思っておりますが、知事の決意をお示しいただきたいと思います。
◎中村知事 ご議論をいただいておりますように、新しい庁舎は、いわゆる防災拠点施設としての機能にとどまらず、県民の皆様方にとっても使っていただきやすい、そういった庁舎であるということで検討を進めているところであります。
現在、具体的に県民の皆様方が利用いただけるようなスペースのあり方、あるいは効率的、機能的な執務スペースのあり方、職員動線等を含めて、さまざまな検討を進めているところでありますけれども、これからもなくてはならない庁舎として、県民の皆様方に親しまれるよう精いっぱい取り組んでまいりたいと考えております。
◆野本委員 この県庁舎問題は、長崎県政史上最大の大型プロジェクトで、それこそ百年の大計、高田県政、金子県政、そして中村県政と3代にわたって、私もたまたま一緒になって、県庁舎特別委員会等々にも委員として入りまして勉強させてもらったわけであります。そういう意味では、中村法道知事は非常に幸運の知事ではないかなと、これだけの大きなものを自分が指示、発注できるわけですから、そして完成にこぎ着けることができるわけですので、ぜひそういうことも考えながら、さらに、さらに頑張っていただきたいと思うところであります。
そこで、私は、少し設計事務を早めるということ、やっぱり建設業の不況、長崎県の経済不況等々を考えると、一日も早く工事の発注をすることが一番いい薬だと思っておるわけであります。その点につきまして、知事、ぜひ、今進めている基本計画、これから実施設計に入っていくわけですが、私は時間的な短縮も十分可能ではないかと。ましてや、低層ということでのメリット、それとコストも安くなると、しかも説明の中で、工期も短縮できるということも言われております。
そうであれば、ここまできたら、もう何もほかに躊躇することはございませんので、これについて中村知事は、一日も早く工事を発注し完成することに、先陣を切って大きな決意で頑張っていただきたいと思うわけであります。その点を強く要望しておきます。
3、県庁舎の跡地活用について。
(1)公会堂の移転先としての可能性について。
次に、平成23年1月に県議会として提出した「新たな県庁舎の建設に関する意見書」においても、跡地活用については、県庁舎建設と同時並行して検討を進めていくべきとされております。
昨年度は、私も傍聴し、県民・市民の皆様からいろんなアイデアをお聞きしたワークショップや、跡地に求められる都市機能などについてのニーズ調査が実施され、今年度は具体的な活用策の検討を行うための新たな懇話会等の経費が1,662万円予算化されているわけであります。懇話会のメンバー構成や進め方については、先日の一般質問で答弁がありました。
私は当初、県庁舎跡地は、市役所の移転先としてよいのではないかと考えておりました。しかしながら、長崎市は、公会堂一帯での建て替えを表明されたので、そのことについては尊重したいと考えております。
そうなりますと、公会堂の移転先が必要となるのではないかと考えており、また、中規模の音楽専用ホールが必要との声もありますので、これを現庁舎の跡地に整備してはどうかと考えております。
そこで、仮に現在の公会堂と同規模の施設を整備するとして、公会堂の施設と前の公園の面積を考えた場合、現県庁舎の敷地で面積等の検討はされたことがあるかどうかをお尋ねいたします。
◎永川企画振興部長 公会堂につきましては、長崎市において検討が進められているところでございまして、現県庁舎の跡地での整備を前提とした敷地面積等の検討は行っておりませんが、現在の公会堂の敷地面積は3,600平米で、その前の公園もほぼ同面積でございまして、合計で7,200平米でございます。
一方、現県庁舎の敷地面積は、本館及び第1から第3の別館部分を合わせて約1万3,000平米、県警本部部分が約2,000平米でございまして、このうち本館がございます石垣上部のまとまった土地は9,500平米となっております。
以上でございます。
◆野本委員 ありがとうございました。公会堂は、長崎市が決めることでありますけれども、これはある意味での誘致という問題でありますので、知事、ぜひひとつそういう問題が整理されれば、知事も長崎市長とも話し合いながら、ぜひこの跡地活用については、やはり急いでやるべきだと思っておりますので、そういう声が強いわけですから、そのことは要望しておきたいと思います。
規模的には可能ということでありますので、それとまた、期待される活用方法として、芸術文化の新たな創造発信拠点も提示されており、また、基本的な方向にあります歴史性への配慮についても、外観のデザインを考慮するとすれば、県庁舎跡地に公会堂を整備することは、提言の趣旨に合致するものと考えておりますので、検討することについて、私は再度知事に期待をし、このことに対する答弁は要りませんけれども、先ほど申し上げたように、進めていただきたいと思います。
4、道路交通行政について。
(1)交通量の渋滞緩和対策について。
先日の一般質問でも取り上げられた交通の渋滞緩和対策についての第1点は、長崎南北幹線道路浦上川線北伸ルート並びに都市計画決定についてでありますが、この問題については、これまで数人の議員が要望してまいりました。
都市計画道路浦上川線は、元船町から松山まで総延長3,250メートルが平成22年11月に全線開通し、この間の所要時間が大幅に短縮され、また、地域の安全性向上にも寄与されております。
問題は、松山町で交差点が国道206号にすりつけられ、ちょうどゲレンデを見るような感じで、ここが渋滞の要因となっており、苦情の種となっていることは当局もご承知のことであります。
この先は、滑石を通って西彼杵道路の時津町に延長されるはずであります。この先はどういう線形が記されておるのか、どうぞひとつこの辺の問題を、線形をはっきりしながら、そして、相当な事業費がかかりますから、そのことはさておきながら、まずは線形と方向付けについて、そして、都市計画決定の道筋を急ぐべきじゃないかと思っておりますので、そのことを土木部長にお尋ねいたします。
◎村井土木部長 委員ご指摘のとおり、浦上川線が開通したことにより、並行する国道206号の交通渋滞が緩和されるなど、大きな効果が出ているところでございます。
しかしながら、松山町から以北の国道206号につきましては、依然として朝夕の通勤時間帯などに交通の渋滞が発生している状況であることはよく認識しております。
その対策といたしまして、国道206号のバイパス機能を担います浦上川線の北伸が有効であると考えているところでございます。
これまで、将来交通量の予測などの整備効果の検証を行ってまいりました。今年度は、関係機関との調整及び概算事業費、さらに費用対効果、費用対効果が大変かと思いますけど、この辺についての検討をしてまいりたいと考えているところでございます。
◆野本委員 道路行政の第2点は、長崎市福田地区における一般国道202号は、西彼杵半島西側を縦貫し、長崎市中心部へ、逆に新長崎漁港からハウステンボスへ通じる主要幹線道路として、産業、経済、観光の振興に多大な貢献をするものであります。また、地域の市民生活を支える生活道路であり、同時に児童生徒の通学路等もあります。女神大橋に次ぐ金水トンネルと、平成23年2月には長崎南環状線の開通などにより、交通量が激増しております。
もうこれ以上は先送りできないとの判断から、今日はいらっしゃいませんが、宮内県議会議長にも、本年2月9日、寒風吹き荒れる小雪混じりの中、遠路わざわざ佐世保から現地に出向いていただいて、陳情した関係者の話を聞きながら、その前で議長は、「こんな状況は県北にはない」とまで言わしめ、「一刻も早く調査費をつけて調査し、都市計画決定にこぎ着けるべき」と陳情者に対しても、地域住民の前で演説までちょうだいいたしました。そのことは土木部長にも伝わっていると思いますが、その後の経過と取り組みについてお尋ねいたします。
◎村井土木部長 長崎市福田地区のバイパスについてのご質問でございますけれど、福田地区の交通量につきましては、女神大橋開通前の8,000台が、県道長崎南環状線の全線開通に伴いまして9,200台と増加しております。ただ、走行速度について大きな変化は見られないところでございます。
しかしながら、国道202号は児童生徒の通学路となっていることから、安全の確保のため、福田本町から670メートル区間について、今年度から歩道の整備に着手しているところでございます。
福田地区のバイパスにつきましては、多額の費用が必要となることが予想され、具体的な計画がないことから、今後、交通状況の把握を行うとともに、整備効果の検証など所要の調査に取り組んでまいりたいと考えております。
◆野本委員 ありがとうございました。早口で多項目にわたりお尋ねしたところで、ちょっと通じるところも通じなかったりしているようであります。しかし、言わんとすることは何かということについては、知事はじめ皆さん方にも十分理解をしていただいていると思うわけであります。
特に県庁舎問題については、我々も皆さん方と協調しながら、連立会派も決してばらばらではございませんので、やっぱり一つ屋根の下だということで、我々は会派の代表の方々と意見をすり合わせながら、そして、県政・県民のためにということで、中村法道知事を支えながら頑張ってまいりたいと常に思っておりますので、どうぞ、今お尋ねしてまいりましたことについては、もう一つめり張りをつけて、目に見えるような形の中で、そして、特に知事においては、本当に思い切った行動を起こしていただいて、そして、県民・市民にきちんと伝わるような陣頭指揮も含めて、リーダーとしての考え方、取り組み方について大きく期待しておりますので、そのことを切望いたしまして、質問を終わらせていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
○高比良[末]委員長 松島委員。
◆松島委員 松島 完です。32歳、頑張ります。
1、予算をつくり出す政策について。
予算に関する質問ということで、約20分という貴重な時間をいただきました。この少ない時間で、この20分の中で予算に関して何を聞こうか、何度も思案をしました。今回の補正予算、約6億7,000万円ですが、大部分が緊急雇用対策6億円、これは恐らく他の委員と重なるなと思いまして、重複を避けました。
それでは、当初予算、何かしら私に関心がある大きな事業に関して質問をさせていただこうと考えましたが、時期が時期です。当初予算、動き出したばかり、時期尚早と判断しまして、今回の私の予算に関する総括質疑の切り口は、予算をつくり出す政策です。この予算をつくり出すという発想の欠如が、今の日本の議会の弱点だと私は考えております。
まず初めに、質問の趣旨を述べてから、具体論に入っていきたいと思います。
これまで議員の仕事というのは、おらがまちに何らかの予算を引っ張ってくることだと考えられてきました。この場合の「まち」とは、自分の地域や自分の支援組織・団体のことを意味します。人口が増大し、経済が成長するもとでは、予算が十分にあり、堂々とおらがまちに予算を引っ張ってくることができました。
しかし、時代は移り変わり、1,000兆円の借金を政府が抱えるようになってしまいました。公共事業は以前の半分になり、地元の要望にもなかなか応えられない状況が生まれてきました。おらがまちに予算を引っ張ってこられなくなりました。予算を十分には引っ張ってこられない議員への住民の目は、日増しに厳しくなります。「議会は学芸会ではないか」という全国の声が挙がります。全国各地では、議会不要論も生まれます。今現在でも生まれているかと思います。
問題の所在はどこにあるか、それは時代の変化に議会がついていっていないということです。今はどんな時代か。財政難の時代です。「あれもこれも」ではなく、「あれかこれか」の時代です。今、どんな議会が望まれるのか。議会本来の役割を議会が取り戻すことが望まれます。
そのために、長崎県議会は、議会基本条例を制定したことで、新時代のスタートにやっと立ったと思っています。議会の役割として、議会基本条例第3条2項にはこうあります。「議案等の審議又は審査及び調査を行うほか、独自の政策立案及び政策提言に取り組むこと」、このことが意味することは、議会が議場で執行部に対して、おらがまちに予算をくれと言うだけではなく、自ら政策提案をしていかなければならないことを明記しています。
例えば、「こういう事業をやってくれ」と言います。大方、「財政難です」という執行部の答弁が返ってきます。そうじゃなくて、例えばこの事業を切り詰めて、自分がやりたい事業に回してくれだとか、予算をつくり出すこういう事業をやってくれと、それをもとに自分が提案するこういう事業をやってくれと、そういう発想が求められるんだろうと思います。監視機能だけでなく、政策提案が求められます。
また、議員の役割として、第4条2項には、「議員は、個別的な事案の解決に努めるのみならず、県民全体の幸福を目指して活動すること」とあります。おらがまちへの利益誘導を否定はしませんが、それだけではだめだという条文になります。
それで、予算をつくり出す政策の提案として、以前私はファシリティ・マネジメント、これは「県有施設の有効活用」とその時は表現していました。これは管理ではなく経営していく、マネジメントしていくという発想そのものでして、これは3年か4年前だったと思いますが、そういう提案をしまして、自動販売機の一般競争入札で約1億5,000万円の利益が生まれ、エレベーターの広告掲出制度では数百万円の利益が生まれ、そして、施設の長寿命化に関しては約12億円の効果が生まれております。ファシリティ・マネジメントに関しては、後で時間があれば、質問させていただきます。
(1)選挙事務の経営(コンマ1秒の改革)。
そして、今日は新しい提案を持ってきました。新しい予算をつくり出す政策提言といたしまして、まず、選挙事務の経営です。選挙事務の経営によって予算をつくり出す提案をします。管理の色合いが強い分野かもしれませんが、新しい発想でマネジメントをしていきたい。アイデア次第で無駄を省ける要領があると、そのように考えています。
じゃ、選挙事務とは何ぞやと言ってもいろいろありまして、一応3つに分けたいと思います。まず、1つが広報啓発事務、そして投票事務、そして開票事務です。
この中から、まず、開票事務について、選管の委員長にお尋ねをいたします。
これはいろいろ調べたんですが、早稲田大学マニフェスト研究所が出している開票事務ランキングというのがあります。2011年の統一地方選の開票事務のランキングというのがありまして、長崎県は何位だと思われますでしょうか。このランキングには2つの指標がありまして、1つ目が開票所要時間、これは開票開始から開票終了までの所要時間、この開票所要時間のランキングだと、長崎県は全国の都道府県の中で37位、41道府県中なので、下から数えた方が早いと。もう一つの指標である、1人1分当たりの処理票数、これはちょっと難しいんですけど、投票総数と開票事務従事者数を考慮した開票事務の効率性を図る指標だそうです。この開票効率性ランキングだと長崎県は少し順位が上がって17位、これも41道府県中、中位です。可もなく不可もなくといった感じですが、このランキングを率直にどのように感じられますでしょうか、お尋ねします。
◎前田選挙管理委員会委員長 いろいろ質問があっているようでありますけれど、差し当たって、先ほどの開票事務の順位についてという質問でございますが、前回よりも今回の県議選、こういったものを比較対象してみますと、大幅に時間短縮ができていると判断をいたしております。それは全国的な統計からもそのように言えるんじゃないかと、このように判断いたしております。
◆松島委員 ちょっと詳しく言ったら、例えば平成21年の衆院選から、平成17年の衆院選の終了時刻を引いたら、短縮されている自治体は15ぐらいある。そしてまた参院選も、作業時間を短縮した団体というのは、長崎市などを含めて15ぐらいあるみたいなんですが、では、短縮されている団体、長崎県内にいろいろ市がありますけれども、そのランキングを調べても、非常に下位に甘んじております。残念ながら、我が県内だけで見ていると、それは短縮したとなるんですが、全国的に開票効率を考えますと、なかなか胸を張れたものではない。
改革の余地があるんだろうと思います。まだやれる余地があるんだろうと、そのように考えておりまして、その中で、県の役割とは何だろうと、ここにぶち当たるんですけど、県の役割とはどのように考えていらっしゃいますか、お聞きします。
◎前田選挙管理委員会委員長 総体的に選挙の投票率、あるいは近年、全国的に低下傾向にある中で、投票時間の延長、あるいは期日前投票制度創設など、制度面での投票環境の改善が行われておりますが、これとあわせて、一人でも多くの有権者に投票所に足を運んでいただくべく投票の棄権防止を呼びかける選挙啓発についても、公職選挙法に基づく選挙管理委員会の責務として積極的に取り組んでいるわけでございます。
私どもといたしましても、こうした基本姿勢に立ちながら、効率化の視点もあわせ持って事業を進めていく必要があると認識をいたしております。
そういった中で県の役割としては、先ほどからご質問があっておりますとおり、それぞれの問題点を何としても効率的にどう進めていくかという視点に立ちながら、今日進めておるのが実情であります。
以上です。
◆松島委員 ありがとうございます。私は、この県の役割というのは、県内の市や町、実際、開票作業は市や町がする取り組みでありまして、県が直接やるわけではございません。しかしながら、県内の開票事務に関する課題を抽出する役割があるんだろうと私は思っていまして、そのための改革の音頭をとれるのも県だろうと、そのように思っております。
そこでちょっと、構えてなかったかもしれませんが、知事にも、どういった考えをお持ちか、ちょっとお尋ねさせてください。
◎中村知事 私ども一番大切にしたいと思っていますのは、県民の皆様方の政治に対する関心、これをしっかりと持っていただけるように、そしてまた、そのことが投票行動につながるように、そういう努力をもっと重ねていく必要があるのではないかと思っております。
◆松島委員 開票事務の迅速化、開票事務をスピード化していくことに関しては、どのように考えますか。
◎中村知事 開票事務のスピード化については、これは多くの方々が関心を持ってお動きになっておられるわけでありますので、一刻も早く開票作業を終えるというのが、非常に大切なことであろうと思っております。
◆松島委員 早稲田大学マニフェスト研究所、中村 健次席研究員の試算をここで引用しますが、開票事務のスピード化、迅速化でこういう試算を出しています。「22時(夜の10時)以降の時間帯で1時間開票時間が短縮されると、約11億円の人件費が節約できる」。これは、細かい計算を積み上げた結果で、今、ここで全部を言うのは、あっという間に時間が終わってしまうので言いませんが、これはたった一回の結果です。選挙は何度もあります。通常、4年のサイクルだと6回ぐらいあるのかな。そのことも考えると、倍々になっていって、この研究員の言葉をおかりしますと、「経費削減効果は100億円以上になる。この予算削減によって、予算を他の行政サービスに使用でき、工夫と熱意次第で大きな財政改革となる」と。
そこで、具体的な提案を3つしますので、選挙管理委員会委員長と知事にご所見をお伺いしたいと思います。
まず一つ、岡山県が「開票事務合理化に関する研究会」という組織をつくって、平成20年に報告書を出しております。これは開票事務をスピード化するためです。長崎県も研究チームをつくっていいのではないかというのが1点です。
2つ目が、これは事前に一応地域振興課の担当にいろいろお話を聞きました。選挙のたびに、各市町の選管に説明会を開くそうです。そこで県内の市町ランキングを発表してほしい。開票事務の効率性に関するランキング、早稲田大学マニフェスト研究所が出しているランキングを発表していただきたい。というのは、モチベーションを上げるため、自分の立ち位置を知ってもらうためです。自分が全国の中では、県内の中ではどの位置にあるかという立ち位置をはっきりさせるために、県内の市町ランキングを発表してほしい、これが2つ目です。
3つ目が、研修会をやっていますと。いろいろ開票事務の効率化についても、総務省の資料を持ってきて先進事例を届けていますと、そういう研修会をやっています、説明会をやっていますということも聞いていますが、一つ、すごくおもしろいことをやっている自治体があります。これは広島県で、「開票事務のスピード化への取り組みに対する支援」というのをやっています。非常に少額で市町村のモチベーションを上げる取組をしています。
具体的に、例えばマニュアル見直し検討会議の運営と、これは講師派遣の費用支援なんですが、県が基礎的自治体、市や町に10万円。例えば開票事務リハーサルの実施に12万円とか、これは広島県が、そういう具体的な取組の支援をされております。
この開票作業は、市や町がやるものだからではなくて、県が積極的に選挙事務の課題を抽出し、解決し、そして予算をつくり出すことにもつなげて、第一義は公職選挙法にあるとおり、速やかに伝えなければならない、市民の皆様、県民の皆様に。一石二鳥じゃないですけど、コスト削減をされて、ほかの行政サービスに回す、そういったふうに、これは知事の肝入りでやっていただきたいと私は思いますが、まず、委員長にお伺いして、その後、知事にお願いします。
◎前田選挙管理委員会委員長 開票事務の迅速化は、行政コストの削減にとどまらず、選挙結果を早く有権者に伝えていくという公職選挙法の趣旨からも大切であると考えています。
県選管では、国政選挙や県の選挙における説明会などの場において、市町選管に対し、開票事務従事者や立会人等への十分な事前説明の実施や全国の先進的な取組の事例の紹介などを行っているところであります。
具体的には、開票作業を行うための効果的な、例えば開票作業台の設置、判定に時間を要する疑問票の処理方法の改善など、作業の効率化を図り、開票時間の短縮につながるよう助言を行っているところであります。
例えば、平成22年参議院選挙では、こうした取組により、県内の市町の平均で約32分の時間短縮が図られております。
今後も、開票事務の正確性の確保等の兼ね合いも十分留意しつつ、先進的な取組事例の情報収集に努め、さまざまな機会をとらえて、市町選管に対し、紹介あるいは助言をしていくなどの努力を重ねてまいりたいと思います。
委員からも具体的な提案をいただければ、いろいろ言われておりますけれども、ぜひ勉強させていただきたい、このように思っております。
なお、「コンマ1秒の改革」、これは北川元三重県知事が書物として出されております。ぜひこういったものも参考にしながら、松島委員のいろんな意見等も踏まえて、今後とも検討を図っていきたい、このように思います。
◎中村知事 選挙のたびに開票事務の効率化をいかに図っていくかというのは非常に大切な視点だろうと思っております。
さまざまな選挙が執行されるわけでありますけれども、そういった意味では、これまでもいろいろな見直しの可能性がある部分については、積極的に取り組んでいただいてきたのではなかろうかと思っております。
そういった中、やはり本県は、特に離島地域があって、離島の離島を抱えたり、あるいはまた、そういったことで効率化ランキング等も具体的に客観的な指標があれば、そういうことも一つの手法ではなかろうかと思っております。
ただ、所要時間といいますのは、候補者の数でありましたり、先ほど申し上げた投開票のスタートの時間がどうなるかとか、そういったことも影響してくるのではなかろうかと思っております。
最終的には、そういったいろいろな環境を克服して、スピードアップをいかに図って実現していくかということだろうと思いますけれども、例えば県の方でも、従前は電話連絡だったのがデータで送付するといった見直しも進めているところです。
◆松島委員 よろしくお願いします。ありがとうございました。(拍手)
○高比良[末]委員長 午前中の審査はこれにてとどめ、しばらく休憩いたします。
午後は1時30分から再開いたします。
−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−
−午前11時45分 休憩−
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−午後1時30分 再開−
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○高比良[末]委員長 委員会を再開いたします。
午前中に引き続き、総括質疑を行います。
自由民主党の質疑を行います。
なお、質疑時間は、答弁を含め85分であります。
○高比良[末]委員長 溝口委員。
◆溝口委員 自由民主党の溝口芙美雄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
1、第10回全国和牛能力共進会長崎大会について。
(1)広報宣伝について。
県内外へのPRについてですが、本年、10月25日から29日までの5日間開催される第10回全国和牛能力共進会は、5年に1度の和牛の祭典であり、全国から484頭の代表牛が出品されます。
また、出品関係者等2万人、一般の宿泊客3万人、県外の日帰り客8万人、県内の日帰り客24万人の合計37万人もの来場者を見込んでおります。経済効果におきましても88億円と試算されており、本県で今年最大のイベントであります。
長崎和牛の知名度向上は、観光立県長崎としても、県全体の活性化を図るという意味でも大変重要な大会であります。この大会を成功させるためには、関係者のみならず県全体が一致団結して盛り上げていかなければならないと思います。
開催4箇月前となり、経営主体の実行委員会としては、PR、広報等に努力されているものと思いますが、さらに効果を高めるためにも関係機関を挙げて協力していくことが必要であると感じています。
より多くの来場者を確保し、大会を成功させるため、県内外へのPRはどのように取り組み、進めておられるのか、お尋ねいたします。
◎上田農林部長 大会をPRするために、これまで県下13箇所でPR用看板を設置したり、バス、タクシーなどへのステッカーの貼付、各種イベントにおける広報活動のほか、福岡、熊本など県外での誘客キャラバンを行ってまいりました。
今後、さらに誘客促進を図りますために、県外においては、JR九州各駅及び旅行業者の店舗におきますポスターの掲示や、九州地区を中心とした誘客キャラバンや街頭PRの実施、全共PR「かさべこ隊」によります各種イベントでの広報活動、和牛の祭典を宝くじのデザインとするなどを計画いたしているところでございます。
また、県内ではテレビ、ラジオ、新聞や県市町の広報誌を活用しました情報発信を精力的に行いますとともに、学校への周知や、コンビニへのステッカーの貼付、各種イベントでの広報活動、長崎和牛肉のプレゼントキャンペーンなどにより県内外へのPRを強化してまいりたいと考えております。
あわせて、佐世保市におきましては福岡をターゲットとしたテレビCMの放映や、農業団体におきましても県内でのテレビ、ラジオを活用した広報が計画されているところでありまして、引き続き関係市・団体と連携しまして効果的なPRを行ってまいりたいと考えております。
◆溝口委員 今までにさまざまなPRをしてきたとは思うんですけれども、なかなかそのPRが、県内の方にも、また県外にもあまり行き渡っていないというのが現状ではないかと思っております。
先般、6月7日に佐世保市で大会がありましたけれども、その時に、市長から、やはり県外の市町に行き渡っていないということが判明いたしまして、もう少し県が力を入れてPRをしていただきたいと、そういうお願いがあっていたと思います。
一番びっくりしたのは、市長会の中で各市長に尋ねたら、「そういうイベントが今年あるんですか」と、そういう話になったということなんですよね。だから、このことについて、もう少し県としても、実行委員会がやっていることはわかるんですが、実行委員会以外にも、もう少し努力してPRに努めた方がいいと思うんです。その辺についてどのように考えているか、お尋ねいたします。
◎上田農林部長 PRにつきましては、関係の市町、農業団体、それと県庁も実行委員会だけではなくて、関係各部が入りましてプロジェクトチームをつくって、現在、具体的なPR戦略を始めようとしているところでございます。
特に市町におきましては、それぞれこの大会にあわせまして関連するイベント、あるいは特典を企画していただいております。こういったものを一体的に、PRを一緒になって進めていきたいと考えているところでございます。
◆溝口委員 わかりました。
市町がどれだけ今、動きが出ているのか、県の主導としてやっているのかどうかわからないんですけれども、私たちから見たら、佐世保市と島原市が一生懸命になっている感じで、一番大きい長崎市とかはあんまり動きが見えないんじゃないかと思っているんですよね。
県の方としても、実行委員会は動いているようですけれども、やはり大きな一大イベントでございますので、もう少し観光面からも動いていいんじゃないかという気がするんですけれども、観光の方としてはどのように考えているのか伺います。
◎坂越文化観光物産局長 近年、食は観光目的の大きな要素となっておりますので、県としては食と観光の推進に力を入れてきております。このため、全国和牛能力共進会の開催は、特に食を通じた観光誘客の絶好のチャンスと考えております。
したがいまして、大都市圏で実施します「食KING王国」の関連プロモーションが数々ありますので、これや観光情報説明会、百貨店等での長崎フェア、物産展、各種イベントの実施など、さまざまな場面をとらえまして、全共を契機とした誘客を図ってまいりました。今後とも一層、PR強化を図ってまいります。
さらに、「食KING王国」のキャンペーンにおきましても、各市町で地域フェスタとしまして、関連の長崎和牛のメニューを提供することとしております。長崎和牛を食することができる長崎和牛協力店制度も広くPRしまして、全共の開催を契機とした本県への誘客や県内周遊を図ってまいりたいと考えております。
◆溝口委員 わかりました。
ただ、出品関係者は2万人、これは恐らく農協関係とか、出品をする方々が2万人の動員があるという試算をしているんじゃないかと思うんです。一般宿泊客は3万人ということになっているんですけれども、このことについてやはり県として、もう少しPRをしていかないと集まってこないのではないかという危惧があるわけです。
だから、「食KING王国」のプロモーション等もあるんですけれども、やはりこの「全国和牛能力共進会長崎大会」に来ていただいて、この和牛を堪能していただくように、もう少し力を入れて、長崎大会があるんですよということを観光の面からもPRしていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
◎坂越文化観光物産局長 観光の方では、旅行会社への旅行商品造成のためのいろいろの説明会とか、プロモーションもありますので、そこでも積極的に全共を組み入れてもらえるよう今後とも努めてまいります。
また、一般観光客向けのプロモーションも福岡や首都圏、大都市圏でありますので、この際にも全共をさらに強力にPRしていきたいと考えております。
また、フェイスブックやツイッターなどを使った、さらにメディアも使ったPRもいろんなところでやっておりますので、その中でも全共を露出させて、さまざまな場面でPRに努めてまいりたいと考えております。
◆溝口委員 ただ、観光としても、今の予算の中でやっていく部分になってきますので、10月まであとわずかになってきたわけですね。その中で予算が足らないということであれば、9月の補正予算しかないわけです。イベントの実行委員会としては、当初予算の中で、丸投げではないですが、そこに預けていろんな広報活動も7月から特にやっていこうとしているんですけれども、やはり県外に対してのPRがあんまり多くないわけです。だから、観光として周遊できるようなことも、宿泊客が来てからするのではなく、その前にPRをして、全国和牛能力共進会に来た方にそういう観光ルートを示していただきたいと思うんですけれども、いかがでしょうか。
◎坂越文化観光物産局長 全共で来客された方に県内周遊してもらうための取組は、これは実行委員会と協力してやっておりまして、例えば、県内を周遊するためのモデルコースなども幾つか設定し、また、全共の開催地であります佐世保会場と島原会場を結ぶようなツアーも設定しまして、県内の周遊に努めるようにしております。
また、先ほども申し上げましたが、関連イベントも市町でさまざまな取組をしていただいておりまして、「食KING王国」と連動しました関連メニューの提供も、長崎市や平戸市、さまざまな各市町でやっておりますので、そういうものも積極的にPRしまして、県内を周遊してもらえるよう、あらかじめ事前から前広にPRしていきたいと考えております。
◆溝口委員 わかりました。
市町だけではなくて、やはり県全体としても九州各県の方々に、近くから来ていただかないと集客力がないんじゃないかと思いますので、知事、九州地方知事会の中では、どのような形でPRをしているのでしょうか。
◎中村知事 今回の全国和牛能力共進会は、5年に1度開催される和牛のオリンピックだということで、私、直接知事会議の席で協力の要請もいたしているところでございます。
まだまだ県外へ情報が十分に行き渡っていないのではないかということでもありますので、引き続き情報発信にしっかり取り組んでいきたいと思います。
◆溝口委員 ありがとうございました。
37万人の来場者を見込んでいるわけですから、これに少しでも届くというか、これを超えるように県庁全体でぜひ努力をしていただきたいと思っております。
また、宿泊客ですが、今度は5日間の滞在があるわけですから、宿泊客に対する観光地めぐりのPRについても少し力を入れてほしいと思っているんです。先ほど述べましたように、出品関係者や一般宿泊客5万人を見込んでおりますので、長崎県のホテルが満杯になってくるんじゃないかと思っているんです。だから、満杯になったところの平戸市、佐世保市、長崎市という形の中で、ぜひホテルに泊まるだけではなく、観光地めぐりをしていただけるような、そういうものをつくってこの長崎の魅力を感じていただき、また長崎に来てみたいと、また佐世保に来てみたいと思われるような、リピーターの増加につなげていただきたいと思っています。そういうことによって、開催効果も広く各地に波及するのではないかと思っております。
県として、市町や観光部門等と連携して、宿泊客に対する観光地めぐりのPRを行っていく必要があると思いますけれども、その見解について、お尋ねをしたいと思います。
◎上田農林部長 宿泊客に対する観光地めぐりということでございますけれども、先ほど文化観光物産局長からご答弁申し上げましたように、現在、県内6パターンで観光のモデルコースを設定いたしまして、県外の農業関係団体や旅行業者に情報提供をして、また、長期滞在をする出品関係者に対しましては、佐世保会場、島原会場を結びます日帰りオプショナルツアーを商品化して、既に今月から募集を行っているところでございます。
また、そういったお泊まりになられる方に対しましては、あらかじめ旅行代理店、あるいは旅行関係者などに、関連して各市町で行いますイベントなり特典、こういったものもあわせて情報を提供して、福岡の旅行代理店でも旅行商品化等の働きかけを現在行っているところでございます。引き続き積極的に、県外の旅行エージェントあたりに働きかけを努めてまいりたいと思っているところでございます。
◆溝口委員 わかりました。
旅行会社もですけれども、できればホテル関係の方々にも、宿泊客の人たちにこういうことを勧めてくださいとか、お互いに泊まった方々が気楽に周辺を周遊できるような、そういう観光地のポイントを言って観光につなげてほしいと、このように思っております。
また、宿泊客に対するサービスがなければなかなか宿泊までして残ろうという気にはならないのではないかと思います。今回、6月7日の大会に行きましたら、佐世保市では会場でいろんなイベント、お笑いイベントや音楽イベントなどを通じながら集客に努めていくという感じになっておりました。
各市でホテルに泊まった方々へのサービス等についてはどのような取組を考えているのか、お尋ねをいたします。
◎上田農林部長 できるだけ多くの方々が県内に宿泊していただけますように、大会前の10月23日から最終日の10月29日に、県内に宿泊していただきました来場者に対しまして、抽選で長崎和牛の肉をプレゼントするキャンペーンを実施することとしております。
加えて、キャンペーン参加の宿泊施設におきましては、宿泊された来場者に、和牛の祭典応援メニューを食事として楽しんでいただくことといたしております。
また、関係の市町におきましても、宿泊特典といたしまして、バスの乗車券の割引や地元の農水産物によります一品料理や記念品のプレゼントなど、それぞれ独自でのサービスの企画もなされているところでございます。
今後とも、県外へのキャラバンや旅行業者への説明会、あるいは働きかけの際に、このような特典の周知も図っていきたいと思っているところでございます。
◆溝口委員 今言われたように、せっかくいい特典を、いろいろとサービスを行うようになっていますので、そのことについて文化観光物産局としても県内外にPRをしていただけるように、よろしくお願い申し上げたいと思っております。
(2)県代表牛選考会及び100日前イベントについて。
7月7日に開催を予定されている県代表牛選考会と100日前イベントは、10月の本大会のPRという意味からも非常に重要ではないかと思っております。現在の県内の状況から考えて、このイベントを開催することにより、和牛の祭典を全県民に知らせていただき、開催への機運を一気に高める契機としていかなければならないと思っております。
現在、準備を進められていると思いますが、このイベントの開催場所、時間、参集範囲等について、どのようになっているのか、お尋ねいたします。
◎上田農林部長 7月7日の県代表牛の選考会及び100日前のイベントは、平戸市の平戸口中央家畜市場において開催をいたします。
当日は、午前8時から選考会を開始し、12時30分の終了を予定しており、参集範囲は、県内外の肉用牛生産農家をはじめ、県市町JA、畜産関係者、一般県民の皆様など約1,500名の参加者を見込んでいるところでございます。
あわせて当日、他のイベントの開催で多くの人が集まる佐世保市の島瀬公園と島原復興アリーナにおきまして、大会PRキャンペーンをあわせて実施することといたしております。
◆溝口委員 わかりました。内容等についても少し触れたと思うんですけれども、県代表選考会は、日本一を目指す種牛の部の県代表牛が決定する、和牛関係者にとって大変重要な大会となっております。
一方、100日前イベントとしては、関係者以外の一般県民に対してどのようにして10月の本大会をPRし、来場促進を訴えるかが重要であると思いますが、イベントの実施内容はどのようになっているのか、お尋ねいたします。
◎上田農林部長 まず、代表牛の選考会におきましては、県内各地で丹誠込めて育てられた優秀な地区代表牛77頭を一堂に集めまして、10月の本大会に出品する種牛の部の本県代表牛21頭を決定することといたしております。
あわせてイベントの中では、県内の小学生をはじめ県民の皆様から1,000点以上の応募がありました和牛の絵、写真コンテストの入賞作品の展示、当日選考された県代表牛によります勇壮な代表牛パレード、全共PR「かさべこ隊」によるよさこい演舞など、こういった催事を行いますとともに、本大会の魅力や見所などを紹介いたしまして大会機運を高める内容といたしております。
また、佐世保市の島瀬公園と島原市の島原復興アリーナにおきましては、県代表牛選考会の結果報告をはじめ、本大会の各会場の見所や各市町のおもてなしを紹介したパネル展示、大会マスコットかさべこ君によります広報活動、長崎和牛の試食会など、一般の県民の皆様を対象にして、大会の魅力につきまして広く発信をしていきたいと考えているところでございます。
◆溝口委員 せっかく100日前のイベントを大々的にしようとしておりますので、県内外にこのことについてもぜひ広くPRをしていただきたいと思っております。
終わります。
○高比良[末]委員長 山本委員。
◆山本委員 自由民主党の壱岐市選出、山本啓介でございます。
通告に従いまして、いただきましたお時間内で質疑をさせていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いいたします。
1、長崎県緊急雇用創出事業臨時特例基金事業について。
財政が厳しい時代ということで、昨年1年間もいろんな質問、また委員会等々でもそういった話が前提にありながらのやりとり等々をさせていただきました。
また、先ほど、松島委員からも、「あれもこれもではなく、あれかこれかの時代だ」という言葉もございましたし、日ごろより、少ない予算で効果的な成果を上げるというお話もございました。
今日、私がお尋ねいたしますのは、長崎県緊急雇用創出事業臨時特例基金事業についてでございます。少ない予算で効果的なものを、そして成果を出そうと。私は、ぜひ、一つの事業の中で得られる情報、成果物といったものをしっかりと吸い上げていただいて、そしてその中をしっかりと分析をして次に活かしていただく姿勢が必要じゃないかということ、そういう観点で今日の質問をさせていただきますので、どうぞよろしくお願いいたします。
(1)基金事業の成果について、お尋ねいたします。
平成21年度から始まりました本事業は、単年で、いわば次の仕事までのつなぎという形での利用が基本的な考えであったと認識をいたしております。しかしながら、時間が経つとともに、その使い勝手のよさや、地域における本事業の有効性など、内容の若干の見直しがなされ、重点分野雇用創出事業、地域人材育成事業といった要素も付け加えられました。そのことにより、本事業を利用する側にもさまざまな意識やアイデアが生まれ、多くの成果が得られていると見ているのです。ですが、まず、その基本的な内容についてのお話をいたしたいと思います。
そういった付け加えたものによって展開された平成21年度からのこの4年間、先ほども申し上げましたとおり、途中で内容の変更が行われておりますが、重点分野雇用創出事業、地域人材育成事業、そして震災等緊急雇用対応事業がございます。このたび私は、重点分野雇用創出事業、地域人材育成事業についてお尋ねをいたします。
全体の基金総額は143.2億円、雇用期間は1年以内、更新不可。対象分野は、国選定が介護・医療、農林、水産、環境・エネルギー、観光、教育・研究、地域社会雇用の7分野です。この時の地域社会雇用とは、地域再生、まちづくり、保育、人材、起業支援、雇用支援等の生活関連サービス分野を指します。
そして、県が選定いたしましたのが産業・雇用、文化・スポーツ、福祉・子育て、安全・安心の4分野です。そのほか、未就職卒業生を対象とする事業は、分野の指定はございません。そして、単純な清掃等々や単なる景観維持を目的とする事業は対象外となっています。
このように、そもそもの事業の原則は残しつつも、利用者の目線や地域のさまざまな都合に当てはめることができるように運用を変化させてきました。
景気が悪い、雇えない、だからこの事業を活用する。また、もともと人を雇うことが難しい、しかし、地域の活性化の核になる、だからこの事業を使うとか、地域に人を残したい、雇用の場が要る、何か使えるものはという観点からこの事業を使う。
さまざまな角度、さまざまな求めの中でこの事業が存在しているわけですが、国としてはやはりそもそものねらいはシンプルに、景気が悪いので、次の仕事が見つかるまでというところが基本路線だと思います。
過去の雇用創出関係の基金事業を調べていただきました。平成11年10月から平成14年3月末ということで、国は、緊急地域雇用特別交付金事業31億400万円を実施いたしました。しかしながら、その途中において、まだまだ景気がよくならない、完全失業率によい変化は見られないということで、国はさきの事業の期間終了を待たずに前倒しして、平成13年12月から平成17年3月末を実施期間として69億500万円の緊急地域雇用創出特別交付金事業を打ち出しました。
このことから言えば、現在も景気は悪いままなわけでございますので、この事業が本年度で終わってしまっていいのかどうかという考えが当然のこと、浮かんでくるわけです。
事業の成果としては、本県において、平成21年度から平成23年度までで延べ1万人の雇用を創出したと聞いていますが、この数字についての評価、そして認識、それ以外の本事業によってもたらされた効果や可能性などについて、そのご見解をお伺いしたいと思います。
◎山田産業労働部長 雇用創出につきましては、3年間で延べ1万396人となってございまして、国全体の目標数から算出しました本県の雇用創出見込み数8,600人を大きく上回っており、十分な成果があったものと認識をいたしております。
また、雇用創出以外の効果といたしましては、働きながら資格をとる介護雇用プログラム事業におきまして、3年間で627人の方々がホームヘルパー2級課程などの資格を取得されましたほか、鳥獣被害対策事業におきましては、狩猟免許を取得されるなど人材の育成に一定の効果があったものと認識しております。
また、観光分野におきましては、ホームページなどを活用した観光情報の発信、外国語対応の観光パンフレットの作成などのさまざまな事業を行っております。また、農林水産分野におきましても、耕作放棄地復旧事業で約60ヘクタールの耕作放棄地が解消されるなど、観光や農林水産業の振興にもつながっているものと考えております。
基金事業で得られました人材の今後の活用の可能性につきましてでございますが、それぞれの事業実施部局や市町におきまして、個別に地域ニーズや効果の把握を行っていただき、検討していただけるものと考えてございます。
◆山本委員 ありがとうございます。今、さまざまな効果というもの、そして今後の可能性についてもお述べいただきました。
先ほどの説明の中に、そもそもこの事業は、ふるさと雇用再生特別交付金とは異なりまして単年で行われました。次の仕事につなぐための間の1年間の事業というような意味合いが強かったんですけれども、途中から分野を指定して重点分野ということで、国、または県独自の分野を指定して取り組んでこられたわけで、その中で、今ご説明いただきましたように、経済効果はもとより、人材育成の部分においても地域、地域でそれぞれの効果があっているということでございました。
今のは部長の答弁でございますので県としての認識であるとは思うんですが、地域からいろんな声がひょっとしたら挙がってきているのかなという思いもあるんですけれども、この事業につきまして、振興局等々を通じてでも結構ですが、いろんな地域から情報等々がございましたら、ここでご説明をいただきたいと思います。
◎山田産業労働部長 この事業を実施いたしましたことで、各部局が持っております課題、例えば観光の振興をやらなければいけないとか、イノシシ対策などもこの事業で進めることができたとか、そういったさまざまな、この事業を評価していただけるような声が聞こえている状況にございます。
◆山本委員 ありがとうございます。
そういうことであれば、当然この事業のそもそものねらいとは別に、しっかりとしたそれ以外のいろんな成果、また可能性というものがもう既に確認できていると、地域の方々もこの事業についての評価は高いと、非常にありがたい事業であるという認識が地元の方も県民の方々も、または利用された方、そして県の方でもあるということを今おっしゃっていただいたという認識でよろしいですか、もう一度お願いします。
◎山田産業労働部長 本事業につきましては、地域の方々、市町の方々からも、各方面から評価をいただいているものと認識をいたしております。
◆山本委員 ありがとうございます。
(2)平成25年度の対応について。
今のところを確認いたしまして、次に移ります。少ない予算で大きな成果を上げるためには、ひょっとすると、ねらいとは異なる成果についての情報であっても、しっかりと吸収して、同時に多くの成果につなげる仕掛けをしていくということも大事ではないかと思っているわけですけれども、その時は当然行政の流れ、事業の流れ、そういったものの合理性といったものを十分に配慮しながらではあります。
そのような中、この事業を活用している状況の中で、最もよく聞く現象は、引き続き雇いたいが、雇えないという声です。
自身の働く環境を探していた人、適当な人材を捜していた組織、そして、お互いにうまくいき自分を生かせる生きがいを感じる職場に出会えた人、短い期間ではあるが、育成が果たされ、成長が見られ、組織のかけがえのない戦力になったと感じる組織。しかし、雇うだけの体力がない。非常に残念な現象でありますが、得られている成果は、先ほど部長がお話いただきました評価の部分と同じ内容でございます。
そういう残念な現象というのは、例えば広域性の高い地域の活性化の核となっている、またはそうなる可能性が期待できる。けれども、団体自体の収益は低く、つらい状態にあるというところですけれども、例えば観光振興団体、先ほどから部長からも幾度となく出ております観光分野でございます。
さきの離島・半島地域振興対策特別委員会であったと思いますが、松浦の方で展開をいたしております体験型学習の取組をしている団体、それから、総務委員会で視察をさせていただきました島原半島の観光振興団体、そして私の地元の方でもそうですけれども、そういったところが、この事業を活用いたしまして多くのスタッフを雇用いたしました。
平成23年度の広域性の高い団体等の委託状況を見ますと、24件中、実に21件が観光協会、物産振興協会等の観光振興団体であり、その新規雇用の人数は、全体113人に対して、101人がこの分野であります。その仕事内容も、イベントの戦力としてはもちろん、企画等の主たるスタッフとしての活躍ぶりも聞いております。
個別具体的な案件として、担当部局にお尋ねをいたしたいと思います。
観光振興団体の支援について、質問いたします。本事業における観光振興団体のかかわり、そして得られた成果、また、それらの団体から寄せられているお声があればお知らせください。
そのような実情を見る時、平成25年度はどのような対応をされるのか、具体的に何かないですかという声にお答えをいただけないでしょうか。その時、この課題は景気の影響と地元自治体が力を注ぐべきだというような意見、またはそのような団体がしっかり稼げる仕組みづくりをすべきだと、いろんな意見があるわけですけれども、それらを含めましてご回答をいただきたいと思います。
◎坂越文化観光物産局長 観光協会などの観光振興団体におきましては、緊急雇用事業を有効に活用しまして、体験型観光などの受入体制整備や観光情報の発信など、予算やマンパワーの問題から従来実施できなかった事業に積極的に取り組み、事業展開が進んだと聞いております。一方で、事業終了後の対応について不安があるという声も聞いております。
このため、県といたしましては、地域の観光まちづくり等の取組に対し支援を行います21世紀まちづくり推進総合補助金におきまして、事業の実施にかかる人件費につきましても支援対象とすることができるよう、今年度から既に制度の改正を行いました。
今後は、同補助金を効果的に活用しながら、地域の観光振興と観光振興団体の体制強化につながるよう積極的に支援してまいりたいと考えております。
◆山本委員 観光分野でも、この事業の活用によっていろんな人材が確保できたというようなお話の中で、今後は21世紀まちづくり推進総合補助金で人件費についても対応をしたいということでございました。
これが先ほどの私の質問に対する答えであるとは思うんですけれども、掘り下げてちょっと説明を伺いたいんですが、時間がございませんので、いま一度その部分だけ、これまではこうだったけれども、今後こういふうになりましたという感じで、人件費の部分だけ、もう一度お願いします。
◎坂越文化観光物産局長 平成23年度までは人件費を対象外にしておりましたので、地域の観光づくり、地域おこしのための補助金でありますけれど、人件費以外の事業費に対して2分の1とかの補助率で補助金を出していたと。
これが、当然そのような事業を行うためには、たくさんの事務局職員とか、携わる人が重要になるわけですが、その人たちの人件費も含めて申請して、対象事業費の2分の1とかに補助金を交付することができるようになるということですので、非常に高い効果が得られますし、緊急雇用事業後の受け皿としても大いに活用できるのではないかと考えております。
◆山本委員 人件費に充てられなかったものが充てられるようになったと。今回の緊急雇用の事業の受け皿にもなり得るということで答弁をいただきました。
ぜひともその活用につきましても、これまで緊急雇用でいろいろと可能性を見出してきた団体等々にも、21世紀まちづくり推進補助金につきましてもしっかりとPRをしていただいて、活用を促進していただきたいと思います。
次に、再び産業労働部長にお尋ねをいたしますが、個別の取組の事情や、また地域によっても景気の動向はわずかに違うようでありますが、当然全体的にはまだまだよくないわけであります。
基金事業は平成24年度まででありますが、この事業の今後に向けてのとらえ、そして、事業が目的ではなく雇用の創出が目的ですので、平成25年度の長崎県の雇用創出対策をどのようにお考えなのか、改めましてお伺いしたいと思います。この事業は、人と仕事をつなげるという事業ではございましたが、雇える仕事をつくるとか、働く場所をつくると、そういったことも含めまして回答をいただきたいと思います。
◎山田産業労働部長 緊急雇用創出事業臨時特例基金事業は、平成23年度までの3年間の事業として当初は開始をいたしました。
昨年の政府施策要望におきまして、実施期間の延長と基金の増額を本県から提案をいたしまして、その結果、事業実施期間を平成24年度までとする延長と増額が認められたところでございます。
平成25年度の雇用創出についてどうやっていくのかというお尋ねでございますけれども、本年度におきましても依然として雇用情勢が厳しい状況にございます。今週初めに行いました本年度の政府施策要望におきましても、昨年度と同様、延長と増額の提案を行ったところでございます。
現時点では、本年度において基金事業に残額が生じた場合に限り平成25年度途中まで事業実施ができることとなっておりまして、まずは国の基金事業に関する動向を、今後とも注視してまいりたいと考えているところでございます。
◆山本委員 ありがとうございます。国の動向をというようなご答弁であったと思います。
地域の実情に応じた経済雇用対策についての質問に移りながら、再度質問してまいりたいと思いますが、最後に総括的な質問をさせていただきます。
(3)地域の実情に応じた経済・雇用対策について。
国や県の多くの取組は、当然のことながら、誰かの苦しみやどこかの課題といったものをその始まりにしているわけですけれども、制度上、一つひとつの地域の実情といったものをきめ細かく丁寧に吸い上げての事業展開というのは難しい部分がございます。
しかし、我が長崎県は、離島・半島を多く含みます。言葉や文化、伝統すら大きく異なり、そして経済の流れや組織の成り立ちも大きく異なるわけであります。これまで多くの有効と思われる政策に基づく事業が展開されてまいりましたが、我が県の県外への人口流出に歯止めがかからない状況が続いています。特に離島・半島においては、この傾向が顕著であり、打開すべき重要な課題であると認識をいたしております。
そして、さきの一般質問において、知事の答弁にもございましたとおり、経済と雇用と人口減少は表裏一体であるということは身にしみて強く認識するところであり、同時に、ここを正面から打開していくことが、地域の抱える多くの課題の解決の糸口であると考えます。
そのような中、なかなか果たせない雇用創出という取組について、これまでのこともありますが、あえて申し上げれば、より丁寧に、よりきめ細かく目を向けていく必要があると考えますが、いかがでしょうか。
全国一律で進める物事が、そこそこの事情や都合でその効果にほころびがあるように、長崎県においても、当然これだけの多種多様な地理的条件や歴史がありますので、地域の実情に応じた経済・雇用対策が必要であると考えます。各地域の実情、特性に向き合ったきめ細かな対応ということも踏まえて、その認識と具体的な取組をお示しください。
時間がございません。あわせまして、いろんな政策を打ち込んできているわけですけれども、得られた成果を次に活かして、その効果についてしっかり検討すると。そのためには、しっかりとした情報収集と分析、大きく異なるそれぞれの地域のしっかりとした把握が必要ですけれども、情報収集の状況をどのように分析をされているのか、雇用についての部分で、離島地域を中心にお答えをいただきたいと思います。
◎山田産業労働部長 まずは各地域の実情、特性に向き合ったきめ細かな対応ということでございます。
各地域の実情によりまして、経済・雇用情勢はさまざまでございます。それに応じた対策をしっかりと講じることが大切というふうに基本的に認識をいたしております。
このため離島地域におきましては、地理的距離や交通事情に左右されにくく、流通コストが比較的かからないコールセンターとか、ソフトウエアの開発、精密部品関連などの企業の誘致に努めているところでございます。
また、地域に根ざした地場産業の維持、確保を図る観点から、企業現場への専門家の派遣など、出前方式によります技術指導などにも新たに今年度から取り組むこととしております。
さらに、雇用機会が少ない離島・半島地域における雇用対策といたしましては、再就職支援センターの巡回相談などを実施しているところでございますけれども、今年2月からは、同地域の中でもハローワーク所在地から離れた平戸市、新上五島町、上対馬地区でハローワーク職員も一緒に巡回を行いまして、相談から職業紹介までをワンストップで行う体制をとるなど、地域の実情に応じたきめ細かな対応に努めているところでございます。
次に、離島地域における雇用情勢をどう分析しているかということでございますけれども、求人・求職情報を有しておりますハローワークや労働局を通じて県としても情報収集を行っておりまして、その情報をもとに各地域の雇用情勢の的確な把握に努めているところでございます。
雇用情勢が特に厳しい離島地域の職種別の求人・求職状況を分析いたしますと、例えば、公共工事の減少によりまして、土木や自動車運転の職種などで求人が非常に少ないという状況になっております。また、看護師などの資格が必要な職種では、比較的求人はございますものの、希望する求職者が少ないというような求人と求職のアンバランスな状況が見られているところでございます。
◆山本委員 最後の質問にいたしたいと思いますが、人口の流出に歯止めがかからない。一言で言えば、長崎県全体の問題なんですけれども、その成り立ちは、やはり地域、地域で恐らく違うということだと思います。課題は同じ言葉でまとめられましても、その成り立ちは大きく違う。だからこそ、一つひとつの問題に、地域、地域の問題、課題に目を向けていくことが必要であるということを今日、お話をさせていただきました。
そして事業で、少ない投資で大きな効果をというような話からいけば、今回のこの雇用の事業につきましては、国のものではありますが、確実に成果が得られ、そして次につながる可能性も見出せたということが、今日、認識として共有できたと私は思うんです。
だからこそ、これがもし、国への要望がかなわなければ、それにふさわしい同じようなもの、そこから突破口を開いていく、その糸口が見えるまではそのことを続けていく、そういったことも私は必要だと思うんですが、あと1分ございますので、部長もう一度、これらの国に対する思いだけではなくて、県独自の思いをお答えいただいて終わりたいと思いますので、お願いします。
◎山田産業労働部長 国だけではなくてということでございますけれども、先ほども申しましたように多額の予算が必要でございますので、まずは国の動向をしっかりと注視していきたい、強く要請活動も行っていきたいと考えてございます。
その次の手でございますけれども、雇用の情勢に応じまして、私ども産業労働部が中心となって、雇用を手当てしていくような対策についてもしっかりと向き合っていきたいというように考えてございます。
○高比良[末]委員長 坂本委員。
◆坂本委員 自由民主党の坂本智徳でございます。
水産業の振興について、1点に絞り質問をさせていただきます。短い時間ではございますが、水産部長、しばらくお付き合いをいただきたいと思います。
1、水産業の振興について。
(1)「長崎県漁港漁場整備長期計画2012」について。
私が初めてこの議場で一般質問をさせていただいたのが、平成11年、1999年でございました。その初めての質問の時に、いわゆる水産4,000億円構想というものを取り上げさせていただきました。言うまでもなく、沖合、沿岸、あるいは養殖、加工、それぞれを1,000億円ずつにするんだということだったかと思います。高田知事の時代に策定された、平成5年のたしか秋ぐらいに制定されたとお伺いいたしております。
ところが、私が初めて一般質問をさせていただいた平成11年というのは、非常に量も金額も下がっていたわけでありまして、いつまでも水産4,000億円構想ということで漁民を、言葉は悪いかもしれませんが、惑わすわけにはいかんじゃないかというようなことで、現状に合ったちゃんとした施策を打ち出すべきではないかという質問をさせていただいた記憶がございます。
改めてここで、数字でもって現状を確認したいと思います。
私が一般質問を初めてさせていただいた平成11年でありますが、生産量が37万8,000トンでございました。ピークは、昭和54年の99万トンでございました。一昨年、平成22年度は、ピーク時の27.7%まで減っておりまして、27万4,000トンでございます。
生産高で見てみますと、ピーク時が昭和59年、2,250億円の水揚げがあっております。初めて一般質問をさせていただいた、水産4,000億円構想について触れさせていただいた時が、平成11年で1,376億円、一昨年、平成22年度が900億円というように、量も額もどんどん、どんどん下がってきているような状況であるわけであります。
水産県長崎と言われて久しいわけでありますが、漁港漁場整備計画、その前に、こういう状況もあって長崎県水産振興基本計画というものができたと考えております。それを補完する、あるいは補足する意味でこの漁港漁場整備長期計画というものができたのではないかというふうに思っているところであります。この漁港・漁場整備につきましては、漁船が減少する中で大規模な漁港の拡張もなくなり、予算も平成10年度をピークとして減少の傾向にあるというふうに伺っております。
一方、水産資源の維持、回復のための漁場整備、あるいは、高齢者や女性も安全で快適に暮らせる漁村づくりのための防災施設や集落排水等の生活環境改善施設の整備、あるいは浮き桟橋、防風ネット、防潮施設等の就労環境整備など依然として対策を必要としている課題は山積をいたしているわけであります。加えまして、東日本大震災を教訓にして、大規模地震に備えた強い漁港整備や漁港施設の長寿命化を図り、安全な漁港、漁村をつくることは喫緊の課題であるというふうに認識をいたしております。
このような中で、本年3月には、先ほど申し上げました「長崎県漁港漁場整備長期計画2012」が公表されたところでありますが、この長期計画について、まずはお尋ねをいたします。
これ以前に、長期計画が5年間、平成19年から平成23年、今年の3月までの計画があったと伺っておりまして、一応資料もいただいてはおりますが、この前計画をどのように総括をしておられるのか、まずこの点からお尋ねをさせていただきたいと思います。
◎荒川水産部長 平成23年度までの前計画では、長崎県周辺水域における水産資源の生産力の向上、地域間競争力の強化と力強い産地づくりの推進、水産物の安定的な提供等を支える安全で安心な漁村の形成を重点課題に掲げさせていただきまして、水産基盤の整備に取り組ませていただきました。
漁場整備では、本県周辺海域において水産資源の生産力向上を図るため、魚礁、漁場、増殖場、人工海底山脈などおおむね1万ヘクタールの目標に対しまして、約1万1,000ヘクタールを整備させていただきました。
漁港整備では、安全で快適な生活・就労環境を整え、都市との生活格差をなくし、魅力ある漁村づくりを進めるため、目標としておりました80漁港すべてにおいて防波堤や護岸の整備、集落環境の整備、浮き桟橋や防風フェンス等の整備に努めてまいりました。
また、広域的な利用がなされる拠点漁港での耐震性や台風避難機能を8漁港で確保する目標に対しましては、7漁港を整備し、1漁港が整備中という状況であります。
しかしながら、海面漁業、養殖業の生産量につきましては、先ほど、委員の方からのご指摘もございましたけれども、36万トンを目標としておりましたが、水産資源の悪化等により、約29万トンと目標達成には至りませんでした。
以上でございます。
◆坂本委員 前計画の内容を精査いたしますと、今、水産部長からもお話がありましたように、なかなか目標達成が厳しかったのではないかと思います。そういうことで、あのような先ほど述べさせていただいた数字なのかなと思うんですが、これをやらなかったら、もしやっていなければどうなっていたかということを考えると、恐ろしい気がいたすわけでありまして、私は、今度のこの「長崎県漁港漁場整備長期計画2012」を積極的に推進すべきだという立場から質問をさせていただいておるわけでありまして、ぜひ、積極的にやっていただきたいと思うわけであります。
先ほど、養殖、あるいは海面漁業の生産量、平成23年に36万トンという目標、それが実際には29万トンだったという回答もございました。最近の水揚げの減少には、私も大きな危機感を抱いております。また、高齢化が進む中で、漁港の就労環境、あるいは漁村の生活環境の改善や防災対策等、漁港・漁場整備につきましては、まだまだ多くの課題があると認識をいたしております。
ところが、また数字で申しわけないですが、平成10年度がピークで、漁港の県営、あるいは市町営を合計しますと427億円の公共事業費がついていたわけでありますが、平成23年度は98億円まで下がっているんですね。おおよそ、漁港の整備というのは終わりに近づいてきたのかとは思います。先ほども言いますように、今後はもっともっと震災に対応できるような強固な港に特化して整備をしていく、あるいは補強等々、維持等々に今からまだ若干予算がかかるのかとは思いますが、私は、その漁港整備に費やしていた予算を漁場整備にもっていくべきだと常々言っているわけでありまして、そういう意味からすると、漁場の予算はあんまり減っていないという状況であります。漁港の予算が、ピーク時から23%まで落ちているんですが、漁場の予算は73%程度で推移をしているという状況であります。ここら辺も今からまた、ぜひ力を入れて整備を行っていただきたいと思うわけであります。
先ほど基本的な考え方をお聞きいたしましたけれども、これからの新しい「長崎県漁港漁場整備長期計画2012」でありますけれども、どのような目標を立てられ、そしてどのくらいの予算をかけて、どのような成果を出そうとしておられるのか、端的にひとつお示しをいただきたいと思います。
◎荒川水産部長 水産業を取り巻く環境は、今ご指摘いただきましたように、水産資源の悪化とか、後継者不足や高齢化、魚価安など、まだまだ厳しい状況がございまして、これまでも水産基盤の整備を進めてまいりましたが、いまだ整備の途上にあると認識しているところでございます。
そこで、今回の新しい「長崎県漁港漁場整備長期計画2012」におきましては、将来にわたり輝き続ける水産県長崎をつくるため、「水産資源の維持・回復」、「持続的な漁場生産力の確保」、「災害に強い漁港・漁村の形成」に「水産物の品質・鮮度保持と安全性確保」を加えた4つの重点課題を定めまして、事業を展開してまいります。
漁場整備におきましては、本県海域の特性を活かした漁場の生産力向上のための漁場づくりを進めてまいります。
漁港整備につきましては、漁業生産活動の寄りどころとなる漁港・漁村の活性化と収益性や安全性の向上をさらに図るための漁港づくりを進めてまいります。これらにより、多様な水産物や水産加工品を安定的に供給できる力強く豊かな水産業を育てることを目標としております。
それと、漁港から漁場へという流れにつきましては、ご指摘のとおり漁場整備について力を注いでまいりたいと思います。
また、次期の計画でございますけれども、まだおおまかな計算しかしておりませんけれども、700億円とか800億円とか、これぐらいが目標達成には必要なものと考えているところでございます。
◆坂本委員 水産部長からもお話がありました。ぜひ、沖に行っても魚がとれないというような状況がかなり広範囲にわたって続いているのではないかなと思います。
私どもの対馬、壱岐もそうですが、イカが主流なんですけれども、なかなか以前のような量がない。加えて燃油高。実入りが少ない。だから沖にも出ないというような状況が続いております。ですから、イカに限らず魚を増やす手だて、あるいは海藻を増やす手だて、魚介類、サザエやアワビを増やす手だてを、ぜひ積極的に講じていただきたいと思います。
(2)韓国の水産物の輸入規制強化の対応について。
昨年の福島原発事故の影響によって中国向けの鮮魚輸出が停止し、県では、放射能検査体制を迅速に構築された結果、全国に先駆けて輸出再開を果たされたことは、一定評価するものであります。
ところが、韓国への水産物輸出に関して、去る6月1日から、新たに放射能検査が必要となり、私の地元の対馬でも、韓国へは多くのヌタウナギを活魚として大量に輸出をいたしておりました。大変な危機感を持っているところであります。これから、養殖マグロやヒオウギ貝を韓国にどんどん、どんどん輸出しようと考えていた矢先にこういうことが起きまして、大変なショックを受けているところでございます。このような対馬の新たな取組についても影響があり、非常に心配をしております。
規制強化開始直前の5月になって、水産庁の通達がなされたことから、県の今年度当初予算には今回の韓国放射能検査関連のものは盛り込まれておらず、しっかりとした放射能の検査体制が整備できているのか、さらには、これらを維持していくことができるのかどうか、そこら辺をまずお尋ねをさせていただきます。
◎荒川水産部長 福島第一原子力発電所事故に関連した各国等の規制措置に対応するため、県では、直ちに証明書の発行体制を構築するとともに、平成23年度の6月補正予算で新たな放射能検査機器を追加して設置するなど輸出環境の整備に取り組んでまいったところでございます。
韓国向け輸出水産物につきましては、去る6月1日から規制が強化され、これまでの産地証明書に加えて放射性物質検査証明書の添付が必要となりました。
その対応として、中国向け鮮魚輸出と同様、総合水産試験場が検査の前処理を行い、環境保健研究センターによる放射能検査を実施した上で証明書の発行を行っているところでございます。
県といたしましては、輸出手続に支障が生じないよう、今後とも証明書の発給体制の維持に努めてまいりたいと考えております。
◆坂本委員 何が問題かといいますと、やはり放射能検査を受けるために部位を総合水産試験場に送る。1週間ぐらいかかるんですね。今から夏場に向かって水温が上がってくる。その1週間待たなきゃならないという、非常に物理的に厳しい状況にあるわけでございまして、1日も早くその検査がスムーズにできて、結果がすぐ伝えられるような体制構築に努めていただきたいと思うわけであります。
あるいはまた、韓国の漁船も対馬の沖で、並んで操業しているんですね。自分のところはいいのかと言いたくなるんですよ。そんなに厳しい規制を設けて、あなたの国はどうなんですかということを言いたいんですが、県として申し入れるわけにはいきませんでしょうから、国に対して強く申し入れをして、規制を緩和していただくように、ぜひ頑張っていただきたいと思います。
(3)漁船の海難事故防止について。
安全操業時に必要不可欠な漁業無線組合等の組織強化について、お尋ねをいたします。
毎年、残念ながら海難事故が発生をいたしておりまして、尊い命が数多く失われている状況であります。
安全操業対策の一つとして、今年度はライフジャケットの着用推進事業というものに五百数十万円の予算化がされておりましたけれども、私は、これははなはだ疑問であります。あるいは、数字がございました。水産庁が長崎県の70の漁協の着用率の調査をしたみたいです。組合員数を勘案した平均で48%の方がライフジャケットを着けていたと。冬に沖で、寒い中でこんなに着て操業をしている人が、さらにライフジャケットを、温かいから着けるでしょうが、夏場は大変厳しいんじゃないかという気がいたしております。この数字も果たして、いかがなものかなという気がいたしております。
私の対馬ばかり申し上げて大変申しわけないのでありますが、最近も沖で火災事故がございました。何とか地元の漁港までたどり着いたんですが、そういった時に無線組合に所属をしておる船は、無線組合にそのまま通報して、そして、もよりの船がすぐに救助に向かうというようなことで対応ができるわけであります。長崎に無線協会というのがあり、対馬には無線組合というのがあります。単協がそれぞれ出資をしたり、あるいはそれぞれの組合員たちが出資金を出して維持をしているわけでございますが、だんだん組合員数が減ってきて、その無線組合、あるいは無線協会を維持することが困難な状況になっております。何とか助成ができないのかということで、何年も前からずっとお話をいただいておったわけでありますが、なかなかそれが難しい状況であります。国に働きかけていく必要があると思うんですが、部長、いかがですか。
◎荒川水産部長 ライフジャケットの着用というのも非常に重要だと考えているところでございますが、漁業無線につきましても、漁船の航行並びに操業の安全の確保はもとより、災害発生時等の緊急時の漁船への連絡に非常に有効な通信手段であります。
しかしながら、漁船には無線局への加入義務がないため、携帯電話の普及等により無線局への加入船舶が全国的に減少しておりまして、もし、このことによりまして無線事業の運営が困難となった団体がこの業務を廃止するというような事態になりましたならば、その無線局のエリアで操業するすべての漁業者の安全が確保できなくなるおそれがあると考えております。
そこで、今回の政府施策要望におきまして、漁船の無線局への加入義務化並びに漁業無線設置への支援措置を講じるということを要望してまいりました。加えて、離島周辺海域で操業する漁船は、国境監視の役割も担っておりますので、特に離島の無線局に対しましては特段の支援措置を講じるよう要望をしてまいったところでございます。これらの実現を図るため、今後とも国に対し粘り強く要望してまいりたいと考えているところでございます。
◆坂本委員 過去5年間で相当な数、18名、20名という方々が毎年、海で亡くなっておられる、痛ましい事故が発生しておりますので、ぜひひとつ強く働きかけをしていただきたいと思います。
最後に、時間がなくなりましたけれども、水産県長崎の知事として、水産業振興に対する思いというものを最後にお聞かせいただきまして、質問を終わらせていただきます。
◎中村知事 水産業というのは、本県の基幹産業の一つであります。その基幹産業である水産業が、近年、漁業資源の減少、あるいは燃油の高騰、魚価の低迷などにより、大変苦戦を強いられている状況であります。
ただ、この基幹産業、特に離島にとってなくてはならない雇用の場、生活の場になりますので、何としても、将来にしっかりと生き残って維持できるように、全力で取り組んでいかなければいけないと考えております。それぞれの地域の皆様、漁業協同組合の皆様、力を合わせて全力で頑張っていきたいと考えております。
◆坂本委員 ありがとうございました。
○高比良[末]委員長 金澤委員。
◆金澤委員 自由民主党、雲仙市選出の金澤秀三郎と申します。質疑を続行させていただきます。
先日、6月15日の本会議におきまして、橋村議員から、「地方財政にとって、地方交付税制度の堅持と充実が最も大切なことである」というお話がございました。全く同じ思いを抱く者でありますが、その一方で、現実の問題として、いわゆる一括交付金制度が国にとってのみ都合のよいような制度に思えてなりません。公共事業の確保等々にとって、非常に大きな影響を与えておる交付金でございますので、まず冒頭にこのことを取り上げさせていただきました。
1、地域自主戦略交付金について。
(1)今年度の配分状況について。
民主党政権が政策として掲げられた地域主権改革の一つとして、平成23年度から地域自主戦略交付金、いわゆる一括交付金が創設され、5,120億円の国の予算が計上されました。これは地方が主体的に行う投資的事業等に対する国の補助金について、地方の自由度を高めることを目的とするもので、これによって従来できなかった省庁を超えた補助金の融通が地方の裁量で可能となり、より地方のニーズに応じた効果的な事業執行につながるとうたわれているものであります。
しかしながら、県にお尋ねしますと、平成23年度における国からの交付金の配分額は本県要望額の約8割程度にとどまったほか、対象事業についても投資事業の中の一部とのことであり、私はこれでは到底地方の自由度が高まったと言えないのではないかと思います。
そこで、このような昨年度の状況を踏まえ、まず今年度の交付金の配分状況についてお伺いします。
◎池松総務部長 地域自主戦略交付金ですが、主に公共事業等の投資的事業を中心として、その一部が交付金化されておりまして、本年度はその範囲が拡大されました。本年度の本県への配分額でございますが、対象事業の拡大に伴いまして、対前年度比で約16億円、率にして約14%増の約129億円となっております。
しかしながら、本年度の当初予算計上額に対しましては、約7割程度の配分にとどまっておりまして、昨年と同様、事業進捗の遅れ等が懸念される厳しい状況と考えております。
◆金澤委員 (2)交付金の配分方法について。
今の総務部長のご答弁よりますと、今年度も予算額に対して配分額は約7割程度にとどまっているとのことであり、依然として厳しい状況であることを再認識しました。
そもそも国においては、どのような考え方、ルールで配分額が決められているのか、お伺いします。
◎池松総務部長 交付金の配分のルールでございますけれども、まず、継続事業に基づく配分と、それから客観的指標に基づく配分という2種類のものがございまして、継続事業に基づく配分は、それぞれの県の当該年度の事業見込額というのを国に出しまして、それを一律の算式でいわゆる減額をして算定をするものでございます。交付金全体の約8割がこの考え方によって配分されております。
残る2割につきましては、地域の実情や特殊性に配慮する観点から、客観的な指標に基づきまして配分されておりまして、この客観的指標には財政力指数という本県のように自主財源に乏しい団体にも一定配慮された指標もあるわけでございますが、それ以上に社会資本の現況を示す道路延長や耕地面積、いわゆる整備済みの指標などを使われているという問題もございます。そういった意味で本県のように社会資本の整備が不十分な状況につきましては、その社会資本整備の進捗率等を考慮してもらうなどの指標に改善していただきたいと考えているところでございます。
◆金澤委員 (3)制度の見直しについて。
今、ご説明いただいた限り、現行の一括交付金については、予算額や対象事業の範囲、配分方法について、大きな問題があると思いますが、県としてどのように受け止めておられるのか、何らかの見直しを国に対して強く求めておられるのか、県のご見解をお伺いします。
◎池松総務部長 交付金の創設に伴いまして、委員のご指摘にもございましたが、これまで各省庁に計上されておりました予算が内閣府に一括計上をされることになりました。そういった意味では、その範囲内におきましては従前よりも省庁の垣根を越えて、地方が自由に事業を選択できまして、自主性を発揮して事業を進捗できるようになったと考えておりますが、一方、交付金の対象が依然として投資的経費、投資的事業の一部にとどまっておりまして、そもそも必要な事業費の総額そのものが、先ほど申し上げたとおり確保されていないという現状でございますので、真に地方の裁量によって自由に事業を選択するまでには至っていないと認識をしております。
先日の政府施策要望におきましても、要望を行ってまいりましたけれども、今後も国に対して事業の円滑な実施に必要な事業費総額の確保をはじめ社会資本の整備がいまだ不十分な本県の実情や、離島・半島等を抱える特殊性にも一層配慮した交付金の配分ができないかということを引き続き強く訴えてまいりたいと考えております。
◆金澤委員 次の質疑に移ります。
2、3、4の3つの質疑は、地域、私の地元において非常に前向きに取り組んでいただきたいという地域の方の声を大きく聞いている事業について、今の事業の効果の検証と今後の取組をお尋ねしている質疑です。時間の関係上、(1)(2)と分けている部分も一括して質疑をさせていただきますので、どうか手短にご答弁をお願い申し上げます。
2、地域労力支援システム構築推進事業について。
(1)ながさき農援隊設置事業の検証について
まず、ながさき農援隊設置事業を実施した結果、地域で農繁期の労働力確保、規模拡大や高齢農家の営農継続に効果が高かったと聞いておりますが、基金事業の目的等を踏まえ、農援隊事業の成果が具体的にどうであったか、また、その成果を踏まえ、平成24年度からの事業にどのようにつなげたのかをお伺いします。
(2)地域労力支援システム構築推進事業の実施状況並びに今後の展望について。
続いて、平成24年度から実施している地域労力支援システム構築推進事業の実施状況並びに今後の展望についてお伺いします。
◎上田農林部長 農援隊の事業の成果としましては、平成21年度から3年間で実雇用370名の中から自営就農や農業法人就業など、86名の新規就農者を創出しております。さらには、農協が59名を継続雇用するなど、約4割の方々が農業分野への就業につながっております。
さらには、労力支援を行いますことによって、利用農家の規模拡大や産地の拡大、品質向上などへの効果もありまして、地域からは継続的な取組への要望があっているところでございます。
このようなことを踏まえまして、新たな労力支援対策を検討するに当たりましては、無償支援で労力を提供することは継続性の面から非常に困難であることから、有償による地域内の労力支援システムを構築することとし、労力調整を行いますオペレーターへの支援などを盛り込んだ地域労力支援システム構築推進事業を立ち上げて取り組んでいるところでございます。
現在、この4月に4農協がシステムを構築し、既に取組はスタートしております。このほか3農協で9月のスタートを目指して調整が進められております。
労力支援システムの今後の展望でございますけれども、まずは安定化を目指す必要があろうと考えております。安定化を目指すためには、労力を必要とする農家の所得向上と作業支援者の周年雇用につながります作業量の確保が必要だと考えております。そのため、今後は農家や産地の規模拡大と新規品目の導入や最適な品目組み合わせなどを進めて、将来にわたって継続性のあるシステムの確立を目指したいと考えております。
◆金澤委員 3、外国人観光客受入施設グレードアップ事業について。
(1)平成23年度の実施結果について。
県では、今後増加が見込まれる外国人観光客の受入体制を整備するため、昨年度から新たに宿泊施設の整備に対し支援する外国人観光客受入施設グレードアップ事業を設け、旅館やホテルなどの外国語表示やトイレの整備などを支援しています。
そこで、平成23年度にこの事業を使ってどのぐらいの市町、宿泊施設が外国人対応の施設の整備を行ったのかをお伺いします。
(2)平成24年度の実施見込み並びに今後の展開について。
引き続いて、今年度の実施見込み、並びに県としてこの事業の成果や効果について、どのように考えているのか。また、整備状況は十分と考えているのか。加えて、今後この事業について、どのように展開していこうと考えておられるのか、お伺いします。
◎坂越文化観光物産局長 外国人観光客受入施設グレードアップ推進事業につきまして、平成23年度におきましては、長崎市が5施設、佐世保市が8施設、島原市が3施設、平戸市が7施設、対馬市が12施設の5市合計で35の宿泊施設、総額7,538万8,000円の施設整備に対し、2,298万5,000円の支援を行いました。
整備の内訳につきましては、外国語表示が34施設、外国語放送設備が6施設、インターネット環境整備が25施設、トイレ整備が28施設で実施されております。
平成24年度につきましては、現在、募集を行っているところでございますが、これまでのところ、壱岐市、五島市、雲仙市の3市より32の宿泊施設の整備について応募がある見込みと伺っております。
本事業の実施につきましては、当初想定を上回るペースで県内各地から応募が寄せられているほか、各地域で外国人観光客受け入れのための協議会等が設置されまして、地域内で外国人受け入れの機運の醸成が図られるなど、高い事業効果があったものと考えております。
増加が見込まれます外国人観光客の受け入れに対応していくため、引き続き市町や宿泊施設の事業実施要望を把握しながら、受け入れ体制の整備促進に努めてまいりたいと考えております。
◆金澤委員 4、農商工連携について。
(1)農商工連携による県産農産物の利用促進について。
一例として、食品製造メーカー等の加工食品において、県産の農産物が活用されることになれば、商品の付加価値が向上するだけでなく、県産農産物の知名度も向上し、農産物そのものの販路拡大にもつながっていくことになります。
既に県内においても、そのような取組が見られているところですが、県産農産物の活用を促進していくためには、このような取組をより一層加速させていく必要があると考えています。県としてもこのような取組を推進するため、今年度から新たな制度を創設されたとお聞きしているところですが、具体的な取組状況について、お伺いします。
◎山田産業労働部長 食品製造業における県内農産品の利用促進と商品の付加価値向上を図るために、今年度創設しました食品製造業経営基盤強化支援事業におきまして、原材料の県内産への変更など、新たな商品開発を支援することといたしております。
県としましては、商品販売力や知名度のある県内の食品製造企業に県産材料の利用をさらに拡大していただきたいと考えておりまして、40社程度の企業をリストアップいたしまして、農林部とともに企業を訪問いたしております。
訪問した上で支援制度の紹介や県内農産品活用の提案を行っているところでございます。
現在、具体的に商品展開を検討されている企業もございまして、実現に向けて工業技術センターなどの試験研究機関による開発支援や産地情報の提供を行いますとともに、引き続き企業訪問を重ね、県内農産品の利用拡大を図ってまいりたいと考えております。
◆金澤委員 5、長崎〜上海航路について。
(1)日中間のゲートウェイになることの意義について。
長崎〜上海航路について一つお伺いをしたいと思います。
6月15日に開催された本会議において、渡辺敏勝議員から、「県の予算を約7億5,000万円ぐらい投じた上海航路はぜひ成功させなければいけない」という発言がありました。
また、6月18日に開催された本会議において、浅田眞澄美議員から、「議会の中でも本当にこのまま推し進めていいのだろうかというような疑問が常に出ている」という発言もございました。
また、中村知事からは、「その責任は当然ながら私が担うべき立場にあるものと考えている」という発言もございました。
そういった発言を背景に、私が一つ懸念をしているのは、今、現実に日中間の船舶による人の移動はどういうふうになっているのかということを一度調査していただきました。
上海〜大阪・神戸間、上海〜大阪間を2社とも中国国営海運会社との合弁の企業が運航をし、売上割合の9割は貨物です。旅客は中国人研修生、日本国籍を有する在日中国人がほとんどであり、フェリーの定時制確保と上海中心地に接岸できるために旅客を取り扱っているという状況にあります。
このような現実の中で、長崎〜上海航路の成功、失敗の境目はどこなのかという論点を乗船客数に求めることには非常に違和感があり、無理があると感じています。日中間の玄関口、ゲートウェイになることと、県が中国人観光客ツアーの目的地になることを混在した議論になっているのではないかと思います。日中間のゲートウェイになることの意義、どうなれば長崎〜上海航路が成功したと言えるのか、見解をお伺いしたいと思います。
できれば文化観光物産局長に約1分ちょっと残していただいて、知事の見解もあわせてお示しください。よろしくお願いします。
◎坂越文化観光物産局長 航空機にはない大量輸送というメリットを最大限に活かしまして、上海航路が日中間の主要なアクセスの一つとなり、長崎を玄関口として中国と日本を結ぶ双方向の大きな人の流れを生み出すことができれば、新たなビジネスチャンスや消費が生まれ、経済活性化につながると考えております。このことが本県が日中間のゲートウェイになることの意義だと考えております。
その上で、さらにソフト面、ハード面で都市の魅力づくりを進めることで、この大きな人の流れを宿泊などの県内消費に結び付け、より大きな経済的実利をもたらすことが本県にとっての成功になるものと考えております。
これらのことは一朝一夕に実現できることではありませんけれども、しっかりと腰を据えて取り組んでまいりたいと考えております。
◎中村知事 長崎〜上海航路に対する当初の思いといいますのは、これはやはり観光客の誘致でありますとか、そういったことも一つの間接効果として期待できると思ったんですが、やはり最大のメリットは、これまでの長崎が築いてきた地理的な優位性、歴史的なつながり、これをいかに活かして、県民の皆さん方が次のビジネスにどうつなげていただけるのか、そのための足を確保する、交流基盤を確保するという意味が最大の意味じゃなかろうかと思っております。
したがいまして、確かに観光客に多数利用していただいて、おいでいただくということも大切なんですが、そうした交流基盤を活用して民間の企業の方々、あるいは県民の皆さん方が新しいビジネスの場として中国、あるいはアジア地域を目指して取り組んでいただきたいと、そういう思いでいるわけであります。
◆金澤委員 先日、日本経済新聞の記事に、「上海航路が採算重視にかじを切った。規模追求を捨てて存続を優先している」という記事がありました。長崎県にとって、決して違った方向性ではないと思うので、ぜひ共同歩調をとって成功に導かれるよう祈念します。
以上です。
○高比良[末]委員長 しばらく休憩します。
委員会は、15時5分から再開いたします。
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−午後2時56分 休憩−
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−午後3時6分 再開−
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○高比良[末]委員長 委員会を再開いたします。
続いて、公明党の質疑を行います。
なお、質疑時間は、答弁を含め25分であります。
○高比良[末]委員長 織田委員。
◆織田委員 公明党の織田 長です。知事、25分間おつき合いをよろしくお願いします。
1、東日本大震災−長崎県の対口支援について。
(1)今後の支援についての検討・課題・促進について。
今年の3月10日に、実は福島に入ることになりまして、雪のまだ残っていた時だったのですが、福島に入りまして、佐藤知事のお話を聞くことができました。その話をお聞きしながら、あれから1年経ったのかなと思いつつ、ただこの1年が、いかに福島県、岩手県、宮城県の方にとっては重い1年であったかということを、いや応なくまた感じた次第でございます。
特に福島に至っては、地震、津波、放射能、それから豪雨がありました。その後、物が売れなくなって風評被害にさらされました。そして、1年が経って、福島の地でさえ風化が懸念されている、こういうお話を知事がなさっておられました。福島の地でということは、全国ではそういう思いが、絆と言われながら、1年経つと風化が始まっている、今この2つの風との戦いなんですという話を、実は佐藤知事がなさっておられました。
私たち長崎県は、2つの大きな災害を受けた被災県として、知事が冒頭からいつもあの時のお返しを全国にするという意味で、我々この3県に対して思い切った支援をしていくと、こういうお話を重ねておっしゃっていただいていることを改めて思い出しますし、佐藤知事のご苦労を見ながら、そのお話を聞きながら本当に涙がこみ上げるような思いがいたしました。そういう点で改めて長崎県の対口支援ということを改めてここに挙げさせていただいた次第です。
対口ということは、長崎県が3県と連携を取りながら、国を通してではなくて、直接長崎がやれることをやっていこうという姿勢の支援でございます。
そういう点で、本会議の冒頭でも渡辺議員からお話がありましたが、これから次のステップに入って、特に技術者が大変不足してきている。これは去年、私が行った時に南相馬市の村田副市長と話をした時に、彼が言っておりました。「ある程度の段階で、これから復興が始まる時に技術者が足りません。技術者が本当にいなくなって、どう手だてしてよいかわかりません」という切実な思いを彼が投げかけてくれましたけれども、まさしくその復興に当たって技術者が足りないというのは、今、当地域の最大の悩みじゃないかという思いもいたしました。
そこで、20名の職員を今支援しているというお話でしたけれども、ぜひ拡大していって、県・市OBの皆さん、また民間も含めて支援体制をどう構築できるかということを、さらに踏み込んでいただきたいと思います。当然ながら長期的な支援になりますので、人事の上での配慮等々必要だと思いますが、そうしたことをぜひ進めていただく必要があるんじゃないかと、こう思っております。
そういう意味も含めて、今、たくさんの人が長崎県からも行っていただいておりますが、ぜひこれから行く人も含めて、継承もし、彼らがやってきたことも広報していただき、また逐次いろんな場面でこうした活動の場を紹介していただくということを、まず最初に求めておきたいと思います。
今回の中で、特に長崎県の対口支援としてやれるものは、やはり長崎がこれまで作り上げてきた歴史の中の被爆という点は大きいと思っております。そういう面で今、長崎県が福島県の皆さんの健康管理をなさっておられまして、かなりの方たちがこの健康管理の検診を受けておられます。そういう面でさらにもっと、これから次の段階にこれもいくのかなと。そういう点では医療、それから行政、保健も含めて、いろんなところと連携を取ってこれから進めていく必要があるなということを思っております。これもぜひ長崎県としてもう一歩踏み込んだ支援を構築していくためにこちら側でできること、そして、福島で求められていること、それから向こうに行っている人たちの接着剤としていろんなお手伝いができる、そういうマンパワーを提供できることなんかを、ぜひ検討いただきたいと思っているんですが、これは部長からご答弁いただけますか。
◎濱本福祉保健部長 福島県に対して、被爆県としての経験を活かした支援ができないかというお尋ねでございますけれども、福島県への支援につきましては、震災発生直後から、県、市町、長崎大学等関係団体が一体となって人的支援をはじめ、医療支援や放射線知識の普及など全力を挙げて取り組んでまいりました。
福島県では、現在、全県民200万人を対象とした健康管理調査が実施されておりますが、現時点では2割程度の回収率にとどまるなど、全体的な取りまとめには、なお時間を要するとのことであり、今後、県民の不安を解消していくためには、十分なリスクコミニケーションの実施が特に重要になってくるとお聞きしております。
県としましては、これまで福島県の担当部局や、健康管理調査にあたっておられます福島県立医科大学の山下副学長に対して、直接に支援の必要性等について、折に触れお聞きいたしておりますけれども、現在までのところ、福島県から具体的な支援の要請というのはなされていないという状況でございます。
ただ、今後とも福島県と情報交換をしっかり行いながら、支援の要請等があれば積極的に対応してまいりたいと考えております。
以上です。
◆織田委員 先ほど言いましたように、第2ステップに入っていく中で、一番福島の皆さんが心配するのは子どものことなんですね。「福島子ども支援法」という法律が、今実は準備されておりまして、この法律が施行されるということになっていくと、さらに健康を守っていく上でいろんな手だてが必要になってくると思います。
実は、行ってみて思ったのは、福島の皆さんはどうしていいかわからないという思いが非常にあって、長崎県は例えば被爆地を広げていった、あるいは被爆体験ということも取り組んできて支援の輪を広げていった。だめだと言われるところも認めさせてきたという重い歴史、また強い力になってきた行政の母体だと思っています。そういう面で、そういうことを福島の地でぜひ展開できるような支援を私は対口支援として求めておきたいと思いますので、ぜひそういう視点で連携をよく取っていただきたいと、こう思っております。
2つ目に移ります。昨年の6月補正予算ですけれども、実は被災地の子どもをたくさん長崎県で受け入れました。当然来た子どもさんもそうですし、関係者もそうですし、受け入れたところも大変意義のある、また参加した人にとっては、最後にアルバムとか何かもつくってあるんですけれども、ものすごい思い出になった。あのつらい思いからこちらに来て、そして、伸び伸びとこの長崎の自然を味わって、元気を取り戻して帰って行った。ただ3日か4日の時間だったけれども、人生において、恐らく最良の日を彼らは得たと私は思います。それくらい意義のある事業を実は去年の6月の補正予算で組みました。ところが、今年は残念ながら組んでありません。これについてお話をお伺いしたいと思います。
◎上田農林部長 昨年度実施しました事業は、東日本大震災被災者支援の一環としまして、東北3県の児童生徒及びそのご家族の皆様を本県の農山漁村において、地元の人たちとのふれあいなどを通しまして、いやしと元気づけることを目的に実施したものでございます。
ほとんどの参加者からは、委員ご指摘のようにご満足いただき、事業の目的は達することができたものと考えております。
当時の、特に福島県におきましては、児童生徒がマスクを着用して、屋外で自由に遊ぶこともできない状況にあったとお伺いしております。現在は、福島県にお聞きしましたところ、大震災の影響が続いておりますものの、立ち入り制限区域を除きますれば校庭やプールの使用ができるようになっており、さらにはグリーンツーリズム組織の活動も再開され、児童生徒の戸外活動を促進するための体験活動に対する県内の支援措置も始められたとお伺いしております。
県としましては、昨年度の長崎ふれあい体験事業は、被災直後の緊急的な支援と位置づけて実施したものでございまして、このため今年度は実施しなかったものでございます。
◆織田委員 福島に行くと、大分除染が進んできまして、学校、それからプール、その関係のところは大分除染が進んできたんですが、要するに伸び伸びと遊べるところはまだまだなんですよ。3月10日に行ったときの知事、それから関係者のお話だと、室内でしか遊べないという状況が当時はありました。この間、大分進んでいると思いますが、まだまだ放射能に対する心配があって、外で遊べないというご家族はたくさんあります。
先日、「東日本大震災の子ども支援2年目の課題」ということで、教育関係のものに載っておりまして、「東日本大震災子ども支援ネットワーク」というところから提言があっております。支援の継続、「震災復興には当然のことながら物理的な環境の整備のみならず、その心の回復も必要です。それには長い時間がかかります。忘れないということを含め、継続的な支援を展開するということを望んでいる」というお話になるんです。行政は、どうしても特交とか、財政支援が伴わないと、そこでぱたっと切れてしまうんですけれども、こういう人の痛み、日本中、世界中に痛みが走った時に、長崎県として、行政的手腕じゃなくて、知事、ここは政治的な感性で継続してもよかったのではないかと思うんです。私ももう少し前にこういう話をすればよかったんですが、そういう点では、あの時のふれあい体験事業の影響の大きさというのはものすごかったんですよ。それは恐らく2年目でも同じだと私は思います。今年やっても同じだと思います。今度、福島の子どもたちを小値賀町が呼んでくるんですね。それから、南島原市で宮城県の子どもたちを今年呼ぶんですよ。やっぱり南島原市は去年に続けて展開しているんですね、小値賀町もそうです。こういう自主的な取組というのは、非常に今までのよさを、さらに日にちを延ばしてやるんですね。やっぱりよかったという思いが非常に深かったたんだと思うんです。そういう面は、県としてももうちょっと考えるべきだったなと率直に今思っています。
と同時に、今になって補正予算を組んでくれと言ってもなかなか難しいでしょう。ただ、やれることはあるかもしれない、今からだって。その辺をぜひ検討してもらいたいと思っていますが、いかがですか。
◎中村知事 こうした被災地を息長く支えていく取組というのは、非常に大切だろうと私どもも思っております。どういったことができるか、つい最近も話を聞いたところでありましたけれども、被災地の皆様方の思いがどういう形になっているかといいますと、むしろ被災地に出向いてきてお金を落としてほしいというようなお話をお聞きしたりする分があります。したがって、そういうことであれば、またそういった面での事業も組み立てていかなければいけないと思っております。
それとまた、ご指摘のように夏休みの期間を活用して子どもたちにこちらの方に出かけていただくと、南島原市、小値賀町も継続して取り組んでいただいているということのようですが、またボランティアグループ、NPOの皆さん方もそういう事業計画も立てていただいているところでありまして、そういった取組についてもしっかり支援していかなければいけないと思っております。
今回、県として継続していくかどうかというのは、少しそういう情報も正確に入らなかったということで具体化できませんでしたけれども、できる限りの支援の継続については努力してまいりたいと思います。
◆織田委員 知事の熱い思いを受けましたので、ぜひ実現して、さらに踏み込んだ対応を事務方でよろしくお願いしたいと思います。
次に移ります。東北3県の一番課題は、ご存じのとおりガレキです。平地が非常にない地域ですので、ガレキがそこにあるということは、ガレキを前にして生活なさっているという住民がたくさんいらっしゃるという実態であります。そういう中でガレキの処理というのは、話題も全国に走りましたし、県内でもそうですし、つい先日は北九州でもそうでした。
長崎県としても九州の中でいち早く検討を開始して、県で取り組むべきこと、それから市町でやっていただくこと、役割分担等々を明確にしながら検討、協議を進めております。
そこで知事、北九州市の方は明確に打ち出しました。広域処理の必要性、それから、安全性の確認、もし風評被害でいろんなことがあった場合は国が責任を持つという確認が取れたと、こういういろんな角度から心配されることを想定しながら、それでも踏み込んでいく役割を持つという責任を示されました。
長崎県は、今まだ検討段階なんですが、この北九州市の打ち出しについて、知事はどういうご感想をお持ちですか。
◎中村知事 委員ご指摘のとおり、これまで長崎県は自ら被った災害の際、全国の皆様から助けていただいて復興を遂げてきた体験を持つ県でありますので、こういった被災地に対してはできる限りの支援をしようということで取り組んでまいりました。さまざまな課題がある中で、安全性の確保等について説明をいただき、照会をし、市町と協議を重ねてきて、先般は受け入れ基準でありますとか、県・市の役割分担、あるいは埋め立て処分する際の安全性等について何らかの考え方を示すようにというお話もありまして、市町スクラムミーティングでお示しをし、議論をさせていただいたところであります。
県内の市町でも、焼却施設に余裕枠があるところと、全くないところがございまして、それぞれ長崎市、佐世保市含めて、積極的なご検討をいただいているところでございます。今、それぞれの施設の現状を踏まえて、どういった受け入れの可能性があるのかという照会をしているところであります。一刻も早くそれをまとめた上で、可能性があれば一緒になって取り組んでいきたいと思っております。
◆織田委員 この間、例えば大村市の市長が一般質問でお話があって、受け入れたいけれど能力がない、難しいと。それから、諫早は、技術的に処理施設がちょっと違う施設になっていてなかなか難しいと。手を挙げたいんだけれども挙げにくい、またやりたいんだけれども何かほかの形ででも取り組みたいという善意を示されて市長としてやっていらっしゃるんですが、なかなか反対住民の皆さんの声も確かに片方であるということから、なかなかできなくなっているところに話が進むと、ほかのところがやりにくくなると私は思うんです。これは全国的にも同じなんです。ここはやりたいけれども、ここがだめになった。やったところは逆に非常に難しい局面にだんだん立たされていくと。そうじゃなくて、せめて長崎県においては市長会、あるいは一部事務組合も含めた市長会がきちんと、みんなで受け入れていく、あるいは検討していくという姿勢をもうちょっと出していかないと、各自治体でやっていくと何となく受ける側にとって、各自治体の首長さんもなかなか難しくなる。あるいは住民にとっても何だろうというふうになるという点では、もう少し市長会の役割というものを打ち出してやった方がいいんじゃないか。県でやるんですよという姿勢をきちんとした方がいいんじゃないか、こう思うんですが、いかがですか。
◎中村知事 先ほどもお答えいたしましたように、まさにスクラムミーティングの場で、各首長の皆さん方と、お互いに補完できるところは補完しながら、協力しながら一緒に進んでいきましょうという方向性は確認できたものと思っております。先ほどお触れいただきましたけれども、現実に県央地域については焼却方式が全く違うので、別に一般廃棄物を受け入れることによって、ストーカー方式の焼却炉の余裕枠を広げる、そういった面でも協力ができますよというようなお話がございましたので、そういった状況を個別に踏まえて返事を今待っているところでございます。できるだけ早く方針をまとめていただけるよう努力してまいりたいと思います。
◆織田委員 これをやっていく上で難しい点は、最後は住民の皆さんの理解をいただかなければいけない。私がこの話を去年の11月にした時もそうだったんですが、今回も私の家にお見えになって、「なんで受け入れないのか」というお話をされる方がありました。また、「なんで反対するのか私の気持ちわかりますか」と、本当にお話し合いをずっとさせていただいて、「こうなんですよ、ああなんですよ」と理解を求めていく中に、「私たちも受け入れたいんだけど、安心できないんです、心配なんです」という思いなんですね。そうか、そこまで思っていただいているんだなという点では、やはり行政の責任は重いと思います。特に、我々は受ける手だてですから、国がもうちょっとこの辺は手だてを考えてやるべきだと思っています。
本当に今、被災地のところでは森にしたりとか、いろんな手だてをしてあります。だけど、それでもどうしても被災しているところにとっては、対応しきれないという思いがありまして、お話をさせていただいたんですが、特に達増岩手県知事の話は、「ぜひ放射能がないのを出します」というお話があったり、それから、村井宮城県知事の話では、「自分たちのところで精いっぱいやることが、ほかの皆さんに心配させないことだろうから、同じ放射能という心配であれば、自分たちでそこは心配されないようにできるだけやりたい。だけども、どうしても2014年の3月には間に合わない。また、早くやってもらわなきゃ町の復興はできない」、そういう複雑な思いを吐露しておられました。そういう面を考えると、私たちは同じ思いに立ってやるべきだと思っております。
ただ、今のお話のように、丁寧にやっていただきたいし、国に対しても積極的に求めていただきたいと思います。国は足りないことがいっぱいあります、という要請をしておきたいと思います。
2、第10回全国和牛能力共進会長崎大会−開催まで125日、万全の準備を。
和牛共進会については、先ほど溝口委員からお話がありましたので、一つだけ私の方から知事に要請したいのは、宮崎県、それから熊本県は畜産県ですね。九州の中でもこういう大口といいますか、来ていただく、また、来ていただいて非常に効果の大きいところ、ここにはぜひトップセールスで知事に行っていただいてお話をしていただきたいと思います。知事会でお話をするだけではなくて、知事が乗り込んででも行っていただきたいなと思っております。
3、補正予算、緊急雇用創出事業基金の活用について。
(1)体育支援員派遣事業について。
もう一つの体育支援員派遣事業については後に控えておられますので、バトンタッチをさせていただきますが、これも一つだけ、私は国の姿勢が非常によくないと思います。3年間やると言っていたのにやらない。1月でこんな方針を変える。こんないい加減なことはないです。教育にかかわってこんなやり方はないです。非常に憤りを感じております。あとは委員会、あるいは次の委員の方が質問されますので、バトンタッチいたします。
以上です。
○高比良[末]委員長 続いて日本共産党の質疑を行います。
なお、質疑時間は、答弁を含め15分であります。
○高比良[末]委員長 堀江委員。
◆堀江委員 日本共産党の堀江ひとみです。通告に基づき質疑いたします。
1、体育支援員派遣事業について。
今議会に予算化されています体育支援員派遣事業の内容をまず説明してください。
◎渡辺教育長 今回、予算計上案としてご提示しております体育支援員につきましては、体育の授業で使用しますとび箱やマット、こういった運動用具の準備を行ったり、担任と連携いたしまして、学習指導要領に示された運動例の手本を示しながら運動のやり方の指導などを行ってまいります。これによりまして体育授業の充実や、子どもたちの体力の向上へ向けた運動の習慣化を図ってまいりたいと考えているところです。
◆堀江委員 担任のサポートを行う外部指導者であり、体育の授業の充実と教育的効果の向上を図る体育支援員、これまでは体育学習コーディネーター、通称「体育コーディネーター」と現場では呼んでおられるそうですが、この体育コーディネーターの役割、重要性について、長崎市内の小学校でお話を聞かせていただきました。体育コ−ディネーターが1年間かかわって何がよかったか。
子どもたちの笑顔が増えたと言います。どういうことか。「できることが増えて、子どもに自信がついた」、「体育が好きになる」、「体育の授業が楽しい」、「外で遊ぶ子どもたちが増えた」と言います。泥だらけになって遊ぶ子どもたちは笑顔ですから、「運動場に子どもたちの歓声が響く学校になった」と校長先生は言われました。
子どもたちが自信を持てるようになったのは、担任と体育コーディネーターと、複数の目で一人ひとりの子どもたちが見られるからだと言います。体育コーディネーターは、1年生から6年生まで、子どもの発達段階に応じた成長を把握しています。また、運動能力調査を把握し、分析して授業に活かします。技能指導により、子どもたちが一つひとつの技を習得していきます。
2つに、体育コ−ディネーターは、授業の計画段階から体育の先生と協力し合っていきます。授業の計画、教材の作成、子どもたちの安全確認、評価と、いい授業ができたと言われました。作成した教材資料は、学校に保管をし、今後活用していくということです。
3つに授業の環境づくりです。先ほど教育長が言われましたが、備品の安全確認、用具の片付け、整理、補修など、これまで行き届かなかった点まで手が届いたと言われました。校長先生は、「体育は安全な中で子どもたちの体力、技能を伸ばしていく命にかかわる授業です。体育コーディネーターは、同じ教員の一人としてかかわってくれて、真摯な姿勢にこちらが学びました。恩恵をたくさんいただきました。体育コーディネーターを多くの学校に配置してほしい」というふうに私に要望されました。
そこで渡辺教育長に質問します。体育コーディネーター改め、今回「体育支援員」ということになるんですが、体育支援員の必要性について、どのように認識をしているのか、見解を求めます。
◎渡辺教育長 委員から、その効果につきましていろいろとお話がありました。全くそのとおりでございまして、子どもたちにとって大変好ましい成果、効果が出ておりますし、また教員にとっても指導力が向上したという面もございます。そういった面で体育授業の充実に向けた効果的な取組であるというふうに私自身認識いたしております。
◆堀江委員 この体育コーディネーターの必要性、そして子どもたちにとっても、学校にとっても、先生にとっても重要であるという認識は、教育長も私も同じと理解をいたしました。
そこで財源の問題です。今日、この緊急雇用創出事業臨時特例基金の財源の問題は述べられました。先ほど織田委員も3年間で切るとはどういうことかという趣旨の発言をされました。今年度限りということでは、来年度以降のこの財源についてはどのように理解をしたらいいですか。
◎渡辺教育長 先ほどお話がありました国庫では、なかなか常勤で確保できないということもございまして、今年度はこの基金事業を活用させていただいたわけでございますけれども、先ほど話がありましたように大変好ましい成果、効果が出ているというところもございますので、今後、市町教育委員会がそれぞれの地域の実情に合った取組を行うことができますよう、なかなか県の方で一般財源で措置するということは財政的な面もございますし、また広がりも出てこないということもございますので、できれば国に対し補助制度を創設していただく、あるいは地方財政措置を講じていただく、こういった点について国の方に働きかけをしてまいりたいと思っております。
◆堀江委員 緊急雇用創出事業臨時特例基金、この事業はこれまで述べられましたように緊急的な雇用を創出するということでは必要な事業なんですが、財源に期限があるということ、これが問題です。
これまでこの基金を活用して、教育委員会の分野で就職指導専門員派遣事業というのがありました。厳しい雇用情勢の中で、県内の公立、私立の学校に派遣をされまして県内企業の求人開拓、それから進路相談に応じるという仕事をされました。もともとこれは県単事業で配置されて、その後この基金を活用して8名という指導員を36名に増員されました。そしてその後、県単独事業の時は91.7%という就職率が、基金を活用した時の就職率は95%で推移をしております。これだけの成果が出ているのだから、基金活用で財源が確保できなくなるのではなくて、もとのように県単独に戻して、そしてこれを活用してほしいという現場からの要望が出されて、この本会議でも論議になり、また所管の文教厚生委員会でも論議になりました。
中村知事は覚えておられるでしょうか。私の質問に、「必要な施策については財源の確保に努めたい」と答弁されました。この就職指導専門員は、今年3月の公立、私立を合わせた高校生の就職率を、過去10年間で最も高い就職率、全国が94.8%なのに、長崎県は96.5%という本当に高い就職率に結びつく一つの大きな役割を果たしていると私は思っています。
今年度の当初予算から、公立高校ですけれども、これは県単独事業として25名、名前もキャリアサポートスタッフ事業というふうに衣替えをいたしまして、単に就職相談というだけでなく、キャリア教育を充実するという観点で対応するということになりました。国に求めるというこの財源確保は、私はこれは当然だというふうに思っておりますが、必要な財源を確保する、つまりお金があるから人を配置するという考え方ではなく、必要な財源を長崎県も確保していく姿勢に立つ、私はこれが大事だと思っています。
先ほど渡辺教育長は、これはもう県の一般財源では無理だと、そういう答弁であったかと思うんですが、もちろん国にも要望をすると同時に、市町任せにせず、県も一般事業で何とかならないのか、そういう方向の検討ができないのかということを教育長と中村知事にそれぞれ答弁を求めます。
◎渡辺教育長 雇用の問題は喫緊の課題ということもございまして、基金事業で対応できない部分については一般財源で継続して、措置したわけですが、先ほどあれもこれもというわけにはいかないということもございましたが、教育行政全体の中で事業の取捨選択をしながら、優先順位が高い事業についてはできるだけ予算を確保するよう努力してまいりたいと思っております。
◎中村知事 教育委員会の皆さん方と十分相談してまいりたいと思います。
◆堀江委員 私がここでこの問題を挙げましたのは、本当に現場の校長先生をはじめ、小学校で本当に何とかしてほしいということを随分言われたからです。もちろん国に求めることは当然です。ぜひ私はこの問題について検討していただきたいと思います。
2、石木ダム事業について。
この事業は、ご存じのとおり6月11日に国土交通大臣より継続との対応方針が示されました。私もこの国土交通省が長崎県知事殿と書かれた通知のコピーを手にいたしておりますが、その中で、「留意願います」として1枚添えられています。「石木ダムに関しては、事業に関してさまざまな意見があることにかんがみ、地域の方々の理解が得られるよう努力することを希望する」というふうにあるんですが、「地元の理解が得られるよう」という意見がついております。私は非常に大事な意見だと認識をしているんですが、その意見を踏まえて、今後の対応はどうなるのか、ちょっと時間の都合で最初に通告していた質疑の2番目から行っているんですが、今後の対応からお願いします。
◎村井土木部長 委員ご指摘のとおり、国土交通省から長崎県知事に、「ダム事業の検証に対する対応方針等について」の中に、「地域の方々の理解を得られるように努力することを希望する」という形の別添の資料が添えられております。
これは有識者会議の中で出てきた意見ではありますけれども、有識者会議の意見を踏まえるまでもなく、事業推進のために、我々といたしましては地域の方々のご理解を得られるように努めることが重要であると考えているところでございます。
◆堀江委員 石木ダムが事業継続の国の判断を受けて、県民の皆さんから寄せられる声として、長崎県が強制収用するのではないかという不安の声があります。
長崎県は、佐世保市との連名で2009年11月、事業認定申請を行いました。当時、金子知事でしたが、私の質問に対し、「話し合いを促進するために事業認定申請書を提出した」と答弁をしました。しかし、県民の不安は、当時も今も、事業認定後、可能となる強制収用にあります。
1982年、今から30年前、石木ダム建設のための強制測量が強行されました。私は、この時のことを貴重な記録映像で教えていただきました。数珠を握りしめ念仏を唱えるお年寄りや、泣きながら座り込む子どもたちを、なんと多くの機動隊で排除していくのです。映像を直視するのには本当に心が締めつけられる事件でした。二度とこうした事態をつくってはなりません。
県民の中で、石木ダム建設の是非について、賛成、反対、わからない、意見の分かれるところではありますが、石木ダムは必要と考える方でも「強制収用は反対」、この点では多くの県民の意見は一致しているのではないでしょうか。
中村知事、今回の国の判断を受けて、中断している事業認定手続も進められることになりますが、この強制収用も視野に入れて事業が進むことになるんですけれども、知事はどのように考えているのか見解を求めます。
◎中村知事 これまでもたびたび申し上げてまいりましたように、まずは地権者の方々と十分に話し合いを重ねさせていただき、ご理解をいただくのが最も重要なことであると考えております。これからもそういう姿勢で臨んでまいりたいと思います。
◆堀江委員 「十分に話し合う」と言われました。知事は、これまでも「誠心誠意取り組む」という言葉は言っております。これはとことん話し合いをするということであって、強制収用はしないという理解でいいのか。何度も念を押すようですが、これは大事なところですので、答弁を再度求めたいと思います。
◎中村知事 強制収用をする、しないという判断は、今お答えできるような状況ではないのでご容赦をいただきたいと思います。
◆堀江委員 2010年の6月定例会、私の質問に中村知事は答えました。「強制収用の手続は、別途手続が必要になっているので、現在のところそこまでは考えていない」というふうに言われましたので、これは同じ答弁と理解していいですか。
◎中村知事 思いは全く変わっておりません。
○高比良[末]委員長 続いて、無所属愛郷の会の質疑を行います。
なお、質疑時間は、答弁を含め15分であります。
○高比良[末]委員長 橋村委員。
◆橋村委員 それでは、2点についてお尋ねをいたしたいと思います。
1、長崎県緊急雇用創出事業臨時特例基金事業費について。
(1)緊急、応急的な雇用創出を目的とする基金事業と個別実施事業について。
ただいま緊急雇用関係の基金を活用した体育支援員の雇用についてということで新規事業として取り組まれておるわけですけれど、これは既に文科省の事業としてコーディネーターの派遣事業ということで随分これは実績を得たということであったので、引き続き単独事業でこの事業に取り組もうという姿勢であろうと思っております。その点は評価をします。
ただしかし、先ほどからの質問にもありましたけれど、一般財源でこの事業に取り組むということであれば、それはすばらしいことだと思っております。しかし、これは特定財源なんですね。だから、雇用のためにということで、先ほどの渡辺教育長の答弁の中では、むしろ授業をサポートするというより、何か作業をするというような言葉を濁したような答弁でありました。いやまさしく、そうでなければならないわけなんです。これは皆さん方、知事も承知しておいてください。一般財源と特定財源で手当てした時には全く雇用の関係が違ってくるということなんです。採用について、私は前に通告しておりましたけれども、オーバーラップする面があったので割愛して簡潔に質問をしますけれど、雇用対策というのは、これはどこで採用するんですか。どういう形で採用するんですか。例えば臨時採用の教職員の場合は、どういう形でやるんですか。その違いというのは明らかなはずなんです。どうぞ簡潔にご答弁ください。
◎渡辺教育長 今回の体育支援員につきましては雇用対策でやる事業でございますので、特に資格を保持しているとか、制限をつけられないということがございます。昨年度までやっていた事業につきましては、教員免許を持っている、そういった方々に限定して採用を行っていたところでございます。
◆橋村委員 そこなんですよ、大事なところは。だから、同じマンパワーを、27名を21名なりとカバーをする。そして一般財源がないから特定財源の雇用基金を財源とした場合に、採用する採用の仕方というのは特定できない。
ところが、学校現場で教育面でのサポーターという補助職員的なものであるならば、臨時採用職員と同じように教職員の免許、あるいは教職員としての最低限の教養というのは身につけなければならない。学校現場では、例えば教育原理とか、少年心理とか、教育心理とか、憲法とか、必修条件があるはずなんですよ。だから、そういう資格要件をつけられない方々を個々の学校現場に採用するということについては、学校現場として校長も混乱するんではないのかという思いなんです。
ただ、体育のマットかなんかを運ぶ作業だけということに限定されれば別でありますけれども、本質的にこれは異なっておるということをはっきり理解をしてやっていかなければ、今までのコーディネーターが文科省の委託だったのを、単独でカバーをするという現場の理解があるとするならば、現場は大変混乱するという危惧を私は感じております。
◎渡辺教育長 確かにこの事業におきまして、体育支援員は教育現場ということで子どもたちに直接接するわけでございますので、運動指導はもちろんでございますけれども、人間性を十分に備えた人材でなければいけないと思っております。
選考につきましては、ハローワークを通じて確保するということになりますけれども、当然スポーツ活動の状況、適性、こういったことも審査いたしますし、面接によりまして人物評価を行って、その事業にふさわしい人材なのか、人物なのかということを見極める必要があると思っております。
そういった選考経過を経まして、実際に派遣する場合には、派遣前に資質向上のための研修、服務規律を含めました研修を行うことといたしております。
また派遣する学校については、こういった支援員を十分活用していただくための説明会を行うようにいたしておりますので、この事業の充実ができるだけ図られるように努めてまいりたいと思っております。
以上です。
◆橋村委員 ちょっと失礼な話ですけれど、知事はこの文科省でのコーディネーターというのと同じような役割を、この雇用対策で採用した職員が果たせるというご理解でしたか、どうでしたか。
◎中村知事 そこまでの詳細については承知しておりませんでした。
◆橋村委員 それで、しみじみ今回こうやって質問に立つ前に2つの問題点を感じたんですが、こういう事業に着手する時にどこで査定をしているのか。最終決定はどこなのか。あるいはこのコーディネーター事業のアフターケアとして、今度は支援員という、名前は何でもいいんだけれども、本当に重宝した、また教育成果、体育力の指導強化にもつながっていった、達成度も上がっていった、だから必要だという認識を持たれたから、今度は何かをしなければならない。そのためにはこの緊急雇用創出事業臨時特例基金を充当できればということであったろうけれども、実際はここで、私が最初に聞いた時にハローワーク、そのとおりだろうと思いました。これは緊急雇用創出事業臨時特例基金であるならば、これは全く性格を異にしているなと。学校現場の教職員の免許を持ったその人たちでさえ、そして厳密な採用試験を受けた方たちでさえ、現場でいろんな不祥事を起こしていることも事実なんですよ。だから、教育現場であらばこそ、吟味して人を採用していかなければならない。これはもうこれ以上は申し上げません。特に、この問題点があることを十分踏まえて、そして所期の目的のために取り組んでいただきたいということをあえて申し上げておきたいと思います。
そしてまた、こういう事業の採用の中で、副知事、こういう教育委員会、あるいは所管は総務部長だろうけれど、大きなものと小さなものとで、これは事務的なものだから財政課長ぐらいで、これは総務部長で、これ以上は政治的な判断だから副知事で、あるいは知事復活というような形があろうかと思うんですが、ここら辺のところの話というのが、例えばこの緊急雇用創出事業臨時特例基金を活用した体育支援員というような場合は、どこら辺までの話だったんですか。田中副知事は、承知しておられましたか。
◎田中副知事 この事業については、直接私のところに挙がってきて、私が判断してというところまではございません。既に課長、総務部長の段階でこの予算はつけておったということでございます。
◆橋村委員 だから、往々にしてこういうケースが散見できるんですよ。だから、知事、副知事、今後においては、特に責任を持って各部局間の予算の、特に新規事業においてはそこら辺まで目を光らせて、大きい予算とか、小さな予算ではない。
2、地域の元気づくり応援事業について。
地域の元気づくりの応援事業として支援補助金というものを3,000万円計上されております。これは地域づくりのために、もう何でもいいから小学校単位で申請をしなさい、地域の活性化のためにと。そのコンセプトについては賛成なんです。しかし、果たしてこれを県がやらなければならないかどうかということを私は疑問に思いました。
これこそまさに合併特例債の中でのソフト事業というのがあるわけですね。だから、それを造成してきているんですよ、合併特例債の基金の中で。そうすれば13市町の中で、既に300億円余り造成されて、そして6億円余りの収益金もあるんです。
ただ、そういう中での各市の運用を見てみると、基金に積み立て、積み立てということで、執行率がものすごく低いんです。これは早く、合併した時にはいろんな問題が生ずるであろう、あるいは将来に禍根を残さないようにこの合併を成功させなければならない。地域の周辺部の疲弊を防止しなければならない。若者の流出を防止しなければならない。そのために財源も必要だろうということで、今回基金の発行額が許可されて、そして基金を積み立ててきて、そしてその基金の果実、あるいは償還が済んだ部分については取り崩してもいいという制度になっているかと思うんですけれども、まさに私が思うのは、県も、これはもう市町がしなかったから呼び水的にということでやられたとすれば、それは高く評価をします。しかし、むしろ県の事業は誘導役でなければならない。市町にぜひ負担もやってくれ、君たちもちゃんとつき合ってくれ、そして今後の各市のために、今後の長崎県のために一緒に共同でやっていこうではないか。私が折に触れパートナーシップと言うのは、そういうコンセプトなんですよ。
だから、事業を誘導する、あるいはコーディネートするというか、あるいは合併市町に対するイントロデュースするような、そういう役割を果たしていくということこそが、県に求められた喫緊の課題だと私は思っているんです。企画振興部長、どうですか。
◎永川企画振興部長 今、地域元気づくり応援事業の関係でご指摘がございました。合併特例債のソフト分を使えば対応可能ではないかと、そういった事業になぜ県が出ていくのかというご指摘でございました。
今、委員おっしゃったとおり、やはり各市町におきましては、地域コミュニティーの疲弊がかなり進んでいるというおそれを私どもは抱いております。そういった中で、やはり一刻も早く取組を進めないといけない。ある意味では市町の背中を押させていただくと、そして一緒にやらせていただくために今回の事業を始めさせていただきました。今後も市町と一緒に協力しながら、しっかり取り組ませていただきたいと思っております。
◆橋村委員 再度申し上げておきたいんですが、この単独事業を今後各市が円満に運営されるためにと、地域が崩壊しないようにという思いでこういう新規事業に取り組まれたことは非常にいいことだという高い評価をしたいと思います。
ただしかし、県がこういう姿勢だからこそ、各市においてもぜひ一緒に共同歩調で頑張ってくれよということで市の方を誘導していっていただきたいと思います。
と同時に、今、私はずっと振り返ってみると、昔、自治活動促進事業というのが地域活性化のためにありました。そして、後では単独で「夢づくり」とかという事業がありました。いろんなコミュニティー集会施設をつくってみたり、あるいは地域コミュニティーの活性化に対して事業をやるというような時に、これは地域振興部が所管しておった。そうすると地方課の事業と割と似たようなことがあっている。
それと、またもう一つ、こういう事業こそは地域総合整備事業債で全庁的な計画を立てればそれで十分ではないのか。それで41.25%プラスの56.25%交付税措置をされるではないかと。そうすれば、県がわざわざ持ち出して単独でしなくても、あるいはそれに対して交付金という形で、補助金は二重補助金というような、あるいは補助金を流すならば今度は起債の発行額が制限されてしまうので交付金という形でもいいのではないかと、そういう話もしましたけれど、貴重な県の財源でありますので、いかように有効に、県、そして市町の財源を活用していくかということを考えていただきたいと思っております。
せっかく3,000万円という金があったわけですけれども、あんまり変わらないのが、コーディネーターの事業にすれば、3,000万円、4,000万円あれば、200万円掛ける20人で4,000万円あればできるわけなんです。だから、いかにして貴重な財源を有効活用しながら、そして、県として必要な事業に早期に着手していくかということが大事だと思っております。
そういうことで積極的にこうやって取り組んでおられることは高く評価しますけれど、今後の意気込みといいますか、考え方を再度知事にお伺いいたしたく存じます。
◎中村知事 本来こうした事業を県が予算計上するというのは、これまであり得ないような話でありました。私も市町村合併のさなか地方機関に勤務した経験もありまして、相当強い期待をいたしておりましたけれども、現状はどうかというと、なかなかそういう形で動いていってない。ここはやっぱりもう一度市町とタッグを組んで、しっかりと地域に入っていく必要がある。これはもう市町と一緒に力を合わせて取り組むべき課題だと思っております。
◆橋村委員 期待しております。ありがとうございました。(拍手)
○高比良[末]委員長 以上をもちまして総括質疑を終了いたします。
次に、分科会設置についてお諮りいたします。
本委員会に、各常任委員会単位で、その所管する部局に係る予算議案の審査を行う総務分科会、文教厚生分科会、環境生活分科会、農水経済分科会を設置することにいたしたいと思いますが、ご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高比良[末]委員長 ご異議ないようですので、そのように決定いたします。
次に、各分科会の委員及び正副会長の選任を行います。
各分科会の委員及び正副会長は、お手元の名簿のとおり、それぞれ選任することにご異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○高比良[末]委員長 ご異議なしと認めます。
よって、そのとおり選任することに決定されました。
次に、各議案については、お手元に配付いたしております「分科会審査議案」のとおり、各分科会において審査いただきますようお願いいたします。
次回の委員会は、各分科会長の報告を受けるため、7月11日、午前11時に開催いたします。
本日は、これをもちまして、散会いたします。
お疲れさまでした。
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−午後4時5分 散会−
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○八江委員長 ありがとうございました。
以上で、各分科会長の報告が全て終了いたしました。
お諮りいたします。
各議案は、質疑・討論を省略し、直ちに採決することに、ご異議ございませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕