平成24年  8月定例月議会 農水経済委員会 - 10月03日−08号

平成24年  8月定例月議会 農水経済委員会

1、開催年月日時刻及び場所
  平成24年10月3日
       自  午前10時0分
       至  午後3時57分
       於  議会会議室
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2、出席委員の氏名
    委員長(分科会長)  山田博司君
    副委員長(副会長)  前田哲也君
    委員        加藤寛治君
     〃        馬込 彰君
     〃        野本三雄君
     〃        溝口芙美雄君
     〃        高比良末男君
     〃        中島廣義君
     〃        徳永達也君
     〃        陣内八郎君
     〃        高見 健君
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3、欠席委員の氏名
     なし
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4、委員外出席議員の氏名
     なし
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5、県側出席者の氏名
    農林部長            上田裕司君
    農林部政策監(農村整備事業・諫早湾干拓担当)
                    鈴村和也君
    農林部次長           井手幹雄君
    農林部次長           加藤兼仁君
    農政課長            木下 忠君
    農業経営課長          中村 功君
    農地利活用推進室長       長岡 仁君
    農産園芸課長          江藤博之君
    農産加工・流通室長       園田秀昭君
    畜産課長            松本信助君
    全国和牛能力共進会推進室長   松永孝三君
    農村整備課長          林田裕興君
    諫早湾干拓課長         宮崎浩善君
    林政課長            下釜一教君
    森林整備室長          佐藤義高君
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    環境生活課長          大串近太郎君
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6、審査の経過次のとおり
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     −午前10時0分 開議−
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○山田[博]委員長 皆さん、おはようございます。
 委員会を再開いたします。
 開会前に皆様方にお諮りしたいことがありますので、しばらく休憩します。
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     −午前10時01分 休憩−
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     −午前10時05分 再開−
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○山田[博]委員長 委員会を再開いたします。
 なお、馬込委員の方から所用により出席が遅れる旨の連絡があっておりますので、どうぞよろしくお願いしたいと思います。
 それでは、議案外所管事務一般に対する質問を行う前に、審査順序について、一部変更したいため、お手元に配付いたしております審査内容をご覧いただきたいと思います。
 昨日現地調査を行ったわけでございますが、実は、今後の委員会の日程等を考えますと、理事者の方の都合も要るということで、この日程にさせていただきましたので、ご理解をいただきたいと思います。
 これについてご異議ございませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 ご異議ないようですので、そのように決定させていただきたいと思います。
 次に、9月26日の委員会で決定いただきました陳情書60番の参考人招致の件につきましては、明日午後1時30分に招致することとなっておりましたが、参考人の都合により、明日午後3時に変更したいと思いますが、ご異議ございませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 ご異議ないようですので、そのように決定されました。
 次に、本日、「諫早湾干拓調整池のアオコ対策について」の集中審査を行いますが、その際、水質改善等の事業については環境部において実施されておりますので、環境政策課長の出席を要請したいと思いますが、ご異議ございませんか。
     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 ご異議なしと認めます。
 それでは、そのように取り計らうことといたします。
 それでは、10月1日に引き続き、議案外所管事務一般に対する質問を行うことといたします。
 質問はありませんか。
◆野本委員 通告しておりました鳥獣被害対策の中のイノシシの捕獲の問題について、農林部から、小寺祐二先生の「イノシシを獲る−ワナのかけ方から肉の販売まで」、これを私も読ませていただいて、非常にすばらしい勉強をされて、まさしくイノシシの専門家だなというふうに私は理解したところです。
 ところで、このイノシシの問題について、捕っても捕っても減らないということで、相当な被害を受けておるわけですが、それに対して県当局も、国の制度も含めて努力をされていることについては、大いに評価をしておるところであります。
 そこで、イノシシが、食わず嫌いといいますか、私はイノシシをよく食べさせてもらって、しかし、その方も高齢で病気で亡くなられたので、そういう意味では、今後は恩恵を被ることはないのかなと思うんです。刺身で食べたり、もちろん鍋料理というのがボタン鍋ということで一番で、しかし、イノシシの肉と言っただけで、「食べません」という人がおるわけですね。
 そのようなことがありますので、せっかくこのような本もあるし、また、農林部で資料もつくっていただいたりして、相当努力をされているわけですから、イノシシの捕獲も含めた対策について、小寺先生の教本も大いに参考にしながら、県としてどのような取組をしていこうと考えているのか。
 ただ、わなの問題等々とかということもありますけれども、ソフト的なPRを含めた、宣伝といいますか、せっかくそれだけの資料があるわけですから、そういうものを活かすということについての考えを持っていかなければ、なかなかこの問題は解決しないんじゃないかと思っておるわけですけれども、まずは、イノシシの問題についてご見解を賜りたいと思います。
◎木下農政課長 ご指摘の点でございますけれども、イノシシの肉、私も試食をさせてもらったことがありますが、イノシシと教えてもらわなければわからないぐらい、調理方法によってはおいしく食べられると思います。
 食べやすいような取組の一つとしましては、まず、肉質そのものを食べられる状態に、そのままきれいにしておくことが必要で、すぐ血抜きをするとか、すぐ冷蔵するとか、そういうことがまずは基本と考えておりまして、そのやり方につきましては、食肉として捕獲することを目的としている方々に対しまして、そういう捕り方の研修を県として行ったり、情報提供をこれまで行っております。
 それから、県の農業技術開発センターにおいても、いわゆる止めさしのやり方、時間をかけずに止めさしを行うとか、保存を行うような研究も今行っているところでございます。
 それから、肉そのもののPR、県内5市町に肉を処理する施設がございますけれども、PRというような面では、直売所店内での広告とか、インターネットを活用した広告、また、市内のイベントなどで試食会を開くとか、そういうことを行っております。
◆野本委員 そのことについては、これまでも、本会議等々も含めて、いろんなイノシシ対策は質問されておりますし、県当局の答弁、また、これからこの問題に取り組んでいこうという教え等々については、毎議会出ておることですので、突っ込んでお尋ねする必要もないわけですが、せっかくこういういい本もありますし、そして、皆さんがつくった「長崎県イノシシ対策虎の巻」、こういうものをどういうふうに配布されているのか、直接関係する人だけにやっているのかどうか。これは非常にいいことですので、せっかくこれだけつくっておられるのならば、当然、農協、生産者を含めてこの問題、そしてまた、捕ってきても処分が困るわけですから、処分については食べ方を。一番の問題は、肉が臭いということなんだけれども、これは、私たちも素人なりに話を聞く中では、胃袋を破ったら、臭いがばっと全部に染みついてしまうということで、もうその肉は食べられない。だから、胃袋を破らないようにして料理しなければいかんという話もあります。当然のことかもしれませんけれども、小寺先生の本の中にも、そういうことが詳しく書いてあるんですね。
 だから、要は、イノシシはうまいんだということで、こうやって捕獲したら、イノシシの肉を食べたいということについてのPRを含め、試食会も含めてやってもいいんじゃないかなと。今、全国和牛能力共進会がもう目前ですから、その後になろうかと思いますけれども、取り組み方について、もう一回原点に返って、せっかくこのようなことで、小寺先生、長崎県に来て頑張っていただいて、書物も書き、そしてまたPRもしているということであるわけですから、こういう方々の労に報いるためにも、これに対して県全体が、もちろんイノシシが繁殖する区域というのは大体限定されておるようでございますので、そういう地域の方々だけにでもPRして、許可をとれば素人でも捕獲できるといういろんな制度もありますので、そういう制度も徹底的にPRしながらイノシシ対策をしないと、とてもじゃないが、増えることはあっても減ることはないということで、生息頭数そのものもわかっていないので、全体的にもう一度、「虎の巻」や小寺先生の書物も含めて、トータル的にまとめていって、農協の方々と話し合いをするとかということで、まず、捕ること、捕った後の処分について、肉の処理等々についても、せっかくそういう本があるわけですから、もう一回そういう視点で見直していかなければ、なかなかイノシシ対策というのは難しいんじゃないかなと。
 しかし、すみ分け等々の問題もありまして、ヤギを今、16地域で32頭ということですから、1地域で2頭ということになるわけですけれども、この問題については、今始まったばかりですから、現状で効果等々についてというのはわかりますかね。それがわかったら教えていただきたいと思います。
◎木下農政課長 ヤギの効果につきましては、この夏ごろに1地域に2頭ずつ、合計30地区余りで実施しております。今年度からの取組ですので、今すぐどういう効果があっておるかというのは、まだ把握できておりませんが、ヤギそのものは、予定どおりちゃんと草を食べており、特に病気になることもありません。
 それから、先ほどの肉の関係の追加でございますが、県としましても、委員おっしゃった「虎の巻」につきましても、インターネットを通じて掲載しておりますし、広域協議会の会議とか、市町の担当者会議の折々に配付をしまして、周知を図っておるところでございます。いずれにしても、何万頭も捕れているイノシシの再利用という意味では、肉の処理も大事だということは十分認識しておりまして、今月下旬の全国和牛能力共進会の島原会場でも、関連イベントとしまして「全国獣害サミット」を開きまして、試食会とか、あるいは全国からの先進事例とか研究事例とかということも行って、県全体のレベルアップを図るというようなことも考えているところです。
◆野本委員 私も、ぜひ島原の大会には参加しようと思っていますし、このサミットにもぜひ参加させてもらいたいと思っております。
 ところで、ヤギそのものをイノシシが襲うということはないんですか。ヤギは草を食べていく、そこですみ分けてきたということだけれども、結局、ヤギそのものにイノシシが危害を与える、あるいは獲物にする、そういうことはないんですか。そういうものをちゃんとわかってそういうことをやっておられるんだろうと思いますけれども、その辺を参考に聞かせてください。
◎木下農政課長 イノシシは、昼は隠れておって、夜行動するということで、緊急的な、どうしても逃げ場がないというような場合は突進してくることもあるようですが、基本的には非常に用心深い動物で、ヤギを導入する際においても、そういう問題は、こちらの方としては聞いておりません。
◆野本委員 イノシシはこのぐらいにしておきましょう。
 今、加藤委員の方から、イノシシは真っすぐ来て、ヤギは右なり左にかわすからということで、その被害もそれほどないんじゃないかということであります。
 せっかくそういうことをいろいろ研究してやっていくわけですから、費用対効果も含めて、その結果がないと、また批判される。私は、関係者だけじゃなくして、県民にわかってもらうというのが大事じゃないかと思っておりますので、先ほど来、農政課長の答弁もあっておりますので、その線に沿って、それから、部長の説明書の中にも詳しく書いてありますし、これを実践していって、実効性のあるものにしてもらいたいということを要望しておきたいと思います。
 次に、都市と農山漁村の問題については、所管が地域振興課になりますので、ここでは申し上げませんが、いずれにしても、この問題については、虎島先生が一生懸命、武部勤・元農林水産大臣と連携しながら、「夢楽(むら)づくり維新」ということで本もできております。これも読ませてもらって、すばらしいことでありますけれども、さて長崎とどうかという問題になった時、都市と農村、あるいは漁村という問題ですから、こういうことについては、地域振興課の方でやっておられるでしょう。
 しかし、「オーライ!長崎」という形での取組でやっておられるわけですから、農林部は関係なしとしないわけで、あるいは水産部も同じことだと思いますので、この辺は、全庁的に連携を取りながら、せっかくそういう方法も施策として挙げておりますので、これの問題については、要望にとどめておきたいと思いますけれども、ぜひ全庁的な問題として、長崎がどことどうすればということで、部分的なしまとの取組をやってみたりしておりますが、それは交流程度ですから、もちろん交流でしょうけれども、「オーライ!長崎」、あるいは「夢楽(むら)づくり維新」等々については、もっと大きな問題ですので、この辺の問題については、農林部長、ぜひほかの部とも連携を取りながら、研究あるいは実践に向けて方向づけが、だめなものはだめだということで、できるならやっていってもらいたいなと。非常にいい構想だなと思って、これも要望にしておきます。
 次に、安愚楽牧場の問題についてよく話を聞くんですけれども、長崎県に対象農家等々、そういうものがわかっておられれば、そしてまた、実害があっているのかないのかということで、情報を収集しておられましたらお尋ねしたいと思います。
◎松本畜産課長 安愚楽牧場についてのお尋ねですが、安愚楽牧場は、一時、全国的に手広く経営展開していましたが、一昨年の宮崎の口蹄疫発生、また、その後の東日本の原発事故等の影響もあって、昨年8月に負債額4,330億円を抱えて倒産しています。去年の12月から破産法の手続で、直営牧場等の売却とか、資産整理が行われている状況です。
 そこで、お尋ねの本県における被害とかの状況ですが、本県では、安愚楽牧場の預託農家は20軒ございました。20軒で5,500頭程度の牛を飼育していました。この農家につきましては、現在、確認したところ、9戸の農家は既に経営を中止しております。残り10戸の農家は、安愚楽牧場にかわる預託を行う企業の預託を今受けております。1戸は、自己資金で、自分で牛を導入して経営を継続しております。
 なお、ほかの預託牧場にかわった10戸の農家については、確認したところ、企業からの預託金の農家への支払いとか、導入とか、出荷は、滞りなく今進んでいるという状況でございます。
◆野本委員 この安愚楽牧場については、今の畜産課長の答弁で、その辺でとどめておきたいと思います。
 幸いに被害がないということについては、小さい被害はあったかもしれませんけれども、大きい打撃を受けるようなことはなかったということでありますので、それは非常によかったんじゃないかと思っております。
 次に、通告してありました棚田問題ですが、第14回が長崎であって、日本棚田百選ということで、私も参加させてもらったんです。問題は、これを続けきれるのかと。労力を含めて、資金的なものを含めて、内容をよく聞いてみると、これを維持、そして存続してつないでいくというのは、大変なご苦労があるということを実は私も調査の中でわかりました。
 実は先般、4年ぶりということで、心配しておった福島の土谷棚田の火祭りということで情報をいただきましたので、当日、私も、車を飛ばして、1時間半ちょっとぐらいかかったんですが、途中、鬼木棚田のかかしも有名だったものだから、そこものぞいてきまして、両方で新米を買って帰って、非常においしい、コシヒカリなんですね。袋を見たら「コシヒカリ」と書いてありましたので、幾らかでも役に立てばと思って、購入して帰りました。
 その中で、土谷の梶原会長が非常に心配されていたのは、休耕者が出て、要するにもう耕作を続けないと、この辺の対策が一番問題で、たまたま1軒だったから対応できたと。実行委員会をつくって、60名ぐらいと言いましたかね、そこで準備から何かすると。準備に半年ぐらいかかるということで、実際、やるにしたら当然金がかかるし、福島の土谷棚田で、私は火祭りまではおりきらなかったから、帰ったんですけれども、あれだけのろうそくにどうやって火をつけるのかなと思ったら、ボランティアでそれぞれやってくれる人がおってということで、そういう情景を見てまいったし、その苦労は、やっぱりこれを継続するについて、後継者がなかなか、子どももやってくれないしということで、今のところは何とかみんなで、せっかく一回やったんだから、3年間休んでおったけれども、これを復活したということで、私が心配しておったところが復活したということでしたので、私は朗報と思って、そして、ぜひそういう苦労談義も賜りながら、現場を見てきたわけです。
 200万円ぐらい事業費がかかるということで、100万円は松浦市の方で出してくれて、あと100万円が、売上げといってもそう簡単にいきませんし、苦労しているんですけれども、何とかやることに見通しが立ちましたということで、ご苦労は多としますけれども、これからも、いろんなことで問題があれば、県当局にもご相談をしたりして、ぜひこの棚田火祭りをこれからも続けていただきたいということを要望してまいったところであります。
 日本棚田百選の中に、長崎県は6地区あるわけですね。今、全部が幸いに棚田を何らかの形で守っていかれておるわけですから、これをやめることがないようにするためのいろんな相談等々も、言ってくるのを待つんじゃなくして、「実態はどうですか」ということの問いかけもしていきながら、相談を受け、そしてまた、知恵をお貸ししてやっていくことも大事だと思いますので、その辺の問題について、現況と今後の進め方についてどう考えておるのか、お尋ねいたします。
◎木下農政課長 いわゆる棚田は、委員ご指摘のとおり、代表的な百選に選ばれた6地区をはじめ、本県は、そういう美しい景観が各地にございまして、農林部としましても、活性化計画の中で、「豊かな農山村」というような柱の中で、いわゆる多面的機能というようなものを維持していくということから、事業を進めております。
 棚田につきましては、特に生産性とか、そういうような厳しい中において頑張っておられるところがございます。先ほど事例を挙げていただいた土谷棚田も、祭りが復活したということで、経費的にも厳しい面があるということでございますが、農林部の方にもその件の経費の要望があっておりまして、今年度、それにつきましては、棚田基金の方から30万円の支援をするというようなことが今内定しているところでございます。そういうような形で、他の棚田につきましても、各地の棚田祭り等に対する支援というものは、要望に応じてやっていきたいと思っております。
 それから、従来、棚田地区以外も含めて、国の制度ですが、中山間の直払いとか、農地・水保全の制度とか、そういうものがございますので、そういう制度も活用しながら維持を図っていきたいと考えております。
◆野本委員 ありがとうございました。ご答弁のとおりだと思いますので、そういう制度資金も有効に活用できるようにして、そういう情報も提供しながら、ぜひこれが続いていくように、専門家の方からは、「棚田は、環境面のみで出すのではなくて、経済的な側面も重視しなければ、保全は長続きしない」と指摘もされておるようで、私もそういうふうに感じておりますので、制度資金、あるいは長崎独自のものがあれば、そういうこともやりとりの中でぜひ活かしていただきたいと思っております。ぜひこれからも棚田が、我々は見る方の立場で物を言うだけでは非常に気の毒なんですけれども、その労をねぎらって、ねぎらうだけでは、これまたどうかと思いますけれども、何らかの形の中で支援ができるということ、お米を買って帰るのも大きな支援の一つでありますので、そういうことも含めて、現地に行けば、やっぱり手ぶらじゃ帰られない、ご苦労がありますから、幾らかでもという気持ちで、その気持ちのあらわれが当然出てくるわけですので、そういう面で、皆さんが1人でも2人でもそういう気持ちになれば、また棚田のあり方ということも、自然問題も含めて、そして、非常に大事な根幹の農業の振興という、そういう苦しい中でも、厳しい中でも農業を続けていくという、どこかに何か見出すものがあれば、それに精進というか、それに目を配りながら、本来の目的を達成していくと。
 棚田そのものが、石垣にしても本当に昔から、100年ほど前から積み上げたもの、あるいは自然のものということで、それぞれの地域、地域で異なったものがありますので、そういうのも知らしめていけば、そういう視点で物を見ていくということです。
 ただ、私は、非常にご苦労だったなと。梶原会長さんや奥さんの話では、この計画を実行しようということが決まってから、3日間は食事をしなくて、本当に心配しましたということで、やはりトップに立つ者というのは、計画をした、決まった、それじゃやろうという時になると、心労も非常に大きいものがあるということで、そういう話もやりとりしながら、激励をしてまいったところであります。
 これからも、ぜひこういうところがやめることなく続けていけるように、そういうことについては、そこだけに任せず、地域だけでできる問題ではございませんので、特に県当局が何らかの形で声をかけるだけでも、私は、やる気を起こしてくれる、そういうものが十分あると思いますので、その辺は強く要望して終わりたいと思います。
 最後に、私は、農林部長の重点目標と言ったけれども、もう今は、各部長じゃなくして、各部の重点目標を立ててやっているということで、それが目的を達成したもの、未達成のもの、当然あるわけですけれども、その辺を網羅して、何といっても農林部の一番の人であります農林部長に、その考え方、これからの進め方を概略教えていただければと思います。
◎上田農林部長 平成23年度、昨年度の農林部の重点目標、10項目立てております。大項目で10項目立てておりまして、そのうち、達成できたものが4項目、一部達成したものが5項目、未達成が1項目というふうになっております。
 10項目のうち、小項目を24項目立ててこれを構成してきているところなんですけれども、小項目で見ますと、達成できたものが17項目、達成できなかったものが7項目ということで、まだまだ努力をしないといけない状況だと思っているところでございます。
 特に平成23年度は、農林業を継承できる経営体の育成、いわゆる強い農家さんへの規模拡大等の計画の提案、そして支援、これを1番目、最重要課題というふうに立ててきておるところでございます。あと、農地の利用の集積、あるいはイノシシの対策等を含めてきているところでございますけれども、全般的に、今年度から人・農地プラン、それぞれの地域の集落の将来における担い手像、将来プランを立てるということが国の政策で始まってきております。これを先取りするような形で、「強い経営体づくり」というのを県の方で始めてまいりました。国においてもそういう制度補完ができてまいっておりますので、これを活用しながら、集落での話し合い、先ほど棚田のお話もございました。今をどう維持するかということと、今後どうするかということもございます。高齢化もあっているところでございますので、集落での営農組織、あるいは受託組織、あるいは青年就農者の導入、そういったものを加えながら、強い経営体と集落の活性化、その両視点で今後取り組んでいかないといけないと思っているところでございます。
 特に経営力の向上という観点につきましては、規模の拡大、コストの低減、品質の向上、それと付加価値向上、この4点が必要だろうと思っているところでございます。
 現在、規模拡大、販売対策につきましては、昨年度から新たな政策を導入してきているところでございますけれども、いわゆる加工への取組とコストの低減、ここの部分については、まだまだ足らざる、努力をすべき部分があろうと思っておりますので、そういった部分にもしっかりと着目しながら、今後取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
◆野本委員 それでは最後にします。
 今の部長の答弁で心強いものを感じました。何といっても農林水産業の1次産業は、長崎県としては一番大事な基幹産業ですのでね。そして、数値目標を上げてやっていく中で、各課の方々が一体となってそういうものを練り上げてきて、農林部の中でもんで、こういうものを達成していくわけです。せっかくそういうものができ上がっても、それを実践していかなければ意味がないので、ただ目標に達した、未達成とか、視点はもちろんそういう置き方でしょうけれども、これに中身の濃いもの、実のある効果的なもの、そういうものにどう位置づけをしていくかということになれば、農林部に限らず全庁的な、そして、横、縦の連携を取りながらやっていかなければいけないと思います。
 今の上田部長の答弁を私も精査しながら、今後もその流れを私たちも見せてもらいながら、そしてまた、当然、我々は、批判するための委員ではございませんので、ぜひ激励をしながら、また、行政と議会とが一体となって、国への働きかけは当然ですけれども、県内でも、そういうことでお互いが協力することによって前進するものがあろうかと思いますので、その辺は、忌憚ないご意見も聞かせていただきたいし、また、我々も感じたことを申し上げていきたいと思います。
 これからの農林部、また、県庁の星の集まりの農林部の方々が、さらに計画したものが実効あらしめるように期待をしながら、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○山田[博]委員長 ほかにありませんか。
◆前田副委員長 通告に従って質問します。
 長崎で言えば、ビワとかいちごの市場に出せないものを加工したりとか、例えば今だったら、農家の方に話をしたら、ショウガをとっているけれども、ショウガが今年は特に安くて、今、ショウガを一生懸命洗って漬物に加工しているという話も聞こえてきたりしています。
 そうする中で、6次産業化を推進しなければいけないと言われて久しいんですが、その取組の現況が少し見えないのと、また、私らも、相談された時にどこにどうやってつないでいいかというのがいま一つわかりませんので、現況と支援策について、まず答弁をいただきたいと思います。
 その上で、平成27年度を目標に、農商工の連携による事業化が15件とか、取組経営体、7経営体という数値自体が、少し目標設定も低いと思っているんですが、そのことについても、答弁を願いたいと思います。
◎園田農産加工・流通室長 6次産業化の関係ですけれども、6次産業化の支援につきましては、県と国の支援の窓口というのがございまして、県の方では、私ども農産加工・流通室と、あとは各振興局の方で窓口を設けておりまして、農業者の方からの相談などに応じております。
 あわせて、国の方では、九州農政局の長崎地域センターと、国が設置しております6次産業化サポートセンターというのがございまして、そちらでも農業者の方々からの相談に対応しておりまして、その関係機関とは私どもも連携を取っておりまして、それぞれの情報も共有化させていただいて、相談に対応するとか、新たに取り組みたい方向けの掘り起こしをするとか、あとは、6次産業化に取り組むということになりますと、どういう事業をやっていくかという計画づくりというのも必要になってくると思いますので、そういう事業計画の策定の支援でありますとか、事業計画に基づきます国とか県の助成とか支援の制度がありますので、そういう制度の紹介、それから活用の支援というようなことも行っているところでございます。
 現在の6次産業化の取組状況ですけれども、国の方で6次産業化の事業計画の認定制度というのがございまして、その認定制度を受けておりますのが、農業関係で平成23年度に5件受けておりまして、今年度に入りまして、さらに追加で3件、今8件、事業計画の認定を受けているところでございます。その計画に沿って、国の支援制度も活用しながら、6次産業化に取り組んでいるというような状況にございます。
 数値目標としましては、平成27年度までに7件という目標を立てておりましたけれども、既に目標を達成するような状況にもありますので、予算との関連もありますけれども、来年度はもう少し目標を高く設定できないかというのを今検討しているところでございます。
◆前田副委員長 では、県と国がということで、今答弁がありましたけれども、県の相談窓口というか、県が相談を受けていると思うんですが、その相談の実績は、平成23年度で何件ぐらいあったんですか。
◎園田農産加工・流通室長 県で受けている件数の数値的な把握というのは、ちょっとやっておらないんですけれども、ちなみに、県の振興局とか私どもで受けたものも、事業計画づくりを支援したいという思いもありますので、国の6次産業化サポートセンターの方につないでいくというやり方もやっておりまして、ちなみに、今年度、6次産業化サポートセンターの方で相談を受けたのが36者で、この方々の相談に対応させていただいております。
◆前田副委員長 不勉強ですが、そのサポートセンターはどこにあるんですか。
◎園田農産加工・流通室長 サポートセンターは、本年度は、株式会社パソナ長崎というところが、国の委託事業に応募して受託されておりまして、場所的には、長崎市立図書館がありますけれども、あのすぐ近くの国道沿いです。
◆前田副委員長 この質問はできないのであれですけれども、何かアイデアを持った方とか、こういうのに取り組みたいという方は、たくさんおられると思います。ただ、その時に、例えば市民の方から見たら、市役所が身近な存在なんですが、県というのは少し敷居が高いというか、どこの課に何があるかもわからんという話の中で、どこに相談に行ったらいいのか、そのきっかけがわからないという方がたくさんいらっしゃるとは思うんですよね。サポートセンターすら、私らも知らないような状況の中で、もう少し窓口を広げてほしいというのが一つと、コーディネーターという肩書を持った方たちもいらっしゃいますよね。そういう方たちがどうやってかかわってくるかもわからない状況です。その中で、ぜひもう少し入口のところの相談体制を充実させてほしいというのが一つ。
 これは農林部長にお聞きしたいんですが、合併編入した町とか、1次産業が盛んな地域において、人口が減る中で、雇用をつくらなければいけないという話になった時に、一番モデルとしてやりやすいのは、やっぱり1次産品の加工だと思うんですよ。そういう取組を推進したいんだけれども、なかなか地元において商売ベース、販路も含めたところで、乗っかってこない、二の足を踏んでいる事例があると思う中で、ぜひ1次産品の6次産業化については、行政が主体的に自分たちで立ち上げてみて、ある程度軌道に乗ったら、一旦指定管理で3年、5年任すとか、そうした中で最終的には民間に移譲するみたいな、県が立ち上げていくというふうなことも考えていっていいんじゃないかと思うんです。
 過去にもこういう質問はしておるんですけれども、農林部長として、1次産品の加工、6次産業化につながるスキームというんですか、そういうことについて、考え方をお示しいただきたいと思います。
◎上田農林部長 まず、より相談を受けやすくする体制というお話でございます。
 そういうこともございまして、現在、県の方で取り組んでおりますのは、各地域単位、振興局単位で、6次産業化に関して、あるいは加工に関して関心があられる者を募りまして、地区のセミナーというのをまず第1段階で開催いたしております。ここでいろんな疑問点、相談を集中的にまずお受けする。6次産業化とはどういうものか、どういうものが課題になるかというのをご説明して、その上で、地区セミナーを踏まえて、もっと具体化してみたいとおっしゃられる方は、今度は長崎の方に集まっていただいて集合セミナーをやって、具体化の計画づくりのためのアドバイスを行っているところでございます。
 その上で、現在、商品づくりに既に取りかかっていらっしゃる方については、ブラッシュアップの相談会ということで、いわゆる専門家による商品づくりのアドバイスを行っているところでございます。そこを踏まえて、さあ行くぞと事業計画が見えてきているものについて、先ほど申しました国の6次産業化の認定申請というふうに上がってきているのが現実的な状況でございます。
 そういう中で、先ほど今年何件という話もございましたけれども、既に申請途中のものもございますし、あるいは申請予定の方もいらっしゃるところでございます。そういったものは後押しをしていきたいと思っているところでございます。
 あと、こういうセミナー等については、募集広報のあり方、より広く広げていく必要があろうと思っておりますので、そこは工夫を重ねてまいりたいと思っているところでございます。
 それと、今後の6次産業化、あるいは加工についてどう考えていくのかというとらえ方のお話だろうと思っておりますけれども、基本的に私は、商品づくりが一つの観点、もう一つは、その原材料である農産物の生産体制が組めるかどうか、この2つがかみ合わないと、製品づくりはできないと思っているところでございます。
 特に、これまで私たちが把握している内容では、加工製品、あるいは業務用製品、今、中食がかなり大きくなってきております。こういったところで取り扱われている原材料としての生鮮品は、どうしても原材料価格としては安い単価になっているところでございます。これまで、農林技術開発センターなり、長崎の方で加工業務用、あるいは加工業者とのマッチング会というのを繰り広げてきております。ここでも商談成立というのがなかなか数が多く出てこない。そこには、量的に原材料を賄いきれるか、それと単価が農家の生産原価に合うのかというのが非常にネックになってきているところでございます。ここの部分を、しっかりと課題を解決して、農家の所得向上につながるような原材料の生産体制と品目選び、それと商品づくり、ここがかみ合わないと先に行かないと思っております。
 勢い、つくれば売れるやろうと。売れても農家の生産費が赤字になる、それは本末転倒の話でございますので、そこら辺をしっかりと技術的なサポート、あるいはこれは農家にとって合う品物、合わない品物、つくり方としてはどうすればいいか。これは、通常の市場、青果用のつくり方とは異なってくる、品種も異なってくると思っておりますので、こういった部分については、しっかり今後てこ入れをしていく必要があろうと思っております。
 商品づくりにつきましては、外部の専門家等での、今回、農産加工品認証制度というのを設けております。そこで専門家による審査も行っていくわけですけれども、そういったもののアドバイス、知見というのも活かしながら進めていかなければいけないと思っております。
 今後、そういう技術開発を県独自てやるかどうかにつきましては、試験場の機能のあり方ともかかわってこようと思っておりますので、そこは今後、民間とのタイアップという視点も含めて検討していかなければいけないと思っているところでございます。
◆前田副委員長 ありがとうございました。
 6次産業化のさまざまな支援を打っているということなので、一度フロー図のような形で、どのタイミングでどういう支援ができるのか、資料として後からください。
 次に、農林産物の輸出促進について。
 ここに書いているとおりなんですが、平成27年の目標値を5品目としていますが、現状どうなっているのかということと、今後の取組状況について、ご答弁ください。
◎園田農産加工・流通室長 農産物の輸出関係ですけれども、総合計画の数値目標としましては、輸出に取り組む品目数ということで、5品目というのを掲げておりますけれども、これにつきましては、平成22年度から農産物の輸出の関係につきまして、初期段階の支援、例えば初期商談に行く、試しにテスト輸出をしてみるというところの支援を始めておりまして、その品目が、平成22年度と平成23年度で現在6品目支援しております。これは、テスト輸出ということで、試みたという段階ですけれども、そのうち4品目は、その後も継続して輸出に取り組んでいると、今のところの状況でございます。
 そういう状況を受けまして、農産物の輸出につきましては、もう少し踏み込んだ支援が必要ではないかということで、今年度から輸出にさらに力を入れて取り組むということにしておりまして、輸出の初期段階のテスト輸出の支援に加えまして、海外の現地の情報収集や専門家の方に来ていただいて輸出のセミナーを開催する、さらには、相手国の現地のバイヤーの方をこちらにお招きして、現地を見ていただくというようなことも予定しておりまして、生産者団体の方々の輸出に対する意欲を高めるということとあわせて、実際に輸出に取り組んでいただく方々を増やしていくことに取り組んでいきたいということで進めております。
◆前田副委員長 6品目掲げて、テストケースで4品目と。その4品目というのは、具体的に品目は何ですか、教えてください。
◎園田農産加工・流通室長 4品目は、香港向けにいちごとビワ、大根を出しておりまして、また、マカオに向けて長崎和牛の輸出に取り組んでおるところでございます。
◆前田副委員長 4品目、テストケースで出した国も含めて今ありましたけれども、結局、アジアの市場というのは大きいですから、水産物が上海に、今、少し軌道に乗りかけていますけれども、そういう意味では、やっぱり上海とか、中国本土にも出せるような形にしていってほしいと思います。
 ただ、その中で、やはり水産物が成功しているというか、軌道に乗りかけているのは、やっぱり長崎魚市が積極的に取り組んでいるのを県がバックアップしている、そういった中で軌道に乗っていると思うので、今おっしゃったように、生産者というか、青果市場かどうかわかりませんが、そういう方たちの外国に出そうという意識が高まらないと、行政が音頭だけとったってなかなか難しいと思うんですよ。
 当然、水産物以上に、受け入れ国の諸課題があろうかと思いますので、そういうこともしっかり情報収集してあげて、この商品を海外に出せば輸出が伸びるんだみたいなシミュレーションも含めてやってあげてほしいと思います。
 今のところ、いちごとビワ、大根が香港、マカオに和牛ということであれば、テストケースから次の段階に進めるように、関係団体との協議、それに基づいて何か支援メニューが必要であれば、そういうものの検討を進めてほしいということを要望しておきます。
 続いて、和牛について私も質問通告したんですが、現時点において認知度が低いんじゃないかというようなことを聞いても、今月のことですから、そこを問うつもりはありませんが、私が長崎市に住む限りでは、開催地じゃないということもあるのかもしれませんが、一般の方に浸透しているのかということに関しては、少し疑問を感じています。
 夏場に、新聞記事も含めて、認知度が低いんじゃないかというような記事が出て、担当部局の方では、一定認知度が低いということも認めつつも、これからしっかり頑張っていくというようなことが記事に見られたので、この認知度を高めるためにどういうことに取り組んできたのか。例えば、和牛の協力店のことも前議会で話題になりましたよね。最終的な成果というか、どこまで盛り上げきれたかということについて、現時点での報告をいただきたいと思います。
◎松永全国和牛能力共進会推進室長 まず、全共の認知度を上げていくための広報関係の取組についてご説明をしたいと思います。
 これまでの取組といたしまして、基本的な広報資材といいますか、大会の看板でありましたり、横断幕、懸垂幕、そういったものを活用した広報に加えまして、県内外で開催されるいろいろなイベントに出向いてのPR、また、県庁ロビーにもございますけれども、PRコーナーを設けてのPR、また、テレビ、ラジオ、新聞等を活用しての広報、それから、県、市町の広報誌を活用してPRに努めてまいりました。また、県外に向けましても、誘客キャラバンというのを編成いたしまして、大会の魅力をPRしてきたところでございます。
 特に、もう9月下旬、あと1箇月ということで、9月下旬からは、特にテレビ、ラジオ、新聞、こういったものでのPRを強化して取り組んでいるところでございまして、例えばテレビでの取組について申し上げますと、この1箇月で、民放4局でございますけれども、約700本、15秒CMを打つようにしておりますし、こういう取組のほかに、開催地であります佐世保市、島原市、またJAグループの方でも、独自の予算で大会のテレビコマーシャルのPRも打っていただいているということでございます。また、新聞につきましても、九州版でPRするように努めております。
 特に今月の中旬ぐらいには、民放4局の生番組出演でのPRの話もきておりますので、そういったところに出向きまして、県民の皆様に大会の魅力というものをしっかりとPRしていきたいと考えておるところでございます。
 以上です。(「協力店の実績」と呼ぶ者あり)
◎園田農産加工・流通室長 長崎和牛の協力店の関係ですけれども、協力店につきましては、共進会の盛り上げということと、長崎和牛のPR、消費拡大ということを目的にやってきておりまして、現在のところでは、協力店になっていただいているお店が230店舗を超える数まできておりまして、レストランや焼き肉屋さんに協力をいただいておりまして、協力店には、全共の黄色い大きなのぼり、そして、窓などに張っていただけるような「協力店です」という黄色いタペストリーを提供させていただいておりまして、お店の方でもそういうものを掲示していただいて、長崎和牛の料理を出していただいているという状況にございます。
◎松本畜産課長 畜産課の方からも一言。
 今言った協力店とは別に、長崎県と地域の包括協定を結んでいるコンビニ、具体的にはセブン−イレブン、またファミリーマート、ここと、長崎全共を盛り上げるために、10月に入ったら、長崎和牛のお弁当とかおにぎりとか、そういうものを発売するということで今話を進めておりまして、10月になったら、そういうお店では、約250店舗あるんですが、一斉に長崎和牛の全共の黄色いのぼり旗もポスターも張ってもらって、まちにはためくことになっております。そういうことも含めて、PRに努めているところです。
◆前田副委員長 5年に一度で、長崎では今回が初めてですよね。やっぱり37万人という数字がぼんと出たもんだから、私たちも、37万人を達成するためにお互いに頑張ろうということをずっと言ってきたと思うんだけれども、ちょっと自分の反省も含めて思うのは、このチラシもそうなんですけれども、イベントとして、とにかく人に来てほしいというのがどうも先行した嫌いがあるような気がします。ほかの委員も言っていて、島原会場も本末転倒にならないようにという指摘もあったと思うんだけれども、じゃ、長崎和牛が本当に県民に浸透したかというと、正直言って、しなかったんじゃないかと思うんですよね。だって、長崎和牛の産地のことなんてどこにも書いてないですよ。
 例えば、私も、申しわけない、恥ずかしい話だけれども、長崎和牛って何種類ですか。知っているんだけれども、お答えください。長崎和牛というのは何種類ですか。
◎園田農産加工・流通室長 長崎和牛と申しておりますのは、長崎和牛銘柄推進協議会という生産者団体等でつくっております協議会において「長崎和牛」を定義しておりまして、長崎県内で肥育を目的に生産された和牛を「長崎和牛」としておりまして、県内に産地は幾つかございますけれども、総称で「長崎和牛」と言っているところでございます。
◆前田副委員長 そうですね、産地としては6なんでしょう。私が言いたいのは、壱岐牛、五島牛、出島ばらいろ、西海の牛などありますよね。いろいろあると思うんだけれども、それすら、私たちもだけれども、県民の方が知らないんですよ。それと、食べたこともないという人もたくさんいますよ。なぜかというと、以前から指摘されているように、高いから食べないというか、安い日を設けたらどうかと個人的に提案したこともあったけれども、非常に難しいということでした。
 なんでこんなことを言うかというと、イベントが先行してしまって、大会後の長崎和牛の消費拡大の取組がやっぱりすぐ必要だと思うんです。それについてどう考えているのかなと。長崎和牛といったら、この全国和牛能力共進会のために出てきたようなネーミングのように聞こえてしまって、それぞれ壱岐とか先行していたところは、「いやいや、長崎和牛というよりも、壱岐牛の方が、五島牛、出島ばらいろの方がブランド力はあるんですよ」という話の中で、総じて「長崎和牛」と言われることに対して、ちょっとどうなんでしょうねという声があったのも事実の中で、大会後、この長崎和牛の消費拡大について、どう広げていこうと考えているのか、イベントを成功させることも大事ですが、それが大事だと思うんですけれども、その取組については、これまでこういうやりとりの中では語られていないですよね。少し考え方を述べてください。
◎園田農産加工・流通室長 全共大会後の長崎和牛の消費拡大とPRの関係ですけれども、全共で優秀な成績をとるというのが目的の一つではございますけれども、全共ですぐれた成績を収めたということをまずはPRしたいと思っております。
 全共の中では肉の審査もございますけれども、長崎和牛というのはおいしいんだということで、脂肪の交雑、さしの入り具合、肉のうま味、締まり具合というようなことについてもPRさせていただきたいと思っておりまして、そういうことも含めて、全国向けの雑誌やテレビ番組でのPRにも取り組みたいと思っております。あわせて、大消費地や県内も含めた百貨店や量販店での長崎和牛の販売促進活動にも取り組みたいと思っておりますので、そういうことを通じまして、長崎和牛の認知度向上、販売支援というのを行っていきたいと考えております。
◆前田副委員長 頑張ってほしいと思いますが、大会を成功させるのはもちろんですし、その中で優秀な成績をとるのも見えてきていると思います。
 そうしたら、その後、間髪を入れず次の対応をしていかないと、せっかくブランド力を上げたんだから、外に向けては、これは当然有効だったと思うんだけれども、県内を含めて消費が広がる、課題として主婦層の方たちに長崎和牛を買ってもらうという購買意欲までもしつながってなかったとするならば、そういうことについて、あと、観光関係をどうするのかとか、やっぱり戦略を立てて、この大会をやってよかったというか、それでぐんと長崎和牛の消費も伸びたし、畜産の人たちの励みにもなったというような施策というか、事業展開を今後も続けてほしいと思うので、そのことについて、また次の議会ぐらいでも、関係担当部もあるでしょうから、協議をしながら、提示をしていただきたいと思います。
 最後にしますけれども、いろんな業界の新聞を読んでいたら、宮崎県が全国で初めて、農業高校と農大の一貫教育の検討を始めたということを見ました。今回、農業大学のああいう痛ましい事件があった中で、そのことはきちんとケアして、今後も教育環境を整えていってほしいと思いますが、これを機に、農業大学の必要性というのを再認識されたところで、もう一飛び、この大学をもっと伸ばすため、専門性を高めるためには、宮崎県が取り組みつつある農高と農大の一貫教育の検討を本県でも行うべきだと思うんですが、そのことについての見解をお尋ねいたします。
◎中村農業経営課長 今、委員からご提案がありましたのは、宮崎県が去る8月29日に、県立高鍋農業高校と高大連携に関する協定を結ばれたということでのお話だと思っております。
 この協定では、農大と農高の相互の教育にかかる連携、交流を通じて、学生及び生徒の視野を広げ、相互の教育の活性化、それから、5年間一貫教育を確立することで、県の農業の優秀な担い手を育成するというのが目的になっておるというふうに伺っております。
 私たちも、活性化計画の中で、自営就農者のの育成といったものを大きな目標に掲げております。この一貫教育といったことでは、農高で意欲の高い自営就農者を5年間の計画の中でしっかりと育成するという考え方があると思っております。そういうことですので、活性化計画の方向性とも合致するものでございますので、今後、農大のあり方を検討する中で、この宮崎での状況もご確認させていただきながら、本県の教育庁とも十分連携をして、検討させていただきたいと思っております。
○前田副委員長 委員長を交代します。
◆山田[博]委員長 質問通告に基づいて質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、米国産牛肉の輸入緩和による本県の畜産業への影響についてということで、ご存じのとおり、今度、全国和牛能力共進会が長崎県で行われるわけですが、米国産牛肉の輸入緩和ということで、今、取組をされているということで、実際、米国産牛の月齢制限を、20箇月齢以下から30箇月齢以下に引き上げたということで、規制緩和したということで、実際、これが今回、配合飼料の値段の高騰もあるものですから、大きな打撃になるんじゃないかと。
 そこで、この輸入緩和について、どのくらい長崎県の影響があるのか、事前に調査していただきたいということを話していましたけれども、その結果を教えていただけますか。
◎松本畜産課長 米国産牛肉の輸入に関するお尋ねですが、現在、食品安全委員会のプリオン専門調査会というところが、委員長がおっしゃいました条件について条件緩和という答申が行われて、今、パブリックコメントがなされている段階で、今後、その結果を踏まえて、厚生労働省の方で輸入の緩和をするかどうかの正式決定があるというふうになっています。
 そういう段階で、農林水産省の方にも確認したんですけれども、まだ正式決定ではないので、米国産牛肉の調達が、今後、輸入が緩和されたら、現在よりは調達が容易になるというふうには考えるけれども、具体的にどういうふうな影響になるのか。現在、輸入肉の大半は、豪州とか、ニュージーランドとかですけれども、そういうところの産地の変化は若干あるでしょうけれども、結論的に言うと、まだそういうことがはっきり、どういうふうになるか、予断をもってお答えすることはできませんよということでした。
 そういう状況ですので、県の方でも、長崎県にどういうふうな具体的な影響が出るのかは、まだ判断するのは難しいと考えております。
◆山田[博]委員長 これは、畜産課長、今の状態であれば、こういうふうな流れでいくのはわかっているわけですね。そうすると、簡単に一言で言いますと、県としては、規制緩和によってどういった影響額が出るかというのは、試算のしようがないということなんですか。それだけでいいんですよ。しようがないんだったらしようがないけれども、できるんだったらできるで、しっかり答えてください。
◎松本畜産課長 県独自で米国産牛肉の輸入緩和の影響を試算するのは困難と考えております。
◆山田[博]委員長 困難だと。そうすると、一定の影響は出るということで、何らかの対策は考えないといけないということを県は思っているのか、思っていないのか、それだけ聞かせてください。
◎松本畜産課長 当然、影響が出ることもあり得ると思っていますが、しばらくの間は、輸入産地の状況とか、豪州産がまた米国産に変わっていくのか、そこら辺をしっかり見極めた上で、輸入が増えるとか、そういうことで国産牛肉に影響が出るようなことが明らかに予測できるような場合は、対策として政府への要望とか、そういうものもしっかり実施していくよう考えております。
◆山田[博]委員長 予測できるか、誰だってわかるじゃないですか。要は、国の動向じゃなくて、よろしいですか、畜産課長、全国和牛能力共進会が長崎県で行われるわけですよ。それで、こういったことが予想されるからですね。
 だって、考えてみてくださいよ。アメリカから言われてやっているわけですよ。なんでかというと、日本という市場が、アメリカにとって魅力があるから来るわけですから。魅力がなかったら、引き上げなんかしないんですよ。
 畜産課長、もう一度お尋ねしますけれども、これは、影響が出るというのは予測じゃないんですよ。影響は出るんです、間違いなく。事前に対策を、平成25年度に向けて対策をとっていく意向があるのかないのか、それだけお答えください。
 ないことはないんだから、あるのは間違いないんだから。なぜかというと、その裏づけとして、アメリカは、日本という市場に魅力があるから出すんだから。魅力がなかったら、出すわけないんだ。小学生だってわかるよ、こんなことは。その対策をやるか、やらないかだけ、検討するか、しないかだけお答えください。
◎松本畜産課長 影響ですけれども、牛肉にはいろんな種類がありますし、牛肉の部位でもいろいろあるわけですけれども、米国産が増えれば、どういうふうな分野の牛肉に影響が出るか、正直まだ予測が難しいところがございます。それで、しばらくはそこら辺の状況をしっかり注視した上で、はっきりした影響が出そうな状況とか、そういうことがわかれば、しっかりした対応をとっていきたいと思っています。
◆山田[博]委員長 そういったことを聞きたかったわけですよ。
 これは、はっきり申し上げて、畜産農家の方は、ものすごく戦々恐々としているわけですよ。加えて、その上にまた輪をかけて、今、アメリカの方では、トウモロコシが干ばつでものすごく値が高騰しているということで、今、配合飼料の安定化基金の枯渇が噂されているわけです。実際、配合飼料の基金が全国的にも枯渇していると、この補填を含めて、長崎県として今どういうふうな取組をしていこうとしているのか。
 これは、さっきのと違いますからね。実際にもうなっているんですからね。お答えください。
◎松本畜産課長 委員長お尋ねの配合飼料価格につきましては、ちょっと状況を申しますけれども、アメリカの方が近年にない干ばつ等で、8月、9月前半まで非常に品不足で、値上がりが大変心配されておりまして、実際、10月以降の配合飼料価格につきましては、各メーカーが4,500円から5,000円前後の値上げをすることを決定しております。
 これがそのまま畜産農家の負担増になれば、大変な痛手になるわけですけれども、国の方で配合飼料価格安定の制度がございまして、今回、5,000円の値上げに対して基金を発動して、その結果、実質的には農家の実際の出費が約250円ほど下がるぐらい、大幅に基金を取り崩して、対策を講じていただきました。
 ですから、現在は農家への大きな影響は回避できたんですけれども、今後、トウモロコシとか大豆とかの市場の動向をよく見極めながら、農家の対策としてまだ不足するというふうに思った場合は、またさらなる要望とか、そういうものを考えていきたいと思っています。
◆山田[博]委員長 今の状態が続けば、この基金というのは大体いつごろ枯渇するというのを県として予測しているのか、それをお答えください。
◎松本畜産課長 今回発動された基金は、飼料高騰時の基金でございまして、異常補填基金ということで、現在310億円ほど基金残があるんです。310億円ございますから、本年度いっぱいの発動は十分可能と見込まれます。
 来年度以降につきましては、今後、政府の方でも、どれくらい基金を積み増すかとか、そういうふうな話にもなると思いますので、枯渇しないように政府への要望等を行っていきたいと思います。
◆山田[博]委員長 国の方が基金をする、これは、農家の方にも負担がありますよね。この配合飼料の安定化基金というのは、枯渇した場合には、農家の方も一定の負担がありますよね。そうしたら、その場合に長崎県としては、その負担の軽減を考えているのか、考えていないのか、取り組んでいく姿勢があるのか、ないのか、それをお答えください。
◎松本畜産課長 お尋ねの配合飼料価格安定制度のことですが、実は基金が2段階になっていまして、1段階目の通常補填基金というところは、加入している畜産農家の負担がございます。今回は、通常の基金の残が少ないものですから、もう一つ、最後のセーフティネットということで、異常補填基金ということで、この異常補填基金は、国と配合飼料メーカー、この2つで2分の1ずつ補填しています。ですから、今回は、農家の負担は増えないということでございます。
◆山田[博]委員長 わかりました。
 では、そういうことで、お尋ねしますけれども、年度内いっぱいは大丈夫ということですね。(「はい」と呼ぶ者あり)わかりました。
 次に、中山間の地域直接支払制度についてお尋ねしますけれども、これは、今、直接支払制度が平成12年から始まって、平成22年までの累計をもらいました。この中で、要するに、対象農地が大体10万5,000ヘクタールあって、交付面積が7万3,000ヘクタールありました。そうしたら、残りが3万2,000ヘクタールあるわけですね、平成12年からずっとすると。もう一度言いますと、平成12年から平成22年までに、対象農地の面積というのは大体10万5,000ヘクタールあって、交付面積は、平成12年から平成22年までの10年間で7万3,000ヘクタールあった。そうしたら、差し引きの3万2,000ヘクタールができなかったと。この差額がどれぐらいになったかというと、57億円が交付されなかったことは間違いございませんね。お答えください。
◎木下農政課長 今ご指摘の額につきましては、私の手元の額と若干違いますが、累計すれば、基本的にその程度の額になっているということは間違いないと思います。
◆山田[博]委員長 若干というか、私はざっと言ったわけです。だって、これは農林部の方からいただいた資料なんです。
 もう一つ、確認の上で、マスコミの方もしっかりとメモしておいてくださいね。これは大きな問題だから。もう一つ、これは離島の対象面積は、壱岐、対馬、五島、小値賀を含めたら、平成22年度で1,111ヘクタールあったんです。実際、交付農地面積は785ヘクタールしかなかった。つまり、お金をやった面積は、平成22年は、平均すると71%しかなかった。同じく平成23年、中山間の対象面積は、壱岐、対馬、五島でしたら、大体2,445ヘクタールで、交付面積は2,138ヘクタール。つまり、87%しかなかったと。
 私は何が言いたいかというと、壱岐、対馬、五島という離島は、中山間直接支払いの対象面積がぴしゃっとなっているにもかかわらず、実際にお金を払われていない面積がこれだけあったということですよ、パーセンテージから言うと。これは何でこういうふうになったのか。
 先ほど私が言ったのと、県内の全地域でもこれだけあったんです。平成12年から平成22年だけで、対象面積が大体10万5,000ヘクタールあって、実際に交付されたのは7万3,000ヘクタールしかなくて、実際、57億円のお金を払ってなかったと。要するに、農家の方がもらえるお金が、実際はそれだけありながらもらえなかったと。これは、なんでこういうふうになったのか。
 離島だって、直接お金をもらえる交付面積は、実際、平成22年では71%しかなかったんです。ただ、五島なんかは、中山間のこれで言ったら、対象面積の33%ですよ。やっと今は上がって、83%に上がったんです。なぜこういうふうになったのか、その理由をお答えください。
◎木下農政課長 ご指摘の対象農用地と実際の交付面積の差の問題ですけれども、対象農用地は、市としての基本方針のもとで、中山間直払いが、集落が、1ヘクタール以上の団地があるとか、そういうようなことをもとに把握をしました数字でございます。
 その中で、それがなぜ100%の交付にならないかというところですが、現実、集落に入ったところ、一般的に一番多いケースは高齢化の問題、あと、この直払いは一定の事務負担といいますか、役員の方などは事務を行う必要がありますが、そういう事務の問題とか、あるいは全体をまとめるリーダーの方がいないとか、そういうようなことがあって、結果としては協定に至らなかったというようなことで、こういう差が出てきております。
 委員長ご指摘のとおり、五島において平成22年度が非常に厳しい数字、33%でございますが、離島の平地などが対象になった平成23年度からは、その分は積極的に取り組みまして、五島においても83%まで上がったというような状況でございます。
 いずれにしても、先ほど言ったような問題点を解決して、実際の交付の面積を増加させていきたいと考えております。
◆山田[博]委員長 この担当の次長はどなたかな、加藤次長ですか。
 確かに、農政課長が言われたことはあったと思いますよ。これは、行政の取組姿勢が問われているんですよ。例えば、農地利活用推進室長、今日、陳情書があったでしょう、43番のこれ。「五島市蕨町福見地区の農業振興地域の指定について」ということで。これは、中山間地域の支払対象になっていないから、こういうふうに要望がきたわけだよ。
 つまり、何が言いたいかというと、皆さん方は頑張っていますけれども、もうちょっと、市町の取組姿勢が問われているわけだよ、これは。要するにここは、この前の陳情書に回答をいろいろもらえば、市から上がってこなかったと。県はわからなかったんですよ、市から上がってこなかったから、農地利活用推進室もわからなかったと。第二のふるさとの五島市の状況がわからなかったと。農地利活用推進室長が五島市農林課長であったにもかかわらず、それでも知らなかった。
 これは、農林部として深く反省して、この交付面積を、対馬市は100%ですよ。対馬市、小値賀町は100%なんですよ。なんで壱岐市と五島市は、平成23年度は73%と83%。実際、平成23年度は交付面積で87%になっていますけれども、金額としてどれぐらいになりますか。すぐ出ますか。
◎木下農政課長 いわゆる対象と実際の交付との差でございますが、平成23年度で約3,670万円でございます。
◆山田[博]委員長 ということは、これが100%だったら3,600万円ぐらいのお金をもらう予定だったのが、農家の方々がもらえなかったということですね。本来だったら、100%もらえるのが、3,600万円を農家の方がもらえなかったと。この原因というのは、農政課長、しっかりと関係市町と協議して、改めて100%きちんともらえるように。だって、対馬や小値賀はちゃんともらっているんですから。対象としてしっかりやっているんですから。農林部長、100%とは言いませんが、少なくとも95%ぐらいに最大限に努力していただきたいと思いますよ。それだけ最後にお答えください。
◎上田農林部長 この中山間地の直接支払交付金、これは、対象農用地があれば全員に交付できるというものではございません。あくまでも、そこの集落が環境保全活動という活動、実際の活動を協定を結んで5年間行っていくと、これが前提になっております。いわゆる通常の所得補償的な考えではなくて、活動経費に対して助成をするという考え方になっております。
 そういった意味で、どうして今、委員長がお話しになりました、集落によっては5年間続けることができない、あるいは集落内での合意形成が図れないということで協定を結ぶことができないという中で、そのすき間で申請が上がってきていない部分というのもあろうと思っております。そういった意味では、まずはそこをしっかり立て直していくことが大事だろうと思っております。
 中山間地域の直接支払交付金の配分率を高めるという観点よりも、そこの集落の将来の担い手、先ほど来ずっと申し上げております、高齢化に対応する担い手増、あるいは集落営農組織、受託組織、そういったものでその集落を補完していく、そういった話し合いを続けて形をつくる。その上でこの交付金制度が有効活用されるものと思っておりますので、まずは、今の人・農地プランを含めた取組、これを重点的に進めていきたいと考えているところでございます。
◆山田[博]委員長 農林部長、私もそれは理解しているところなんですよ。しかし、理解していて、私が聞くところによると、農政課長、離島に限っては条件緩和がされているじゃないですか。本土だったら、それはわかるんですよ。今、離島に限っては、対象面積にしても条件緩和がされているわけだから。その条件緩和をされているというのは、まだまだ現場の市町とか地域の方がご理解していないところがあるから、実際これが出てきているんですよ。
 小値賀と対馬で100%できて、五島でできないわけないんだから。そうでしょう。同じ離島で、地域によってはいろいろあるでしょうけれども、対馬ではきちんとできているんだよ、100%。農林部長が言われていることに百歩譲ったとしても、実際、小値賀や対馬では100%やっているんですよ。こうなると、もうちょっと市町で頑張ってもらえないかとなると思うんですよ。
 確かに、農林部長の言われるのは一理ありますし、農政課長、しっかりそれをやっていただきたいと思うんです。いろいろと諫早湾干拓の問題で大変でしょうけれども、こういったのもしっかりとやっていただきたい。
 続きまして、高品質乳用牛導入事業に係る現地調査の結果ということで、これは、契約をしてちゃんとやっているかどうかということで、要するに、きちんとした文書を交わして牛を購入しているか、購入していないかというのは、高品質乳用牛導入事業に係る現地調査をしたわけですけれども、時間もありませんので、これはその後、ちゃんと契約を交わしてやっているということで理解していいんですかね。
◎松本畜産課長 委員長お尋ねの件につきましては、前回の委員会で現地調査を行うようにということでしたので、平成19年度から平成23年度の5年間、延べ1,003頭の乳用牛導入事業について現地調査を行いました。
 その結果、導入にかかる委託購買におきまして、一部に書面での証拠書類が確認できないケースがございましたので、今後は文書化を徹底するよう酪農組合を指導しました。
◆山田[博]委員長 ぜひ強力にしていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 最後に、農村整備課長にお尋ねしたいんですけれども、この前、委員の皆さん方に賛同していただきました、長崎県の土地改良区連合会の総決起大会をしましたね。その後、当委員会でも、私たち委員長、副委員長が、委員の皆さんにご理解いただいて、東京まで陳情に行きました。あれだけ一生懸命陳情して、鉢巻きをして一生懸命やった、その結果というのはどういうふうになっているのか。高比良(末)委員のご理解をいただいて、農林水産省にも政府にも要望したんですけれども、その経過、状況というのを説明していただけませんか。
◎林田農村整備課長 県議会等のお力をいただきまして、本当にありがとうございます。
 9月に来年度の概算要求が公表になっております。その中で農業農村整備予算を見ますと、平成24年度の予算2,129億円が、平成25年度、来年度は、日本再生戦略の特別重点枠を含めまして、2,428億円、対前年度比114%、約299億円程度増えております。
 ご存じのように、この農業農村整備予算は、平成22年度より大幅に減りまして、交付金化されております。この農業農村整備予算の大部分は、国営事業とか国営の関連事業、こういう事業に今まで使われておりまして、当県のように国営のかんがい排水事業等がない県におきましては、大変使い勝手が悪い予算でございました。当県の場合は、この農業農村整備の補助予算ではなくて、一括交付金をかなり使っておる状況でございました。
 こういう中で、全国からの要望、それから、先ほども委員長がおっしゃいましたように、長崎県の県議会等が強く要望していただきまして、そういう要望がございまして、農林水産省本省としましても、国営事業がない県においても使えるような予算を今回組んでいただいております。
 具体的に申しますと、6次産業化の取組を推進するための基盤整備予算ということで、予算額として175億円、先ほど299億円ほどに増えたということを申しましたけれども、この約6割ほどをこの予算で増やしていただいております。国としても、大変力を入れていただいておるわけでございます。
 ただし、この事業の実施要件としまして、6次産業化に向けた取組計画を有することとなっておりまして、6次産業化につながる計画をつくる必要があるのではないかと考えております。
 ただし、現時点では詳細な要綱、要領等が定められておりませんので、当県の実施中の基盤整備地区に使えるかどうか、現時点ではっきりわかりませんけれども、当県としましても、できるだけこの予算を何とか使えるように検討したいと考えておる状況でございます。
◆山田[博]委員長 農林部長、これは、土地改良区連合会と当委員会として、長崎新聞でも、委員長、副委員長、土地改良区連合会の方々が鉢巻きをしているのが写真に載って、頑張っている姿で、地元に帰ったら大変喜んでいただいたわけですよ。
 そうしたら、ある程度めどが立って、今、175億円が新規にできていると。しかし、これは6次産業化と、これが長崎県に使えるか使えないか微妙なところですと、ここが最後の詰めですね。要するに、言うでしょうが、「選挙は、投票箱を閉めるまではしっかりやらんといかん」と。それで、徹底的にやらないといかんから、国の規定に合わせるんじゃなくて、長崎県の実情に合わせたものにしてもらわないといかんわけですよ。諫早湾干拓の干拓は干拓、土地改良区は土地改良区、私は今まで遠慮しておったわけですよ。これがある程度めどがついたから、じゃんじゃんこれからやっていこうかなと思っている、両方ですね。この土地改良区の予算の件があったから、諫早湾干拓の件ではちょっと言いにくい点があったんですけれども、大体めどがついたから、あとは言いたいことを言えるなと思ってですね。
 しかし、最後の詰めがあるから、農村整備課長、これは長崎県として使えるようにしないといけないものですから、そこはしっかり要望しないといかんと思うんですけれども、農林水産省から来ている政策監、いい知恵をいただいて、これはやらないといかんからですね。予算はつくった、鉢巻きはしたけど、長崎県に一銭も落ちないとなったら意味がないですから、いい知恵というか、やってもらって、今後しっかりと。
 国に合わせるんじゃないんですよ。長崎県に合わせてもらわないといかんのですよ。どうでしょうか、これは。答えていただきたいと思うんですけれど。
◎鈴村農林部政策監 山田(博)委員長に行っていただきまして、厳しい予算をとっていただいたということでございますし、ぜひ6次産業化という新しい制度を長崎でうまく使えるように、本省にも物申すととともに、うちの方で工夫しながら、何とかうまく使えるようにやっていきたいと思います。
◆山田[博]委員長 農林部長、もう一回、大変申しわけございませんけれども、農村整備課長とか政策監と、長崎県として使える制度設計にしてもらいたいと言っていただきたいと思うんですよ。国に合わせて金太郎あめみたいだったら、長崎県ではやっぱりだめでしたというのでは、これは元も子もないから、何のために鉢巻きをして、衛士から止められて、注意された中でも強引にやったか、意味がないから、農林部長なり農村整備課長、そういうふうにしっかりと国に、国に合わせるんじゃなくて、長崎県に予算がとれるようにしてもらいたいと。委員会でこういった議論があったと、場合によっては、また県議会でも行くなりするし、まずは、先陣を切って農林部の方で国と協議してもらいたいと思うんですけれども、いかがですか。
◎上田農林部長 まず、国の状況を確認させていただきたいと思っております。概算要求の後、もう財務折衝に入っている段階だろうと思っております。
 そういう中で、この6次産業化というのをどういう視点で捉えるかという考え方になってこようと思っておりますので、農家の方が自ら立ち上げてやりますよという狭義の6次産業化では、なかなかこれは広がっていかないと思っております。活用のしがいがないと思っております。いわゆる農商工連携もひっくるめた大きな意味での活用の仕方、あるいは6次産業化以外での特徴づけ、こういったものも取り入れてほしいという話は、国の方にしていかなければいけないと思っております。
 段階的に、今、財務折衝の中でどの段階かがまだ読めておりませんけれども、そこは、こちら側の気持ちは伝えさせていただきたいと思っているところです。
◆山田[博]委員長 農村整備課長、これは大事な予算で、最後の詰めですからね。ここでとれなかったら意味ないんですよ。何のために、私は衛士から2回、3回も注意されながら、鉢巻きしながらでも副委員長とやったか、意味がないですから、徹底的にやらないといかんものですから、農村整備課長、後から途中経過なり、しっかりと報告して、場合によっては、また議会として何らかの手段をとれるように、委員の皆さんのご理解とご協力をいただきながら、させていただきたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
 終わります。
○山田[博]委員長 委員長を交代します。
 委員の皆さんにおかれましては、一通り終わりましたが、時間がまだありますので、委員の皆さんで何かご質問がありましたら、言い残していることがありましたら、どうぞ。
◆前田副委員長 アンテナショップについては、水産部の議案外でも審査があっておりますので、端的で結構なんですが、まだまだこのアンテナショップを自立させるために売場の拡張が必要だと思っているんですが、その考え方について一点お答えいただきたいのと、アンテナショップに商品を出すまでの手続について、少しご説明いただきたいんです。
 なんでこういう質問をするかというと、私の周りにも出したいという人がいるんですけれども、条件とか、途中のどういう形をやっていけばいいのかがよくわからないのと、これは伝え聞くところだけで恐縮なんだけれども、取扱手数料というか、中間マージンがちょっと高いんじゃないかという指摘があっているんですが、このことも含めて確認させてください。
◎園田農産加工・流通室長 長崎空港の農水産物アンテナショップの件です。
 まずは、売場の関係です。8月にオープンしましたけれども、現在の売場につきましては、店舗を運営しております、農業で言いますと全国農業協同組合連合会長崎県本部、水産で言いますと長崎県水産加工振興協会というところと、あわせて県もですけれども、長崎空港ビルディング株式会社とずっと協議を重ねてまいりまして、協議の結果、今の場所につくりましょうということになりました。あの場所自体が、空港の2階で空港利用者が一番通る場所にあるということで、利便性も高いんじゃないかと、また、農水産物のPRをするのにも効果的な場所ではなかろうかということで、あの場所で現在営業を行っております。
 今後、営業の状況、来店客の状況、売り上げの状況、そういうところを見ながら、売場が今のままがいいのか、それとも副委員長がおっしゃるような形にできないのかというのは、検討はさせていただきたいと思っております。
 ショップでの商品の取扱いですけれども、先ほど申しました店舗を共同で運営しております全農長崎と水産加工振興協会の方に、商品をあそこで出したいという方がおられましたら、そこに相談といいますか、提案をしていただいて、その後、店舗運営業者との調整ということになると思います。また、私どもの方に申し出ていただければ、私どもの方からおつなぎをさせていただくということも可能ですので、そういうやり方をやっていただければありがたいと思います。
○山田[博]委員長 ほかにありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○前田副委員長 委員長を交代します。
◆山田[博]委員長 先ほど農政課長、中山間の直接支払制度の平成22年、平成23年は大体わかったんですけれども、平成24年の方は、交付農地面積というのはまだ出ていないんでしょう、金額とかなんとかは。出ていますか。
◎木下農政課長 確定ではありませんが、一応概算で出しました。(「パーセンテージを教えてください」と呼ぶ知りあり)90%でございます。
◆山田[博]委員長 五島市は90%ですけれども、あとの対馬とか壱岐とか小値賀とか、確定した時点でまた教えてもらえませんか。
 要は、何が言いたいかというと、県の方は一生懸命頑張っていても、やっぱり各市町で明らかにわかるわけだよ、取り組みの姿勢というのは。だって、平成22年度、これができた時点で、対馬は100%だから。小値賀は97%ですよ。私の地元の五島は33%。やる気のなさというのがわかって、これはしっかりと取り組むように、農政課長もしっかりと、いろんな問題があると思うんですよ。しかし、5年のうちにいろいろ緩和はありますけれども、その同じ条件でありながら、同じ離島でも、いろんな条件は違うとしても、100%というのは大きいですよ、取組姿勢がね。そこは、農政課長、関係市町の担当者としっかり話をしながら取り組んでもらって、また、次の委員会の時に、それを報告してもらいたいんですけれども、よろしいでしょうか。それだけお答えください。
◎木下農政課長 今年度の取組につきまして、11月の議会の方でご報告したいと思います。
○山田[博]委員長 委員長を交代します。
 ほかにございませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 ほかに質問がないようですので、農林部関係の議案等の審査結果について整理をしたいと思いますので、よろしくお願いします。
 しばらく休憩いたします。
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     −午前11時48分 休憩−
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     −午前11時50分 再開−
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○山田[博]委員長 委員会を再開いたします。
 議案外ですが、まず、全国和牛能力共進会については、今後とも積極的にPRに努め、大会を成功に導いてもらうようにということでまとめまして、農業大学校の学生の不祥事及び職員の死亡事件についてでございますが、これに関して、今後はさらに学校側と行政側とで、学生が安心して学べる環境づくりに取り組んでもらいたいということと、最後に、学校給食用牛乳の完全地産地消についてですが、今後もさらに万全の体制で取り組んでいただきたいということにしまして、あと、文言等は正副委員長に一任ということでよろしいですか。
     〔「正副委員長一任」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 それではそのようにします。
 それでは、午前中の委員会はこれにてとどめ、午後1時30分から「諫早湾干拓開門に係る国の回答の問題点について」及び「諫早湾干拓調整池のアオコ対策について」の集中審査を行います。
 しばらく休憩いたします。
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     −午前11時51分 休憩−
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     −午後1時31分 再開−
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○山田[博]委員長 委員会を再開いたします。
 これより、「諫早湾干拓開門に係る国の回答の問題点について」の集中審査を行いたいと思います。
 この諫早湾干拓の問題についてでございますが、10月9日に、九州農政局に改めて諫早湾干拓の問題について誠意のある対応を国に求めるための抗議を行う上でも、ぜひ皆様方には、改めて国の回答の問題についてまた抗議文をつくりたいと思いますので、そういった点で集中審査を行いたいと思います。
 まず、諫早湾干拓課長に説明を求めたいと思います。
◎宮崎諫早湾干拓課長 環境アセス準備書に対する長崎県意見への国の回答における問題点、それから、環境アセス評価書に対する環境大臣の意見及び国が実施しました公共測量についてご説明させていただきます。
 それでは、9月10日に農林水産大臣に提出しました意見書の内容につきまして、まず説明させていただきたいと思います。
 お手元の「諫干資料1」をご覧いただきたいと思います。
 こちらの資料では、裁判の動き、アセスの動きなどを時系列で整理しております。
 まず、2ページでございますけれども、環境アセスにつきましては、去る5月11日、地元、県、市は、準備書に対する多くの課題を106項目にわたり意見書として提出し、国の対応を求めてきたところでございます。
 これに対しまして、去る7月28日に郡司大臣が来県されまして、地元の意見に対する見解を示されましたが、依然として地元の意見が反映されておらず、多くの課題が残されたままであり、評価書を取りまとめる段階には決して至っていないものでございました。
 したがいまして、本県からは、8月2日に評価書の作成に入らないでいただきたいと要請しておりましたが、去る8月21日に評価書が公表されております。
 本県といたしましては、国の対応を見直していただく必要があることから、国の見解につきまして、内容を十分に検証、精査し、意見書として取りまとめ、冒頭申し上げました9月10日に、県議会議長、諫早市長、諫早市議会議長、雲仙市副市長、雲仙市議会副議長並びに地元団体の代表者の方々とともに、県意見書を郡司農林水産大臣、横光環境副大臣に提出したところでございます。
 次に、意見書の内容につきまして、「諫干資料2」でご説明させていただきたいと思います。
 まず、1ページでございます。
 1点目といたしまして、国のアセス準備書からは、開門しても流速等の変化は諫早湾内にとどまり、有明海全体の環境改善につながる具体的効果が期待できないことが、科学的・客観的に明らかとなっております。
 開門の受け入れの判断といたしまして、菅前総理は「有明海の再生を目指す」ためとされ、郡司大臣も、諫早湾干拓事業検討委員会座長といたしまして、同様の報告をされております。そうであるならば、開門しても有明海の再生につながらないことが明らかになった以上、開門する意義は既に失われていると言わざるを得ません。
 また、2点目といたしまして、開門により諫早湾及び調整池が魚介類の産卵や成育の場となる可能性があるとの国の見解が示されましたが、アセス準備書では、よい影響はごくわずかであり、いずれの開門方法でも、濁り等による悪影響の予測結果が示されていることからすれば、総合的に見れば、諫早湾・調整池が魚介類の産卵や成育の場としては悪くなると評価すべきであります。
 準備書では、諫早湾におけるケース1では、シバエビ、アカシタビラメの2魚種が、底層の溶存酸素量が増加することで、生息場が改善する可能性があるとされておりますが、一方、8魚種につきましては、資源量が減少するとの評価がされております。その他のケースでは、改善されるという評価はなく、資源量が減少するという評価になっておりまして、全体的な評価といたしましては、むしろ悪くなると評価すべきであります。
 また、次の2ページと3ページでございますが、7月28日の大臣の説明では、シバエビ、アカシタビラメ、スズキ、コノシロの4魚種につきまして、よい方向の影響が生じる可能性があるとの説明がありましたが、評価書におきましても、2ページのケース1におきましては良くなる可能性が示される一方で、悪くなると思われる影響が漁業、生態系に多く示されております。
 3ページをお開きください。
 ケース3−2においては、スズキを除けば、良くなる可能性は書かれておりません。スズキにしましても、生息域である分布域や漁獲場がかわるだけで、有明海の資源量や漁獲量の増ではないことから、有明海の再生につながるとは言えず、悪い影響だけでございます。
 これらを踏まえると、良くなる可能性よりも、悪影響の方が大きいと思わざるを得ません。
 次に、4ページでございます。
 3点目といたしまして、国は、9名の専門家の助言を得て、現時点で得られる最大限の科学的知見や最新のシミュレーションに基づいて、予測・評価を行っているとのことですが、アセス準備書に記載された専門家の助言の中には、魚介類の生息環境の改善に否定的な意見も出されております。にもかかわらず、なぜこれら専門家の助言は反映されていないのか、これら専門家の助言を反映すべきであります。
 次に、4点目といたしまして、国は、漁獲対象種の分布域の把握につきまして、120の漁家を対象に行った漁業の実態調査の結果と、既存文献等から得られる知見を根拠としております。しかしながら、調査した120の漁家数のうち、諫早湾内の漁家はわずか11しかなく、それ以外は湾外の漁家であるにもかかわらず、なぜ対象種の魚介類が諫早湾で生息しているとわかるのか、根拠を示すべきであります。
 さらに、生息分布で用いられた文献は、学研生物図鑑など、有明海、諫早湾における魚類の分布や生態以外のものが多く含まれており、有明海、諫早湾に適合するのか、検証をすべきであります。
 次に、5ページでございます。
 3点目といたしまして、いずれの開門方法におきましても、地元に影響・被害が生じる結果となっておりまして、開門の影響を比較衡量すればマイナス要因がほとんどでありまして、開門すべきでないと言わざるを得ません。
 次に、4点目といたしまして、環境省の調査によれば、有明海の潮汐振幅は、18.6年周期の月の引力の変化による影響を受け、変化しており、開門しなくても、今後2015年に向けて潮汐振幅を増大させ、有明海湾奥の貧酸素水塊を緩和させることが示唆されており、むしろ開門する前にその効果を生かした有効な対策を講じるべきであります。
 次に、5点目といたしまして、国の見解のほとんどがケース3−2による開門方法を前提としたものでありますが、アセスの手続途中であることからすれば、すべての開門方法を想定した対策を検討し、回答されるべきであります。
 また、ケース3−2でとどまることが、最終的には全開門を求めている判決の原告との間で合意されているのか疑問であり、合意されたものでないなら、なおさらすべてのケースについて回答すべきであります。
 次に、6ページでございます。
 6点目、防災についてでございますが、まず、国が示している防災対策は、諫早湾干拓事業が果たしている100年確率降雨に対応した地域の防災水準が引き下げられたものになっております。近年、突発豪雨が各地で頻発しており、5年間だからという理由で地域の防災水準を引き下げることは認められません。
 2点目につきましては、吾妻の山田川河口部の堤防におきまして、国は、波の打ち上げ高まで考慮した堤防のかさ上げは必要ないとしておりますけれども、国交省の河川砂防技術基準によれば、「河口部は、河川側と海側の両方の条件を総合的に考慮して行う」とされておりまして、背後地に整備されております住宅地を守るためにも、基準に従い、かさ上げ等の対策を行うべきであります。
 3点目といたしまして、国は、既設堤防の2箇所の安定計算を行い、所要の安全率1.3が満たされていることを確認したということですが、森山町の旧干拓堤防は、完成後から0.5メートル、50センチも沈下していることや、過去の安全率の記録からすれば、全体的な安全性が確認されたものとは言えません。すべての既設堤防につきまして、慎重かつ詳細に安全性を確認の上、対策を検討すべきであります。
 4点目といたしまして、樋門管理につきまして、国と地方との役割分担について協議したいとの回答があっております。潮受堤防の閉め切りにより、地元では、昼夜を問わない危険な樋門管理から解放されており、今ではこれをやれる管理体制は失われています。これを再び地元へ押し付けることは、決して認められません。
 また、資料にはございませんけれども、去る9月17日の台風16号の襲来時には、諫早市におきまして、高潮被害が発生いたしました昭和60年8月の台風13号、この時の最高潮位を上回る潮位を観測しております。また、県内各地では、高潮による道路の冠水や建物への浸水被害があっているにもかかわらず、調整池内では高潮、高波による被害は全く発生しておらず、潮受堤防の防災効果が確実に発揮されております。
 次に、7ページでございます。
 7点目、農業への影響でございます。まず、1点目でございますが、国は、深さ約300メートルの長崎火山岩類からの取水につきましては、既存井戸が取水している深度約100メートルの洪積層の帯水層とは、地下水位の測定結果から、難透水性の層を挟んでつながっていないと考えられ、地盤沈下などのおそれは小さいとの見解ですけれども、実際には、深さ300メートルの長崎火山岩類までのボーリング調査を行っておらず、国が測定いたしました2つの井戸は、約2キロメートル離れているにもかかわらず、水位差はわずか約1メートルしかなく、不透水層があるとの根拠にはならないとの専門家の指摘があっております。むしろ専門家からは、諫早市の深さ300メートルの工業用水井戸の柱状図をもとに、採取地点と上部未区分洪積層との間には不透水層はないと、深さ約300メートル付近は凝灰角礫岩であり、亀裂が多く、水が集まりやすいことから、上層の水を引き込みやすく、過剰揚水により地盤沈下が生じやすいとの指摘があり、地下水案を採用することは決して容認できません。
 また、国は、農業用水の必要水量につきまして、新干拓地について、過去の使用実績が最大でありました平成21年9月のデータをもとに、日量8,800トン、年間42万トンを確保する、平成21年9月には、昭和51年以降、最も雨が少ないことから、相当の干ばつに対応できる水量を確保しているとしております。
 しかしながら、新干拓地は作付が拡大していること、平成21年は干ばつ年ではなかったこと、9月は播種期で、水を多く使う月ではないこと、平成21年9月の実績でも、5日間にわたり8,800トンを超過した実績があることからすれば、日用水量、年間用水量ともに、十分とは言えません。農業用水の確保が営農の生命線であることに鑑みれば、必要水量の検討におきましては、過去の使用実績ではなく、土地改良事業計画設計基準に基づきまして、10年確率渇水年で検討すべきであります。
 次に、2点目の塩害シミュレーションモデルの構築につきまして、国は、実際に耕作されていない土を採取いたしましてモデルを構築し、現地の調査結果とは合わないことから、飽和透水係数のみを1万倍にして合わせつけの操作を行っております。しかし、飽和透水係数が1万倍も異なる土というのは、水分保持特性も塩分吸着特性も全く異なる土であり、これではシミュレーションの信憑性が担保されていません。再度、実際に耕作している土を採取いたしまして、シミュレーションをやり直す必要があります。
 次に、8ページでございます。
 国は、背後地において塩水による湛水を認めながらも、シミュレーションも行わず、塩害は生じないとの見解を示しておりますけれども、専門家の実験結果といたしまして、塩害を生じさせるほどの高い塩化物イオン濃度の水が農地へ湛水することや、潮遊池の高い塩化物イオン濃度の水が塩分濃度の低い排水路に遡上いたしまして、暗渠を通じて圃場に浸入することを確認しております。国は、背後地の水路等に塩水が浸入しない抜本的な塩害対策を示すべきであります。
 次に、3点目の潮風害につきまして、国は、野菜よりも潮風害に強い水稲のデータで影響と対策を検討しておりますけれども、新干拓地ではすべて畑作であり、背後地も野菜等の作付が拡大しております。野菜では水稲よりも被害が倍増するおそれあることから、水稲ではなく、野菜のデータをもとに潮風害対策を検討すべきであります。
 また、潮風害対策といたしまして、国の技術基準では「4時間以内に洗い流さなければ顕著な効果は期待できない」とされているにもかかわらず、国が示す対策は、モニタリングの分析に4時間かかる上、中央干拓地だけでも散水に3日かかるローテーション散布の方法を示しておりますが、国が示しますこの対策では、到底潮風害を防止することはできません。潮風害対策につきましては、地元の実情を十分認識した上で対応すべきであります。
 また、これも資料にはございませんけれども、具体的な潮風害の事案といたしまして、去る9月17日の台風16号では、中央干拓地では、同日未明から正午過ぎにかけまして、風速10メートルを超える南東から南西の風が13時間にわたり吹き、その間の降水量は9.5ミリと少なく、潮風害の発生しやすい状況にございました。9月19日及び21日に、諫早市の高来町、そして小長井町を巡回調査した結果、閉め切り堤防の内側、つまり淡水となっている調整池に面する高来町での潮風害の発生は認められず、堤防の外側、有明海に面する小長井町では、広範囲ではないものの、海岸堤防近くで水稲、サトイモ等に潮風害の発生が確認されております。このことは、調整池が淡水となり、潮風害の発生を低減する機能を立証できる事例と考えております。
 次に、9ページでございます。
 8番目の漁業につきましては、いずれのケースで開門しても、程度の差はあれ、濁り等が発生し、諫早湾内の漁業生産に影響があることが予測されておりますが、なんら有効な対策が示されておりません。今回、8門の排水門操作によりまして濁りを穏やかにするなど、アセス以外の開門方法が示されておりますが、その効果は科学的にシミュレーションされていないため、この方法を継続するのてあれば、アセス自体をやり直すべきであります。
 また、開門時の濁りの状況により、海水導入や排水の中断をするとのことでございますけれども、そもそもこのようなことが起こり得るようでは、万全な対策とは言えません。福岡高裁の開門判決でいう「防災上やむを得ない場合」に該当するのかも疑問であります。
 最後に、9番目、生物・生態系への被害につきましては、国は、環境保全措置の具体的な整備内容や維持管理方法につきまして、今後検討していくとのことですが、ケース3−2でさえ調整池で140トン、平成14年の短期開門調査の10トンの14倍もの魚介類の死滅が予想されておりまして、これの環境への影響や生物・生態系への影響を踏まえて、実現性のある環境保全措置を示すべきであります。
 そのほかにも多くの課題が残されたままになっておりますけれども、このような問題点を指摘した上で、農林水産大臣に対しまして、「アセスについては、準備書の段階から見直していただきたい」ということを、9月10日に要請したところでございます。
 これに対しまして、郡司農林水産大臣からは、「ご指摘いただいた事項については十分検討させていただきたい。日程の都合が合えば、現場の状況も見させていただきたい。すべての立場の人にケース3−2の開門方法で話をさせていただきたい。地下水問題については、海水淡水化も検討しており、具体的な話し合いをさせていただきたい。開門問題については、自らの大臣在任中に一歩でも先に進めたい」などの話がありました。
 また、環境大臣に対しましても、いまだ評価書を取りまとめる段階には至っていないことから、農林水産大臣から送付された環境影響評価書について意見を提出される際には、準備書の段階から手続をやり直すか、あるいは不十分な評価書のままでは開門すべきではないとの意見を提出することを強く要請したところであります。
 次に、A4縦の「諫干資料4」をご覧いただきたいと思います。
 この「諫干資料4」が、先ほど言いました環境大臣からの意見について、9月25日に農林水産大臣に提出された意見でございます。
 内容といたしましては、全部で7項目の意見が提出されておりますけれども、主な意見といたしましては、まず1番目に、専門家からの意見を参照の上、調査計画及び調査結果を整理し、公表すること。また、調査項目の追加等が必要であると判断された場合は、調査計画を変更するなどの対応に努めることとしております。
 次に、5番目では、対策工の実施による周辺環境への影響に配慮し、各種環境法令を遵守し、実施することとしております。
 6番目では、評価書の予測結果と環境把握調査の結果に明らかな相違が確認された場合、原因を把握し、必要な措置を講じることとしております。
 また、7番目では、調査終了時に環境把握調査の内容を公表し、環境省の意見を求めることとしております。
 去る9月10日、環境省に対して、「開門しても有明海全体の環境改善につながる具体的な効果は期待できない。既に開門の意義・根拠は失われていること、示された事前対策は到底万全と言えるものではないこと、シミュレーション予測が不十分なものや検討途中のものが多数見受けられ、多くの課題が残されたままであることから、準備書の段階から手続をやり直すか、あるいは不十分な評価書のままでは開門すべきではない」との意見を提出していただくよう要請したところであります。
 しかしながら、この環境大臣の意見書の内容は、開門を前提としたものであり、開門調査や対策工の進め方に関するものであり、開門の意義が失われていることや、影響予測、対策工の不十分さなど、地元から指摘した環境アセスの問題点について踏み込んで検討されたものではなく、極めて残念なものでございました。
 今後、農林水産大臣は、環境大臣からの意見を勘案し、九州農政局長に対し意見を述べ、九州農政局長が補正後の評価書を公表することになりますけれども、県といたしましては、引き続き、地元の実情、開門そのものの問題点について、しっかりと国に申入れをしてまいりたいと考えております。
 続きまして、「諫干資料5」、白黒の縦の資料でございますけれども、これをご覧いただきたいと思います。
 公共測量に関してでございますけれども、公共測量に関しましては、ご承知のとおり、9月12日付で、測量法第14条に基づきまして、常時排水ポンプ等の測量設計等に係る基準点・水準点測量を実施する通知書が本県に送付されております。基準点・水準点測量は、地図作成や各種測量の基準となる点につきまして、位置や高さを正確に測定するものでございまして、公共測量として県に通知がなされれば、測量法上、形式的に問題がなければ、県は受理し、公示しなければならず、また、測量の実施を妨げた者には罰則の適用もございます。
 今回の測量の目的は、ケース3−2の開門方法を前提とした常時排水ポンプ設置と内部堤防補修のためのものでございまして、このような国の行為は、現在実施途中であるアセス手続を無視したものであるとともに、「誠意ある回答をお示ししたい」との9月10日の郡司大臣の発言とは全く異なりまして、決して容認できるものではないことから、去る9月20日に国に対しまして、知事、諫早市長、雲仙市長の連名で、農林水産大臣等に対しまして、地元の声に真摯に耳を傾け、開門準備を即刻中止するよう、抗議書を提出したところであります。
 それにもかかわらず、国は、9月25日に測量を実施するために現地に入りました。当日は、諫早市内の現地におきまして、山田(博)農水経済委員長をはじめとする県議会議員の皆様、それと諫早市議会の皆様並びに地元住民の方々から、測量実施に対する抗議がなされまして、国は、同地区での測量を中止いたしましたけれども、同じ日に、地元に一切連絡をしないまま、諫早市内の別の地区で測量をいたしております。
 国は「地元の理解と協力が得られるよう誠意を持って取り組む」とされてきたにもかかわらず、地元の理解を得ることなく、一方的に開門を進めようとする対応は、決して容認できるものではなく、改めて開門に向けた当該業務の即刻中止を10月9日に強く求めていきたいと考えております。
 開門問題につきましては、国が開門準備を進めているという厳しい状況に変わりはなく、県といたしましては、国の動きを注視いたしまして、開門による被害が決して地元に及ぶことがないよう、引き続き、県議会や関係者の皆様とともに、しっかりと対応してまいりたいと考えております。
○山田[博]委員長 ありがとうございました。
 以上で「諫早湾干拓開門に係る国の回答の問題について」説明をいただきましたので、質問はありませんか。
◆高比良[末]委員 私は、所管事項で前に1回質問しましたが、その時に触れていない面もありますので、改めて質問します。
 今回、国は、ケース3−2で、調整池の水位をマイナス1メートルに保ちながら開けると、こういうところを選択したわけですよね。開けると、長崎県としては、塩害は出るだろうということなんですが、樋門の関係がよくわかりません。樋門管理で昼夜問わない危険があると。マイナス1メートルで開ける時は樋門を使わなくても済むんじゃないかと思いますが、今回、樋門に触れているというのはどういうことなんですか、県の対応として。
◎鈴村農林部政策監 今のご質問でございますけれども、委員が言われますように、通常ならば樋門を閉めたら管理ができるんですが、今年もありましたが、大雨が降りますと、調整池の水位は上がります。そうしますと、どうしても背後地が低いですから、ゲートを閉めざるを得ない。それを地元の皆さんが、今まではなかったんですけれども、これからは海水が調整池に入るようになりますので、背後地に入らないように閉めざるを得ないと。それから、雨が降れば、当然ながら後ろの川からも水が流れてきますので、排水せざるを得ないと。一方は調整池なのに海水がたまることになると、後ろ側では川から流れてきた水がくると、そういう中で樋門管理をせざるを得なくなってくると。
 一つは、大雨が降ると、調整池の側の水位が上がる、背後地で高くなりますと、どうしても閉めざるを得ないと。この作業を今まではやらなくてもよかったんですけれども、これからは地元の皆さんがせざるを得なくなってきます、樋門をですね。
◆高比良[末]委員 今も大雨が降っていますでしょう。樋門は使わずに、この間の台風、十何日か、それでもよかったんですが、どのくらいの洪水の時に樋門をしないといかんということになるの。樋門を使わなくなってから大分たつでしょう。しかし、今までと同じような開け方でするんでしょう。何か違うの、よく理解できないけれど。
◎鈴村農林部政策監 調整池の方が水位が高いものですから、下がるまで背後地の方はゲートを閉めたままでございますけれども、排水する時に、淡水同士ならばそんなに苦労しないんですが、外側が海水だと、水位差をある程度つけないと押し流せないと。今と同じような真水のような管理をしますと、逆に海水が入ってきてしまいますので、どうしてもふだんよりは海水を押し出すような管理をせざるを得なくなってまいります。
 今の排水門の管理もそうでございまして、外の海に対して押し流すために、通常より20センチほど高く水位をとって押し流しております、今の排水も。同じことを背後地の皆さんがこれからせざるを得なくなると。そうすると、余分な仕事が増えるということです。
◆高比良[末]委員 危険な排水門の管理、樋門の管理と。どこが危険なのか、どういうことが危険なのか、そこがよくわかりません。
◎鈴村農林部政策監 一つは、大雨はいつ降るかわかりませんので、夜中に堤防まで行かざるを得ないと。そうすると、どうしても真っ暗でございますので、足元が暗いんですね。
 もう一つ問題がありまして、樋門から上げる時、海水が逆流しないように、木の流れたものがひっかかったりしないように、掃除したりします。それをいつもきちんと見ていないと、ひっかかるとまた逆流しますので、逆に調整池からどんどん海水が流れますので、そういう管理もざるを得ないと。そういうのが非常に危険だということです。
◆高比良[末]委員 「危険な」という意味はよくわかりました。
 それから、樋門は、もう長いこと使っていませんよね。錆びついていて、もう使い物にならないんじゃないですか。いつか使われるように、樋門は時々メンテナンスしているんですか。私の感覚でも、何年もほったらかしとけば、ギアとかなんとかが錆びてしまって、どうも開かないんじゃないかという気がしますが、その辺のメンテナンスはどうされておるんですか。
◎鈴村農林部政策監 ご指摘のように、今までは淡水同士なので、別にやっていません。実際に今、樋門は管理をほとんどされていませんので、やっぱり悪くなっています。
 ですから、もしやるならば、すべて新しくしないと、閉めた時に水が漏れてしまうと。海水はどんどん染みますので、大変なことになります。
◆高比良[末]委員 わかりました。
○前田副委員長 委員長を交代します。
◆山田[博]委員長 農林部長にお尋ねしたいと思うんですけれども、私もいろんな説明をいただいて、資料を事前に読ませてもらって、一言で言うと、びっくりしましたね。農林部長、長崎県でこういった書類を出したら、はっきり申し上げて、大問題になると思いますよ。まさか国でこんなものを出すとは思わなかったですね。
 農林部長の説明でも、ちょっと言われましたけれども、要するにこれは、報告書でありましたけれども、あまりにもでたらめというか、ずさんだと。正直言って、私は具体的に今から詰めていきますけれども、率直に言いまして、農林部長、いかがですか。国の役人として、まさかこんな環境アセスの報告書を出すと思わなかったですよ。どうですか、一言。それを具体的にずっと詰めていきたいと思うので、まず最初に見解を聞かせていただけませんか。
○前田副委員長 農林部長、そこは端的にお答えください。
◎上田農林部長 これは、昨年度の7月に、まず、102項目ということで意見を出しました。基本的に、国がアセスの準備書の素案の段階で出された、いわゆる開門の意義、それと、それに対する対応策という形で出されましたけれども、それに対して中身が不十分、あるいは理解できない、もっと十分な対応が必要ということを102項目にわたって意見をお出しいたしました。しかしながら、それ以降、回答に際しても、こちら側が求めている満足いく対応というのは示されませんでした。その上で準備書に国は入りました。再度また、106項目という形で出しました。しかしながら、それについての回答も非常に不十分なままで、評価書に今度は移られております。
 そういった意味では、地元の方から求めた、開門に本当に意義があるのかどうか、ちゃんとリスク評価した上で、プラス・マイナスを評価した上で判断されているのか、私たちはそうは思えないというのがまず1点。
 それと、仮に行う場合の対応策についても不十分。この全般にわたる項目について満足いく対応、回答が示されていないというのが現在の状況であると考えているところでございます。
◆山田[博]委員長 農林部長、項目はこうなんですけれども、ちょっと回答になってなかったけれども、そんなに時間を費やせないのでお尋ねしたいと思うんです。
 まず一つ、この諫早湾干拓というのは、防災の面でつくったんでしょう。そうしたら、防災基準というのは、最初は100年に一度の確率の雨でやっていたんでしょう。それが、今回のこの準備書におきましては、30年に一度に変わったんでしょう。まずそれはどうですか。最初は100年に一回、それが30年に一回、これに変わったんでしょう。
◎鈴村農林部政策監 ご指摘のとおりでございまして、諫早大水害の雨がおおむね100年確率の雨でございましたので、それで設計しておりました。これが、今回は30年となりますと、その精度が下がるということでございます。雨量でいきますと、6割か7割のものになってしまいます。
◆山田[博]委員長 だから、まず最初、防災面からすると、当初、国としては100年に一度の自然災害を想定していたのが、国の都合によって、政策監に答えてもらうのは申しわけなかったですね。今になったら、それが30年に一度の確率に変更していると。
 これは、長崎県に対しては、最初は100年に一度の工事をやりましょうとしておったのが、いきなりこの準備書になったら、国は、長崎県に同意とか相談もなく、勝手に農林水産省の方で30年に一度に変更したということは間違いないんですね。
◎鈴村農林部政策監 今、アセスで提示されたのはそのとおりでございまして、要するに、5年間の調査ですから、30年でいいだろうということで出されています。
◎加藤農林部次長 補足でございますけれども、アセスで今やっている分が、ケース1、つまり全開門をやる場合、それから、ケース2、最初は少しずつ下げていって開門に至る、それから、ケース3−2、制限開門、つまり管理水位をマイナス1メートルからマイナス1.2メートルぐらいまでで管理する、この3つ。実際上はケース3が2つありますので、計4ケースなんですが、その中で、ケース1の場合、全開門ですね、フルオープンにする場合についていいますと、諫早湾内の潮位に連動して調整池の水位が上がります。そういう形になりますと雨が降った場合にどうなりますかということでした場合に、今回、政策監が言いました、30年に一回の雨に対応した対応をしましょうと。ケース1の場合ですね。
 ケース3−2の場合につきましては、水位管理は今のところでやりますので、基本的には、雨が降った場合については、今の調整池そのものは100年に一回の対応ができるような状況にはなっております。
 ただし、さっき言いましたケース1に対応する場合については、調整池の水位が上がってしまいますので、100年に一回の雨の対応じゃなくて、30年に一回の雨の対応しかしてくれないという対応になっております。
◆山田[博]委員長 いや、今、私が指摘しているのは、農林部の皆さん方にご理解いただきたいのは、今、国の環境アセスの準備書ができているわけですよ。そこの中で、今どういったところが問題点かというのを確認しているわけです。それで、あまりにもずさんだと、私は確認しているわけだよ。そのわかりにくいことをああだこうだと言ったらわかりにくいから、県民の皆さん方にわかりやすくするために、きちんと言わないといけないわけだよ。今、ケースがああだこうだと言ったらわかりにくいから。
 要は、今回の環境アセスにおきましては、国は当初、100年に一回の降雨災害、自然災害に対応するようにしておったけれども、今回新しく国は、開門した場合には30年に一回の分での対応ができるようにしているというわけでしょう。だから、諫早市民とか長崎県民からすると、100年に一度の自然災害にしておったというのを、30年に一回の自然災害に対応するような諫早湾干拓の開門の状態にするということは言語道断なんですよ。そういったことが長崎県に対して事前に相談があったのか、なかったのかというのを聞いているわけだよ。あったか、なかったかだけでいいんです。
◎上田農林部長 そういうご相談は一切あっておりません。
◆山田[博]委員長 なかったと。これがまた大問題なんだよ。当初、長崎県も協力して100年に一度にしておったというんだ。これは、マスコミの皆さん、ぜひわかっていただきたいんですよ。これが大切なんです。
 続きまして、今回の諫早湾干拓の事業におきましては、土地改良事業計画の設計基準でつくられているんですね。まず、それをお尋ねしたいと思います。
◎鈴村農林部政策監 はい、そのとおりでございます。
◆山田[博]委員長 そうしたら、この基準というのは、10年に一度の渇水に対応しないといかんということで間違いないですか、それはどうですか。
◎鈴村農林部政策監 そのとおりでございまして、そのために、農家の方も安心して農業をやれるという状況でございます。
◆山田[博]委員長 じゃ、今回、開門するとなった時に、これが対応されているか、対応されていないか、それをお答えください。
◎上田農林部長 対応されておりません。
◆山田[博]委員長 対応されていないと。じゃ、これも、長崎県に事前に相談があったのか、なかったのか、どうですか。
◎上田農林部長 一切事前のご相談はあっておりません。
◆山田[博]委員長 この2つの問題ですね。もとに戻ると、まず最初に、諫早湾干拓は、最初は防災面で事業をつくったわけだけれども、全く防災の機能を果たしているような状態になっていないと。逆に、自然災害の防災どころか、後ずさりするような状態になっていると。ましてや、本来であれば、土地改良事業計画の設計基準どおりにやらないといけないんでしょう、本当は。ということは、国がこの基準を守っていないんだということなんですね。
◎鈴村農林部政策監 そうでございます。あくまで暫定だということで、今までの3年間の実績で一番多い水でいいんじゃないかという話で出されています。
◆山田[博]委員長 しかしながら、国は、全国の土地改良区にはちゃんと守りなさいと言いながら、国自らが国営事業で基準を破っているでしょう、一言で言うと、簡単に言うと。破っているでしょう、国自らが。
◎鈴村農林部政策監 基準を守っていないということになります。
 指摘がございましたように、普通、土地改良事業で大規模な国有地は、すべてその基準に基づいてダムや何かをつくっておりますので、それには当てはまらないようなことになります。
◆山田[博]委員長 それと、塩害のシミュレーションをやった時の採取のモデルを、国は調査をやっているということでありますけれども、これは、実際に耕作されていない土を採取してモデルケースをつくったというのは間違いないんですね。
◎加藤農林部次長 そのとおりでございまして、塩害のシミュレーションをするにあたりまして、実際の圃場で耕作している場所ではなくて、その周辺部の土を採取してシミュレーションを立てております。
◆山田[博]委員長 この3つだけを考えても、とんでもない問題なんですよ。行政の国の機関として体をなしていないわけだな。
 それで、私は、さっき言ったように、ずさんきわまりない。農林部長、いかがですか。見解を聞かせていただけませんか。
 この3つだけでも、少なくともさっきの防災の面でしょう、土地改良基準があるでしょう、それとシミュレーション、この3つを今私が言ったでしょう。これだけにしても、多分今、入植者の方の大半は、ここまで詳しくはまだご存じないんでしょう。どうなんですか、部長。
◎上田農林部長 地元の方々の防災に対する懸念、それと塩害に対する懸念、そういったものを具体化した根拠づけが、この具体的な意見でございます。まさしく国は、万全な対応策をとっていただいていないというふうに認識しているところでございます。
◆山田[博]委員長 農林部長、率直に言いましたね。農林部の方に答えてもらいたいんですけれども、入植者の方は、この状況をここまで詳しく理解していますか、十分。
 私は今回、当委員会でずっと勉強させていただいていると、この報告書の3つだけを見ても、これは国のあり方としていかがなものかと。あってはならないことなんですよ。これが許されるのであれば、国の機関として体をなしていないわけだよ。政策監、申しわけないけどさ、本当にあなたに申しわけない。農林水産省から来て、長崎県の職員という立場でやってもらっているけれども。
 それでどうですか、入植者の方は、この3つ、さっき言っただけでもご存じですか。
◎加藤農林部次長 これまで国に対しましては、環境アセスの素案、準備書、大臣の見解、それぞれ3回ほど地元から意見を出しております。その意見を提出するにあたりましては、地元の市はもちろんですけれども、地元の入植者の方、漁業者の方、それから、背後地の農家の方、住民の方、その方たちと協議をしながら意見書を出させていただいておりますので、一定内容については、地元の方もご理解の上で出しているところでございます。
◆山田[博]委員長 じゃ、入植者の方もそれは知っているということですね。そうですか。
 それで、アセス全体としてずさんで、私は一定の結論ありきではないかと思いますけれども、農林部長としてはいかがですか。
◎上田農林部長 これまでの準備書の素案に対する対応、あるいは準備書に対する対応、こちら側から求めた意見に対する国の対応につきましては、開門ありきで進めている、考えているとしか思えないような理屈づけでの回答しかあっておりません。
◆山田[博]委員長 私は、開門に賛成、反対の両方の方々も、この意見書の中身を見たら、十分理解していただけると思いますよ。開門に賛成だろうが、反対だろうが、国の機関のあり方として、これはいかがなものかとなりますよ。
 ましてや、国の基準を守らないといかんと指導する立場の人が、自ら破るようなことをやっているというのは、これは言語道断ですよ。ましてや、諫早湾干拓の当初の防災の問題だって、100年に一度の設計をしているのに、それを自分からまた後で、地元に相談もなく、30年に一回の自然災害に設計変更するというのは、これまた言語道断ですよ。
 そういったこともありまして、ずさんだということでご理解いただいて、ちょっと確認ですけれども、今、ポンプの設計測量をされていますけれども、国の方は「排水ポンプ等」と言っていますけれども、「ポンプ等」と言うのは、ほかにも何か使われるような設計測量になっているんですか。それを確認の意味で聞かせていただけますか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 今回の公共測量につきましては、常時排水ポンプの設計とあわせまして、既存の堤防の補修も行うということでの測量をやりたいというふうな話をお伺いしております。
◆山田[博]委員長 測量に今入って、堤防とか、ポンプの設置とか、あと、排水樋門管理を15年やっていないから、先ほど高比良(末)委員から質問があった、改修しないといかんと。もし開門するとなったら、どれぐらいの費用を今国としては考えているのか、ご存じでしたら聞かせていただけませんか。大まかで結構ですから。
◎加藤農林部次長 今、国はケース3−2で開門しようという方向で説明を行っております。その事業費が総額で82億円という形になっております。
◆山田[博]委員長 これは、ポンプとか何かも入れてなんですか、すべてですか。私が聞いているのは、ポンプだけで300億円ぐらいはかかるんじゃないかという話を聞いていましたけれども、そうじゃないんですか。
◎加藤農林部次長 今回、ケース3−2でございますので、調整池の水位はマイナス1メートルで管理をいたします。それに対しまして、背後地の潮遊池といいますけれども、末端排水路は、敷高といいますけれども、マイナス1.4メートルとか1.3メートルとか、だから、調整池の管理水位よりも低いところになりますので、次からは調整池が塩水になりますので、それが逆流しないようにしないといけないということで、基本的にはそこの樋門は閉めます。ただし、後ろで、基本的には水が流れてきますから、それを調整池の方に出さないといけないと。それのちょろちょろ流れてくる分をかき出すための、常時排水ポンプといいますけれども、それをつけようとしております。そういう常時排水ポンプの費用が33億円となります。
 ただし、先ほど政策監から説明がありましたとおり、後ろで大雨が降った場合にどうするかということなんですが、「大雨が降った場合にどうするんですか。後ろがたまりますよ」という質問を私がしました。それに対して国の方は、「その時は、やっぱり後ろの方がたまらないように、樋門は開けんばいかん。開けて流さんばいかん」という話をされていますから、先ほど言いました樋門管理というのが出てくるという形になってきます。「一定後ろにたまっても、それは仕方がないですね」というのが国の今の考え方でございまして、それを前提に今、対策を国の方は検討していると思います。
◆山田[博]委員長 そこで、82億円という中で、開門賛成、反対の両方に意見を聞いたって、いずれにしたって漁業被害は一定のものが出てくるというふうになっているけれども、その漁業被害に対する予算というのは、全くそこの82億円には入っていないわけですか。入っているか、入っていないかだけ。
◎加藤農林部次長 入っておりません。
◆山田[博]委員長 いずれにしても、この環境アセスというのは、国のあり方としてちょっと問題だと、簡単に言うとですね。
 私は実は、ある集会に行った時、指摘されたんですよ。「山田さん、あなたは民主党の県議会議員でしょう」と、「はい」、「国は民主党ですよ。なんでああなるんでしょうか」と。私が説明したら、やっとわかってくれたんです。だから、県民の皆さんはわからないんですよ。まだまだわからないんですよ。諫早の市民の人はわかっているんだけれども。
 だって今回、県民の皆さん方は驚くと思いますよ。国からこういうふうに環境アセスをするといって環境評価して、こういうふうにやりなさいというふうに言われたのに、何を今さらまだ反対するんですかというわけですよ。しかし、今言ったように、私がこの3つを言ったら、皆さん、納得してくれて、わかりやすいと思いますよ。
 諫早湾干拓の時は、100年に一度の自然災害の設計でしましょうと国も県も同意しておったのに、今になったら、30年に一回にしたんですよと。東日本大震災は、1000年前の地震災害が出たんですよ。今は延長しようという時代なんですよ。自然災害の対象期間を延ばそう、延ばそうと国が考えているのに、なんでここだけ短くするんですかと。言語道断ですよ、これは。
 徳永委員とか、地元の県議会議員も私にしょっちゅう言いますよ、頑張って一緒にやりましょうと。地元の県議会議員というのは、冗談じゃありませんよ。ここ一つだけとっても、国のあり方としては言語道断ですよ。自然災害を100年に一度にしようとしていたのに、短くするというのは何ですか、東日本大震災を考えてくださいと、国はその東日本大震災のことを考えていないんですかと、これ一つだけでも言えるんですよ。
 もう一つは、国の基準として、土地改良区として、土地改良基準というのがあるんだから、それを守りなさい、守りなさいと言うところが、自ら国が破っているというのはどういうことですかと。このたった2つだけでも大問題ですよ。
 そういった点で、農林部長も、開門の賛成派の方から、この前来た時も、いろんな思いというのがあって、部長も知事も大変な思いがありましたけれども、いずれにしたって、先ほどのシミュレーションにしたって、全く違うところを取って、これもちょっと異常だなと思いましたよ。
 だから、これは、農林部長、県民の皆さん方にもっとわかりやすく、この問題があるんですよと、理解する上で、これは堂々と言えばいいですよ。これは、開門賛成、反対の両方に遠慮することなく、堂々とやるべきです。意見書としてきちんと、これが問題なんですよと。どうですか、部長、意見広告なり出されて、しっかりとやっていただきたいと思うんですよ。これは、国のあり方として問題ですよ。はい、どうぞ。
◎上田農林部長 意見についての広報のあり方というのは、しっかりと考えていかないといけないと思っております。理解を求めていく上でも、大切なことだと思っておりますので、どういう方法が効果的かというのは、考えさせていただきたいと思っております。
 この問題につきましては、国の対応策に対する不信というのは、どうしてもございます。多々ございます。先ほど塩害の話もございましたけれども、今、諫早地区は、排水対策が完備され、水も完備されて、野菜産地になりつつあります。今回のいろんな塩害対策、潮風害は、米でカウントしております。野菜は根を張ります。根が40センチ、50センチいきます。私たちは、そこの塩害が問題だということで指摘をしております。国は、もともと自分たちが調べた40センチ、50センチは塩分濃度が高いから、今と変わらんのだから大丈夫だという言い方をしてきておりました。いいや、違いますと、私たちは実際にはかりました。そうしたら、既に干拓終了後10年以上たっておりますので、除塩が進んでおります。それがまたもとに戻るという状況が考えられます。非常に危機感を持って国には臨んでいるところでございます。
◆山田[博]委員長 それと、農林部次長、今回、この状態でもし万が一なっていけば、今、入植している入植者の人たちは恐らく、だって、塩害のシミュレーションも耕作されていないところでやっている、自然災害も100年から30年に短くされた、土地改良区の基準を守っていないところを、じゃ、果たして、今度切りかえをする時に、普通だったら入りませんね。今回、排水門の開門をするにあたって、漁業者の被害も含まれていない。今度、諫早湾干拓の入植者も、今までと条件が違うんだから、普通だったら入らないわけだ。
 だから、少なくとも漁業被害と入植者がいなくなった場合には、国が責任をとってもらわんといかんでしょう、少なくともこれは。漁業被害の方は含まれていますけれども、入植者に影響があった場合には、被害というのを訴えていますか、訴えていないでしょう。どうですか、その項目の中に。
◎加藤農林部次長 開門されますと、そういうふうな農業用水がなくなる、塩害、潮風害の被害が出るということを訴えてきております。漁業ももちろんです。背後地も含めて、農業もでございますし、住民の生活にも影響が出るということを訴えてまいっております。
 そういった中で、なかなか対策がとられていないということで、しっかり訴えていかないといけない、そういうことが出ないようにしていただかないといけないということで、しっかり取り組んでいかないといけないと思っております。
◎上田農林部長 被害につきましては、防災、農業、漁業、環境面とございますけれども、私どもが一番心配しておりますのは、やはり漁業部分でございます。濁りがはっきりと出て影響が出るという予測が、この準備書、評価書では具体的に出ております。国がつくった評価書そのものに書いてあるんです。それに対する具体策、汚濁防止膜ということが出てまいりました。汚濁防止膜で果たして濁りが全面的に深いところまで抑えることができるんでしょうか。そういった疑問点を多々持っております。
 影響が出るのがはっきりわかっているのに、具体策がない。そこについては、私たちは引き続き国の方に意見を申し上げていかないといけないと思っているところでございます。
◆山田[博]委員長 環境評価書に対する環境大臣の意見書というのは、私もこの前、国に陳情に行った時に、要は、この評価書をつくる環境省におかれましては、農林水産省から上がってきた書類を見て、それを判断するということになっているんですね。現地を見ず、書類を見て、それで判断するということになっていましたね。そういうことでしょう、まずそれは確認です。お願いします。
◎加藤農林部次長 環境省で先日、要請活動をしていただきまして、ありがとうございます。
 その場でも横光副大臣の方から回答がございましたけれども、環境省は、農水省から提出された評価書について意見を述べるということを言われました。それから、現場を見に来ていただきたいという話を委員長からもさせていただいたんですが、自分たちも知見を持っているから、それをもとに意見書を出すということで回答されております。それで、先日、意見書が出たという状況になっております。
◆山田[博]委員長 ということは、環境省が出したのは、現場を見たこともない、ただ単に文書が上がってきて、それを評価するということで、私からすると評価に値しないんだと、はっきり申し上げてね。先ほど3つのことを指摘しただけでも、それは評価に値しないと私は思っていますよ。それはどうですか。
◎加藤農林部次長 先ほど諫干課長からも説明がありましたけれども、今回の問題点は、環境省の意見は、まさしく表面的な、農水省の意見書を全面的に前提にした上で、例えば開門した後の影響を把握する調査のやり方、あるいは対策工で周辺に影響が出ないようにとかいうことで、全く農水省の評価書の中身が、例えば塩害のシミュレーションが十分じゃありませんよとか、あるいは潮風害については、潮風害に強い水稲で影響を評価して対策も検討している、現地は野菜が中心ではないかとか、漁業に対する対策は全くとられていなくて、影響が出ているじゃないかとか、そういうことの中身について全く踏み込んでいないということで、私たちは非常に残念、非常に問題があると考えているところでございます。
◆山田[博]委員長 委員の皆さん方も、私のやりとりを聞いて、さらに一定のご理解をいただいたんじゃないかと思います。だから、この問題をさらに指摘して、いずれにしたって、国の評価書としてあるべき姿じゃないということは明らかになったわけですから、これは堂々と、しっかりと訴えていきたいと思います。
 終わります。
○山田[博]委員長 委員長を交代します。
 ほかにいかがですか。
◆中島[廣]委員 一つだけ私は聞きたかったんだけれども、地元と県と議会がこれだけ一生懸命になって開門反対をやっておるのに、本県選出の国会議員の先生は、恐らく農水省と交渉してもらっていると思うけれども、どういう対応をされているのかな。
◎上田農林部長 地元選出の国会議員の先生方皆様は同じ思いで、政府内あるいは国会内で対抗していただいているというふうに思っているところでございます。特に、国会でのいろんな質問、討論、そういう場でも徹底抗戦していただいているというふうに理解しておりますし、引き続きご支援を賜りたいと思っているところでございます。
◆中島[廣]委員 今、委員長が指摘したようないろんな問題を、私はもっと農水省に地元の国会議員ががんがんやってほしいと思うんですね。だから、そういう面を含めて、国会議員にはもっとやってもらわないと。以前、西岡さんが体を張って、命をかけてでも開けさせんよと言ったような、ああいう気概を持って、やはり国会議員にまずは農水省と交渉してもらわないといかんですよ。幾ら我々がここでがんがん言っても、これはもちろん伝わっていきますけれども、国会議員に、まずは農水省と今やったような意見をやってもらうように、県議会も、これはお願いをしないといかんでしょう、国会議員には。
◎上田農林部長 これまでも地元選出の国会議員の先生方にはいろんな場面、いろんな場所で、開門についての問題点を国に対して訴えかけていただいているところでございます。そういう意味では、非常に私どもは心強く感じているところでございます。引き続きご支援賜りますようお願いしているところでございます。
◆前田副委員長 理事者においても議会においても同じ認識でこれまで取り組んでいますので、委員長の方から総括的な質問はされているので、そういう主質問は避けますけれども、一つお尋ねしたいと思っているのは、今日の新聞の特集を見たんですけれども、有明海の特措法が制定されて10年ということになっていますよね。この中で、もともとの目的は有明海の再生だということで、いろんな調査とか、この中では、調査評価委員会等で随分と議論があっています。そうした中で、なかなか再生は道半ばだということで、まだまだ何十年もかかるんじゃないかというふうな話になってきています。
 この特措法に基づいた調査とか、環境省が設置した調査評価委員会が随時行われている報告等の中からは、開門に関して私たちの主張を補完する材料等は見出せないんですか。
◎加藤農林部次長 有明海の再生と環境異変を調査する、そういう目的で特措法がつくられまして、それに基づきましていろんな対策がとられてまいりました。地元あたりでは、環境保全を行うために、例えば周辺地域の下水道の整備とか、漁港の整備とか、あるいは漁場の整備とかというのをやってまいりました。
 そういった中で、有明海の特措法そのものは、諫干の開門問題については扱わないという前提のもとに、それを開けないで、一定それをもとに再生を図っていこうというものでございました。
 これは、平成12年にノリの大不作というのがございました。それをもとに、平成14年に短期開門調査をやったところでございますけれども、その短期開門調査を踏まえまして、今後、長期の調査をやるかどうかというのを国の方で検討いたしました。その中で、私どもが今回言っているとおり、開けてもよくなる効果があるかどうかというのはわからないと、一方で、いろんな悪い影響も想定されるということで、長期の開門調査はやらないという決定を国の方でいたしました。
 その一方で、有明海の再生をどうやっていくかということで、開門はしない中で、特措法を使って有明海の再生をやっていこうということで、特措法による対策が進んでまいりました。そういうことですので、この特措法による対策は、もともとは開門はしない前提ということで進んでいるところでございます。
◆前田副委員長 開門はしないこと前提でスタートしたのはわかっているんですよ。その上で、ただ、ずっとさかのぼった時に、菅前総理が「有明海の再生を目指す」ということ、それから、今の大臣も「有明海再生の可能性を探るため開門調査するのが妥当」と言っているのであれば、有明海特措法の中で大がかりな調査とかをずっとやってきていますよね。そういう結果であったり、環境省自らが設置した調査評価委員会の内容を、今言っていることはごもっともなんですよ。ごもっともの中に、本来の有明海再生という意味の中で、こちらで出たいろんなデータを論拠づけて、もう少しこれをうまく活用するというか、ここから私たちの言っている主張をちゃんと理解させるための作業があってもいいんじゃないかと思うんだけれども、このことについては、全く触れていないですよね。そこが必要ないのかなという、いわゆる私の提案ですよ。
◎鈴村農林部政策監 ご指摘でございます。まず、アセスの中にもいろいろデータが出ているんですが、副委員長の言われる、それまで行き着かないまでに、アセスの証拠を見れば、もう既に問題が多いということがわかっていますので、まずそれでやっております。
 もう一つ、今回あえてつけさせていただいております環境省の調査を見ましても、月の引力で潮位が変わるということで、開門するよりは、その潮位変動を見た方が有明海の再生に大きな効果があるというのは出されております。それを踏まえて、今回、意見を出させていただいております。
 今後、そういうような情報があれば、いろいろとまた加味してやりたいと思いますが、まずは、アセスの中で問題点がありますので、それをしっかりと訴えたいと思います。
◎加藤農林部次長 実は、私どもも、有明海の再生というのは、しっかりとした道筋を持ってやっていただきたいというのを意見で述べております。そういった中で、今回、添付させていただいている国からの見解というところの中では、有明海・八代海等総合調査委員会が再開されて、その委員会で、有明海の環境変化の要因も含めて、有明海再生に係る検討が進められていることとなっており、開門調査結果を同委員会に報告すると国は回答してまいりました。
 とすれば、実はそこではっきりとした再生の道筋をしっかりと検討した上で、今いろんな調査をやっておりますから、その中で、実は先日でございますけれども、佐賀大の有明海再生機構というところがシンポジウムをやっております。有明海の湾奥部ですね、佐賀沖での潮流の変化、潮流が下がったことの原因は諫干ではないという報告をしております。これは、佐賀沖の埋め立て等が原因になっているという報告もされております。あるいは、先日ですけれども、国の西海区の水産研究所が、魚が死ぬ貧酸素は、佐賀沖と諫早湾沖では別々に発生している、つまり、こちらからは影響していないよという報告も出ております。
 そういう研究報告がずっとたまってきております。それを踏まえて、ここの有明海再生の委員会の中でしっかり検討してもらって、その中で諫早湾というのが、今どんどん、閉め切りの影響というのは、有明海全体に影響はないよという研究報告が出ていますので、それを踏まえて、実際の本当の再生策をつくっていただいた中で、開門問題も検討するというのを私たちは申し述べてきているところでございまして、そういうのはしっかりと訴えていかないといけないと思っております。
◆陣内委員 皆さんたちと考えは全く同じなので、ベクトルを合わせて今やっているわけですけれども、問題点の表記について、この表現はどうかなと疑問に思ったものですから、確認をしたいんです。
 それは、「諫干資料2」の9ページの「漁業への被害」というところで、その下から4行目の表現ですが、「なお、この操作方法が、福岡高裁の開門判決でいう『常時開放』と言えるのか」、この表現はむしろこちらが逆手にとって表現されているんだろうと思うんですが、これは逆に揚げ足をとられやすいのかなという気がするんです。じゃ、常時開放だったらいいんですかというふうな形で切りかえされたらちょっと困るなと思ったものですから、ここら辺の表現方法は、何かもっといい表現がないかなと思っているんですが、そのことについて、お考えをお聞かせいただきたいと思います。
◎加藤農林部次長 まずは、ここの説明なんですが、国の方が、ケース3−2、あるいはケース3−2の中でも排水門の操作を緩やかにするとか、やはり濁りの発生というのはなかなか抑えられないものですから、それが少しでも発生しないようにということで、水の出し入れを少しずつやりたいということを言われております。
 実は、開門方法については、国の方がいろんなことを提案しておりますけれども、それが判決で支持されているところ、あるいは開門を求めている原告団は全開門と言われていますが、そういうところにしっかりバックボーンを持って国の方が提案をしてきているんですかというところの意味で、ここを挙げさせていただいておるところでございます。
 表現的に逆手にとられないようにとご心配のところは、ちょっと検討はさせていただきたいと思いますが、そういう趣旨はご理解いただきたいと思います。
◆陣内委員 趣旨は重々わかっているので、その表現の方法が、むしろ揚げ足をとられないような言い方をぜひ検討していただきたいと思います。よろしくお願いします。
○山田[博]委員長 ほかにありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 ほかに質問もないようですので、本件についての審査は終了いたします。
 次に、「諫早湾干拓調整池のアオコ対策について」の集中審査を行いますので、しばらく休憩いたします。
 3時5分からお願いします。
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     −午後2時49分 休憩−
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     −午後3時06分 再開−
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○山田[博]委員長 委員会を再開いたします。
 「諫早湾干拓調整池のアオコ対策について」の集中審査を行いたいと思います。
 昨日、現地調査において説明を受けておりますので、質疑に入りたいと思いますが、改めて理事者の方から何か特段説明することはございますか。
 特段ございませんね。わかりました。
 しかしながら、環境政策課長、昨日の現地調査におきまして幾つか質問がありましたけれども、それについて何か回答できるものがあるんだったら、今のうちに答えていただきたいと思いますが、特段ございませんか。
◎鈴村農林部政策監 昨日ご質問がありました、アオコを使った肥料というのはあるのかというお話があったんですけれども、調べましたところ、千葉県の我孫子市で、手賀沼で採取しましたアオコを肥料として使っているという話を入手しました。
○山田[博]委員長 それは私の質問だったね。
◎鈴村農林部政策監 はい。
○前田副委員長 委員長を交代します。
◆山田[博]委員長 私は、アオコを肥料に使えないかということで現地で質問させていただいたと思うんですが、千葉県で使われていると。千葉県でどうやって使われているのか、調べた範囲で結構ですから、千葉県でやっていて、それをどのようにして活用されているのか、それをお答えいただけますか。
◎鈴村農林部政策監 詳しい話は、まだ出来る状態ではありませんが、回収したアオコを肥料として畑にまいて使用しているという話ぐらいしかまだ入っていませんので、また調べたいと思います。
◆山田[博]委員長 政策監、昨日私が質問したということで、極力調べていただいたと、その誠意というのは大変感謝するわけでございます。
 千葉県の方でやっていると。じゃ、実際できないことはないわけだから、これは農林部の方にお尋ねしますけれども、アオコを肥料として、諫早湾干拓の方で環境型農業の一環としてそういったことができるのかできないのか、検討することができないのか、まずお答えいただきたいと思います。
◎鈴村農林部政策監 やはり肥料としましては、しっかりと現地で試験をして調べたいと思います。アオコというとまだイメージが悪いものですから、風評被害等もありますし、もう少しきちんと調べていかなければと思います。
 それとあと、補足でございますけれども、肥料じゃなくて、いろいろと今、アオコの活用が進められておりまして、バイオ燃料として、産業技術総合開発機構でアオコを活用するという情報が入っております。
 それからまた、薬品としまして研究しておりまして、筑波大学でアオコからのミクロシスチン類、アナベナ類その他の物質から、ちょっと横文字になりますが、オスキラマイドBCというような物質を取り出しまして、医学や薬理学的な基礎実験に提供するような薬品をつくるなど、今、利活用を図られているということでございます。
◆山田[博]委員長 実際、アオコというのは肥料に使えて、ということは、農産物とかなんかに影響を及ぼすわけじゃないんですね。肥料として十分使えるということで理解していいんですね。アオコというのはどういったものかというのを、委員の皆さん方にもご理解いただく前提としてそういったのでいいのかどうかというのをまず答えていただけますか。
◎鈴村農林部政策監 やはり一度きちんと使ってみて調べるというのが大事だと思いますので、まずそれをやりいたと思います。
◎上田農林部長 まだ詳しく確認をしておりませんので、まず、現地の方でどういうふうな形で取り扱われているのかを詳しく調べさせていただきたいと思っております。
◆山田[博]委員長 「アオコを含んだ農業用水の作物の生育及び収量に及ぼす影響」というのは調べたんでしょう、平成21年に。その中で、別に問題はなかったわけでしょう。それはどうなんですか、しっかりお答えいただけますか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 アオコを含んだ農業用水が作物に影響を与えるかどうかという調査につきましては、平成21年3月に県の農林試験場の方で実施しております。
 結果といたしましては、生育後のミクロシスチン等の含有量を計測いたしましたけれども、いずれも検出はしなかったということで、特に問題はないというふうな結果が出ております。
◆山田[博]委員長 要するに、長崎県の諫早湾干拓にあるアオコには、アオコの毒素であるのがミクロシスチンというんですか、これがなかったということなんですね。今、検出されなかったという答弁をしたからさ。環境政策課長が来られているから、しっかり答えてください。
◎大串環境政策課長 諫早湾にあるミクロシスチンにつきましては、平成22年1月に県の環境保健研究センターの方で諫早湾干拓調整池の近郊及び沿岸の6地点から採取したカキですね、食用のカキについてミクロシスチンを検査いたしております。
 これにつきましては、WHOのガイドラインでは2つの分析法を併用することを定めていますので、LCMS/MS機器分析法、これは高速液体クロマトグラフという機械を使う分析方法と、ELISA法という2つの分析を行いましたけれども、いずれの検体からも、機械が分析できる最低限度を検出限界というんですけれども、その定量限界を超えるミクスシスチンは検出されなかったという結果が出ております。
◆山田[博]委員長 そこで、はっきり申し上げて、風評被害が何しようが、世界的な基準で検出した場合には、そういったことで、今のところはなかったと。アオコの毒素が検出されなかったというんであれば、政策監、諫早湾干拓の中で、一番手っ取り早いのは、再利用として肥料として使えるか使えないかというのを、実際にやっているところがあるので、長崎県としてもそれは検討に値するということで理解していいんですね。また、先ほど農林部長も、そういったことを調べながら検討していくということで理解していいんですね。
◎鈴村農林部政策監 農林部長が言いましたように、調べてまいりたいと思います。
◆山田[博]委員長 調べていくということなら、政策監にお尋ねしますけれども、今、諫早湾干拓の土地にこういったものをするというのは問題ないんでしょう。今、環境型農業というのがなされていますけれども、どうですか。
◎加藤農林部次長 先ほど諫早湾干拓課長が説明したのは、調整池の水を使って散水試験をやりました。アオコを含んだ水で散水試験をやったところ、食物からはミクロシスチンという毒素は検出されませんでした。それから、環境政策課長が説明しましたのは、諫早湾のカキ、当然排水の中にはアオコが入っています。諫早湾の養殖カキを調査しましたところ、カキからは検出されませんでしたということでございます。
 ただ一方で、調整池のアオコの中にも、ミクロシスチンという毒素が含まれていることは事実でございます。ただし、この濃度が、例えば水道水として使われています霞ヶ浦に比べますと200分の1程度しか現状はございません。そういう状況ですので、そういう影響は出ておりません。
 そういった中で、アオコそのものを使って肥料にするかどうかということにつきましては、今、農林部長が説明しましたとおり、現実に使われているところの状況をまだ十分把握しておりませんので、その辺を調べさせていただきたいと、まずは現状を調べないと状況がわかりませんので、そういうことをさせていただきたいということでございます。
◆山田[博]委員長 どういうふうに利用しているかということで、いずれにしても、アオコをこのままの状態にするというのはいかがなものかとなるから、まずは、事例もあるから、諫早湾干拓の循環型農業の一環として、それも含めて、アオコを肥料として活用できないかというのを、他県の事例も参考にしながら、今から検討していきたいということで理解していいんですね。そういうことですね、政策監なり、次長なり。
◎鈴村農林部政策監 調べさせていただきます。
◆山田[博]委員長 ぜひお願いしたいと思います。
 というのは、なぜ今の質問をしたかというと、今、試験的にやっているけれども、これに対応するのにどれぐらい今から費用がかかっていくのか、試算されておりますか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 今年度、アオコ対策として試験的に機器類を導入しておりますけれども、昨日見ていただいた機器類については、年間リース料が約600万円かかるような予定になっております。
◆山田[博]委員長 年間600万円ずっと今からかかっていくということですね。どうですか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 今回につきましては、試験的に今年度導入したものでございまして、今後どのような対策をとるかというのは、まだ決めていないということでございます。
◆山田[博]委員長 わかりました。いずれにしても、今のところはとりあえず600万円かけてアオコの回収をやっているんだと、肥料を含めて今から検討していくということですね。わかりました。
 私ばかり質問できませんので、一旦私は終わりたいと思います。
○山田[博]委員長 委員長を交代します。
 ほかにございませんか。
◆高見委員 今の委員長の質問を伺って、肥料とかバイオ燃料とかに使われているような、そんな状況の報告をされたわけです。昨日の視察の中で見たわけですけれども、目視でレベル幾らというような判断の仕方があるんだろうと思うんですが、それとは別に、調整池の中で生息している、例えば魚とか貝とか、実際にアオコによって死んだとか、死骸が確認されたとか、そういう被害はあったのかどうか。
◎鈴村農林部政策監 そういうふうな話は聞いておりません。昨日もご説明させていただいたんですが、小長井町漁協の方で、ちょっとにおいがするんじゃないか、ちょっと見てほしいという話がありまして、水産部の方でアサリを調べたんですけれども、においもなく、特段影響はなかったという話は聞いております。
◆高見委員 地元の皆さん方の相談ということで、実は動いたということとか、あるいは、昨日、研究所でしょうかね、アオコを回収する仕事もされているというようなことだったんですけれども、主体的にはまだまだ大きな問題としては捉えていないと、こんな判断でいいんでしょうかね。
◎大串環境政策課長 諫早湾干拓調整池の水質保全につきましては、県の方で行動計画というものをつくって、これは農水省も国交省も県の関係機関も地元市も入って、水質の目標値も決めて、その水質の目標値の中には、CODとか、窒素、リンということでそれぞれ目標値を決めて取り組んでいるところでございまして、アオコといいますのが、栄養分があるということで、やはり夏に大量に発生するということを言われていますので、水質を改善するということが、結果的にアオコの抑制にもつながるのではないかというふうに考えておりますので、私どもとしましては、行動計画に定めた目標の達成に向かって、今後とも取り組んでいきたいと考えております。
◎加藤農林部次長 今、環境部の方からご説明がありましたとおり、対策をとっていただいている結果でございまして、現地でも説明があったかと思いますけれども、アオコの発生日数は、目に見える程度の固まりになるのが年間20日前後ぐらいしかない。それ以外にも、農作物とか魚介類にも影響が出ていない。ミクロシスチンの濃度につきましても、先ほど言いましたとおり、上水道に使われている霞ヶ浦の200分の1程度の濃度しかないという状況のもとで、専門家の先生にも私たちは相談しております。その中でも、こういう状況の中では特段問題はないだろうというのも受けておりまして、私どもは、しっかり環境保全をやっている中では、今は問題が発生していないと思っているところでございます。
◆高見委員 専門家の皆さん方に相談をして、伺っていますよという話ですよね。
 今調べてみたら、アオコが魚介類に被害を及ぼす時、原因とすれば、繁茂して水中の酸素を奪ってしまい、結果として魚介類が息ができずにというような、こういった状況ですよね。
 ですから、確かに地元の皆さん方の相談から今回の視察に至ったということを考えれば、やっぱり被害が出るには幾らぐらいのとか、そういったものを具体的に指し示せる、こんな状況を部内でつくっておく必要があるのではなかろうか。今まで直接的に害は確認できなかったけれどもと、そういった研究検討というのはしっかりと進めておいて、即座に一定の回答が出せるような、そんな横断体制というのが必要なのかなと思いますが、今後についてはいかがされますか。
◎加藤農林部次長 アオコにつきましては、その栄養源は窒素とかリンとかでございまして、実は富栄養化の一つの指標でもございます。そういうところで、これが増えていくというのは一定問題かなとは思っております。
 それの基準があるのかどうか、私どもも今は即座に回答できないところなんですが、どういう方向に持っていけばいいかというのは、同じ専門家と相談をしていきたいと思っております。
◆高見委員 活用の方法については、もっと具体的に、そしてまた、諫早湾干拓の調整池内でのアオコの発生量とか、回収量とか、そんなものもありますから、実情に合わせて検討を進めていただきたいと思っております。
 いま一つは、毒性があるミクロシスチンというのが言われていますけれども、昨日行った時には、研究者というか、県の職員の方は、回収したものを焼却するというふうに言われていましたね。焼却した場合に、例えば空気中にこのミクロシスチンとかが拡散しないのかどうか。毒がありますよというものを焼却するとすれば、そういったものに対しても、やっぱりきちんとしたものがあってするならいいけれども、ないのにしたら、かえって新たな害を及ぼすようなことを進めていくことになろうかと思いますので、できれば焼却した中でミクロシスチンがどうなるのか、灰として残った時にどうなのか、あるいは燃やして空気中に出た時にどうなのか、これについては何かわかりますか、どういう害があるのかというのは。
◎大串環境政策課長 今、委員から発言がございました焼却の関係について、私どもも確認をその際にしていませんでしたので。
 ただ、ミクロシスチンにつきましては、バクテリアによって自然界で時間をかけて分解されるというのは文献で確認をいたしているところでございます。
◆高見委員 それは多分、そういうバクテリアがおって、それが分解していく。ですから、そこに時間もかかるし、ただ、焼却して空気中に分散したやつにバクテリアが付着してどうなるのかと、そんなものではないと思うんですよね。
 これは、私もこうなんですよということを持ち合わせていませんから、今、環境部の中でも、そこまで結論が出せないとか、判断ができないとすれば、しっかりと追跡調査でもして、あるいはまた専門家に聞くなりして、それだけの治験というものをきちんと出して安心させていくような、こんな状況にしてほしいと思っています。これは要望にかえます。
○山田[博]委員長 ほかにありませんか。
◆陣内委員 ミクロシスチンについてお尋ねします。
 この資料によりますと、水道水としてのWHOのガイドラインの中で、LR濃度は1マイクログラム/リットル以下とされているというふうに書いてありますが、ミクロシスチンそのものは、種類が3種類ぐらいあるんですか。資料の4ページによれば、LRというのと、RR、YRというふうに3種類違うような形で出ているようですけれども。種類がそうあって、WHOで規定されているのはLRだけかということの確認です。
 それと、恐らく調査をした結果、諫干の調整池の場合は作物に残留はないというふうなことで報告を受けておられるわけですけれども、10ページの「関係団体及び一般の意見と九州農政局の見解」という欄で、九州農政局の見解の中でも、何ら支障は生じていないということを書いてあるんですが、抜粋の意見の欄に、19年11月26日云々かんぬんと書いて、「B2地点で5.4マイクログラム/リットルのミ」で終わっているんですが、これが確認をされたということなんでしょうか。
 2点、教えてください。
◎大串環境政策課長 ミクロシスチンには、今、委員からお話がございましたように、LRとか、RRとか、YRなど、全体では60種類ぐらいの誘導体があるということで、毒性の強さも異なるということです。WHOの基準の中では、ミクロシスチンの中でLRということで規定がされているというふうに承っております。
◎宮崎諫早湾干拓課長 今、委員から、資料の10ページの11月にミクロシスチンが検出されたのかというふうなご質問なんですけれども、今、資料を取り寄せていますので、後ほど報告したいと思います。
◆陣内委員 環境部のお答えの中では、WHOでLRタイプだけしか規定されていないということと理解していいんですかね。
 タイプがあって、例えばここに表現されている3つの中で、残りの2つというのは、毒性もそんなに強くないということでしょうかね。そういう点はわからないですか。実際にアオコから湧出されるということであれば、毒性がないものだったらいいですけれども、毒性のあるLRというのがあるわけですから、そのほかも全く、残り2つのタイプは毒性がないということなのか、言い切っていいのかどうか。そこら辺がもしわかれば教えてください。後でいいですよ。
◎大串環境政策課長 タイプごとの毒性については、ちょっと手持ちの資料がございませんので、また調べまして報告したいと思います。
○山田[博]委員長 ほかにありませんか。
◆溝口委員 アオコは、調整池の水質改善によってきれいになっていくと思うんですけれども、これは、国とか長崎県、諫早市、それから雲仙市などが団体で協力して進めているということですけれども、どのような対策を行っているのか、聞かせていただきたいと思います。
◎大串環境政策課長 諫早湾干拓調整池の水質改善につきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、「第2期諫早湾干拓調整池水辺環境の保全と創造のための行動計画」というのをつくっておりまして、その中の水質保全対策としては、大きく4つの柱で取り組んでおります。生活排水対策と工場・事業場対策、農地などの面源負荷削減対策、それから、調整池の流入河川等の浄化対策ということで、これは、県だけではなくて、農政局、国土交通省もあわせまして、関係機関が一体となって連絡調整会議を開いて進めているという状況でございます。
◆溝口委員 一つの柱として、生活排水を浄化して流すということですけれども、そのことについては、家庭用の3次処理、合併処理を進めているのか、それとも、公共的に処理場をつくっているのか、そこら辺についてはどのような形になっておりますか。
◎大串環境政策課長 干拓調整池内の対策としまして、公共下水道が3箇所、これは高度処理をする分が1箇所入っております。それから、農業集落排水施設が諫早湾干拓調整池の中に13箇所ございまして、そのうち高度処理が12箇所ございます。そして、浄化槽で汚水を処理しているのが、平成23年度末の人口で1万650人というような状況になっております。
◆溝口委員 わかりました。全体的に合併処理と公共下水道関係の処理と、ほとんどそれに加入しているんですかね。
 ただ、私が言いたいのは、国が入って生活排水の対策をしていこうとしている中で、本当は、長くかけないで、合併処理場とかなんとかも、国の補助とかを充てて、早期にぱっとした方が私はいいんじゃないかと思うんですよ、だらだらとずっと個人に任せてしていくというよりかは。それでなかったら、この干拓の内側の人たちが公共下水道に全軒入れるような、そういう施設をつくるか、早目にその対策をすれば、調整池の水が早く改善されてくるんじゃないかという気がするわけですけれども、その辺については、どのように国と話し合いをしているのか、聞かせていただきたいと思います。
◎大串環境政策課長 これは、環境部内の水環境対策課の所管でやっておりますけれども、現時点での普及率の状況を申し上げますと、平成23年度末が84%ということで、長崎県の平均が平成23年度末で75.2%でありますので、県下の平均から比べるとかなり高い数字になっております。
 今後とも、行動計画に沿って、汚水処理人口普及率の向上に向けて取り組んでいただくということで申し合せはしているところでございます。ただ、いつまでに幾らというのは、ちょっと今、私の手持ちがございません。
◆溝口委員 わかりました。84%ということは、かなり進んでいるということですけれども、まだまだ100%ではありませんので、できる限り早く、国と話し合いながら、100%に近づくように努力していただきたいと思っております。
 それから、去年は、レベル3ぐらいになったら回収作業をしたということで、16日間しているんですけれども、8月などは、1週間連続のような形でのレベル3以上だったという気がするわけですけれども、毎日毎日レベル3に達していたのかどうか、それとも、レベル3ぐらいになって、広範囲ですから、全体をとるのに時間がかかったのか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 すみません。今、資料を整理しております。
○山田[博]委員長 しばらく休憩します。
 3時45分から再開します。
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     −午後3時40分 休憩−
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     −午後3時44分 再開−
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○山田[博]委員長 委員会を再開いたします。
◎宮崎諫早湾干拓課長 アオコの回収作業と発生状況についてのご質問でございますけれども、まず、昨日見ていただきました回収作業と回収機器につきましては、実は今年度から試験的にやっているものでございます。
 それと、基本的な考え方としましては、そもそも今年度、試験的にやろうとしたのは、レベル4以上を、アオコが1つの固まりになったら取ろうかというふうな考え方だったんですけれども、試験的にレベル3以上を今年度やっているものでございます。
 ご質問がございました、資料の14ページに書いております回収作業日と発生との関係ですけれども、あくまでも発生した日、その日にすべて回収するような形にしておりますので、ここは発生日というふうにとらえていただければ結構かと思います。
◆溝口委員 そうしたら、発生したらするということは、毎日毎日レベル3ぐらいが発生して、ずっと回収していったということで理解していいわけですか。
◎宮崎諫早湾干拓課長 そのとおりでございます。
◆溝口委員 わかりました。
 先ほど生活排水の件で言ったんですけれども、環境部としては水環境対策課の方でやっているということですけれども、農林部として国と交渉して、これを早目にしてほしいんですよ。この生活排水を完全に処理して出すというのが1つの大きな柱だと思うんですよね。農林部長は、そこら辺をどのように考えているんですか。
◎加藤農林部次長 農林関係でございますと、農村集落排水対策事業でございます。市の方が事業主体となっておりまして、ここも、先ほど言いました、私が持っているのは平成22年なんですが、そこも含めまして、平成24年度までに82.5%に持っていくという目標の中で、もう既に平成22年度で83%の整備率まで持っていっているところでございます。これをさらに進めるために、市町と一緒に一生懸命進めているところでございまして、さらに進めてまいりたいと考えております。
◎宮崎諫早湾干拓課長 先ほど陣内委員の方から、資料の10ページのミクロシスチンが5.4マイクログラム/リットル、これが出ているのかというふうなご質問がございましたけれども、実は、これにつきましては、九州農政局が一般の方から意見を徴したものでございまして、この後の続きとしては、一般の方が、要するに、5.4マイクログラム/リットルのミクロシスチンを農政局は確認しているはずだというふうな問いかけみたいなものでございまして、それに対しまして、農政局はお答えされていないというふうなことでございます。
○山田[博]委員長 陣内委員、いいですか。
◆陣内委員 はい、いいです。
◆高見委員 溝口委員の質問に関連する格好になりますが、資料の12ページに調整池の水質改善の計画というのが書いてあるんですが、環境政策課長からも、あるいはまた農林部の方からも、取組の状況についてはお伺いしました。
 私が申し上げたいのは、それだけの整備をやっていますよと、例えば83%やりましたと、この効果を検証する、このことが必要ではないのか。生活排水対策ももちろんしなければいけませんけれども、これを仮に100%にしたとして、この下段の調整池の水質が格段に変化をするのか、いい結果を出せるのかというと、平成9年から平成23年までの経年変化と目標値との差を考えると、アオコ対策もそうなんですけれども、アオコ対策のために調整池の水質改善の取組を進めるということではないですけれども、仮に進めたとしても、随分と長くかかってしまう。それこそ、私どもの感じからいけば、何年までにというようなことはなかなか達成が申し上げ切れないという状況ではないかと思うんです。
 そこで、私は提案したいと思いますが、干拓地内に入植されている方々が、例えば農業集落排水をしたとしますよね。したとすれば、その地点から放流される川の場所、本明川のここに処理水が出ていくんですよという地点の水質調査、これをやっぱりするべきじゃなかろうか。以前に比べたらこれだけ改善しましたよというような数字、これが調整池の中に入ってからしたら、どれぐらいの影響があって、改善効果が確かめられるかといったら、多分ほとんど無理だと思いますよ。
 ですから、流域別に事業をすれば、する前とした後はこんなに変わりましたよというような効果をつぶさに出していくことが必要ではなかろうかなと思うんですが、今後、環境部で、そういう事業の達成に合わせて調査をするような予定はないですか。
◎大串環境政策課長 干拓調整池の水質につきましては、公共水域の基準点がB1、B2ということで2箇所ございまして、それは、農政局の方が調査をしています。
 あとまた、水質目標値について達成していないというお話もございましたけれども、これに向けては、今、次の行動計画の策定に向けて、関係機関、農政局もあわせて検証作業をやっているという状況でございます。データの提供も農政局からいただいて、分析検証をして、次の行動計画に活かしていこうということで、今その作業をやっているところでございます。
◆高見委員 私はなぜこういうふうに言うかといいますと、やっぱり目に見えて効果を検証できる、これが今大事なんじゃなかろうかなと思うんですよ。多分、環境政策課長も、県庁在職はあと大してないだろうと思います。ただ、短い期間の中でそれだけの効果が上がるということであれば、やっぱりこの政策を進めていかないといかん。この事業を進めていかないといかんという勇気づけにもなろうし、自信にもなると思うんですよ。そんなものをやっぱり進めていくべきではなかろうかなというふうに思っています。
 それから、いま一つ、これは農林部に対してなんですが、諫干は環境保全型農業をやっていきますよ、このことを原則として皆さん方に守っていただくということで進めていますよね。この調整池、長年の間に、流域の農業といいましょうか、もちろん生活のこともあるんですが、農業者の皆さん方の栽培によっても、随分と自然の浄化力というか、負荷が高くて、やっぱりかなり疲弊しているんだろうというふうに思うんですよね。
 そういう意味では、諫干の干拓地だけに求めるのではなく、周辺の農家、農業者に対しても環境保全型農業に取り組んでいただくような、こんな取組を行政として進めるべきではなかろうかというふうに思うんですが、こんなことはいかがでしょうかね。
◎宮崎諫早湾干拓課長 農業の面でも環境負荷の低減をというふうなご質問かと思いますけれども、実は、先ほどから出ております第2期の行動計画の中におきまして、農業におきます面源負荷削減対策というのが既に盛り込まれております。具体的に申しますと、化学肥料を地域の慣行から5割以上低減するとか、土づくりや、現行より減化学肥料栽培に取り組むエコファーマーの推進であるとか、県版GAPの推進とか、そのような形で取り組んでいるところではございますけれども、今後さらに次期計画においても推進していきたいと考えております。
◆高見委員 それと、調整池も、水産部では海底耕うんとかいうんですけれども、できれば調整池の中でも、濁りというのは、外にいる人たちには大変気の毒な結果をもたらすかもしれませんけれども、こういったことをやらなければ、底質改善なんかも含めて、なかなかできないのではなかろうかなと私自身は思っていますので、そのことも検討いただきたいと思っています。
 いま一つ、今日はアオコ対策の関係ですから、言いますように、水質の経年変化を見ると、改善効果といったら、諫干の入植が始まったのが平成19年と考えて、COD値はちょっと下がっていますけれども、ただ、これらが目標値の5の水準を達成するためには、相当な年限がかかるし、アオコみたいな、突然のというか、こういう対策については、水質改善の計画・取組とは別個に、やっぱりきちんと対応していくべきだというようなことを要望して、質問を終わります。
○山田[博]委員長 ほかに質問はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 それでは、午後の集中審査に関する審査結果について整理したいと思いますので、よろしくお願いします。
 まず最初に、諫早湾干拓開門に係る国の回答の問題についてでございますが、先ほど私の方から、もう委員の皆さんはご理解いただいたと思うんですけれども、まず、防災の面で、県に相談もなく、地元に相談もなく、基準を100年から30年に見直したとか、国の方から定めておりました土地改良区の農業用水の確保の問題とか、そういったさまざまな点で、問題点をきちんと整理して、さらに国と、特に県選出の国会議員の先生方に改めてこの問題についてご理解とご協力を賜るということで整理したいと思いますが、よろしいでしょうか。
     〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 続きまして、諫早湾干拓調整池のアオコ対策でございますが、調整池の水質浄化はもちろんのこと、アオコ対策については、先ほど高見委員の方からありましたけれども、再利用、要するに肥料とか、そういったものに活用しながら、循環型農業ができないかどうかというのを検討していただきたいということでまとめていきたいと思いますが、よろしいでしょうか。
     〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 そのように整理をしたいと思いますので、よろしいですね。
 それでは、本日の委員会の審査はこれにてとどめたいと思いますが、よろしいですか。
     〔「はい」と呼ぶ者あり〕
○山田[博]委員長 明日は10時より、「口蹄疫対策の取組状況について」の集中審査を行います。委員の皆さん方に事前にその資料をお配りしていますので、しっかりと目を通していただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 本日は、これをもって散会いたします。
 お疲れさまでした。
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     −午後3時57分 散会−
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