平成25年 11月定例月議会 農水経済委員会 - 12月17日−06号

平成25年 11月定例月議会 農水経済委員会

1、開催年月日時刻及び場所
  平成25年12月17日
       自  午前10時1分
       至  午後4時28分
       於  議会会議室
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2、出席委員の氏名
    委員長(分科会長)  西川克己君
    副委員長(副会長)  山田博司君
    委員        野本三雄君
     〃        織田 長君
     〃        溝口芙美雄君
     〃        徳永達也君
     〃        山口初實君
     〃        友田吉泰君
     〃        深堀 浩君
     〃        中島浩介君
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3、欠席委員の氏名
     なし
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4、委員外出席議員の氏名
     なし
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5、県側出席者の氏名
    農林部政策監(農村整備事業・諫早湾干拓担当)
                 梶原義範君
    農林部次長        峠 純秀君
    農林技術開発センター所長 松本信助君
    農政課長         松尾誠司君
    農山村対策室長      寺島正彦君
    団体検査指導室長     酒井 繁君
    農業経営課長       江藤博之君
    農地利活用推進室長    長岡 仁君
    農産園芸課長       田中健一君
    農産加工・流通室長    永橋法昭君
    畜産課長         松永孝三君
    農村整備課長       林田裕興君
    諫早湾干拓課長      宮崎浩善君
    林政課長         佐藤義高君
    森林整備室長       新見芳則君
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     −午前10時1分 開議−
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○西川委員長 おはようございます。
 委員会を再開します。
 昨日に引き続き議案外所管事項に対する質問を続行しますが、皆さんのお手元に水産部からの漁業取締りに関する違反行為の時の停泊命令の日数とか、明日行われます農水経済員会集中審査、水産物の輸出対策についての資料を前もってお配りいたしております。よろしくお願いいたします。
 事前通告された委員の方で、質問はありませんか。
◆山口委員 おはようございます。
 質問通告いたしておりましたので、それに基づいて質問させていただきますが、まず、1点目は施設園芸用低コスト木質チップボイラーの実証事業の関係です。
 今、漁業においても、あるいは離島航路においても燃油高騰でそれぞれの事業が非常に厳しい状況にありますし、当然農業においてもこの油を使うところにとっては非常に厳しい状況にあるのは皆さんご承知のとおりです。
 そういうことで特にハウス栽培につきましては、それぞれボイラーをたいて温度を確保しているということなんですが、油が高騰するものですからハウスをやめるというか、撤退するようなことも見受けられる状況にあり、何とか低コストでハウスが維持できるということが農業の立場から求められるところでありまして、今、その重油だきボイラーに代わる低コストのボイラーがそれぞれの地域でも実証試験を含めて研究がなされている状況にあります。
 そういうことで、我が長崎県としましても、いわゆる低コストの木質チップボイラーの実証試験ということをやっているわけでありますが、その取組の現状についてご説明いただきたいと思います。取組の狙いとか開発の状況等についてお聞きしたいと思います。
◎田中農産園芸課長 施設園芸用の低コスト木質チップボイラーでございます。これは施設園芸をめぐる状況としまして燃油価格が高騰しているということでそれを根本的に変えたいと、いわゆる燃油に頼らない施設園芸経営というものを目指すという発想からこの木質チップボイラーの開発を検討してまいりました。今年度、県内のボイラーメーカーと連携いたしまして、経済産業省のものづくり中小企業・小規模事業事業者試作開発支援補助金というものをメーカーの方に活用していただきまして、低コストの木質チップボイラーの開発に今年度取り組んでいただきました。
 現在、そのメーカーの方で木質チップボイラーの開発をしていただいておりまして、年内にその機器を農林技術開発センターに設置していただいた上で、年明けからメロンを使いまして実際の燃焼実験、それとどういった木質チップ、材質とか水分含量、それと実際に農家がくべるわけにはいけませんので自動のタンク、約6立方メートルでございますけれども、そこから自動的に連続燃焼試験をやって目づまりがしないとか、そういったことにつきまして実証実験をした上でしていきたいと考えております。
 1月の実証試験が安定してくれば、現場の農家の方にも農林センターの方にお越しいただいて木質チップボイラーを見ていただき、そこでまた、農家の方々から忌憚のない意見やいろいろな疑問を聞いた上で、チップボイラーの開発にさらに手を加えていきたいと考えております。
◆山口委員 ぜひ物にしていただいて、少しでも安く園芸ハウスが維持できるように頑張っていただきたいと思うんですが、ただ、ずっとそれをやるとなると、今、まだまだ実証試験といいますか、いろんな課題があるんだろうと思うんです。特に原料となる木材をきちっと提供してチップ化しないといけませんから、その辺のことについての見通しというのは今どういう状況ですか。
◎田中農産園芸課長 木質チップの供給につきましては、今、私どもが考えておりますのが、林政課の方でお調べいただいたところ、県内に木材の製材業者がございます。また、チップ業者も県内にあるということで、そこから供給していただくと。将来的には私が考えておりますのが、施設園芸農家のところにタンクを置きまして、そのタンクの手前でいろんなストックポイントをつくりたいと考えております。そのストックポイントのところまでは大型の10トンクラスのトラックでチップメーカーから一気に運んでくると。ストックポイントをつくってそこに置いて、それをフレコンならフレコンで実際農家の庭先まで運んでそのタンクに詰めていくといったような一連の物流をしていきたいと思っております。そこらは次年度以降、農家段階でそういった実証試験をしたいとは思っております。そういったことについてもやっていきたいと思っております。それは林政課サイドと一緒になってやらないと、農産園芸課ではそこまでできませんので、そういったことも含めて検討していきたいと思っております。
◆山口委員 もう一つは、いわゆるボイラーで燃やすわけですが、木質チップの流動性といいますか、ずっと連続してボイラーの中に供給しないといけないわけですね。そのためには木質チップだけでいいのか、あるいは多少の油を混ぜて混焼にするのか、その辺はどういう方向性でいこうとしているんですか。
◎田中農産園芸課長 私どもがこれを始めるに当たりまして、他県のJAも勉強させていただいております。熊本県ではペレットでやっておりますけれども、チップでやっている事例も見てまいりました。その時はやはりチップだけで自動運転して、灰が出ないように完全燃焼を目指して、結局灰が出てしまうと、それが農家の手間になってしまうので、そうならないように完全燃焼させるような燃焼の仕方、そういったことも含めまして、今回、実証試験の中で検証していきたいと考えております。
◆山口委員 わかりました。そうやって木材チップでボイラーをたくんですが、油と比較した時に、いわゆるコストについてはまだ今からでしょうけれども、一定の検証をしておかないといけないと思うんですが、どういう比率にありますか。いわゆる重油だきとチップにした時のコスト比較については、どうお考えですか。
◎田中農産園芸課長 私どもが今やっておりますことで試算してみますと、1ハウス当たり1時間当たり10万キロカロリーが必要だと考えますと、A重油でいきますと1時間当たり12.6リットル必要になります。これを計算いたしますと、1リットル当たり100円で考えますと1,260円になります。片一方で含水率が30%の木質チップで考えますと29.15キログラム必要ということです。今、単価が1キログラム当たり15円と考えておりますので437円という形になり、6割以上のコスト縮減につながると考えております。
◆山口委員 わかりました。うまくやっていただくと、確かに安くできそうですね。
 これは福岡県の八女でそういうものを今やっている、これは西日本新聞にも載っていたのでご存じだと思いますが、それぞれ関係各地で実証試験をやっていますので、長崎県も後れをとらないようにしっかり頑張ってやっていただきたいと思います。ただ、これがずっと発展しますと、言われているのは発電にも使えないかというようなことも言われているんですが、農業とそっちはまた意味合いが違うので、あるいはペレット化してやるやり方もあるわけですが、どうもそっちの方はコストが高いようです。チップの方が割安、うまくコスト的にもいいと言われておりますから、しっかり頑張っていただいて、普及ということに今度つなげていただきたいと思いますので、よろしくお願いします。
 2点目の農地の中間管理機構の関係についてお尋ねします。
 今次国会でこの中間管理機構については成立したと思っているんですが、マスコミが特定秘密法案のことばかり報道するものですから、こっちの方が全然表に出てこなくて、マスコミ報道としては承知していないんですが、議論されて成立したと認識しております。
 それが成立したとなると、このことについては、たしか前回の委員会なり、あるいは一般質問でも取り上げさせていただきましたので、具体的にどういうものというのは議論しませんけれども、法律が成立したとなると、各都道府県にそれがおりてくると。都道府県が具体的に中間管理機構を組織してやるということになると思うんですが、今後、長崎県としてのそのことに対する取り組みスケジュールをまずお尋ねしておきたいと思います。
◎長岡農地利活用推進室長 委員おっしゃるとおり、農地中間管理機構につきましては、国会の方で関連法案が12月5日に可決いたしております。
 今後、そういった農地中間管理機構を各県に配置していくというスケジュールになります。また、予算につきましても、国の方で来年度予算ということで関係予算が1,039億円予算化されておりまして、補正でも前倒しで400億円組まれるのではなかろうかという情報が流れてきているところでございます。
 今後、県の方でもそういったところで、農地中間管理機構の体制を整備していくということになります。法律が可決した状況でございますが、具体の運用につきましては国からまだ示されていない状況でございまして、今後、そういったものが示されてくる中で情報収集しながら、しっかりとした体制整備を進めてまいりたいと考えております。
 現状、県としましては、市町等の協力も得て進めていかなければいけないということがありますものですから、21市町を回らせていただいて、協力等の依頼はさせていただいたところでございます。
 今後、例えば予算等につきましては基金で対応したいと国から言われているものですから、基金条例の準備等もございますし、体制につきましても進めていかなければなりませんので、そういった人員的な確保等も進めてまいりたいと考えておりますし、法律的なことにつきましては中間管理機構の基本方針等につきまして県が作成して進めると、そういったところを年度内に進めて、4月からはしっかり詰める体制にもっていきたいと考えております。
◆山口委員 当然県だけでやれるものではないものですから、今おっしゃったようにそれぞれの市町にもご説明されているようですが、この機構そのものの具体的な運用というか、実施をするに当たっては、ある程度市町単位でやらないとうまくやれないのではないかと思うんですけれども、その辺はどう考えられていますか。
◎長岡農地利活用推進室長 委員おっしゃったとおり、当然県だけでというのはなかなか難しいと考えておりますし、地域、地域の集落の動きをわかっておられるのは市町だと考えておりますから、市町の範疇につきましては委託をさせていただいて、国もそういったことを示しておりますけれども、委託をさせていただいて推進してまいりたいと考えております。
◆山口委員 各個人が持っている土地を提供する、土地を動かすという大前提があって成り立つものですから、そこには今、農業委員会が全て絡んでいるわけです。その農業委員会と中間管理機構との関係がどうなるのかなと思っているんですけれども、そこはどうなんですか。
◎長岡農地利活用推進室長 まず、中間管理機構が行う中間管理業務といいますのは、今まで農業委員会で農家の方と農家の方を相対でとりもって利用権を設定するというところと別のツールになってまいりまして、一旦中間管理機構が預けを受けて貸すという形になります。ですから、今までと同じように農業委員会の相対の取組については継続してまいる形になりますが、この中間管理機構についても中間管理機構に預けていただくかどうかの意思確認につきましては、一番地元に近い農業委員さんたちを抱えておられる農業委員会の方で意思確認をしていただいて、預かるかどうかを決め、進んでいくという形になろうと考えております。
◆山口委員 ちょっと考え方の世界でお尋ねというか、今のいわゆる戸別所得補償制度ですね、それは個々の農家をきっちり頑張らせるための制度なんですが、これは逆に言うと集約化して、農地の8割は活かしていこうという大義名分の中でやるわけですが、その辺の国の政策として、どっちも重要なんですが、少し相いれない、若干矛盾する政策でもあるんじゃないかという意識を持つんですが、それはどうですか。
◎長岡農地利活用推進室長 中間管理機構と申しますのは、おっしゃるように高齢化や後継者がいないという理由から、やむなく規模縮小されたり、離農される農家の土地を、利用可能な耕作放棄地なども借りまして担い手の経営規模の拡大と所得向上につなげるという施策でございます。
 また、経営所得安定対策というのは、販売価格が生産価格を恒常的に下回っている場合に、作物を対象にその差額を販売農家に交付するというものでございまして、農業経営の安定と国内生産力の確保につなげることが期待されているというものでございます。
 現状におきましては、いずれも本県の地域にとりまして必要な施策と考えておりまして、この政策をうまくつなげることによりまして、現在進めております「ながさき農林業・農山村活性化計画」の目標の一つであります農林業を継承できる経営体の増大に向けて取り組んでいきたいと考えております。両方とも連携しながら取り組んでいくべき施策だと考えております。
◆山口委員 具体的に実施するに当たって、各農家の意向というのが極めて大事になってくると思います。住所がわからなくなった荒廃農地とか、これを集約化するとなるといっぱい問題が発生するんだろうと思うんです。そこは次の問題だと思いますので、制度としてできた以上はしっかり農家のためになるように、地域農業が発展するようにやってもらわないといけないなと思っていますから、その辺はよろしくお願いしておきたいと思います。
 もう一点は所得向上策です。
 長崎県としては、779億円の平成27年度の効果を生むための県民所得向上策というのを打ち出されています。間違っているかもしれませんが、数値を言いますと、長崎県としては平成22年度に比較して41億円の農業所得向上を目指して具体的な取組をなされていると認識しています。そういう状況で10項目を挙げられていたと思うんですが、平成25年度も4分の3を過ぎようとしている状況下にあって、今年度、農林部として掲げた目標がどういうふうに消化されているのか、どう評価しているのか、そこだけお尋ねしておきたいと思います。
◎松尾農政課長 今お話の県民所得向上対策の件でございます。先ほど委員がおっしゃいましたように、農業産出額、平成22年度ベースでいきますと1,399億円から平成27年度には1,506億円ということで107億円の増加を目指すということでございますが、県民所得額の増加ベースでいきますと43億円の効果を目指していくということでございます。
 現状私どもの方としましては5項目程度の取組の柱がございます。野菜や果樹、花卉や畜産、そういったところを具体的にどうしていこうかという中では、地域別に各品目別の部会を単位とした産地計画というのがございます。その産地計画の方で生産者の方々と市町と局が一体となって進めていこうという体制をとっております。
 具体的にはその中で重点産地を決めまして、産地ごとに課題とか、具体的に何をやっていくのかということをリストアップしまして、そのリストアップされた方を中心に進めていけば、より県民所得向上の効果が出るのではないかということでございまして、今、271産地ございます。その中で、農産園芸部門でいけば221でございますけれども、その中で6割程度の重点産地を決めております。その中でかつ半分程度はリスト化も完了していますので、そういう取組をしていきながら、この農業所得の向上に、産地とJAと市町と局・県が一体になって取り組んでいきたいと思っております。
◆山口委員 もう意見といいますか、要望だけしておきますが、要は長崎県全体の所得向上が今一番の命題でもあるし、雇用も含めて農家の皆さんが、こうやって皆さんが頑張っていただいて農家の所得向上に向けて努力しているものが、本当に実感できないといけないわけですね。そうしないと、本当に県民にその成果が与えられたことになるのかどうかというのは、やっぱり農家にそう感じさせ得るかどうか、ここにかかってくるんだと思いますので、そこもきちっと踏まえて施策をやっていただきたいと思います。特に、農業は今厳しい状況、皆さんもご承知のとおりです。だけど、そういいながらも皆さんがばんばん旗を振って農家に元気を出してもらわないといけないわけですから、実感できる農政をしっかりやっていただくことをお願いして質問にかえたいと思います。何かありましたら、お願いします。
◎峠農林部次長 所得向上対策につきましては、具体的な品目において、例えば「にこまる」や「つやひめ」をつくるとか、あるいはいちごの品種を更新するとか、そういう具体的なものは施策の中に打ち込んで今まさにやっております。今おっしゃいますように、そういうことを農家の人が実感として受けるか、その辺については農家の視点に立って、あるいは農家に軸足を置いて、今後も施策を打っていきたいと考えております。
◆徳永委員 通告の質問をしたいと思っております。
 まず、いちごの「ゆめのか」の作付拡大についてですけれども、今度は「ゆめのか」ということで一生懸命取り組んでいただいておりますけれども、前回はたしか「こいのか」でした。これも非常にいいんですよということで私も試食をして、自信満々だったんですけれども、結果的に白ろう果ということでこの品種はなかなか普及しなかった。今回、満を持して「ゆめのか」ということでやられていますけれども、これにもそういった病気があるということを生産者からは聞いておるんですけれども、今、その洗浄と対策を行っていますけれども、その辺のことをまず聞かせてください。
◎田中農産園芸課長 「ゆめのか」につきましては、先般、部長からもご説明がありましたけれども、今、委員ご指摘の「ゆめのか」の生産における課題というものはどんなものかということでございましたけれども、実際上、昨年の成績からいきますと、先青果というものが発生しております。これは何かといいますと、いわゆる苗の段階から「ゆめのか」の品種というのは非常に勢いがございます。勢いがあるということで単収が「さちのか」に比べて1.4倍もあるということがあるんですけれども、その勢いが余って、花の状況によりまして初期生育が旺盛なものですから、栄養成長と生殖成長のバランスが崩れてしまうということで先っぽが青いまま、赤く成熟しないで先青果というのがございます。では、これをどうやって減らしていくかということでございますけれども、いわゆる苗の時に勢いがいいものですから、いわゆる施肥のコントロールをどうするかということが一つございます。対策としては、今、株冷といいまして、通常「さちのか」ですと普通ポットや夜冷といったものでやるんですけれども、それでいきますと先青果が出やすいという傾向がございます。それで、株冷施設、いわゆる1週間から10日、2週間ぐらい暗黒の15度ぐらいの装置の中に入れてセットする時になりますと、株自身の成長がおさまりますので、落ち着いた状態で定植できると。
 また、定植段階におきましても、肥料が非常にいっぱいあると先青果が出てしまうといったことがありますので、やはり成長度合いを見た施肥管理というものについて、今、農林技術開発センターや農協なりといろいろと相談しながら、今、先青果対策というものを講じているところでございます。
◆徳永委員 今回、「ゆめのか」というのは、先ほど言われたように単収が1.4倍、「さちのか」がメインですけれども、「さちのか」はどうしてもクリスマスの時期に生産が間に合わず後になってしまうということですね。そういうことがあって、単価アップ、そして作付アップということで「さちのか」よりも、前は「こいのか」、今度は「ゆめのか」ということでやられているということは私も認識はしています。ただ、前回の「こいのか」のイメージというものが強くて、私が見る限りでは、農産園芸課長は今こっちの方で進んでいますと、生産者の方も意欲がありますと言うけれども、現場では、特に私の国見町というのが県内で一番の生産地ですからね、ここで聞けば「ゆめのか」の話、そしてまた、「ゆめのか」に移行するというのを私は聞いていないんです。その辺が非常に県側と生産者側のギャップというのがあるんですけれども、実際のところその辺はどうなんですか。
◎田中農産園芸課長 昨年4ヘクタール県下で「ゆめのか」を栽培しました。その中で各地域別に評価をしていきますと、県北の地域ではかなりの単収を上げていて、意欲的だと聞いております。同じく県央地区につきましても、単収の向上が顕著に見られるという報告を受けております。
 委員のご地元の島原の方でございますけれども、そのあたりでも単収は上がっております。ですが、私どもが今農業団体から聞いている話でいきますと、昨年の場合、栽培管理の仕方が、いわゆる「さちのか」と「ゆめのか」の栽培の仕方を、棟を分けたり、明確な栽培指導が十分できなかったという話を聞いていまして、「さちのか」の延長の栽培指導をしてしまったのではないかといったところが課題として上がっておりますので、今年度につきましては「さちのか」と「ゆめのか」の棟を別にするとか、明確に栽培方法、施肥管理などの栽培技術についての徹底することによってその差が出るだろうということで、今年度改めてその辺に重点を置きまして、島原の方については営農指導していきたいと考えております。
◆徳永委員 確かに地域で、また県内でもいろいろと違いますからね。そういう中で、単収は確かに上がるということですが、単価はどうなんですか。
◎田中農産園芸課長 昨年度はまだ4ヘクタールしかありませんでした。片一方で「さちのか」の面積が全農ベースで219ヘクタールあったということで、単価については「さちのか」と「ゆめのか」、昨年については同じであります。ですけれども、今後につきましては、「さちのか」から「ゆめのか」への転換をしていくということになりますので、当然有利販売につなげていくように努力していきたいと考えております。
◆徳永委員 各県のいちごの品種をいただいたんですけれども、例えば栃木県は「とちおとめ」、福岡県は「あまおう」、佐賀県は「さがほのか」ということで、一つの品種というかブランドを持っているわけですね。長崎県は、今までは「さちのか」をやっていましたけれども、「さちのか」というのは長崎県と四国の高知県でしたか、何県かあるんです。いわゆるブランド力がないわけですね。
 もう一つは、やはり首都圏から遠いということで販売先が関西までで、それ以上遠いところはなかなか難しいということがあって、非常に収入の面でも非常に苦労しているんですね。そういう意味では、やはり生産者が期待しているのは首都圏、東京まで持って行ける、これは当然運賃コストもかかります。そういう中でやはり首都圏に持って行かないといけないということがあるわけなんですね。
 もう一つはブランド力です。長崎県と言えば「ゆめのか」というふうに期待をするわけですけれども、そういったところも私が今、何県か言いましたけれども、そういうところも含めたところで、この「ゆめのか」という品種を県が今から推進、移行していくという理解でよろしいんですか。
◎田中農産園芸課長 「ゆめのか」につきましては、「さちのか」に比べて果肉が多少やわらかいとか、そういったこともございますが、色が「こいのか」は濃い赤でございますけれども、「ゆめのか」は鮮やかな赤だということで、いわゆる業務筋の方にもそういった需要を発掘していきたいと考えております。
 また、今、量があまり、先ほどの説明では35ヘクタールでしたけれども、最新の情報によりますと40ヘクタールまで伸びるとも聞いております。そうなりますと、まだまだ量が足りませんので、まずは関西地区ですが、東京の方にも出しております。今、言われたようにブランドというところにつきましては、高級青果店といったようなところにも今年度から「ゆめのか」を実際にもう出しております。そういう形で「ゆめのか」の販路の確保なり、販売網の構築というのを、「さちのか」から「ゆめのか」への転換を、今、関係の業界の方に働きかけをしているところでございます。
◎永橋農産加工・流通室長 量販店対策とか販売対策で「ゆめのか」というお話でしたので、私の方からもお答えいたします。
 特に、現在、全農関係とは「ゆめのか」にシフトしていくという前提のもとで、PR対策を重点的にまず打って、知っていただかないといけないということでそういう協議を進めております。
 もう一つ、実は先般11月でしたか、香港のバイヤーを農林の関係で呼びまして、先ほどから福岡の「あまおう」の話が出ておりましたが、やはり香港でも「あまおう」が席巻している中で、お店によってはそれに代わるいちご、どこに行っても「あまおう」だと、消費者というのは飽きてくるので、その次の弾として何がいいかということをそのバイヤーは探しておられて、私どもの方で「ゆめのか」を提案した経緯がございます。
 「ゆめのか」については、今、園芸課長が申しましたが、粒がこれまでのものより大粒になるとか、色目がいいということでケーキ等のお菓子屋さんの需要が見込めるのではないかという話も出ておりますので、そういうところは販売戦略として今後関係機関とも詰めていきたいと思っているところでございます。
◆徳永委員 さっき言われたように、海外のことも質問しようと思ったんです。台湾も「あまおう」ですよ。課長も知っているように、私の知り合いも行ったんですよ。しかし、長崎県は全然だめなんです。昨日もらった資料も一緒ですよ、ほとんどないですよね。福岡県は、この「あまおう」に対しては非常な努力をされてこのブランドをつくったわけですね。これに栃木県が「とちおとめ」、非常にこれも大変なことになって、今、「とちおとめ」も品種改良して今やっているんですよね。それまでは「とちおとめ」がダントツで、「あまおう」がきて、「さがほのか」とやっていますね。
 そういう中で、単収も非常にいいことですよ、しかし、やっぱり単価ですよ。単価ということはイコールブランド力なんですよ。私は「あまおう」と「さちのか」を食べ比べても、ほとんど差はないと思います。逆に「さちのか」がおいしいなというぐらいですが、やはりこれはブランド力なんですね。
 もう一つは海外に行くには、それだけの高い単価で売らなければ採算がとれないんです。こちらの生産者が行った時に、値段をある意味たたかれるんですね。それと日持ちがしないという問題もあるんですね。そういう中でやるんでしょうけれども、ここはしっかりとそういうものを精査してやらないと、ただただ、今言われるように「いいんです、いいんです」では、よその県も一生懸命なんですよ。特に、いちごの場合はおやつ、嗜好品ですから、毎日の食事で使う野菜とは違いますから、いうなれば贅沢品になってしまうわけですよ。だから、そういうところも奥様たちが子どもに食べさせたいなとか、おいしいから買いたいなといったものをやらなければなかなか難しいと私は思います。
 今回は「ゆめのか」、「こいのか」の失敗があったから、恋から夢になって、夢で終わらないようにお願いしたいんです。とにかく私がいつも思うのは、「とちおとめ」、「あまおう」、「さがほのか」、「長崎ゆめのか」というふうにしっかりここは取り組んでいただきたいと思います。
 最後に聞きますけれども、私が何回も言うように、生産者は、私の地元ではやはりまだ「ゆめのか」というのがほとんど聞かない。さっき言われたように時期的に島原が生産の中心地で、なかなかそっちにシフトするというのが難しいんでしょうけれども、県のブランドをとなれば、そこはしっかりと、先ほど言われたように島原もこっちに移行してやると。一番生産地でありますから、ここをしなければこれはなおらないんですよね。今、栽培面積が長崎県は232ヘクタール、そのうちの181ヘクタールが「さちのか」ということですね。約80%です。ここがしっかりやらないとこれはなかなか難しいですよね。その辺はどうなんですか。
◎田中農産園芸課長 今、委員が言われるように、本県のいちごの主産地は、島原、雲仙、南高地区でございます。特にそこの協力なしには本県の「ゆめのか」ブランドの確立というのはできないと考えておりますので、いわゆる栽培指導に始まり、販売戦略まできめ細かくその辺は県として支援を検討していきたいと考えております。
◆徳永委員 わかりました。一生懸命お願いしたいと思っております。
 その関連といいますか、次の質問ですけれども、私は以前から、いちごも含めたところの開発技術力というのは、やはり所長、これは自前でやるように、本県は農業、水産業も一緒ですけれども、第1次産業というのは重要な産業でありますから、そういう意味で農林の方の技術開発というのが水産に比べればちょっと落ちるんじゃないかなと。そしてまた、今度のいちごも愛知県の品種でしょう。これを長崎県としてやると。だから、ブランドに結局愛知もあるわけなんです。「あまおう」は福岡県だけでしょう。これは絶対他県にはやらないと、「さがほのか」はちょっとずつ分配していると聞いていますけれども。やっぱり長崎県しかないというブランドをつくるには、やはり自前の開発力というのが必要だと思うんです。
 そういう中で今の技術者の状況、例えば畜産試験場なんかも非常に不足しているということを聞いておりますけれども、今、試験場の技術者の現状をまずお知らせください。
◎松本農林技術開発センター所長 今の委員のお尋ねは、センターの技術職員の状況ということなので、人数とか年齢構成などをご説明したいと思います。
 農林技術開発センターの技術職員、研究員と農事員、畜産技術員がおりますけれども、まず、農事員、畜産技術員の合計については、ピークが平成15年、10年前が数的にはピークだったのですけれども、それと比較してご説明します。
 まず、正規職員が平成15年は52名おりましたが、現在、平成25年は38名ということで14名減となっております。
 それに対しまして非正規職員が、平成15年は2名でしたが、これが現在19名ということで17名増となっています。その結果、正規職員と非常勤職員を合わせました合計数は平成15年が54名ですが、平成25年が57名ということで3名の増ということになっております。非常勤職員を含めますと、農事員、畜産技術員の職員数は概ね同様の体制を維持しているものと考えています。
 また、研究員につきましても、平成15年度91名に対して平成25年度は89名とほぼ同数であります。試験研究に携わる職員数としては、ここ10年間ほぼ同様の人数、体制できているものと考えております。
 もう一点は年齢のことですけれども、年齢構成につきましては、この平成15年と平成25年と比較しますと、平成15年は20代の方が27%、30代が25%、40代が12%、50代が37%でした。今言っているのは農事員と畜産技術員のことです。これが平成25年は、20代がゼロ、30代が21%、40代が42%、50代が37%ということで、この傾向をまとめますと、若手職員は任用替え等の影響で減少しておりますが、40代職員が増加しており、逆に高齢層の50代職員は減少していますが、構成比ではあまり変わらないと、そういう状況でございます。
◆徳永委員 ありがとうございました。
 まず、技術員の人数的には変わらないと。ただ、非正規職員、非常勤職員の技術者が2名から19名ということです。この方たちはどういった方を採用されているんですか。
◎松本農林技術開発センター所長 非正規職員、非常勤職員はどういう人を採用しているかというお話ですね。我々としましては、農事員、畜産技術員が定年退職した場合に、現業職の中で畜産技術員等になりたいという人がおりましたら、その方を優先的に回しているんですけれども、そういう希望がない場合は非常勤職員を採用しているんですが、その場合は、農業や畜産業に対して一定の知識や経験があって、試験研究の補助業務に対して適性が高いと、できるだけ高いという人材を、面接等を行いまして採用しております。
 また、農事員、畜産技術員の指導のもとで、そういう非常勤の職員は正規職員の指導のもとで栽培や飼養管理等の試験研究補助業務に取り組んでもらっております。
◆徳永委員 今のこの構成で問題がないということで理解をしていいんですか。
 私が思うのは、この技術者というのはすごく大事なんですね。これは当然、さっき言われるように、先輩が後輩を指導しながら、そして現場で覚えさせていくと。これは水産部にも同じような質問をしたら、水産部はずっと一からいろいろと指導し育てていくんだということを言われていたんですよ。だから、農林部もそういった考えだろうと思います。それでいいんでしょう。
 ただ、そうなれば非正規ではちょっと問題なんですよね。だから、私が思うのは、その人件費のカット、しかし、これはそこのポジションで違うんですよね。これはよそから来てすぐできるものとできない仕事があるわけなんです。その辺が一番大事なんです。だから、私は決して所長に文句を言っているんじゃないんです、味方なんですよ。だから、やっぱりそういう意味でしっかりとした技術者が育成され、そして技術者が必要ということであれば、やはりこれはあなた方が現場におられて一番わかるんですから、それと本県の農林業がこれによって衰退をすれば大変な問題になりますから、その辺で今現場におられる所長の率直なご意見を聞かせていただきたいと思います。
◎松本農林技術開発センター所長 少し具体的な話になりますけれども、よろしいでしょうか。
 委員のご質問は、農事員とか畜産技術員の体制というか、非常勤が増えることによって仕事に支障が出ていないのかということなので、その実態をご説明しますが、農事員、畜産技術員は、基本的な仕事は研究員と協力して試験研究の補助業務を担っておりまして、担当する作物の栽培管理とか、家畜の飼養管理全般をやっています。これについては一定の専門性が認められる分野と思っております。
 そういう中で、例えば畜産では専門的な仕事として、例えですけれども、牛の蹄の管理である削蹄とか搾乳、また発情を発見して繁殖管理、人工授精していくとか、また飼料の栽培とか収穫で必要な高度な機械を使うとか、そういう専門的な技能が必要です。しかし、現在、農事員等が行っている業務の中には、一部には求められる専門性レベルがそれほど高いとは言えない仕事もあるのは確かです。例えば日常の栽培管理の中で耕うんしたり、収穫したり、出荷したり、掃除をしたり、またビニールハウスを張り替えたり、また、センター内の美化活動を行ったり、こういうところは正規職員の指示のもとに行えば非常勤職員でも対応が可能と考えておりまして、正規と非正規の職員がそれぞれ役割を分担して業務を進めているところです。
◆徳永委員 私が心配、懸念をしているのは、農事員は現状でいいと思うんですが、この技術者ですよ。これがさっき言われた20代が今ゼロと。30代は21%ですけれども、この技術者を特に私は心配しているんですけれども、今の状況では別に問題はないし、今後もちゃんとした補充もしていくということですか。なおかつ技術維持ではなくて、今後技術アップもお願いしたいんですね。そういう意味では、今の組織の考え方というのはそれに沿ってやっているし、今後もやるという認識でいいんですか、最後に聞きます。
◎松尾農政課長 先ほど、農林技術開発センター所長がご説明しました20代がゼロという話は農事員でございます。
 今、所長も申し上げましたように、農林部としましては、ある程度現業職の方々のあり方、去年からいろいろ議論をいただいたところでございますので、そういう正規職員の役割がどこまでなのか、非常勤の役割がどこまでなのかというところを人事当局が精査をしている段階でございます。我々としては、長年の経験を培ったところの業務というのは非常に大事なんだということは当局の方にも申し上げておりますけれども、ただ、所長が申しましたように日常の栽培管理の問題とか、そういった非常勤的なものもまだあるんじゃないかと、そういったところのすみわけを今やっている最中でございますので、しっかり現場の方と向き合いながら対応していきたいと思います。
◆徳永委員 では、今そういう調査をいろいろとやられているようであれば、一度これをまとめて資料をいただけませんか。今の構成、そして今の問題点、今から対策をいろいろやられるでしょうから、私自身もそこを把握しなければ、これ以上の質問はできませんので、一度私の言わんとしていることを、今の調査と含めたところで一度資料をいただきたいと思います。
○西川委員長 しばらく休憩いたします。
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     −午前10時55分 休憩−
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     −午前11時5分 再開−
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○西川委員長 委員会を再開します。
 引き続き質問を続行します。
◆溝口委員 徳永委員に引き続いて、いちご「ゆめのか」の作付拡大について質問したいと思います。
 先ほど、徳永委員がある程度質問しましたけれども、質問をさせていただきたいと思っております。
 愛知県で育成された「ゆめのか」の品種を今から推進していこうということでございますけれども、いちごの現在の生産額はどのくらいになっているんですか。
◎田中農産園芸課長 現在の県全体の産出額は、約90億円です。
◆溝口委員 今から、平成28年度までに100億円を目指していくということですけれども、「ゆめのか」が「さちのか」に比べて140%ですか、平成24年度のもので売れたということですけれども、現在、市場価格が「さちのか」で大体どのくらいしているのか、「ゆめのか」は幾らしているのか、パーセントでしか出ていませんので、平成24年度でいいですから教えていただければと思っております。
◎田中農産園芸課長 平成24年度の単価で申し上げますと、1パック当たり「さちのか」が311円、「ゆめのか」が308円でございます。
◆溝口委員 そうすると、311円で、今年が308円ですか。今のは1パックの値段ですね。今言われたのは「ゆめのか」の値段ですよね。
◎田中農産園芸課長 昨年の単価でいきますと、「さちのか」が1パック当たり311円、「ゆめのか」が308円となっております。
◆溝口委員 値段がちょっと違う、140%にならないんです。私がその辺の通告をしていなかったからですけれども、「ゆめのか」の方が1パック当たりの値段は安くなるんですか。
◎田中農産園芸課長 数字全体を申し上げますと、今私が持っている数字で申し上げますと、単収10アール当たりのパック数が、「さちのか」が昨年の結果では1万1,526パックとれます。それで単価が311円ですので、10アール当たりの販売金額が358万5,000円になります。
 一方、「ゆめのか」につきましては、10アール当たりのパック数が1万6,610パックということで、「さちのか」に比べまして144%でございます。それで単価が308円でございますので10アール当たりの販売金額が511万3,000円でございます。販売金額ベースでまいりますと、358万5,000円と比べまして143%の販売額になります。
◆溝口委員 10アール当たりのことで140%ということで理解いたしました。ただ、今回、平成23年から徐々に増やしていって、今年が35ヘクタールということです。そのいちごの生産を平成28年の栽培目標としては200ヘクタールを目指していくということですけれども、現在、いちごの栽培をしているのが200ヘクタール近くあって、それをずっとかえていくということになってくるんですか。
◎田中農産園芸課長 現在の全農扱いのベースでまいりますと、平成24年の県下の取り扱い面積が239ヘクタールほどございます。その内訳は「さちのか」が219ヘクタール、「ゆめのか」が4ヘクタール、「こいのか」が16ヘクタールでございます。
 そして、平成25年度につきましては、全体が約7ヘクタールほど減って232ヘクタール、「さちのか」が181ヘクタール、「ゆめのか」が40ヘクタール、「こいのか」が10ヘクタールということでございまして、現在、平成28年に200ヘクタールを目指すとしておりますので、「ゆめのか」以外の「さちのか」等からの品種転換というものを一つの考え方として生産の作付振興を図っていこうと考えております。
◆溝口委員 先ほどの徳永委員の質問の中では、なかなか「ゆめのか」を農家の方があんまり好まないような話も出ていたと思うんですけれども、これを今のヘクタールからいったら90%近くにしていくということは、関係者とのいろんな話し合いの中で、相当推進していくための努力というのが要るのではないかと思うんです。県の考え方はそうかもわかりませんが、農家の方々の考え方というのは、その辺の聞き取りはしているんですか。
◎田中農産園芸課長 県下の部会の中では、いわゆる昨年の4ヘクタールを実証した方々の中では、やはり単収が上がるということで、それを非常に評価している声の方が多うございます。実際、単収が多く上がるということで、農家の中には後継者を戻されるといった事例も見受けられます。ですから、ある意味、この品種を推進することによって地域の活性化にもつながるのではないかと考えております。
 ですから、こういった状況がございまして、片一方で先ほど徳永委員の質問の時にも言いましたけれども、その明確な成果があらわれていない地域につきましては、なぜ明確な成果があらわれなかったのかというのを検証しておりまして、それに向けた改善策を今年度打ち込んでおりますので、そうしたことで農家の理解を深めていきたい、そして、その目標に向かって努力をしていきたいと考えております。
◆溝口委員 わかりました。せっかく平成28年度までの栽培目標を立てているわけですから、その目標達成に向けてぜひ努力をしていかなければいけないと思うんです。今言ったように、なかなか普及できていないところについては、やはり県の方として積極的にそこに説明に行って普及していただけるようにお願いしておきたいと思っております。
 それから、びわなどの被害があった時には共済事業に加入していないという部分があったと思うんですけれども、このいちごに関しては共済とかの事業はあるんですか。
◎田中農産園芸課長 いちご共済、いわゆる野菜の関係の共済制度はございません。一方、園芸施設の共済の関係はありますが、作物の減収を目的とした共済制度は今ございません。
◆溝口委員 わかりました。ただ、びわの方でも被害があった時に共済に加入していない方々がいて、苦しくなっていくという場面が見られるんですけれども、このいちごについても病気としてはかなり多いということを先ほどの話の中で聞いているんですけれども、共済事業を立ち上げるような考え方を農協には指導的にできないんですか。
◎田中農産園芸課長 もともといちごにつきましては、施設園芸ということで、自然災害による減収というものを前提としていないというのが一つ大きな課題としてございます。
 そのセーフティーネットとして今あるのは、いわゆるいちごの価格の減収に対するセーフティーネットとして野菜の価格安定制度というのがございます。いわゆる露地野菜等について、昨日も中島(浩)委員のところでご説明しました野菜の価格安定制度というものがございますので、そういったセーフティーネットによりまして農家の経営の安定を図っていきたいと考えております。
◆溝口委員 漁業にしてもセーフティーネットによってそれを救済してということで進めているわけですので、ぜひいちご農家の方々に対してもそういうセーフティーネット、農家全体のことになると思いますが、ぜひそのセーフティーネットを進めていただきたいと思っております。
 それから、全国和牛能力共進会ですけれども、今回、第11回全国和牛能力共進会宮城県大会に向けた長崎和牛推進推進協議会が設立されております。前回の第10回の時には県が受け入れるという形の中で積極的に取り組んできた部分があったと思います。今度の第11回大会については、県の方として、協議会の中にも入っていると思うんですけれども、どのような形で取り組んでいこうとしているのか、お聞かせいただきたいと思います。
◎松永畜産課長 全共の関係でございますが、前回は受け入れ態勢等もあったということで実行委員会をつくり、全市町が入る中で進めてきた経過がございます。平成29年に開かれる第11回大会ですが、こちらは出品対策というのが主体になるわけでございまして、その出品対策の中身を検討するために県、登録関係の団体、畜産団体、JAグループ等で去る11月14日に協議会というものを設立させていただいたところでございます。
 目標として、前回とった日本一の連覇を目標としておりますので、県としても当然積極的に協議会の中に参画いたしまして、出品対策の推進に団体とともに邁進してまいりたいという考えで取り組んでまいりたいと思っております。
◆溝口委員 わかりました。一応前回、出品した9部門、また29頭が全て優良賞ということで、牛肉の部では総理大臣賞をとったんですけれども、やはりこれを続けていくというのはかなり難しい形になると思うんです。さきに私たちが委員会として田平の肉用牛改良センターに行かせていただきましたけれども、その時に私たちが見ていて、本当に技術者としては相当努力しながら進めている部分があるんです。今回、この肉牛の部分に対しても出品するということになれば、前回とったものより、もっとすぐれたものをつくっていかないといけないと思うんです。そういう形の中では県の役割というのが結構大きくなってくるんじゃないかと思いますけれども、その辺の取り組みについてもお聞かせいただきたいと思います。
◎松永畜産課長 前回、肉牛の部で内閣総理大臣賞をとったわけでございます。総合的な日本一ということをとったわけでございますが、ほかの出品牛も含めてその後反省いたした中においては、基本的に脂肪交雑というのは非常に高いものがあったわけでございますけれども、例えば肉の歩どまりであったり、ロース芯の面積とか、あるいは旨味物質と言われておりますオレイン酸の問題、こういった項目についてはまだ改善の余地があるだろうというのが反省点でございました。そういった中でこういった点を改善していくといいますか、例えばオレイン酸を高めるのであれば、そういう飼育マニュアルに変えていくと、肥育のマニュアルを見直すという対策も含めて、前回以上のいい牛ができるような取り組みをしてまいりたいと考えております。
 特に、出品牛を出すための交配を来年の11月ぐらいからするわけでございますけれども、その母体となる母系の選別に当たりまして、前回以上のレベルの高い母系を選んで交配をして、そこから生まれたものを出品していくと。
 当然のことながら、飼育が始まりますと、前回同様、毎月の巡回指導等でしっかりいいものができ上がるように指導してまいりたいと考えているところでございますし、前回は「平茂晴」中心の出品でございましたけれども、今回は若い牛といいますか、「平茂晴」の後継牛である「福姫晴」とか、気高系でしたら「金太郎3」とか、新しい種雄牛もできておりますので、そういった牛の種雄牛をもってしっかり対応できるように、これから具体的な検討をしてまいりたいと考えております。
◆溝口委員 交配させた子牛等を育成していく中で、今度は農家の方々に責任が出てくると思うんですけれども、その辺についても飼料関係が大きく影響すると思うんです。その飼料対策についてはどのように考えていこうとしているんですか。
◎松永畜産課長 全共関係の飼料対策ということでは、直接的なものは現在のところは考えておりませんけれども、基本的には肉牛を飼われる方に導入の経費を一部助成することによりまして、その出品される方々の負担軽減を図るとともに、先ほども申し上げました巡回指導の強化でいい牛をつくる対策というものを進めていきたいと考えております。
◆溝口委員 終わりにしますけれども、せっかく第10回長崎大会で優秀な成績をおさめることができましたので、ぜひ連覇を目指して取り組んでいただきたい。そして、県が積極的にかかわりを持っていただきたいと思っておりますので、要望しておきます。
○西川委員長 「金太郎3」の前は何ですか。「平茂晴」の後継は何ですか。名前を教えてください。
◎松永畜産課長 「平茂晴」の後継牛は、「福姫晴」です。
◆織田委員 3項目通告をしておりましたが、諫干の件は、明日、報告を受けて、その後にまとめて質問したいと思います。
 米の件で昨日は友田委員、今日は山口委員から話がありました。米そのものにかかわる生産調整、減反政策が大きく変わってしまうということが明確になりました。いろんなお話が昨日もあって、昨日のやりとりで大体わかったんですが、まだまだ確定していない事項がたくさんありますので、これらを整理した後にどういう形になるのかということを私たちも注視したいと思います。
 今日の話の中でも、農業委員会と中間管理機構がどういう役割を果たすのか、基本的には許可は県がすることになっています。借りる土地ですから、農業委員会が直接許可をしないと。意思確認だけはするけれども、基本的には県がする。そういう面では県の権限が非常に強くなるんですね。県の役割が非常に重くなってくると思います。そういう面では市町、場合によっては農協、企業というところも含めて、これからいろいろ展開が始まってくるのかなと思っております。ぜひこの定着を図らないといけないと思います。皆さんも国が法律で決めてきたことですから、県がそれをきちっと定着をさせるという役割があると思いますので、これから十分に予算の中身を見ながら政策を図っていただきたいんですが、やはり私たちが接する農家というのはお年寄りが夫婦で農業をやっていらっしゃるとかというところで一生懸命頑張っておられるころが結構多いんです。そういう方と接すると、こういう大きな転換の中に、こういう農家がどこまでそれに対応できるんだろうかというと、非常に難しい面を感じます。そういう面で、この変わっていく中でどう激変緩和してあげるか。長崎県では、そう簡単にいきませんよと、中山間地が多い地域、また高齢者が多い農家、大規模といってもそう大きくはない農家にあって、大規模化を進めていくわけですから、なかなか簡単じゃありませんよと。そういう点では、この基金についても、先ほど1,000億円という話があったけれども、もっと長崎県はたくさんぶんどってこられる要件が、逆に言えばあると思うんです、これを定着させるために。そういう面の戦力をしっかり今後考えていかないといけないと思います。これを定着させるのは、長崎県はそう簡単にいきませんよ。だけど、現場の皆さんは非常にそれを心配しています。長崎県は激変緩和として、そこにどういうふうな対応をしてくれるんだろうか、市町はどうやってくれるんだろうか、こういうことを一番皆さんは悩んでいらっしゃると思います。その辺についてはどういうふうにこれから考えて展開していこうと思っていますか。
◎田中農産園芸課長 米の生産調整につきましては、今回示された施策の中では、今、織田委員が心配されている中山間とか小規模農家についてはどうかというお尋ねでございますが、今回の対策の中身を見ますと、一つは規模要件というものが最初の頃は4ヘクタールとか、規模要件がかかるような流れできたわけですけれども、結局、11月26日の政府決定の中身を見ますと、規模要件というのはその中から外されております。ですから、ある一定の安心はあったんです。ただ、一つあるのが、例えばこれまでは集落営農と販売農家が対象になっていたという部分はあるんですけれども、それが一つはいわゆる米価変動交付金といいまして、米の価格がある一定下がった時、そういったものについては平成26年産で廃止をするということで、米畑作物収入減少影響緩和対策ということでならしの対策というのがございます。その中でその方向に移るわけですけれども、平成26年産の激変緩和措置ということで販売農家の方も1年間だけは対象になれますということです。ただ、交付単価がこれまで満額に近い額があったわけですけれども、今度のならし対策というのはこの5年間の最高・最低を除いた3年間の平均収入と販売価格との9割を補てんするという制度に移行していくわけですけれども、そのうち生産者拠出が1、国の拠出が3という形で生産者の負担は強いられるわけですけれども、生産者の負担なしで国の負担割合の4分の3の部分の5割、ですから、ちょうど計算しますと33%ぐらいになるんですけれども、その部分の補てんは得られます。平成27年産からは、担い手の経営安定法という法律がございまして、その法改正をして、認定農業者、集落営農、認定就農者の3者だけに限った形になってまいりますので、それにこぼれないように、私どもとすると米の集落営農という形を現場の方にご提案しながら、そういった対応をしていきたいと考えております。
◆織田委員 急落した場合についても、新しい制度として収入保険制度を保険的にこれをやっていこうかと、米だけではなくて、農家の収入全体を考えて、全体にかけようじゃないかということも今いろいろ話が出てきて、これからそうした創設に向けても話が移行していくと思うんですね。それはそれで安定の分は出てくるんですけれども、ただ、今、長崎県でさっき言ったお年寄りだけで頑張っている農家が結構多い中にあって、今国がやっている大規模化に大転換する中になかなか乗りにくい方たちがいっぱいいらっしゃると思うんです。この人たちにどう丁寧に説明をしていくか。だけど、定着は図らないといけない。その時にもうこれはだめですよというのではなくて、こういうことはできますよね、こういうことを一緒にやりましょうねという安心感を持って皆さんが農家を続けられるようにサポートしていかないといけない。そのためには土地もそうだけれども、かなり細かい対応がこれから必要になってくると思うんです。そういう面で、長崎県は長崎県の特性があるものがいっぱいあるから、そこの中にセーフティーネット的なもの、あるいは長崎独自で手だてをとらなければいけないことも十分に考えていって、激変緩和してあげてスムーズに移行できるように仕組みを考えていただきたい。これが来年いっぱいにかけての大きな仕事だと私は思います。先ほど体制を充実するとおっしゃったけれども、体制をどうやって充実するかも、これからは地域間競争、あるいはほかでもいろんな考え方をしなければいけない。中間管理機構なんかだと、今から土木も入ってくるわけです。土地を移行するために改善していくわけですから、そんなことを考えると大きな仕事ですよ。
 そういう点では来年、この減反政策というか、生産調整が変わるということは、私たちの県にとっての大きな課題だと思いますので、次長はそういう位置づけでおられると思うんですが、体制を含めて長崎県としてどういうふうにこれを定着させていくか、また、どうやって皆さんに納得していただくか、協力してまたいろんなサポートをするかということは、十分のこれから検討していただきたいと思いますが、いかがですか。
◎峠農林部次長 今、委員がご説明されましたけれども、今、国の方から説明を伺っている内容、まだほとんど決まっていない内容等いろいろあります。例えば、農地中間管理機構を来年から立ち上げるという話、それから日本型直接支払を導入するんだと、これを創設するんだという話、経営所得安定対策も見直します。それから米の生産調整を5年をめどに廃止するという方向とか、午後に集中審議をしていただきますけれども、TPPの行方がどうなるかということがございます。
 我々としては、まさに農政の大転換がある時ではないかと考えております。大規模な農家を育てるという産業政策としての面もありましょうけれども、我々中山間、半島を多く抱えている長崎県としては、地域政策としての農政のあり方、ここにも十分目を行き届かせながら、施策を打たないといけないと考えております。
 例えばTPPにしましても、妥結をすれば大きな影響があろうかと思いますので、これは国がどういう施策を打ってくるのか、その辺も見極めながら、長崎県で取り入れられるものは取り入れながら、継続的な長崎県の農業ができるようにしっかり議論をしていきたいと考えております。
◆織田委員 おっしゃったようにどうしてもTPPをにらんでということになります。ご存じのように秋田県とか、米どころの仙台あたりではもう大規模な農業法人をつくって、生産と消費と流通を含めて企業化していって、その体制を組もうということでものすごいスケールで動き出しました。そういうぐあいにこの展開というのはものすごいスピードで変わってくると思います。そういった手だてと、逆にもう一歩違う施策、長崎県は両方持たなければいけませんから、両方をにらみながらやっていく必要があると思います。
 長崎の米の「にこまる」は大変好評ですね。今まで「こしひかり」とかやっていたけれども、この際「にこまる」にしますよと、こういう声が農家の中に上がってきています。そうなると、そうしたいい面も含めて、長崎の農政として展開の仕方を本格的に、今までの持っているものだけではなくて、新しい展開をどうするかということをしっかり考えないといけないと思いますので、改めて問題提起だけさせていただきました。また、次の議会の時には予算とか、いろんなものが入ってくると思いますので、具体的な基金の中身についても提示していただけるのかなと思いますし、できたら単独ででも隙間の部分、国がやろうとしている分と隙間の分をちゃんと埋め合わせてくれるような手だてを単独ででもとって、農政の大転換を乗り越えていけるように知恵を絞って取り組んでいただきたいと思います。
 それから、もう一つ、長野県川上村の農業がテレビで報道がありました。山の中でレタスだけでこんなことがやれるのかと、それはもうまちづくり全て町長さんがやられていて、すごい展開で農業というのはこうやって伸びていくんだなということを痛感したんです。ただ、長崎県でもいろんな仕組みが各地域で行われていると思います。この前、長崎農林業大賞で受賞者がありました。この展開もやはりその地域でしかない特性を最大限に活かして、その産地としての取組をなさっておりまして、非常にいいお話を聞かせていただきました。
 ただ、この長野県川上村の取組に比べると子どもというと言葉が悪いかもしれませんが、まだまだ育っている途中だなと、向こうはもう外国と堂々とやっているぐらいですから大人だなと。そういう点でこのやり方というのは、商品の値段が高い時に物を出して売るわけですから、これはもうかるなとテレビを思って見ておりました。長崎県でこんな引っ張っていくようなところが今ありますか、教えてください。
◎田中農産園芸課長 本県の中では、みかんの佐世保地区というのがございます。みかんで生計が立てられる農業経営、若者に魅力のある産地を目指しまして、生産者と農協が一丸となりまして高品質化、ブランド化に取り組んでおります。全国トップクラスの販売単価で、販売金額は平成24年に過去最高の24億円を突破しているといったところでございます。
 後継者も着実に就農しておりまして、20代から30代の後継者組織「味っ子研究会」というのがございます。26名で活動しておりまして、ここでは優良品種への改植とか、高継ぎの共同作業、それとブランドみかんの一斉果実分析、いわゆる糖度といったものをはかったり、マルチをしっかりしているかどうか、それに併せまして実際消費地に出向き、消費・宣伝、そういったことを勉強しながら、産地におけるブランド戦略を積極的に取り組んでおります。
 産地としては、これから規模拡大を目指すという中で、やはり樹園地の基盤整備なり、担い手への農地の集積、それといろいろな防除機械、スピードスプレーヤーといったような省力機械の導入などによりまして、さらに産地の生産性の向上なんかを推進していこうと考えております。
 平成25年度から、いわゆる消費、特にみかんの箱が、これまでは箱買いをしていた方も、10キロだったものが5キロ箱とか3キロ箱とか、そういった消費の多様化に応じた選果施設の整備なども今年度実施しておりまして、そういった意味でいきますと、川上村みたいな大規模ではございませんけれども、消費のトレンドなんかにも対応した産地づくりというものをしております。
 そのほか、付加価値の高いブランド商材とか、加工品のストレートジュース、こういったものの開発も行っておりまして、ブランドの厚みを増して、今後進めていくという産地もございます。
◆織田委員 みかんの話が出ましたので、この前、大賞の懇談会があった時、隣にお座りになったのが西海市のみかんの産地の方で、後継者がなかなかいないんですよと。自分のところだけではなくて、周りもこれから先の若い後継者がいなくなってきていますと。非常につらいですねというお話があったんですけれども、こちら側の針尾の方に来ると、逆に今のようなお話で、どんどん「味っ子」を中心にして広めていっていると。非常に格差がある。だけど、この西海市のところにも、今お話を聞くと針尾の方から出向いていって拡大を図ろうじゃないかという話もあっていると聞きました。そういう点では産地が拡大していくということは非常にいいことですから、そういった仕組みもこれから自治体や農協を越えてでも、そうした取組を県が促していって、産地ブランド、今お話のようにどんどん展開できるというのは、なかなかすごいことですね。さっきの長野県の川上村はもっともっと進んでいて、外国にもどんどん輸出してやっています。そうしたものというのはこれからの農業の中で一つの明るい見通しかなと思います。今のような話の部分を、その土地でしかとれない、その土地でしか育ってきていない宝があるんだけれども、それをうまく育てていくというか、今の時代に合わせて展開できるというか、そういうところに若い人のエネルギーがどうしても要るんだけれども、先細りしているところが多いのが長崎県の中にも出ていると思うんです。そういうところにこういう成功事例を教えてあげて、そして、若い人たちにやりたいという意欲を持たせるというのも皆さんの仕事だと思います。この大会というのはその点では非常によかったんですが、若い人に農業体験、今おっしゃったように若い人に「味っ子」は今こうやって展開しているんですよと、そういうことをほかの品種の方たちも含めて話ができて、みんなが意欲を持てるように、若い人たちは縦よりも横のつながりが非常に強いですから、そういう話を聞き、また体験したことをお互いに情報交換する場をもっと多く持つべきだと、私は水産部でも言いましたけれども、農業でもそう思います。農業、水産業というのは大変な仕事です。だからこそそうした喜びを分かち合う場面を多く持つべきだと思うんです。これは私の持論です。来年に向けてそうしたことをもう少し積極的に取り組んでいただきたいと思うんですが、どうでしょうか。
◎田中農産園芸課長 みかんの世界でいきますと、「味っ子研究会」以外にも、県下で若手の担い手を集めた「柑橘担い手ネットワーク」というのがここ数年でき上がっております。ですから、いわゆる針尾の若者と他の産地の若者と交流し合いながら、今、委員が言われたような意識の向上、共有化、そういったものを進めております。
 やはり担い手がいない産地については、特に西海市なんかでは条件が不利な園地を改良しようとか、そういった動きも今出てきておりますので、それを各産地に広げていくような取組が進むよう努めていきたいと考えております。
◆織田委員 みかんだけではなくて、ほかの品種もですよ。私はそういう意味でこれからの農業の担い手をつくっていく上で皆さんが意欲を持ってやっていくために、そうしたソフトというか、意識の部分のお手伝いというのもこれから大事だろうと、明るい夢を持って農業をやっていくには大きな転換期ですから、そういう面で県の役割も一定あると思ってお話をしていますが、次長、どうですか。
◎峠農林部次長 今ご指摘いただきましたほかの部門に対する波及効果といいますか、そういうものにつきましては青年農業者連絡協議会というものを県下で組織しております。夏には集いという形だと思いますけれども、地元でやっているプロジェクト活動とか優良な活動を報告し合って情報を共有化するとか、そういうことも行っておりますので、さらにそういう活動を活発にして、情報の共有化、あるいは波及を図っていきたいと考えております。
◆織田委員 ぜひそうした担い手が次の担い手として農業をやっていけるように取り組んでいただきたいと思います。
 長崎県の人でこの川上村に行かれたことがありますか。ぜひ見に行ってください。私も行ったことがなくて、テレビでしか見たことはないんですが、まちづくりとして、町全部が、若い人もおじいちゃんもおばあちゃんも、若い人がどんどん帰ってきている。お年寄りが幾つになっても意欲を持ってやっている。しかも、インターネットから情報が出るんですから。ここまで仕組みをつくったんです。条件がいい、悪いは関係なく、ここは仕組みをつくったんです。それに10年かかったと言われています。そういう面で参考事例として、ぜひ勉強に行っていただきたい。チームを組んで行っていただきたいと思いますが、次長、いかがでしょうか。
◎峠農林部次長 優良事例は全国にいろいろあると思いますので、その中の候補の一つとして、今後ぜひ見てみたいと考えております。
○西川委員長 午前中の審査はこれにてとどめ、午後は1時30分から委員会を再開いたします。
 しばらく休憩いたします。
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     −午前11時48分 休憩−
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     −午後1時32分 再開−
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○西川委員長 委員会を再開いたします。
 午前中に引き続き、審査を行います。
◆野本委員 この農水経済委員会というのは、議会でも基幹産業の農業、水産、そして今や花形という産業労働部、この三すくみの非常に大事な委員会であります。それだけに我々議員としても皆さん方のいろんな研究、あるいは振興についての努力については敬意を表しているところであります。
 産業労働部、そして水産部、そして昨日今日の農林部関係の審査をやってくる中で、皆さん方がそれぞれにすばらしい、内容の濃い質問をされておりまして、私も感心しながら拝聴してきたわけです。中身はそんなにたくさんございませんので、少し余分なところを話してから質問しようと思っておりますので、退屈されないようによろしくお願いいたします。
 そういうことでこの委員会には私も続けて2年手を挙げてこの委員会に席を置かせてもらっているということで、その責任の重大さは十分に感じているわけであります。それにしてはあんまり質問しないじゃないかというおしかり、委員長、副委員長もそうだろうと思います。
 諫早湾干拓の開門等、明日の話についても、問題は要するに農業用水の代替水製造装置、すなわち海水淡水化装置について、県及び農水省がどれほどこの問題について研究され、熟知されているのかということが、私自身非常に疑問に感ずるところがあるわけです。県の諫早湾干拓課とはやりとりしているので、皆さん方が内容も研究し検討しているということはある程度私も承知はしているんです。しかし、国の方は本当にわかっているのかなと疑問に思うことばかりであります。
 そういうことですから、過去にも似たようなことを言っておりますけれども、一応この問題について、私が心配しているのは、海水淡水化装置、これは長崎県内の企業で優秀な企業ですから、この企業が頑張っていることですから、この海水淡水化という問題については全国に群を抜いた地場企業がいるということで、これは大事にして育てていかないといけないし、支援していかないといけない。これは論を待たないわけであります。その証拠に、過去に私は、もっともっと県として水が足りないところはこの海水淡水化装置を活かすべきではないかということを質問したこともあります。
 そういう中で、今回のものは少し事情が違うんじゃないかということです。要するに海水をくみ取って、そしてそれを淡水化する、そこに大きな問題があるわけです。要するに海水淡水化装置を導入する海水の取水量は、1日に10万トン、そして塩分濃度は3.5%と言われております。また、同じように淡水造水量は1日に4万トンと、あとの塩分水の排水量は1日に6万トンということになるわけですが、6万トンというものを排出しなければいけないわけです。そうすると、結局1日に1,400トンというのは、10トントラックで140台ですから、塩をどんどん、どんどん調整池を含めて流していくわけです。そうなってくると塩分濃度が上がるわけですね。そうすると、潮が満ちてくると、どんどん、どんどん川をさかのぼっていくわけですから、その上流は農業用水に使っているわけですね。そういうことを全部考えてやっているのかと思うんです。それでもって国が海水淡水化というのを農業用水に使うということですが、全部そういうことも分析、調査してやっているのかということを私としては疑問に思っているわけであります。
 そういうところからすると、この問題について、私がお尋ねしたいのは、要するに海水淡水化施設についてはさまざまな問題点があるわけで、これは日本国内だけではなくて、海外にもあるわけですが、どこまで問題点を把握し、国としてその問題点を認識しているのか、疑問を持っているわけであります。
 一遍に全部話をしていきたいと思います。要するに何を質問したいかというのは、海水淡水化施設についての問題点を県としてどこまで認識し国へ意見を呈しているのか、また、国はどこまで問題点を認識し回答してきているのかということをまずお尋ねしたいと思います。
◎宮崎諫早湾干拓課長 海水淡水化施設の問題点について、県としてどこまで認識し、なおかつ国に意見を申しているのかというお尋ねでございますけれども、まず、この海水淡水化施設につきましては、県といたしましては濁度が高く、そして塩分濃度も大きく変動いたします調整池や潮遊池、ここからの取水によりまして安定的な水の確保ができるのか、また、造水後に発生します大量の濃縮水の排水による環境への影響など、技術面、そして環境面での課題があることから、これまでも国に対しまして現地での実証実験や環境アセスの実施を求めてきたところでございます。
 しかしながら、去る8月20日に示されました国の見解によりますと、国は室内試験によって濁りの低減が可能であるとの見解を示すのみでございまして、現場の状況にあわせた現地の実証実験とか、環境アセスの意向はまだ示されていない状況でございまして、海水淡水化の実現性が担保されているものにはなっていないというふうなものでございます。
 先ほど委員からお尋ねがございました、開門することによりまして汽水域が変わるのではないかというお尋ねで、それを国がどの程度認識しているのかということでございます。まず、満潮時に本明川への汽水域が上流側に移動するのではないかということでございますけれども、そもそも潮受堤防が締め切られる以前におきまして、満潮時に塩水混じりの汽水域というものが本明川上流へ及ぶ上限というものは公園堰の前までとなっております。公園堰からの農業用水の取水には、何ら塩水の影響を受けないものでありました。さらに、公園堰より下流側におきましても、農業用水等の水利権というのは設定されておりませんでした。
 こうした中、仮に国が最も影響が大きいケース1で開門されたとしましても、潮受堤防締め切り前と同様な状況に戻るだけでございまして、塩水まじりの汽水域というものは公園堰の手前までとなりまして、公園堰からの取水には何ら影響がないということとなります。
 さらには、公園堰より下流側では、新たに設定された水利権というものは新干拓地に関するものだけでございまして、国は中央干拓地の農業用水につきましては海水淡水化施設により確保すると言われております。
 そこで、お尋ねのありました水質にかかるデータ、これらを実施主体であります国の方に情報提供を求めたところでございますけれども、情報の取り扱いは慎重でなければならないということで情報公開請求の申請手続を踏んでいただきたいというご回答がございまして、現実のところ、データ等についての開示はいただけていないところでございます。
◆野本委員 今、宮崎課長のご答弁を聞きながら、苦労のほどがわかりはするんですけれども、しかし、そこが知りたいわけであります。しかし、情報公開については国としても、なぜこの問題について突っ込んだ分析調査かれこれを怠っているというよりも、やっていないわけですから答えようがないんじゃないかと思います。しかし、これまでの問題についてはいろんなことで賛成・反対両派入り乱れて諫早湾干拓の問題については集会等々を開いてやっているんですけれども、いつも国は県との間ではすれ違いばかりで、同じようなことをキャッチボールというか、やりとりしているだけのことであって、一般県民から見ると、何をどうしようとしているのかと。国も今までと同じようなことで一つも話は変わってこない。長崎県はあくまでも開門反対という形で、漁民、農民を守ろうということですが、それはわからないわけじゃないです、長崎県の中でも漁民も割れているしですね。そういうことになると、どこをどう捉えていけばいいのかということについて、この問題は今のままでいくと10年以上続くのではないか。そうなった時、それからの影響を考えると、もっともっと大きな問題が起こってくるんじゃないのかということも、直接利害関係がない県民の方々も外から見て心配をしているというのは事実であるわけです。
 そういうことをすると、早くこの問題について何らかの形で収拾をしてほしい。それについては今日、知事も上京して農水大臣と接触というよりも、呼びかけに応じているということですから、今まで開門を前提とした話には応じないということで毅然とした形の中で面会を求められても応じてこなかった。これは私もやむを得ないかなと思いました。しかし、もうそろそろ会うべきじゃないかということを申し上げたいと思っている時に今日の話になったということについては、私としてはよかったんじゃないかと思います。やっぱり長崎県の意向というのは言ってきているけれども、この辺でもっともっと国に対して、長崎県の国会議員も含めて言うべきことをちゃんと言って、そして流れも変わってきて、時代も変わってきている部分もあるわけですから、今の時点をよくよく認識して話をしていかなければ、過去のことだけにこだわっていくのはどうにもならないわけですから、今の時点、今の時期に何をどうすべきかということについての絞り込みが必要だと思っているわけでありますので、そのことは今日の結果を見て、明日を楽しみにしておきます。
 いずれにしても、この海水淡水化問題については、冒頭に申し上げたように地場企業の努力で福岡あたりにも進出して、全国津々浦々で非常に頑張っておりますので、これは長崎県としても支援をしていかないといけない。これはこれとしてあるわけですけれども、今の諫早湾干拓のところで海水淡水化装置を設置し、水はボーリングして地下水をくみ上げるとかいったことはいろんなことに影響を及ぼすと同時に、海水をくみ上げて塩分が濃くなった水をまた海に戻すということは、調整池にとどまらず有明海に及ぶわけです。そうなってくると魚介類の生態系が変わってくるんです。これは全国というより、そういうことが実施されたところで結果が出ているわけですから、そういうことをどうして国はわかろうとしないのか、その辺の問題についての考え方を明確にしながら、そういう問題もありますと、それはこうしますということでやっていかなければいけない。ただ、問題が出た時は補償しますではいけない。そんな金があるくらいなら、農業や漁業の振興にもっと使えと我々は言いたいぐらいなんです。
 そういうことを考えて私も試算をしてもらったところ、これはイニシャルコストが約400億円かかると。そして、5年間やっていくとなるとランニングコストが170億円かかると。トータル570億円もかかるという試算さえ実はされているわけです。こういう大きな問題を抱えながら、国の本当に血のにじむような財政の厳しい時にこういうものを支出しないといけないということは大きな問題だと思っております。こういう問題もぜひひとつ県当局も自分なりにチェックしてもらって、その試算をしてもらって、国との話し合いもしてもらいたいと思っているわけです。
 先ほどの宮崎課長の答弁では、半分ぐらい聞こえなかったので、後で議事録をよく読みますが、その前に大体考え方はある程度伺っておりましたので、推測のうちで判断して了とするんですけれども、いずれにしてもほかの議員もそれぞれ立場、持ち場で考え方もあると思います。ただ、私は全庁的に皆さん方に申し上げます。やっぱり質問すると、いや、部長会議も開きながら、上がった問題については横断的に、縦断的にちゃんとやっておりますよと言いながらも、大村湾の浄化についてもあれだけ私が本会議で質問したけれども、この問題について、皆さんじゃないんですよ、水産部の中で一言もこの話が出てこなかったということについて、本当に横断的に連携してやっているのかということで私は非常な憤りを持ったわけです。どうかひとつこれからの問題については、県はこれだけの大きな問題を抱えていろんなことをやっているわけですが、大事なことは縦断的、横断的な連携をとりながら、そして本当に県民が望んでいる、県民の幸せのために何が求められているかということを考えていくと、当然行き着くところは決まってくると思いますので、そういうことを議会の意見、議員の意見等々を参考にしながら、議員も皆さん方のやっていることを、言っていることをやっているなということがはね返ってくる、肌で感じられるような皆さん方のご活躍を期待しているわけであります。もうこれ以上は質問いたしませんので、どうぞ先ほど申し上げましたように、この農業用水の確保については、根本的に問題を追及してやってもらわなければならないと思っていますので、そのことを強く要望して質問を終わりたいと思います。何かありましたお願いします。
◎梶原農林部政策監 開門問題につきましては、今、委員のご指摘のとおり、海水淡水化の問題を含め対策工事の問題とか、さらには開門しても有明海の再生につながらないということをこれまでも繰り返し述べてきました。
 さらには、地元の方々、県議会の皆様にも意見書を出していただきまして、一緒になって国に対する要望もしてまいっております。
 いずれにしてもこの問題については、開門しても有明海の再生につながらないということで開門しないということでやっていただきたいというふうに、これからも一丸となって取り組んでいきたいと思いますので、議会の皆様を含め、一緒に頑張っていきたいと思いますのでよろしくお願いしたいと思います。
◆野本委員 政策監ありがとうございました。委員長の計らいによって、非常に大事なことを今発言してもらいましたので、そういうことを私たちも期待しておりますし、ぜひひとつ、これは全庁的に考えていかないといけない問題だと思っておりますので、皆さん方のご努力、ご健闘を期待いたしたいと思います。ありがとうございました。
◆山田[博]副委員長 それでは、私から通告は6件させていただきました。
 本当は昨日、農林部長が林農水大臣の面談をするということで、意見書のことを2〜3点聞かせていただきましたが、野本委員から意見書の件で言われましたので、政策監が先ほど意見書を出してもらったとおっしゃったので、私は言うつもりはなかったんですが、あなたが堂々とおっしゃるから、私も政策監、せっかくの機会だから、国の姿勢というのはきちんと明らかにした方がいいからお話をさせていただきたいと思います。
 私は、この諫早湾干拓事業というのは元来、長崎県と佐賀県との対立軸ではないかとか、極端に言うと農業者と漁業者が対立軸にあるんじゃないかと言われますが、そうじゃないんだということを理解してもらわないといけないと思います。そこで、私は、長崎県からの意見書だけではなくて、全国の国民の皆さん方にも地域の人方にもわかっていただくために、長崎県から各自治体に働きかけて意見書を取り扱ったらどうだろうかと、お願いしたらどうかという働きかけをしようじゃないかということで質問通告をしました。ところが、事前調査をしてくださいと言ったら、そちらから返ってきたのは、国の方はこの意見書についてどれだけの意見書が出ているかわかりませんと言われました。これは間違いないか、しっかりとお答えください。
◎梶原農林部政策監 先ほどご質問がありました諫早湾干拓事業について、これまで意見書が全国からどのくらい出されているかということでお尋ねがあって、農水省の担当者の方に件数を教えていただけないかという連絡をさせていただきました。その結果としては、意見書については今手元にはあるけれども、件数なり内容については開示請求をしていただかないと出すことはできないという回答がございました。
◆山田[博]副委員長 これは政策監、情報開示をしないといけないようなレベルなのかどうかというのをお答えください。
◎梶原農林部政策監 国の考え方としては、今手元に整理したものがないので、開示請求をしていただかないと直ちには出すことはできないという回答でございました。
◆山田[博]副委員長 要は、簡単に言うと、面倒くさいからしないということだったんでしょう。私は、こういった姿勢というのは改めないといけないと思いますよ、長崎県にとっては大事なことなんだから。あなたは農林水産省から来られたんですよ。長崎県に来ていただいた方に対してそういうことを言うぐらいだから、この件に関しての国の姿勢というのは、問いたださないといけないと思いますよ。この姿勢というか、考え方というのは改ていただくように、別の機会にやりたいと思います。ここで議論しても一緒ですからね。
 それで、私もいろいろと質問通告しているんですけれども、全部質問していたら、今日の集中審査の時間に支障を来しますので、2点だけ質問させていただきたいと思います。
 まず最初に、今、長崎県の米農家はたくさんいるわけですが、そこの中で残念なことに国の公正取引委員会におきまして、米施設の談合の疑いがあるということで、公正取引委員会が30カ所立ち入り調査したんです。それで、長崎県で今回、こういった施設はどれだけあるかというと、3年間とりあえず調べていただきました。私は資料をいただいていますが、委員の皆さんもいらっしゃいますので、それは何件あって、そのうち入札参加者数の落札率は何%だっか、それをお答えください。
◎田中農産園芸課長 今、山田(博)副委員長からご指摘のありました件でございますけれども、これは国の国庫事業を活用しました米の乾燥調製施設の件でございます。今、山田(博)副委員長からは3年間というお話でしたけれども、5年間の状況についてご報告しますと、今までで3農協で6事業、11施設が国庫事業を活用した事業を展開しております。
 その中で入札の落札率のお話でございますけれども、平成21年から25年の5年間の平均の落札率が97.5%という形になっております。
◆山田[博]副委員長 これで落札率が97.5%です。この落札率についてどう思われるか、見解を聞かせてください。
◎田中農産園芸課長 この事業の落札につきましては、いずれも事業の実施要領等に基づきまして適切に行われたものと考えております。
◆山田[博]副委員長 適切に行われましたと、過去5年間で、6農協で11カ所あって、平均落札率が97.5%と。私が県議会議員をして、これだけの落札率があった案件というのは初めてじゃないかと思いますけれども、県当局としてはこれは適正に行われたんだと。しかし、今、この場合に対して補助金返還というような、例えば公正取引委員会からこれ談合だと指摘された場合には、もちろん県当局としてはきちんと補助金返還を求めるという形になるのか、ならないのか、そこだけお答えください。
◎松尾農政課長 今、お話の独占禁止法違反の疑いということで新聞情報が出されて、談合が繰り返された疑いが強まったとして立ち入り検査をしたという内容の新聞情報でございました。
 今回のお話の中では、確かに新聞情報ではそういう話ではあったんですが、事案が特定されてないという形で、本県に関連した工事を対象とした談合情報とまでは判断できてないというような条件下にはあるんですけれども、仮にこれが情報として公正取引委員会の調査によって、問題があるという話であれば、関連の市町と関係機関と連携をとりながら、必要に応じて事情聴取とか、内容の調査について、事実の確認をさせていただくことになろうかと思います。
 ただ、現段階では、あくまでも新聞情報ということで特定されてないということでございますので、私どもとしては公正取引委員会の対応については注視してまいりたいと思っております。
◆山田[博]副委員長 私は、こういった農家の方の施設について談合はなかったと信じたいけれども、公正取引委員会からこういった指摘があるから、これは推移を見守るしかないなと思っているわけです。しかし、改めて調査したら、この平均落札率が97.5%でしょう。農林部におかれては公共事業を担当している農村整備課長、この落札率をどう思われますか。農村整備課で97.5%という落札率があったことがありますか。そういうことは答えようがないでしょうから、答えたいのだったら答えてほしいんですけれども、これはどう見たって神業としか考えられないんじゃないかと思うんですね。こういったことがありますか。農村整備課の仕事で過去5年間でこれだけの落札率の案件がありましたか。平均の落札率が97.5%ですから、ちょっと土木部がおったら土木部の関係者を呼びたいんですけれども、集中審査を控えているからそこは遠慮しますけれども、最後にこの件に関しての農林部の土木を所管している農村整備課長から貴重な見解を聞かせていただいて、この件は終わりたいと思いますけれども、いかがでしょうか。
◎林田農村整備課長 工事の平均の落札率は、平成24年度で91.8%でございます。これはあくまでも工事でございます。
 見解というのは、この事案について私は詳しくございませんので、私の立場から回答できないところでございます。
◆山田[博]副委員長 最近、農村整備課長も答弁がうまくなりまして、私もそれ以上は言いにくいような話になりましたので、この質問は終わりたいと思います。
 最後に、県の施設の老朽化ということで、今、農業大学校の今後の機能と役割というのを耐震化の施設の中で資料をいただきましたので質問させていただきます。
 まず、大切なことは、農業大学校の教育施設は、耐用年数が経過した施設がたくさんあるということでありますが、これは間違いありませんか、イエスかノーかでまずお答えください。
◎江藤農業経営課長 農業大学校の6施設でございますけれども、耐用年数につきましては耐震レベルが低いと考えております。
◆山田[博]副委員長 それで、今後は授業料を無料を有料化にすると。全寮制を基本とするということになりました。ましてや、研究部門を平成27年3月末に廃止するということですが、これは間違いございませんか。
◎江藤農業経営課長 研究部門につきましては、今回、応募者がいなかったということで、前も議会にご報告いたしましたけれども、現在、在籍している学生の希望がなかったため、今年度をもって研究部を廃止したいと考えております。
◆山田[博]副委員長 これは、農業経営課長、平成25年度はいなかったと、じゃ、来年応募がいたら、また復活するんですか。
◎江藤農業経営課長 この件につきましては、これまで外に対して公募していたんですが、それについてはございませんでした。今、学生が在住していますけれども、この生徒たちにつきましては、当初、研究部があるということで入った学生もいるかもしれないということで、その権利を有しているということで、今在学している学生につきましてはどういう意向があるかということで調べたところですけれども、今の生徒につきましては研究部への進学の意向がなかったということで、それをもって研究部の廃止を考えているところでございます。
◆山田[博]副委員長 今、私はなぜこれを言うかというと、この後にTPPの集中審査をするんですよ。
 農林部次長にお尋ねします。TPPの問題で長崎県の農林部はこれからいろんな取り組みをしないといけないというのは間違いございませんね。それをやろうということは間違いございませんか。それだけお答えください。
◎峠農林部次長 TPPが今の様子で妥結しますと、農業にとって大きな被害が出るという考えでおりますので、そこはしっかり対応したいと考えております。
◆山田[博]副委員長 そうすると、今からやろうという中で希望者がいませんでしたからこれをやめますとなったら、言っていることとやっていることが違うじゃないかと私は言っているんです。たまたま今いないかもしれませんけれども、これからの農業はどういった展開が待ち構えているかわからないわけです。今、政府においては大規模農業をしようといっている中で、こういった研究部門を廃止するなんて、夢と希望を阻害するようなことをしてはいけませんよ。今回はいなくても、どうなるかわからないんだから。私だってそうですよ。いいですか。小学生、中学生までは教員になりたかったんだから。ちょっとしたことで県議会議員とか政治家を目指したんですから。そこをころっと変えるような、夢と希望をなくすようなことをしてはいけませんよ。ひょっとしたら農業をやりたい子がいるかもしれないじゃないですか。
 だから、そう簡単に希望者がいないからやめますなんて、戦略的ではないじゃないですか。私が言いたいのは、長崎県の農業の中で一番大切なものは何かと。これからTPPという大きな問題がある中で、長崎県の県立農業大学校の今後の機能強化という中で、研究部門をなくすということは、ただ単に応募者がいないとか、希望者がいないからやめますとか、そういう短絡的なことを考えていいのかということを私は言っているわけです。そこの見解をもう一度しっかりと聞かせていただきたいと思います。
◎江藤農業経営課長 申し訳ございません。もう一回説明をいたしますけれども、研究部の募集停止につきましては、これまで入学者がいない状況、あるいは就農率が低いという状況に加えまして、農業大学校のあり方検討委員会におきましても、研究部についての廃止という提言がなされておりました。
 さらに、平成16年5月、農業改良助長法に基づきまして普及指導員の資格試験が見直されまして、卒業見込みで受験できた当時の資格試験につきましては、卒業後の実務経験年数が要件化となりまして、卒業と同時の受験資格がなくなりました。
 また、農林業農山村活性化計画でございますけれども、自営就農者を確保する目標を設定しておりまして、先般、3月にも委員会の方で説明させていただきましたけれども、農業大学校につきましては自営就農者の育成に特化した教育機関に位置付けたいと考えているところでありまして、募集を停止したいということでお話したかと思っております。
 先ほどの繰り返しになりますけれども、現在、農業大学校の養成部に在学中の学生に対しましては進学希望があった場合に配慮しまして、平成27年度まで存続するということでこれまで経過してきました。それで、今、養成部の方に入っている学生の希望がなかったので今回廃止したいと。ただ、研修機関、長崎を担っていく農業の経営体の研修機関という形の部分をより高めてまいりたいと今後は考えております。
◆山田[博]副委員長 農業経営課長、一つお尋ねしますけれども、それでは先ほど農業大学校のあり方提言とおっしゃいましたけれども、それは平成19年になされたでしょう。いいですか。平成19年にはTPPの問題はなかったんです。平成19年ですよ。今何年ですか。6年前ですよ。時代が違うんだから。いつまで経っても、平成19年に提言がありましたとおっしゃいますけれども、昔に提言したものが大切なんですか。今は時代が違うんです。変わるんですよ。じゃ、平成19年にTPPの問題が議論されましたか。それだけお答えください。
◎江藤農業経営課長 されておりません。
◆山田[博]副委員長 だから言っているんです。このTPPの問題がどうなるかわからない中に、平成19年にそういった議論がありましたから、それで決まりましたからこれでやめますとか、そんな短絡的でいいのかと言っているんです。農林部次長でも農政課長でもいいですけれども、これは普通の人が聞いても考えても、それはおかしいと思うわけです。私の家はもともと兼業農家でした。小さい頃は米がたくさん食べられるから、ご飯もいっぱい食べられるから、将来農業をやれればいいなと思っていたんです。ところが、父親が農業は大変なんだよと、実際父親を事故で亡くした時の家の台所事情を聞いた時に初めてわかったんです、こんなに農業が大変なのかと。だから、私は県議会議員になって、最初に入った委員会がここだったんですよ。だから、離島の子どもとかが、お父さんと農業がしたいと言うんだったら、やれるような環境づくり、食と農という事業があったでしょう。離島の要件緩和をずうっと主張したんです。その時の委員長は、たしか溝口委員でした。溝口委員長が、その時、私を集中的に当ててくれたんです。だから、できたんですよ。私は集中審査が始まるからやめますが、少なくとも次長、この件に関しては、確かにこういうふうな予定はあっても、柔軟な姿勢を持ってもらいたいと思います。それが長崎県農林部を担う人で、平成19年に提言があったから、それを守らないといけないというわけじゃないんだから。これはコンクリートされているんですか。
◎松尾農政課長 農業を取り巻く情勢は、その後のいろんな変化があるということを踏まえて、農業大学校の機能や体制の見直しあたりにつきましては議論をこれまでも重ねてきましたし、やってきたところですけれども、今の制度を若干ご説明しますと、平成18年にあり方検討委員会を設置しまして、その機能、整備も含めてやってきたところではございますが、その後、平成22年度に活性化計画、産業として成り立つ農林業とか、農山村を目指した「ながさき農山村活性化計画」このあたりを策定したということも踏まえて、私どもとしては農業大学校、試験場も含め、全体として連携を強化していき、総合的な農業経営者の育成機関の視点をもって、その施設の一体的な整備をしなくてはいけないのではないかということで、今年の2月にあり方の今後の機能と役割というご説明をさせていただきましたけれども、今、鋭意そういう整備構想をセンターと農業大学校と連携したような一体的な考え方をもってどういうふうなあり方、どういうふうな機能を持ってやっていくのかということを検討している最中でございますので、また、このあたりの構想が固まった段階で、今、副委員長がおっしゃった話も含めまして、私どもとしての方向性、考え方を整理させていただいて、またご報告させていただこうかなと思っております。
◎江藤農業経営課長 言葉足らずで申し訳なかったんですが、今年の2月の定例月議会の時にもお話したんですけれども、一つには研究部の廃止というのはありますけれども、新たな見直しの中でオープンアカデミーという形をとりまして、経営体の育成につきましては強い経営力、高度な生産技術を持った経営体の育成等を充実していくと、そちらの方に力を入れるということでご説明させていただいたところでございまして、先ほど舌足らずでございましたけれども、こちらの機能を充実して指導者の養成もこちらでできるような形、あるいは強い経営力を持った経営体の勉強もこちらでできるような形でオープンアカデミーを充実していこうと考えております。
◆山田[博]副委員長 もう集中審査が始まるからこれで一旦終わりますけれども、今、農政課長が言われたことと農業経営課長が言われていることは違いますよ、私が雰囲気から推測すると。農業経営課長は、これは固まっているんだと、この計画はコンクリートされているんだと。しかし、農政課長は、私の意見を踏まえて全体的に考えていきますよと言ったけれども、縦割り行政がもろに出るから、逆に農政課長と農業経営課長の席がちょっと離れているから、隣だったら打ち合わせができたんでしょうけれども、そこはメモのやりとりしながら意見調整を図ってほしい。TPPの問題でまた質問しますから、今日は部長がいないんだから、農林部政策監、農林部次長、あなた方がしっかりと調整しながらやっていただきたいと思います。一旦終わります。
○西川委員長 委員長を交代します。
◆山田[博]副委員長 西川委員長。
○西川委員長 私も5件通告していましたので、皆様と重複する部分もありますが、大方の質問をさせていただきたいと思います。
 まず、施設園芸のビニールハウスについてですが、昨日も友田委員から補助のことなどについても言われておりました。平戸市でも狭隘な畑地しかないので、小さなビニールハウスがよくあります。また鉄骨ではなくて、鉄パイプの簡単なハウスもあります。そういう小さい、また軽便なハウスなどについての補助なども今後されていくのか、雨風に強い鉄骨製に全部替えていこうとしているのか、その辺の補助事業について説明をお願いいたします。
◎松尾農政課長 ハウスの考え方でございますけれども、今お話のところについては、補助対象の考え方は、国庫補助事業の対象とならないもので、新たに整備する場合に事業のメニューによりますけれども、投資過剰にならないように、費用対効果が図られるものを対象としまして産地の強化を図る必要があると認められるものについて、対象作物を選定しながら対応していきたいと思っております。
○西川委員長 費用対効果も考えなければならないし、また、農家の方がどれだけの意気込みでやるか、また、規模がどうなのかということも確かに農林部としては見定めなければならない。また、市町や農林課の担当、またJAとの連携も必要かと思いますが、どうか一生懸命品種、ブランドを守っている人たちのためにも、小規模でも、または小規模修理でも愛の手を差し伸べていただきたいと思います。
◎松尾農政課長 今、農家の事業要望につきまして、委員長からお話がありました。私どもも基本的にこういう補助事業の実施に際しては次年度以降の構想協議、そういったことを市町やJA、農業団体を含めて農業者の意向調査をしっかりとって、それを踏まえて事業化に向けた方向性をお互いが認識を同じにしまして、またその年度が近くなりましたらもう一回調査しまして、希望の面積とか、ハウスの規模とか、そういったものも含めまして、調整しながら進めておりますので、今後、さらに密接な連携をとりながら対応していきたいと思っております。
○西川委員長 昨日の友田委員のマーコット栽培農家などは、普通の温州みかんを数十年前に始めて、そして生産過剰で価格の暴落などでやめた方、また、指定補助金でみかんを植えて、何年かしてせっかく大きくなった木を引っこ抜いてやめた方もいるんです。そういう中でみかんを頑張ってつくりたい、品種の変更をして、高く売れる品種を模索してマーコットとか、ポンカンとか栽培しています。平戸にも1〜2軒、自分でいろいろかけ合わせなどをして、新品種をつくって頑張っている方もおられます。そういう農業で生きていくための並々ならぬ努力に、私たち行政関係者がもっと手助けをして、農業で食べていけるように、知事のキャッチフレーズの「もうかる農業」にしていただきたいと思います。
 次に、林業についてですが、これほど手のかかってもうからない業種はないかもわかりません。しかし、昨日の丸太の輸出などで希望もわいてきました。そういう中で、山林の維持管理は大変厳しいものがありますが、1件目の林業で使う機械機器の導入の補助について、森林組合や生産組合等が対象になろうかと思いますが、この辺の機器導入の補助についてどのように考えておられますか。
◎佐藤林政課長 林業の機械、高性能林業機械と呼んでおりますが、これにつきましては森林の作業が非常に厳しいものがある。また、木材価格が最近は少し上がってまいりましたけれども、なかなか上がってこなかったという中で、いかにコストを下げるかというのが非常に大きな課題でございます。コストを下げるための一つの大きな手段として機械化というのがございます。林業機械を導入する支援は国庫補助事業であるわけですけれども、現在の国庫補助事業は森林林業再生基盤づくり交付金というのがございまして、これは45%の補助でございます。
 ただ、もともと林業機械は相当高額なもので、森林組合等が一般的に使われている高性能林業機械の例で申しますと、木を切って、適当な寸法で、3メートルや4メートルの材に切りながら枝も落としていくという機械があります。プロセッサと呼んでおりますが、これは大体1台2,000万円ほどいたします。ですから、45%補助でもまだ1,000万円以上の手出しがあるという高額な機械でございます。そういう資金の負担が相当にあるということで、我々といたしましては高額なものを買うというよりも、実際に1台買うよりも使う時にお金を払うリース事業について支援をしようと考えております。それですと、1年12カ月あるわけですけれども、12カ月通しで林業機械が稼働するというのはなかなか難しいこともございます。やはり稼働率が上がらなければせっかく大金を払って買ってもそれを維持していくのがなかなか難しいということもございますので、毎月毎月のリース料に対して、我々は約2分の1の補助ができるような制度をつくっておりますので、まずはそれを利用していただいて経費負担を抑えていただく、そういったことを推奨してやっているところでございます。
○西川委員長 私は商売をしていますので、ライトバンやトラックを買います。そういう仕事で使う自動車などは農業機械に比べたら大量生産のおかげで安いんですね。しかし、トラクターも田植えの機械もコンバインも、ハーベスターなど農業機械は、私たちの感覚では案外高いんですね。この山林関係の機械はさらに高い。この割高な農機具、または林業関係の機器について、関係者、つまり農家の方とか、林業関係の方、また県、市町などから国に対する免税、または減免措置などについての陳情などをしたことがあるのか。そしてまた、そうした場合の国の考え方はどうだったのか、わかっておりましたらお知らせください。
◎佐藤林政課長 機械の購入に際しての減税措置といいますか、そういう税制的な優遇でございますが、森林組合が購入すれば当然減価償却という形で事業費の方で一定の控除ができる部分もございます。燃油の方で農林業機械用の揮発油の減免措置も申請によって受けられるということもございます。国に対して要望をしたことがあるのかというご質問ですけれども、申し訳ございませんが、最近はそういった点での要望を県から国に対して行ったことはございません。
○西川委員長 機械そのものの価格をメーカーに対して下げてもらうような手段が国策としてできないものか、そういうことを研究していただきたいと思います。
 2番目に出しておりました輸出については、複数の皆さんがお聞きしました。また、後々県外視察なども予定しておりますので、私の持論や質問については、またその都度していきたいと思います。
 最後に畜産についてですが、黒毛和牛、つまり長崎和牛の振興は大変重大で、特に畜産課長、今回の五島、平戸の牛市での子牛の高価格というか、生産農家にとっては大変うれしい価格でした。また、その後の宇久などでもいい値段だったと聞いております。これはやはり昨年の全国和牛能力共進会での優秀な成績、それから全国的な牛不足などに関連しての高騰がその理由だと思いますが、今後、先ほどの溝口委員の質問にもありました宮城県の全国和牛能力共進会に向けての意気込み、考え方、それと日頃の子牛生産についての考え方などについて教えていただきたいと思います。
◎松永畜産課長 委員長ご指摘の子牛価格は非常に高値で推移いたしております。その要因といたしましては、昨年の全国和牛能力共進会の日本一というのもあろうかと思いますが、全国的に素牛の出荷が減っているということ、素牛不足であるという状況、加えて和牛の屠畜頭数も減っておりまして、肉も高くなるから買いも強くなるという複合的な状況で上がっているところでございまして、五島、平戸口、最近の宇久、小値賀ではもう55万円を超える金額になっているところでございます。
 そういった中で和牛の振興ということで、私どもも肉用牛振興計画に基づいて進めているわけですけれども、基本的にはコストを下げながら、また増頭を図っていくということで、本年度から優良な雌牛の増頭、年間300頭を3年間という取組なり、あるいは肥育素牛の増頭に対する支援などして、こういったものをしっかり進めているところであります。また、コストを落としていくというのも非常に重要ですので、繁殖系にあっては放牧利用の推進、肥育系にあっては肥育期間の短縮、そういった取り組みを進めている状況でございます。
 また、ご指摘の2番目の全国和牛能力共進会の関係でございますが、先ほども申し上げましたが、やっと推進の母体も固まりました。事務局は主催者である全国和牛登録会の県支部の方に推進協議会の事務局は置いておりますけれども、県も構成員に入っております。全体的な推進協議会の下に出品対策委員会ということで、県からも畜産課をはじめ肉用牛改良センター、あるいは畜産研究部門、家畜保健衛生所も入って具体的な出品対策というのを今検討しているところでございまして、先ほども申し上げましたが、日本一連覇を目指してしっかりと連携をとって取り組んでまいりたいと考えているところでございます。
○西川委員長 やはり長崎和牛というブランド化のためには、宮崎県、鹿児島県に負けない量、頭数が必要だと思います。今、飼養農家が減っております。だから、増頭対策に向けては大型牛舎の補助とか、粗飼料または輸入した購買飼料などについての対策がどうなっていくのか、そういうもろもろの低コスト、省力化、また、キャトルステーションの増設などの計画もあろうかと思いますが、そういうもろもろの支援がなければ農家の高齢化とともに頭数の維持もできないと思います。長崎和牛を日本でも有数のブランドにするための絶対的な数が要る増頭対策について、いま一度お聞かせください。
◎松永畜産課長 特に長崎和牛、肉になる部分の長崎和牛について申し上げますけれども、今年度からその長崎和牛の生産促進対策ということで優秀な素牛で増頭する場合につきまして増頭の支援を行っているところでございまして、今年度から3カ年で2,000頭の牛を増頭するということで、県も5万円から5万6,000円の支援をしながら進めているところでございます。こういった増頭体制が整いますと、年間の出荷頭数が1,200頭、といいますのが肥育期間が20カ月ぐらいありますので、年間の出荷頭数とすると1,200頭でございますけれども、こういう体制が整いますと、今売り出している長崎和牛の出荷頭数ももっと増えてくるということでございまして、また来年、再来年、この対策をしっかり続けていきたいと考えているところでございます。
○西川委員長 これで最後にしますが、私たちが望んでおりました優良雌牛導入の300頭掛ける3カ年、これの導入につきましては、JAや市町のいろんな状況もあるかと思いますが、県内にまんべんなく県の補助がいきわたりますようにぜひ心がけていただいて、各地の飼養頭数が減らないようにやっていただきたいと思います。また、キャトルステーションなどについても、さらに、今回の平戸口の中央家畜市場でもキャトルステーションから出荷した牛で55万円以上の牛がいっぱいおりました。そういう中で、さらなる支援策を進めていただきたい。
 また、牛市の牛の名簿の表紙に「平茂晴」ではない新しい牛が載っていました。これは次の時代のエース、次の時代のことも考えた優良雌雄牛の作戦が進んでいるなという感じがしました。どうかいい牛を育てて、長崎県が他県に負けない結果が出ますように、そして、それがばねとなって、畜産農家が生活していけるように、今後とも努力していただきたいと思います。
◆山田[博]副委員長 委員長を交代します。
○西川委員長 ほかに質問等はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 ほかに質問がないようですので、次に、「TPPの状況と本県農業界への影響について」集中審査を行います。関係者以外の理事者は退室して結構でございます。
 しばらく休憩いたします。
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     −午後2時32分 休憩−
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     −午後2時44分 再開−
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○西川委員長 委員会を再開します。
◎峠農林部次長 先ほど、私どもの答弁で少しそごがありましたので、修正をさせていただきたいと思います。
 農業大学校の研究部の募集の停止ということについてですけれども、平成24年の6月の本委員会の中で停止したいという説明を差し上げておりましたので、ここにつきましては募集は停止させていただきたいと思っております。
 それから、農業大学校と農業技術センターの整備のあり方の検討を今出しております。その中でもいろいろな新しい要素等がありますので、その中でいろいろな面につきましてはしっかり議論をして、しっかりした研究所、農大をつくっていきたいと考えております。
○西川委員長 ありがとうございました。
 それでは、農政課長より説明をお願いいたします。
◎松尾農政課長 お手元の「TPPの状況と本県農業界への影響について」という資料によりましてご説明させていただきます。
 TPPに関しましては、農林水産業のみならず、福祉、労働など幅広い分野が絡んでいるということでございまして、県の総合窓口は企画振興部でございますので、同部と調整の上、資料を作成していただきました。
 まず、提出資料、表の提出資料と表示している項目に沿って説明させていただくわけでございますが、ご案内のとおりTPPにつきましては政府間交渉ということでございまして、その情報につきましては政府から発表されたものに頼らざるを得ない状況でございます。したがいまして、この1から4までの項目につきましては、内閣官房に設置されましたTPP政府対策本部ホームページから引用したものでございまして、5番目の交渉に関する情報につきましても、ご存じのとおり、政府からは交渉途中経過は発表されておりません。交渉に関する個別具体的な内容についてはお答えできませんので、報道された情報であるという点にご留意をお願い申し上げます。
 また、6番目以降の取組状況や本県への影響試算につきましては、既に議会の場でご説明させていただいた内容も含まれますので、ご了承願います。
 なお、参考欄にはTPP交渉のいかんにかかわらず、先般12月10日、日本の農林水産業を取り巻く厳しい状況を踏まえ政府の農林水産業地域の活力創造本部で作成されました「農林水産業地域の活力創造プラン」の概要及び本年度から本県独自に取り組んでおります県民所得向上対策の概要につきましても若干触れさせていただきたいと思います。
 以上、限られた情報の中でのご説明であるという点につきましてあらかじめお許しいただき、進めさせていただきたいと思います。
 それでは、資料の1ページをご覧ください。TPP(環太平洋パートナーシップ協定)につきましては、人・物・金の流れをスムーズにするための経済連携協定ということでございまして、アジア・太平洋地域における高い水準の自由化を目標に物品市場アクセスやサービス貿易だけでなく、非関税分野や新しい分野を含む包括的な協定を目指しておりまして、現在、我が国を含む12カ国で交渉が進められております。
 資料の2ページをご覧ください。横向きで見ていただきたいのですが、これは交渉に扱われる分野の概略を簡単に示したものでございます。農業分野が関連いたしますのは(1)の物品の関税、物品市場アクセス、物品の関税撤廃や削減の方法等を定めるものでございます。それ以外にも投資、競争、知的財産、政府調達等、非関税分野のルールづくりのほか、環境、労働、分野横断的事項等、新しい分野を含む包括的協定として交渉がなされております。
 資料の3ページでございます。交渉等の経緯と政府等の動きにつきましては、2010年、平成22年3月にシンガポール、ニュージーランド、チリ、ブルネイからなる環太平洋戦略的経済連携協定、通称「P4協定」への加盟4カ国とアメリカ、オーストラリア、ペルー、ベトナムの8カ国で交渉が開始されまして、現在、マレーシア、カナダ、メキシコ及び日本を加えた12カ国で交渉がなされております。
 交渉の経過でございますが、2010年10月に、当時の菅総理が所信表明演説でTPP交渉参加を検討いたしまして、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指すという表明後に、翌年の2011年11月、ホノルルでのAPEC首脳会議で当時の野田総理が交渉参加に向けた関係各国との協議を開始する旨を表明されております。
 本年に入りまして、3月に安倍総理が記者会見で「TPP(環太平洋パートナーシップ協定)に向けた交渉に参加する決断をし、その旨を交渉参加国に通知した」とTPP交渉参加を表明されまして、同時に国内への影響試算額も公表されております。
 その後、参加国と交渉参加に向けた協議が行われまして、4月12日には交渉参加に向けた日米事前協議が合意され、4月20日にはTPP交渉参加国閣僚会合におきまして、日本の交渉参加に必要な各国内の手続を進めることが決定され、我が国はマレーシアで行われました第18回会合において、7月23日から交渉に参加しております。
 続きまして、10月8日でございますが、インドネシアのバリ島で開催されましたTPP首脳会合において、「年内に妥結することを目的に、残された困難な課題の解決に取り組むべきであることに合意した」とありますように、ここで年内妥結に向けた首脳声明が発表されております。
 しかしながら、皆様ご存じのとおり12月7日から10日にシンガポールにおきまして、TPP閣僚会合が開催されましたが、目標とされていました年内の交渉妥結には至らない状況でございました。
 11ページをお開き願いたいと思います。ここに12月10日付の3カ国閣僚代表声明を付けております。「テキストの主要な残された課題の大部分について潜在的な『着地点』を特定した」と、「我々は、今後数週間、そのような協定に向けた集中的な作業を継続することに決めた」、「来月に再度会合を開催する予定」というふうな発表の仕方がなされています。来年1月の交渉継続は明らかにされている状況でございます。
 続きまして12ページでございます。これは既存の資料でございます。政府、内閣官房が本年3月15日に安倍総理のTPP交渉参加表明とあわせて公表いたしました、「関税撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算」についてでございます。
 試算方針の(1)にありますように、非関税措置の削減やサービス、投資の自由化は含まない、関税撤廃の効果のみを対象としますと、関税は全て即時撤廃、追加的な対策を計算に入れないということを仮定して試算がなされております。
 また、13ページ中ほどのTPPの経済全体に与える影響につきましては、農林水産物への影響試算の考え方の欄があります。そこに一定のシナリオを設定いたしまして、@からB番でございますけれども、農林水産省が個別品目ごとの生産流通の実態、関係国の輸出余力等をもとに精査し積み上げた生産減少額を示し試算しているということでございます。なお、注意書きのところに書いていますように、試算対象となるのは、関税率10%以上かつ国内生産額10億円以上である33品目の農林水産物とし、うち農産物は19品目を対象としているということでございます。
 その結果、同じページの下の方に示されておりますが、GDPベースでの日本経済全体に与える影響として輸出が0.55%増加、輸入は0.6%減少、消費は0.61%増加、投資は0.009%増加し、その結果、全体でGDPが0.66%増加、3.2兆円増加すると試算されています。その一方で、農林水産物の生産額は3兆円減少するとも試算されています。
 18ページでございます。横向きで見ていただきたいのですが、農林水産物生産額の減少額3兆円というふうにそれぞれの品目ごとの内訳を示しております。農産物の減少額につきましては、左の表の一番下の方に書いております約2兆6,600億円と試算されており、品目別の減少額では、米が約1兆100億円、豚肉が約4,600億円、牛肉は約3,600億円、牛乳・乳製品が約2,900億円ということでございます。
 19ページから25ページまでは主な米、小麦、大豆、大麦、牛肉、豚肉といったことでのシナリオにのっとって試算するイメージ図を示しております。
 26ページをお開きいただきたいと思います。TPP交渉に関する情報でございます。あくまでも先ほど申し上げましたように、国からの情報が少なくて、分野ごとの交渉状況の情報が十分得られていない状況であります。新聞情報によりますと、物品市場アクセス、知的財産、競争政策のうち、国有企業の問題などの分野で交渉が難航していると聞き及んでおります。
 続きまして27ページをご覧ください。本年度TPP協定に関する他の都道府県と連携した取組につきましては、全国知事会、九州地方知事会などを通じて行ってまいりました。九州地方知事会の取組につきましては、5月20日、10月28日に特別決議を採択し、その後、6月12日から13日、11月14日に要請活動を行っております。
 全国知事会での取組につきましては、11月1日、19日に政府に対して要請活動を行っております。また、11月6日には北海道、私どもの県も入っていますが、全国31道県の知事との連名により、関係大臣に対しまして緊急要請を行っております。要望の内容につきましては、資料の28ページから34ページに記載している内容でございます。
 資料の35ページをご覧ください。本県の取組でございますが、我が国がTPP参加検討を表明した2010年11月に、政府に対しまして「農林水産物等の貿易自由化に関する要望書」を提出するとともに、その後も政府に対しましては慎重に対応していただくよう要望書を提出いたしております。特に、本年のTPP参加表明後につきましては、3月15日に知事コメントを発表するとともに、本年4月にはTPPへ参加した場合の本県の影響試算を国の試算に準じて公表いたしまして、正式参加前の6月11日から12日には、平成26年度政府施策要望として、「TPPを含む農林水産物の国際貿易交渉に対する慎重な対応について」を提出いたしました。さらには、我が国が交渉に合流した7月23日にも知事コメントを発表し、9月24日には単独で政府に対し「TPP協定交渉における慎重な対応について」ということで要望活動を行っております。
 要望内容につきましては、46ページの要望の中身にも書いております。2番目に書いておりますように、「米や麦、牛肉・豚肉、乳製品、水産物等の重要品目を完全撤廃の対象から除外すること」ということでございます。「深刻な影響が懸念される農林水産業においては、その影響を克服するための構造改革に向けた道筋や具体的な対策を明確にしたうえで、国民的な議論を通して最終的な結論を得ること」、そういったことで要望をしております。
 資料の50ページをご覧ください。本年4月26日に公表いたしました長崎県農業への影響試算につきましては、既に皆様方にご説明したところでございますが、国が3月15日に公表いたしました関税を撤廃した場合の経済効果についての政府統一試算に基づきまして、本県の実情に合わせて平成23年の本県農業産出額への影響について試算したものでございます。なおこの試算につきましては、TPP交渉参加11カ国を対象にしまして、関税を即時撤廃した場合の影響を試算し、追加的な対策を計算に入れない、国と同じような仮定で試算を行っております。
 51ページをご覧ください。試算対象品目につきましては、国試算の関税率10%以上かつ国内生産額10億円以上の品目であります19品目の農産物のうち、本県で該当する米、小麦、大麦、柑橘類、牛乳乳製品、牛肉、豚肉、鶏肉、鶏卵の9品目について試算を行っております。
 その結果、本県農業産出額への影響につきましては、369億円の減少との試算を公表いたしております。この影響額につきましては、平成23年本県農業産出額1,420億円の26%、対象9品目の産出額合計の54%に当たりまして、品目別には豚肉が118億円、牛肉が99億円、米が76億円という状況でございます。
 52ページ以降は参考資料として提出させていただいております。資料の52ページをご覧いただきたいと思います。
 政府は、TPP交渉のいかんにかかわらず、今般の農林業を取り巻く厳しい情勢に対応するため、本年1月29日に農林水産省内に「攻めの農林水産業推進本部」を設置するとともに、農山漁村地域が将来にわたって国の活力の源となり、持続的に発展するための方策を幅広く検討するため、5月21日に内閣に農林水産業・地域の活力創造本部を設置いたしまして検討を進めておりました。産業競争力会議、規制改革会議の意見を反映しながら12月10日にプランを決定しております。
 策定に当たりましては、表の左に記載しておりますが、3点を基本として検討がなされております。まず1点目でございます。農山漁村の有するポテンシャルを十分に引き出すということで、農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増するということ。2点目が消費者の視点を大切にして、生産者が経営感覚を持って生産コストを削減し、収益の向上に取り組む環境をつくり上げること。3点目でございますが、チャレンジする人を後押しするように、規制や補助金などの現行施策を総点検して農業の自立を促進し、政策を抜本的に再構築することということでございます。
 このような観点を踏まえて、プランとしては農業を産業として強くしていく政策、いわゆる産業政策と国土保全といった多面的機能を発揮するための政策、地域政策、これは車の両輪という説明をされております。ここに記載しております4つの柱を中心に、産業政策としての「需要フロンティアの拡大」、「需要と供給をつなぐバリューチェーンの構築」、「生産現場の強化」、地域政策としての「多面的機能の維持・発揮」を施策の柱としまして、今後、農業の構造改革を図り、農業・農村全体の所得を今後10年間で倍増させることを目指すというようなことでございます。
 具体的な方向性としまして、1点目でございますが、国内外の需要を取り込むための輸出促進、地産地消促進。2点目の6次産業化等の推進。農地中間管理機構の活用による農業構造の改革と生産コストの削減。経営所得安定対策の見直し、及び日本型直接支払制度の創設などでございます。
 今後、国においては、食料・農業・農村基本計画の見直しや規制改革等の取組を行うことを予定されているところでございまして、政府としてもその推進に向けフォローアップしていくということでございます。
 資料の53ページをご覧ください。一方、本県におきましては、担い手の減少や高齢化、農畜産物販売価格の低迷、燃油や飼料、肥料などの生産手段の高どまりなど厳しい経営環境にあることから、TPP参加の有無にかかわらず、今年度から農業所得向上の加速化のために品目別部会や、地域で策定されました産地計画の実現に向けまして、長崎和牛の増頭、販売強化対策、優良品種への転換や作型の変更、加工業務用産地の育成やコスト縮減対策に関係の皆様と一体となって全力で取り組むとともに、農地の集積や基盤整備、労力・加工対策にも力を注いでいるところでございます。こうした取組の成果を県民の皆様方へ実感していただくためには、流通販売対策の強化をはじめ6次産業化や農地集約の加速化など、取組の足らざる部分を検証いたしまして、今後の施策をさらに充実させていく必要があると考えております。
 以上で資料の説明を終わらせていただきますが、離島・半島が多い本県にとりまして、1次産業は地域を支える基幹産業でございます。交渉の結果によっては深刻な影響が懸念されることから、農林水産業関係者は本交渉の動向について注視していると聞いております。
 本県といたしましても、引き続き国に対し、国益と地域産業を守るため最大限の努力を払っていただくよう、あらゆる機会を捉えて要望を行ってまいります。
 以上でございます。
○西川委員長 ありがとうございました。
 ご質問はありませんか。
◆深堀委員 国の施策なのでわかるかどうかわかりませんが、確認します。今、11カ国ということでの算定をしていますけれども、最近、韓国がこのTPPに参加をするような前向きな姿勢をとられているという情報があります。政府としてもTPPの域内が広がるということで歓迎はしているんですけれども、本県の農産物を考えた時に、韓国がこのTPPに参加することによって、今出されている資料等の中で、もっと深刻な状況になるとか、そういった情報がもしわかれば教えてください。
◎松尾農政課長 韓国の今の動きにつきましては、ご案内のとおり私どもの方では正確な形の情報がまずございません。あくまでも新聞情報等で参加するのではないかという話でございますので、それに対応してどういうふうな影響があるかということも現在の段階では影響額等算定していない、対応していない状況でございます。
◆深堀委員 わかりました。そうでしょうね。
 次に、資料等で本県の農業に多大な影響があるということは十分わかるんですけれども、ただ、例えばTPPがこういう形で入っていった時に、確かに本県における1次産業に対する被害はもちろん大、それはマイナス部分です。片一方でプラスの効果も私はあると思うんです。例えばこの資料の中で、いろいろな農作物の価格がこれだけ下がるという指標がいろいろ出ています。ということは、例えば牛肉だったり、豚肉であったり、米であったり、麦であったり、こういったものの価格が下がることによって流通が拡大をする。もしくはそこで別の消費に回すとか、そういったプラス効果も私はあると思うんです。
 本県では農業で369億円の歳出減になるという数字はどんどん出ているわけですけれども、価格が下がることによって流通が拡大するというプラスの部分もある。我々消費者としては、価格が下がることはプラスに働くわけで、そうすることによって購買意欲がまた高まって流通が拡大する、もしくは別の事業に展開するといったプラス効果というのは全く資料の中では見えないんですけれども、こういうマイナス部分だけに注目するのではなくて、プラスの部分としてこういったことがあるという分析等はされていないのでしょうか。
◎松尾農政課長 今回の、特にこういう影響額の試算に当たっては、ある程度仮定の非常に極端な考え方にのっとった形で行っている関係上、いわゆるマイナスが強調されたような側面が多いかと思います。ただ、実際上、これが導入された時にどういうふうな影響があるか、逆にプラスの効果もあるのではないかと。これは本県農林水産業ばかりではなくて、ほかの分野もございます。製造業も含めてプラスの効果もあるのではないかという全体の話はあると思います。
 委員がおっしゃったように、農林水産業の中でも、これから輸出も含めて、6次産業化も含めて、対応によってはそれを起爆剤にさらに打って出るという側面も出てくるかと思うんですが、現段階ではそこのメリット部分まで、実際上妥結していない状況下でございますので、そこまで想定し得ない状態でございます。
 ただ、これはTPP参加いかんにかかわらず、政府が方向性として4つの柱を打ち立てて、構造改革を進めていこうという話の中で打って出るという姿勢もございますので、我が県としてもそれに準じた形で、出るところは出る、プラスの効果がどういうふうな効果があるのか現段階ではつまびらかではございませんけれども、そういった対応も含めて、全体的に対応していかなければいけないかなと思っております。
◆深堀委員 現段階でそういう細かい戦略的なものがないというのはもちろんわかるんです。ただ、農林部としては、マイナスの部分だけではなく、そういう視点を持っていなければいけないのではないかと思うんです。もちろんマイナスの部分をいかにしてサポートするかという問題が一番大きな問題だとは思うんですけれども、今度は逆に攻める方の部分もやっぱり考えていかなければ、待ちの姿勢ではいけないと思うんです。そこの点をぜひお願いしておきたいと思います。
 最後にしますけれども、一番最後に説明された県民所得向上対策の概要の中で、結局、県民所得向上対策というものの前提にTPPというのはなかったわけですね。だから、農業・農村全体の所得を10年間で倍増するというのがあるんだけれども、当然これはTPPが正式にスタートが決まったとなれば、当然この中身というのはかなり変わってくるのかなと感じているんですけれども、その点はいかがですか。
◎松尾農政課長 今回は、基本的にやはりTPPの中身がどの程度の影響があるのかというのが、まずもって正確にまだ把握しきれていない中で、私どもとしては農業所得をいかに向上させていくのかということで、TPPいかんにかかわらず、どういう対策をしていけばいいのかという視点でつくっているのが今回の対策の方向性でございます。
 委員がおっしゃいましたTPP自体の影響に伴ってどういう対策をしていくかというのは、また次のステップで対応していくべき話ではないかと思っておりますが、それはやはりこの国全体の対応、今回、国としてもTPPいかんにかかわらずというのがございますけれども、今回は国がこういった形で政府間交渉で決めていく話でございます。国策としてどういうふうに対応されていくのか、そのあたりの推移を見ながら、本県としてどういう対策が必要なのかということを考えていかないといけないのかなと思っております。
◆深堀委員 今は確かに国の動きというのをもちろん注視した中での話なのでしょうけれども、やはり大前提が変わる、正式にスタートすれば大前提がものすごく変わってくるわけだから、そのあたりはその変わった中ででもどうやって長崎県の農業を振興していくのかというところで、視点もまた大きく変わってくると思うんです。ですから、準備が今の段階できるかというのはちょっと不明ですけれども、やはりそういった意識を持ちながら準備はしておかなければいけないのかなと感じましたので、一応ご提言ということで受け取っていただければと思います。
○西川委員長 ほかにありませんか。
◆徳永委員 本県の農業への影響ですけれども、資料の51ページの中で、農業産出額への影響額、特にこの牛乳乳製品、それに豚、これは100%ということは試算でいけばもうゼロということですよね。私の地元の島原半島は、特に大きな影響があるんですけれども、これは今、生産者、そしてまたJA等はどういう今後の対策というもの、当然試算が出ている以上は、国とも絡めてそういった対策協議もされていると思うんです。その辺を教えていただきたいんです。
◎松尾農政課長 今回、この影響額を算定いたしましたのは4月26日でございます。影響額を算定した時に、委員がおっしゃったように100%という形での影響というのが出てしまったことから、やっぱり豚肉を含めまして養豚農家の方々、農業者の方々に対して非常にインパクトがあった、そういった面でのご心配があるという話は聞いております。
 ただ、これはあくまでも関税を即時撤廃した場合で、追加的な対策を何もしないという段階での話でございますので、そういった時に、豚肉の話でこの試算のところをこう書いていますけれども、例えば黒豚等の有利販売ができるようなものを今後育成していくのであれば、こういった影響も、今100%と見ているところが幾らか変わってくる可能性もございます。現状としては黒豚に匹敵するようなブランド豚がなかなかないという現状を踏まえた形での試算の話でございますので、現状はこういう形なんだけれども、今後そういったことを含めて、将来的な対策をどうしていくのかというのは農業団体の皆さんと一緒になって考えていかなければいけないかなというご説明をさせていただいております。
◆徳永委員 これは即時撤廃の時の試算を出せばこういうふうになるという理解ですよね。ただ確かに、例えば豚肉にすれば黒豚のようなブランドをつけるということでありますけれども、黒豚も国内はほとんど黒豚に移行して、これもかなり前のような有利性はないとも聞いております。それはそれとして、現状のやり方では当然厳しいというのは私も認識をしておりますから、さっき言われたように今後はどういった豚の種類、ブランドの強いものをつくるか、そしてまた、逆に海外に打って出ることも当然できるわけですから、そういう中で非常に日本の品質のよさというのは、これは米もそうなんですけれども、そういったこともやられると思います。
 ただ、私はその中で、牛乳はもっとこれは厳しいのではなかろうかと思うわけです。豚はそういった差別化ができるけれども、この乳製品というのはなかなか、ここはどういった対策をとったらいいのかと。酪農も設備費が相当かかっているんです、生産者は、いろいろな面でも、施設自体が衛生上の問題でもお金のかかる設備になっています。まだ借金も持ちながらやられていますけれども、そういったところは今後どういった対策と、そしてまたどういうやり方をされるのか、教えていただけませんか。
◎松永畜産課長 この資料の数字につきましては、あくまでも一定の仮定ということの話ではございますけれども、委員がおっしゃるように酪農関係は、関税が即時撤廃されますと非常に厳しいということで、豚と比べてなかなか対応できないというのはそのとおりだと思っております。特に現在でいいますと、北海道で生産された生乳は、今は都道府県まで来ないんですけれども、そういう事態になると来ると。そうなると、本当に厳しくなると考えておりますけれども、基本的にそういった中においても対応の方向としては、プライベートブランドみたいな牛乳の生産でありますとか、あるいは現在でも生乳生産の低コスト化といいますか、そういったものを進めているところでございまして、現時点で考えられるのはそういったもののさらなる強化を考えるわけでございます。本当におっしゃいますように、生乳について言われると大変厳しいというのが現状として考えられると思っております。
◆徳永委員 これが本当に、対外国との影響が今度は国内同士でやってしまうと、皮肉なものですよね。それだけなくなってくれば北海道、これは当然コストが安いし、これが国内の方に流れてくる。敵が外国、プラス国内ということで非常に複雑な状況なんです。
 ただ、せっかくの本県の農業の振興の中で、本当に額でよく言われるのが、農業と工業製品とかを比べればそうかもしれません。しかし、この農業というのは非常に大きな財産です。例えば自給率も40%から27%、これも国策として非常に影響を及ぼすわけです。これはもう皆様方にどうのこうの言ってもあれなんですけれども、しっかりとした長崎県の考え、そしてまた、ここは生産者等の意見をしっかりと聞いて、やはり残れる農業、逆に言えばこのことによって強い農業ができるような、いい方向に結びつくような策をとっていただかなければ、これはただ、ただTPPで関税が撤廃だから、もうこれは仕方ないんですよということでは決して許される問題ではないですから、しっかりとその辺は、生産者、JA、国・農水省とも一生懸命協議し、そしてまた勉強しながらやっていただきたいと思います。
○西川委員長 ほかにありませんか。
◆織田委員 国がまだ確定したわけではないので、今、交渉の最中ですから、最終的にどのような方針になってくるのかということを、またその交渉の内容によってどういうふうな手だてをとっていくのかということが明らかにならないと、なかなか私たちも具体的な実感がまだ伴わないんですが、いただいたこの資料をもとにお話を聞くと、長崎の場合はご存じのように規模を拡大するとか、省力化するとか、また担い手がどんどんいて生産力を上げていくというのは非常に難しい地域であることは間違いないので、もろにこうしたものの影響を受けるだろうということは想定できます。
 そういう中にあっても、攻めの農業、攻めの水産ということになってきた場合に、できるだけそういうことがあるなしにかかわらず、精力的に農業の展開をしなければいけないというのは今もずっとやってきていることだと思うんです。その延長線上にあると思います。午前中の米のお話もそうだったんですが、その一環だと思います。
 長崎として攻めてやっているのが、水産であればマグロ、農産物であれば長崎和牛、今どんどん出しています。出そうという戦略を立ててやっています。みかん、柑橘類もそうだと思うんですが、そうした長崎を中心にして売り込んでいける品目というのは、ほかにどういうものがありますか。こういうことになった場合に、支えたとしても戦っていけるものというのはどういうことを今考えていらっしゃいますか。
◎田中農産園芸課長 今いろいろ議論されていますけれども、まずもって私どもが今やっている取組とすれば、まずは担い手をつくっていくということ。そのためにはもうかるために何をしたらいいか。そのために単収を上げる、品質を上げる、コストを下げる、もうこれぐらいしかできないと思っています。
 コストを下げるという面でまいりますと、最新の技術導入を図っていく。いちごであれば「ゆめのか」なら「ゆめのか」という有利の大果系の品種を入れていく。いろいろな施設栽培であれば、ヒートポンプといった省エネ技術を入れていく。それと忘れてはならないのは基盤整備、いわゆる基盤整備をする地区については、やはり担い手がちゃんと戻ってまいります。みかんについては、基盤整備がまだどこの地区もできていませんけれども、西彼農協管内では、そういった動きも出てきております。ですからそういった形で機械が入りやすい、スピードスプレーヤーや防除機が入りやすい効率的な基盤整備、こういったものをすることによって、攻めの農業の展開を今まさにしようとしているところでございます。それに加えて、いろいろな新品種、低コスト化、あと技術、例えば壱岐のアスパラでいきますと、畜産と耕畜連携をいたしまして、単収が2.5トン、県下で6年連続1位ですけれども、それを3トンまで引き上げていこうと。この間も3億円を突破したということで、今度は5億円を目指しましょうといったような攻めの農業を展開している地域もございます。そういったところにつきまして、県を挙げてそういった産地を応援して、まさにTPPはくるのかどうかわかりませんけれども、その備えとして、きちんと攻めの農政を展開していきたいと考えております。
◆織田委員 そういうことだと思うんです。これがどうなろうと、ともかく今のグローバル社会というか、東南アジアを含めて、どんどん日本の、また長崎のいい産品を輸出して、それをもうかる産業として県下に返していくという作業が大きく、幅広い経済活動が農業の中にも必要になってくるわけです。
 そういった時にまだ足りないことがいっぱいあります。当然外国だと、売れたとしても、一時期売れるかもしれないけれど、しばらくしたらどうなるかわからないという変動も出てくるでしょう。そういう点では、日本のように安定供給、安定価格でとれるかどうかというのは非常にリスクも大きい。そういう場合はどうしなければいけないかということが当然ながら今後出てくるはずです。そういったことも含めて、このTPPの問題に対してはまだやらなければいけないことがいっぱいあると思います。
 それはそれとして、ただ売り込みやすい環境も出てきました。和食がこうやって幅広く世界中に広がるものになりました。これに伴う産品というのも当然ながらいっぱいあるわけで、そうなると長崎というだけじゃなくて九州全体とか、幅広い展開をしていかないと、長崎だけで世界のグローバル社会の農産物と戦えるかというと、なかなか難しいことも出てくると思うんです。そういう点では長崎も横の連携をもっと大きくとって、それを九州各県とそうした対応をして、この産品に対してはここがメインだけれど、長崎はその次にいって一緒になって物を輸出しましょうとか、そういう体制も今後必要になってくるのではないかと思っているんですが、いかがですか。
◎永橋農産加工・流通室長 農産物の輸出につきましては、当初は九州各県それぞれでやっておりましたものを、委員ご指摘の九州各県が連携した取り組みということで、まずは来年の2月に香港で九州各県の農産物、それと食品の企業も入って合同の展示会をまずはやろうという動きが始まるところで、本県からも6団体それに参加をされる予定になっております。こういう動きは、今後とも盛んになってくると思いますので、私どもとしても情報を取りながら生産団体等にそういう情報を出していこうと思っております。
◆織田委員 まさしくそうだと思うんです。今まで私たちが長崎県の農業のためにとやったことだけじゃなくて、横の連携をとってもっと大きい視点で物事を考えていく必要が今後出てきた。そういう価値観を持ってやっていかないといけないと思うんです。今おっしゃったような展開はこれから出てくると思いますし、場合によっては水産物だったらノルウェーまでこの前見に行かれた方がいらっしゃいましたけれども、もっと養殖をどんどん広めていきたいという話なんかも出てくるかもしれない。これは農産物も同じだと思います。そうした先駆的な取組をしていく方たちにとっては、やっぱり一緒に連携をとり、九州全体で横の連携をとってどんどん展示をして、直売で向こう持って行って、外国でどんどん売れるような仕組みというものを今後考えていく必要がある。これはTPPにかかわらず進めていく必要があるんだと、こういうふうに今の時代背景の中で思います。
◆友田委員 重複するような質問になるかもしれませんけれども、今の政府試算を県内に当てはめると、369億円の損失というか、影響があるということを言われています。この件については以前も本委員会で少し議論をしたと思うんですけれども、昨日出していただいた諸外国に食物等を輸出する場合の早見表、これは既に輸出ができるところ、二重マークがついているところに全部色を塗ってみたら、こんな感じなんですよ。赤いところがそうなんです。この中で、TPPに参加している11カ国を当てはめると、赤に塗っていないところ、既に今輸出ができないところにも結構入っているわけです。もうはっきり言えば、シンガポール、マレーシア、カナダを除くと、今非常に条件的に輸出するのは難しい国がTPPに加盟していると。だから、これを逆手にとって、TPPが実際に施行されたとした場合には、こういった国の関税が撤廃されるわけですね。そうすると、そこにどうやって県内の農作物を売り込むかという戦略をやっぱり立てておくべきだと思うんです。ここまでくると、政府が言っていたように撤退というのはなかなか見越せないような状況になっていると思うんです。ですからこの早見表にあるように、県が言っている10品目ですか、これらと外国にどういうものが出せるかということも試算をして、逆にTPPが実際に施行されたら、県内のこういった作物を、これまで輸出できなかった国にも積極的に売っていこうと、そうすることによって369億円をどう挽回するか、こういった試算も県としては必要なのではないか、そのように思うんですが、少なくともこういった視点で、これまでの間に何らかの検討がなされていれば、そのあたりについてお聞かせいただきたいと思います。
◎永橋農産加工・流通室長 まずTPPということで一義的に考えますと、2国間での関税が今ある分がゼロになるということで輸出がやりやすくなるのではないかということをまずは私どもも考えているところですが、実際に例えば、今、日本の農産物が一番出ているところは、果物では台湾でございます。輸出の7割ぐらいが台湾です。それから、野菜も長芋中心になりますが、6割が台湾でございます。台湾というところは、いちごやみかんは今でも2割から3割ぐらい関税があるところなんです。それに比べまして、先ほどおっしゃったシンガポール、ブルネイ、チリとか、今からTPPに入るところというのは、既にもう関税がほとんどゼロに近い国だものですから、一概にTPPだから関税がなくなって輸出がということには結びつかない。輸出を考える時には、関税もありますし、植物検疫の問題もございます。それから輸送費の問題等がございますので、関税だけでは結びつかないですけれども、私どもはおっしゃるようにTPPがあろうがなかろうが、県として輸出は充実させていきたいということで取り組んでおりますので、TPPの結果いかんにかかわらず、輸出には積極的に取り組んでまいりたいと思っております。
◆友田委員 いずれにしても、ひょっとするとこの12月のシンガポールでの交渉で妥結するかもしれないという見通しがありましたよね。そうすると、仮にこの12月にそのTPPが妥結していたとするならば、今の時点ではある程度中身が明らかになっていたと思うんです。明らかになってから、さあどう対応するかということも大事なんだけれども、一方で限られた情報だけれども、その中で長崎県の農産物をTPPが施行されても守るためにはどうすべきかという検討は怠ることなくやるべきだと思うんです。そういった意味で来年、年明けまでそういうふうに動いてはいるんだけれども、TPPは関税だけの問題だけではないとおっしゃいました。例えば植物検疫だとか、そういった中身もTPPの交渉の中に一部あります。そういったものが撤廃されることによってどう有利に働くか。それによって本当に369億円をどう挽回するかというところ、ここはしっかり考えていくべきだろうと思っています。やっぱり長崎県にとって輸出をする上で最も有利な点は、アジアに近いということなんですが、TPPの11カ国、日本を含めて12カ国の中で、アジアは日本を含めて5カ国しかないんです。その中で、結局、ある程度経済力のあるオーストラリア、アメリカ、カナダというのは反対側にあるものですから、なかなか長崎県にとっては不利かなと思います。そういった意味ではやっぱりアジアの国々をどう開拓していくか、そのあたりもぜひ検討を進めるべきではないかと思います。TPPのあるなしにかかわらずやっているということですけれども、一方でTPPがある程度目に見えているものだから、この後どうするかという検討は必要だと思うんですけれども、このあたりについての農林部のお考えをお聞かせいただきたいと思います。
◎峠農林部次長 今、委員ご指摘のように国内の消費というものにつきましては、高齢化が進みますので需要が減退すると。そういう意味から、やはりいいものは外国に売っていくと。そういう中で日本産の売りというものは、高品質、あるいは安全・安心ということだと思います。
 そういう意味で今、農林部といたしましては、テスト輸出についての支援をしておりますけれども、それは一定パイプをつなぐということでやらせていただいております。今後はそのパイプを大きくしていく、そういう方策もとっていかなければならないのではないかと考えております。
 それから、先ほど委員が示されました表でございますけれども、これは補足させていただきますと、検疫条件があって輸出ができないというような整理になっておりますので、関税が撤廃されたとしても、そのまま輸出ができるということとは少し違うかもしれませんので、そこはお含みいただきたいと思います。
◆友田委員 少し私の勘違いもあるかもしれませんけれども、いずれにしてもTPPに対して、JAの皆さんなどは絶対に反対だというのぼりを今でも掲げられているので、TPPが施行されることを前提に議論するのはなかなか難しい環境にあると思うんです。しかし、一方でやはりそういったものは現実に迫っているという危機感を持って、ぜひ県内の農家の皆さんにも、こういう状況の中でどう農業を守って自立させていくかという意味では、先ほど品質の向上と経費削減と言われましたが、一方でやはり攻めていくということ、攻めの姿勢が一番大事だと思うので、そういった意味ではまだまだ県内の農家の皆さんは消極的かなと感じるところもあるものですから、ぜひそういったところについても、県として指導していただいて、勝ち残れるように、生き残れるように長崎県の農林業を守っていただきたいと要望しておきます。
◆山口委員 午前中も少し質問しましたけれども、要するに長崎県が掲げている県民所得向上の関係です。とにかく779億円の波及効果を生むというのが今の長崎県の大命題です。そういうことでそれぞれの関係部署が取り組んでいるところなんですが、そういう状況下にあって、当然農業所得も43億円増やしていくというのが、今掲げられている目標値です。具体的にTPPが適用されるということになって、これが369億円、いわゆる長崎県農業生産額の約26%がもう減少するということが県の方でも試算されているわけであります。
 ということはどういうことかというと、要するに今、こうやって頑張っていこうという農業者の皆さんの3割近くの人が、はっきり言って仕事がなくなると、雇用の部分から見てもこれは極めて重要な課題であると認識をしています。
 だとした時に、それぞれ製造業とか、あるいは水産業とか観光とか、別の分野がその分をカバーしてくれれば長崎県としての県民所得も含めての維持ができると思いますが、そこのところは皆さんは農業の分野なので農業の部分はきちっとやってもらわないといけないんですが、そう言いながらもどうしようもない部分に直面すると思うんですが、どうお考えですか。
◎松尾農政課長 今回、私どもがご説明するに際しましては、冒頭申し上げましたように農林水産関係ばかりではなくて、福祉や製造業といったような多分野に及ぶといことで、基本的なところの考え方は、窓口としては企画振興部の方でその方向性も含めて対応してもらっていると思っております。
 では、農林水産の事業者で影響があった方々をどこでそれをカバーするのかといったことが、現状、試算の中でやっているかというと、そこまでは聞いておりませんので、その余ったところをどうカバーするかという全体の議論のところまではまだ至っていないというのが現状だと思います。そこまで聞いておりません。
◆山口委員 こうやって国がやっきになってTPPをやろうとしている背景には、国策でありますから国の繁栄が後ろからついてこないと意味がないと思うんです。そうした時にGNPなりGDPなり、日本の国がやってもマイナス部分はあるけれども、他産業の部分でカバーできてプラスになるんだよということでないと、やはりこれは当然国策としてもやるべきではない話なんです。しかし、もう今ここまできて、ただ、アメリカの方が内輪の方できちっと整理ができないような状況を漏れ聞いていますが、いずれにしても、そう簡単に引き下がるような状況になっていないと判断するとすれば、やはり長崎県としてはそれが適用された時の雇用をまず第一にきちっと考えてやらないと、本当に県内、これは長崎県だけじゃなく、そういう状況になってくると思うんですが、トータルとしてどうお考えですか。
◎松尾農政課長 先ほどご説明で、本県の産業構造が変化する中で雇用の流動がどういくのかという話をさせていただいて、試算の段階ではということでは申し上げましたけれども、国が今回、完全撤廃した場合の政府統一試算の中では、産業構造の変化に伴って雇用が流動することが仮定されておりまして、雇用全体については仮定の計算上は完全撤廃前と普遍というような考え方になっています。
 ただ、本県、そういう考え方の中ではまだそこまで詳細なデータの分析はしていないということでございます。
◆山口委員 要するに、事態が変わるわけですから、事態が変わる部分をどう逆手にとってやるかというのは、さっき友田委員が述べましたように日本人の知恵だと思うし、農林部の知恵の部分が本当に大事になってくると思うんです。それからいくと、今の状況と周辺の事態が変わるわけですから、農政として、そこにどれだけの農業を活性化させる道しるべを見出しきるのか、見出させるのか、そして、県民の皆さんに、農業者に安心を与えきるのか、これは極めて大事だと私は思います。そうしないと、単なる農業がじり貧ではいかんと思いますので、皆さんが元気をもって、勇気をもって農業がやれる、状況は大丈夫と、こうやってやるからということを、今言わなくてもいいですけれども、そうなった時にきちっと言えるものを皆さんは準備しておいてもらわないといけないと思います。これが貿易にかかわるTPPですから、それをどれだけ長崎県農業として食いついていけるのか、いわゆる拡大できるのかということも当然重要になってくると思いますので、特に農林部の皆さんの頑張りどころがこのTPPにあると思いますので、そこのところを、次長、決意でも所見でも結構ですから、最後にお聞かせください。
◎峠農林部次長 TPPにつきましては、プラスの面とマイナスの面が当然あろうかと思います。特に、我々が所管しております農林関係につきましては深刻な影響が出るということが言われておりまして、県内には約4万戸の農家の方がいらっしゃいます。ですからそれの影響をいかに緩和するか、そこのところはしっかり議論していきたいと思います。
 また、言われましたように、これだけ大きなTPPが妥結しますと、産業構造も大きく変化することも考えられますので、その辺は柔軟に対応していきたいと考えております。
◆山田[博]副委員長 今回、TPPの問題を委員の皆さん方のご理解をいただいて集中審査をしたというのは、これは大体妥結の方向ということですし、理事者の皆さんにおかれましては来年度の予算編成に向けて議論しておかなければいけない大切な時期だということでさせていただきました。その中であらかじめ幾つか確認をさせていただいて本格的な質問をさせていただきたいと思います。
 TPP交渉等の経過は平成18年から始まったと。まず菅総理が平成22年10月に「TPP交渉参加を検討し、アジア太平洋自由貿易圏の構築を目指す」と表明したと。なおかつ野田前総理も平成23年11月に、交渉参加に向けた関係各国との協議を開始したい旨を表明したと。実際、この交渉に参加したのは、安倍総理がTPP交渉参加を表明した3月15日以降ということで理解していいのかどうか、それだけをまずお答えください。
◎松尾農政課長 3ページの交渉等の経緯と政府等の動きのところで、3月15日は安倍総理がTPP交渉参加を表明されたということでございます。あくまでも参加は7月23日から交渉合流ということです。同じ年の7月23日、マレーシアの18回会合から我が国が参加したという状況でございます。
◆山田[博]副委員長 だから、3月15日に安倍総理がTPP交渉に参加したいということを言われて、日本国政府としてはそれで交渉参加に踏み切ったと理解していいんですね。まずそれが大事なポイントですからお答えください。
◎松尾農政課長 副委員長おっしゃるとおりでございます。
◆山田[博]副委員長 それで今回、私たち県議会でも意見書を出しました。そこで改めてお尋ねしますけれども、長崎県としてこのTPPに対する見解を聞かせていただきたいと思います。
◎松尾農政課長 本県の立場は、45ページの知事コメントにもありますように、まず、政府がTPP交渉参加を表明した時の考え方につきましてはここに書いております。「TPPに参加することによってプラスの効果が期待できる分野がある一方で、農林水産業のみならず、マイナスの影響が生じるのではないかというふうな不安を抱いている県民も数多くおります」と。それから、丸の3つ目に「今後、政府におかれてはこうした影響を克服する具体的な方策を明らかにしていただきたい」ということで、重要品目を完全撤廃の対象から除外することなど、国益と地域産業を守るため最大限の努力を払っていただきたいということでございます。
 それを受けまして、その後の46ページで書かれております政府施策要望の2番の方でも関税撤廃の対象から除外することという立場を明らかにし、48ページにございますように、実際の交渉参加開始に当たっての考え方についてもここに書いていますような形で、基本的には重要品目については関税撤廃の対象から除外するという立場を明らかにさせていただいて、より構造改革に向けた道筋を明らかにしていただきたいということで、国益と地域産業を守るための最大限の努力をしていただきたいという立場が私ども県の立場だと認識しております。
◆山田[博]副委員長 簡単に言うと、5品目の農産物の重要品目があります。この関税撤廃をしなければTPPに参加してもいいということで理解していいのかどうか、それだけお答えください。わかりやすく言わないといけないからね、わかりやすく。そういうことで理解していいんですか。
◎松尾農政課長 TPP参加に伴ってプラスの影響がある分野、マイナスの影響がある分野、これは影響があるということが想定される範囲でございますので、そういった分野がありますと、慎重な対応をしていただきたいということがまず前提だと思います。それに伴って、特にこの重要5品目については、私どもとしては農林業にかかわる影響が多大なものですから、これについては関税撤廃の対象にはしないでほしいというのが私どもの立場だと思います。
◆山田[博]副委員長 プラスの影響、マイナスの影響は51ページにあるように、農業産出額において369億円の減少が出ると。プラスの影響というのは試算したことがあるのかないのか、あるのであったらお答えください。
◎松尾農政課長 プラスの影響は、農林水産業の段階では、前提が今回農水省が試算した結果をもとにして本県の農林水産業の結果を反映したということでございますので、基本的にはその影響下でのマイナスの影響という経過での対応の仕方をさせていただいております。いわゆるプラスの影響のところにつきましては、我が農林部以外の分での影響がどの程度あるのかというところは、今の段階では県全体としては出されていないように聞いております。所管は企画振興部ということになると思います。
◆山田[博]副委員長 大事なことだから、知事の表明の中には、「プラスのところもあります」とありましたから、プラスのところは今のところ農林部としては承知していないと理解していいんですか。そういうふうに知事のコメントがあるから、そこはきちんと県民の皆様にわかりやすくしないといけないから、「マイナスですよ」と言ったって、知事の表明にはプラスもあると言っているのであれば、この農林関係の中で、今、友田委員が言われたところがあるのかないのか、あるのであればきちんと試算しているのかをお答えください。
◎松尾農政課長 今回の試算の段階では、あくまでも農林水産業についてはマイナスの影響が出るという前提での影響額を反映させていただいている状況でございます。プラスの効果のところは、期待できる分野があるということではあるんですが、そういう試算はなされてなくて、農林水産業の段階でもプラスの効果のところまでは影響額は試算していないという状況でございます。
◆山田[博]副委員長 そこはきちんとやるべきだと思うんです。基本的姿勢というのは、私もこの関係の著作というのは随分読ませてもらったんですが、いろんな意見があるんです。賛成の人は、プラスがあるんですと言うんです。しかし、先ほど農産流通・加工室長が言ったように、実際は違うんですよと、もう関税撤廃しているから、そんなことをしても効果はないんですよということで反対する人もきちんといるんです。私たちは、集中審査だから、今回こういったポイントをしっかり押さえて、また地元に帰って言わないといけないんですよ。
 私の離島とか周辺部になったらTPPに反対の人はいるけれども、都心部になれば、いや、TPPはいいんじゃないかとなるわけだから、そういったところはきちんとプラスとかマイナスを言わないといけないんです。
 そこで、今回試算した51ページの中に減少率とありますね。特に牛乳乳製品や豚肉は100%と出ているんです。そうすると、100%影響が出るということは、この専業農家、豚を飼っている方々は極端に言うと経営ができないのではないか。100%だめですよと、売れないんですよとなったら、これはどうなるか。例えば豚肉の農家は何軒おられるのか。いいですか。これは大事なところだと思います。55ページには県民の所得低迷の要因とあります。この中に「平成22年の販売農家戸数は2万4,887戸で、この10年間で約25%の減少しており、このまま減少が進めば平成27年には2万1,800戸(12%減少)まで減少することが予想される」と書いてあります。
 そうすると、これは100%ですよ。いいですか。豚肉農家は100%影響が出ますよと。牛乳乳製品も100%影響が出る。要するに長崎県では、これらの農家は経営がやっていけないと理解していいのか、まずそれをお答えください。
◎松尾農政課長 先ほど申し上げましたように今回の影響額の前提となるのは、関税が即時撤廃した場合で追加的な対策を全くしないということを前提にした上での話でございます。今回、豚肉の100%という考え方の中には、有利販売ができない、いわゆる黒豚等がないという現状を鑑みた時に、極端な話として100%の影響があるのではないかという話をさせていただいています。
 副委員長がおっしゃるように4月にこの影響額を発表した際には、豚肉を生産する農家の方々からは、やはり不安を感じる声が聞こえたということは聞いているところでございますので、私どもとしてはできるだけこの影響がないように、先ほど申し上げましたけれども、ブランド豚を含めて生産自体も含めた形の支援の仕方を徹底してやっていかないといけないかなと思っているところでございます。
◆山田[博]副委員長 これは農政課長、売り上げが100%減少しますと言ったら、小学生でもわかるんです。農家が養豚専業農家としてやっていけるか、牛乳乳製品の専業農家としてやっていけるかどうかというのを考えたらどうなんですかという簡単明瞭な質問なんです。小学生が考えたら、普通これはできませんとなるんです。それを農政課長は、はっきり答えてください。これは私が書いた数字ではないんだから。そちらが書いた数字だから、それを教えていただきたいと思うんです。
◎松尾農政課長 繰り返しになりますが、影響額の算定に当たっては極端な形の仮定計算で置いた形でのこういった100%ということで、農家の皆さんは非常に不安を感じるということもございます。ただ、追加的な対策を何もしないということでの試算の仕方でございますので、そういった厳しいご意見を承りながら、私どもは今後の農政の対策につなげていかないといけないという認識でございますので、まさしくこういった影響自体がインパクトが大きいという現状をしっかり把握しながら対応していきたいと思っております。
◆山田[博]副委員長 長崎県農業産出額52億円、豚肉118億円、これを産出している農家の戸数を教えてください。
◎松永畜産課長 畜産農家の戸数についてでございますけれども、平成25年2月現在の戸数で申し上げますと、養豚農家が130戸、乳用牛・酪農の農家が178戸となっております。
◆山田[博]副委員長 そうすると、少なくとも約300戸の農家の方に大きな打撃を与えるということです。だから、この金額もさることながら、どれだけの農家戸数に影響があるかということをきちんと出してもらいたいんです。今回、極端に言うと、少なくとも約300戸の農家の方に大きな打撃を与えるんでしょう。米農家でもそうでしょう。大麦もそうじゃないですか、1億円だとしても。
 まず、米を言いましょう。米は大きいですよ、50%だから。長崎県の米の農家戸数はどのくらいですか。
◎田中農産園芸課長 今、販売目的で米を栽培している農家は1万6,057戸でございます。
◆山田[博]副委員長 では、養豚農家と肉用牛農家と米農家では大体2,000戸近くなるんですね。これは全体の農家戸数から計算したらどのくらいの割合になりますか。農政課長、お答えください。
○西川委員長 休憩します。
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     −午後3時59分 休憩−
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     −午後4時0分 再開−
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○西川委員長 再開します。
◎松尾農政課長 67%になると思います。
◆山田[博]副委員長 そうすると、67%の農家の方々は50%、100%農業産出額が減少する。大打撃を受ける農家の方が67%もいるということなんですよ。そうすると、これだけの影響があるんですよ、政策監。いいですか、これだけの数がいるのであれば、長崎県の農林部としては、もう今からやらないといけないということですよ。決まってからできるのか、そんなことはないでしょう。これだけの数ですよ、政策監、あなたのためにこの質問を残しておいたんです。どなたがお答えするかわかりませんが、お答えください。
◎田中農産園芸課長 今、販売目的で水稲を作付けした農家戸数を1万6,057戸と報告いたしましたけれども、本県の農業を考えますと、園芸が主体でございます。1万6,057戸の中には、複合経営で野菜を作っている方が大半でございます。ですから、例えば島原でいきますといちご農家とかいますが、いちご農家は水田もお持ちです。その中で回しているということがございます。野菜については、この試算から外れておりますけれども、今、関税の率が野菜の平均が約3%ぐらいです。高いタマネギでいきますと8.5%ということで、現在でも輸入されているということを考えますと、ダイレクトに、今、副委員長が言われた数字でいきますと、大打撃ということではあるんですけれども、一方で1万6,057戸の中には複合経営で園芸をやっている農家もいらっしゃいますので、影響があるのは間違いないんですが、そういった意味で県として農業の影響という面でいきますと、米で減少した部分を、水田裏作の農地利用率というのはまだまだ低うございますので、そういったところで水田を活用した二毛作なんかで野菜等を作りながら、その減少緩和をしていくといったようなことは今後考えていかなければならないのではないかと考えております。
◆山田[博]副委員長 では、お尋ねします。水田農家の1戸当たりの平均所得は幾らですか。
○西川委員長 休憩します。
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     −午後4時4分 休憩−
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     −午後4時5分 再開−
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○西川委員長 再開します。
◎田中農産園芸課長 今、詳しい数字は持っておりませんけれども、県内の水稲農家の作付面積は平均23アールぐらいです。今、所得は持っていません。
○西川委員長 休憩します。
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     −午後4時6分 休憩−
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     −午後4時13分 再開−
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○西川委員長 再開します。
◎田中農産園芸課長 農業経営の収支の中の農業所得でございます。これは国の方の統計調査でございますけれども、九州の平均でいきますと56万3000円でございまして、その時の経営耕地面積が175アールでございます。1.75ヘクタールでございます。
◆山田[博]副委員長 そうすると、先ほど農産園芸課長が言われたのは、長崎県の米農家というのは米中心ではなくて野菜もやっていますよと。だから、この50%の減少率でも大した影響はないでしょうというニュアンスに聞こえたから、私はあえて聞いたんです。私はそういうふうに捉えたから聞いたんです。
 いずれにしても、今、長崎県の米農家は平均56万円ですよと、例えば100万円所得をあげている人もいるからですね。そうすると、いずれにしたって50%ということになれば、影響が出るから、私はもう今からでもやらないといけないのではないかと。これは長崎県の農政の大転換ですよ。だから、私は今からやるべきだと思うんです。逆に言うと、県としてこれだけの減少額があるとしたら、54%ぐらい減少するんですよと。これをもとに戻すために県としてどういう施策をするかとなると、幾らの予算をつぎ込まないといけないかといったことも全く手つかずですか。それをお答えください。
◎峠農林部次長 詳しい試算はしておりませんけれども、今、県民所得向上の中で、3年間で107億円の産出額を上げるということにしております。それからいきますと、107億円ですから3倍以上の金額が減少になるということになろうかと思います。
◆山田[博]副委員長 そうすると、369億円産出額が減少するというのであれば、これをまたもとに戻すには3倍のお金がかかると理解すればいいんですか。そうすると、大体1,000億円ぐらいのお金がかかるということですか。私はよくわからなかったので、もう一度お願いします。
◎峠農林部次長 予算については、これがダイレクトに産出額に反映するかどうかというのは詳しくわかりませんので、それの何倍の予算を投入すればこの産出額にいくかというのはわかりませんけれども、いずれにしても、我々が今目指している107億円に対しまして、最悪のシナリオでいきますと369億円が減少するということでございます。
◆山田[博]副委員長 369億円が減少するとなるわけでしょう。これを影響がないように、長崎県としてどういう対策をするのか。別の聞き方をしますと、長崎県として、これをもとに戻すために予算とかをつぎ込んでやることに、今着手しているのかしてないか、それをお答えください。
◎峠農林部次長 今言いますように、これは関税を即時撤廃して、何の対策もしなかった時の最悪の状態ということでございますので、この数字についてどうこうということは今検討しておりません。ただ、今の施策の中で、これを抜きにして今の施策を推進することによって平成27年に107億円を目指すということで、今、我々は推進をしているところであります。
◆山田[博]副委員長 そうすると、今、県としてはこの施策を何もしなかった場合ということでありますけれども、具体的に長崎県として、もう今から、予算のつくところは別として、もしTPPを締結するとなった場合には、国に政策的にこういったことをやってもらいたいということを、今、取り組んでいるのかいないのか、それをお答えください。
◎梶原農林部政策監 今、この369億円の減少額をどうするかということでお話がありますけれども、いろんなアプローチがあるかと思います。例えば一つ考えられるのは、経営所得対策として農家が農業を続けるために経営を補てんするという考え方でいけば、369億円の所得を確保するために、所得対策として369億円を補てんするという考え方もありますし、一方では先ほどからお話しているように、農家が自力でやれるようにするためには、基盤整備等の生産条件の改善なり、ほかの低コスト化のための対策というのがいろいろ考えられます。
 例えば、基盤整備ということになると、やはり欧米諸外国並みの生産基盤をつくるとなると、とても369億円で足りない。これの100倍とか、そういうお金を投入しなければならなくなります。やはりそういう時にはいろんな選択肢がありますので、明示的にどのぐらいのお金が必要だというのは言えませんけれども、とり得る対策として、例えば新しい日本型の所得安定対策とか担い手への集積とか基盤整備の促進とか、いろんな面からこれを守れるようにということで国に要望しているところであります。
 併せて先ほど次長からもお話したように、この条件とすれば、即時関税撤廃ということなんですけれども、長崎県だけではなく、日本の農業は大打撃を受けますので、そこは地域対策としての農業ということで単純に関税を全て撤廃ということではなく、段階的に撤廃とか、特定品目については関税を維持するとか、そういう面でも政府で考えていただくようにということで要望しているところであります。
◆山田[博]副委員長 私は、なぜこういうことを言うかというと、やっぱり長崎県でも産地が違うんですよ。日本全国同じ制度でやると、金太郎飴みたいではだめなんです。だから、政策監、私がずっと言っていたのは、今回の農業大学校のあり方とか、午前中、徳永委員から出ました農林技術開発センターの技術者のあり方とか、こういったものをひっくるめて全般的に取り組まないといけないんです。だから、政策監、あなたは国の農林水産省から来て長崎県とのパイプ役ですから、ぜひあなたがしっかりと頑張ってもらって、長崎県にはこういった制度が必要ですと、補助率はこうしてもらいたいと、長崎県は離島もいっぱいあるし半島もあるんですから、同じ制度でひっくるめてやろうとしても無理なんですから。そこはしっかりとあなたが隣にいる峠次長と各課の課長と一緒になって取り組んでいただきたいんです。そういうことをやってもらいたい。いいですか。私はそれを言いたかったんです。それをあなたがいつ言うかなと思って待っていたんですが、なかなか言わないから、あなたが自ら手を挙げたから質問して終わりたいと思います。
◎梶原農林部政策監 今、副委員長からお話があったように、長崎県は離島地域、特に農林業だけではなく、水産業も含めて国境離島の話もありますし、地域に定住することが日本の国益を守ることになっております。
 一方では、県内には半島もたくさんありますし、中山間地帯もたくさん抱えて厳しい状況でありますので、長崎県として農業が生き残れるようにしっかりと国に対して話をするなり、県内でもどうすれば生き延びることができるかということを真剣に検討していきたいと思っております。
○西川委員長 ほかにご質問はありませんか。
     〔「なし」と呼ぶ者あり〕
○西川委員長 ほかに質問がないようですので、農林部関係の審査結果について、整理したいと思います。
 しばらく休憩いたします。
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     −午後4時22分 休憩−
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     −午後4時27分 再開−
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○西川委員長 委員会を再開いたします。
 これをもって、農林部関係の審査を終了いたします。
 本日の審査はこれにてとどめ、明日は、午前10時30分より、水産部関係の「水産物輸出対策について」の集中審査を行います。
 本日は、これにて散会いたします。
 お疲れさまでした。
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     −午後4時28分 散会−
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