平成27年  6月 定例月議会 - 06月22日


1.知事の基本姿勢について
(1)次期総合計画について

答弁: 知事

(2)地方創生の取組について

答弁: 知事

   再質問:人口減少と雇用

答弁: 知事

   再質問:オフィスビル関係

答弁: 知事

   再質問:地方創生

答弁: 知事

   再質問:人口減少基本政策

答弁: 知事

   再質問:幼稚園の無償化、保育所の無償化

答弁: 知事

(3)「新」行財政改革プランの達成状況及び次期行革について

答弁: 知事


2.世界遺産登録の推進について

(1)「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の登録実現に向けた取組について

答弁: 文化観光国際部長

(2)世界遺産登録を踏まえた、観光客の受け入れ体制の整備について

答弁: 文化観光国際部長

   再質問:観光対策

答弁: 文化観光国際部長


3.本県農・水産業の諸課題について

(1)農地中間管理機構の取組について

答弁: 農林部長

(2)養殖業の振興について

答弁: 水産部長


4.県立大学について

(1)佐世保校の建替えについて

答弁: 総務部長


5.土木行政について

(1)西九州自動車道の整備促進について

答弁: 知事

   再質問:西九州自動車道4車線化

答弁: 土木部長


6.石木ダムの推進について

答弁: 知事

   要望:石木ダム推進


7.投票率向上へ向けての課題と取組みについて

(1)投票権18歳引き下げに伴い学校現場における主権者教育の課題と取組みについて

答弁: 教育委員会教育長

(2)実施された公教育(小学校)における模擬選挙の成果とマニュアル作りなど今後の対策について

答弁: 選挙管理委員会委員

○議長 おはようございます。
 ただいまから、本日の会議を開きます。
 これより、一般質問を行います。
 溝口議員−40番。
◆40番(溝口芙美雄君) (拍手)
〔登壇〕おはようございます。
 自由民主党・活正の会の溝口芙美雄でございます。
 統一地方選挙後はじめての本会議の一般質問ということで大変緊張いたしておりますけれども、滅多にない機会でございますので、しっかりと質問させていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
1、知事の基本姿勢について。(トップへ戻る)
 (1) 次期総合計画について。
 現在、新しい総合計画の策定が進んでおり、今回、骨子が示されています。総合計画は、社会経済情勢の動きや本県の特性、課題を踏まえながら、将来の県の目指すべき姿の実現に向け、その進むべき道を示す指針として、非常に重要な役割を持つものと考えております。
 新たな総合計画を策定するにあたって、現在の総合計画で掲げた目標がどの程度達成できたのか、その検証が重要でありますが、どのように検証し、どう活かしていくのか、知事の考えをお尋ねいたします。
 また、今回はまだ骨子の段階ですが、どういう方針で新たな総合計画における政策を組み立てられようとしているのか、お尋ねいたします。
 (2) 地方創生の取組について。
 国におかれては、昨年末に2060年までの中長期の人口を展望する「長期ビジョン」と「総合戦略」が策定されており、長期ビジョンでは、国民の希望出生率1.80の実現など人口減少に歯止めをかけ、2060年には1億人程度の人口確保を目指すこととされております。
 国の総合戦略では、この将来人口を達成するため、地方における安定した雇用の創出や地方への新しい人の流れをつくるなどの4つの基本目標を掲げ、具体的な施策として、農林水産業の成長産業化、地方移住の促進などが掲げられております。
 国から、平成27年度に「地方版人口ビジョン」や「地方版総合戦略」の策定が求められ、これを受け、県では人口ビジョンと総合戦略を策定しているとお聞きしておりましたが、この6月定例会に人口ビジョンは素案を、総合戦略は骨子案を示していただいたところでございます。
 知事もご承知のように、地方創生は人口減少にいかに歯止めをかけるかであります。
 そこで、本県の人口減少の状況についてどのように捉え、今後どのような方針で取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
 (3) 「新」行財政改革プランの達成状況及び次期行革について。
 県は、これまでも社会情勢の変化や多様化、複雑化する県民のニーズに対応するため、切れ目なく行財政改革に取り組まれているところでありますが、現在取り組んでいる長崎県「新」行財政改革プランについては、平成23年度から5年間を計画期間としており、本年度で計画の最終年度を迎えております。
 県政を取り巻く環境は、人口減少、少子・高齢化、地方創生や次期総合計画の動きなど、これまで以上に大きく変化しているところであり、今後もさまざまな課題に対して検討を進めていく中で、県庁全体としてより効率化を図るとともに、これらの動きに対応していくためのしっかりとした体制づくりなど、行財政改革への取り組みは今後も必要ではないかと考えます。
 現行プランの進捗状況はどのようになっているのか、また、次期行財政改革についてはどのように考えているのか、お尋ねいたします。
2、世界遺産登録の推進について。(トップへ戻る)
 (1) 「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の登録実現に向けた取組について。
 本県が進めている2つの世界遺産候補のうち「明治日本の産業革命遺産」につきましては、去る5月4日、イコモスから世界遺産一覧表への「記載」勧告がなされたところであり、今月末からドイツで開催されます世界遺産委員会において登録の可否が決定される見込みとなっております。
 知事におかれましても、世界遺産委員会へ出席されると聞いておりますので、登録に向けて最後まで全力を尽くしていただきたいと思います。
 その一方、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」につきましては、平成28年の登録を見据えたさまざまな取組がなされておりますが、いよいよ今年の秋ごろには世界遺産委員会の審議に大きな影響を与えるイコモスの現地調査が行われると伺っております。
 調査では、イコモスの専門家が、各構成資産の保存管理状況などについて現地で調査を行うということであり、万全の準備が必要と思われます。
 そこで、登録実現に向けて、現時点でどのような取組がなされているのか、また、今後の取組のスケジュールなどについて、お尋ねいたします。
 (2) 世界遺産登録を踏まえた、観光客の受け入れ体制整備について。
 2つの世界遺産を有する地域は、全国でもまれであり、この2つの世界遺産候補の価値を高めるとともに、適切な保存に努めなければなりませんが、一方で、増加が見込まれる国内外からの観光客の受け入れについてもしっかりと準備することが必要と思われます。
 過去に世界遺産に登録されている他県の状況を見ますと、ほとんどの地域において世界遺産登録により観光客が増加しており、本県におきましても、訪れた観光客の方々に、「長崎に来てよかった」、「また長崎を訪れたい」と満足していただけることが重要であります。
 そのためにはガイドの養成や離島における二次交通対策等、各構成遺産を訪れる多くの観光客の受け入れにかかる課題について、官民や地域が一体となって取り組む必要があると思いますが、現在の状況と今後の取組について、お尋ねいたします。
3、本県農・水産業の諸課題について。(トップへ戻る)
 (1) 農地中間管理機構の取組について。
 本県農業の所得が全国よりも低い要因の一つとして、農家一戸当たりの経営規模が小さいことが少なからず影響しているのではないでしょうか。私は、今後、農業所得の向上を図っていくためには、担い手への農地集積による農業経営の規模拡大は、本県農業が直面する重要な課題であると考えています。
 それを進めるための新たな手段として、昨年度から国を挙げて農地中間管理事業がはじまったところですが、新聞報道等によれば、本県も含め、全国的に目標を下回っていると聞いております。
 そこで、本県における農地中間管理事業の貸付実績と目標を下回った原因をどのように捉え、解決していこうとしているのか、お尋ねいたします。
 (2) 養殖業の振興について。
 本県の水産業は、水産資源の減少や磯焼けによる藻場の衰退、燃油の高騰等もあり、獲る漁業は、平成の当初に比べると生産量を大きく減らしてまいりました。
 一方で、養殖業は計画的な生産ができる漁業として、昭和40年ごろから60年ごろにかけて大きく成長し、生産量を増やしてまいりました。ハマチ、タイ、続いてトラフグ、5年くらい前からはクロマグロ養殖が盛んになり、トラフグとクロマグロは日本一の生産を誇るまでになりました。
 このように、その時々で新たな養殖魚種を導入したり、養殖技術を向上させるなど、さまざまな努力を行い、何とか乗り越えてまいりましたが、近年は魚価の低迷や餌料等の高騰で、とりわけ零細な養殖業者は経営が厳しい状況にあります。多くの人が働く養殖業はすそ野も広く、地域の基幹産業となっております。養殖業が衰退すれば地域の衰退を招くことになりかねず、このようなことは避けなければならないと考えています。
 このような状況の中、県としてどのようにして養殖業の振興を図ろうとしているのか、お尋ねいたします。
4、県立大学について。(トップへ戻る)
 (1) 佐世保校の建替えについて。
 県立大学佐世保校の建替えについては、これまでもお尋ねしてきたところですが、本年3月、佐世保校建替えの基本計画にあたる「長崎県立大学佐世保校キャンパス整備基本構想」が大学法人により策定されたとお聞きしております。来年4月には、新たな学部・学科が開設され、課題発見力など社会人基礎力を有する人材やグローバル化に対応した人材等の育成に取り組むこととされております。
 そのためには教育課程の充実が必要だと考えますが、充実を予定している施設があれば、その内容について、お尋ねいたします。
 また、耐震性の観点からも早期着工が望まれますが、スケジュールはどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
5、土木行政について。(トップへ戻る)
 (1) 西九州自動車道の整備促進について。
 西九州自動車道については、昨年度、松浦佐々道路が事業化され、本年3月には、松浦市において伊万里松浦道路の一部も開通するなど、着実に整備が進められております。
 開通後は交通量が増えたという新聞記事も目にしたところでありますが、高速道路が通ることで行き来が活発化するといった道路の効果が確実に出たものであり、今後、地域に元気を与えてくれるものと確信したところであります。
 その効果を県北全体、ひいては長崎県全体に広げるには、知事が日ごろから言われているように、早期に全線をつなげることが重要となってまいります。
 そこで、西九州自動車道の完成見通しと県の取組について、お尋ねいたします。
6、石木ダムの推進について。(トップへ戻る)
 石木ダムの建設は、長年にわたる佐世保市の水不足への対応と、川棚町における洪水被害の軽減のために必要不可欠であり、ダムの早期完成に向けて積極的に事業を推進していただきたいと考えております。
 石木ダムについては、これまでの手続においてダムは必要であると認められ、その結果、昨年9月、土地収用法に基づく裁決申請を行い、現在必要な手続が進められているものと考えられます。
 一部の反対地権者とその支援者の方々は、いまだにダムの必要性から議論すべきだと主張されておられるようですが、事業を白紙に戻して議論すべき時期ではなく、これまでの積み重ねられた経過を踏まえて、今後も手続を進めていくべきと考えます。
 こうした中、先月、工事を再開した付け替え県道工事については、裁判所の通行妨害禁止の仮処分にも従わず、買収地内での付け替え県道工事に対する妨害行為が継続していることは理解に苦しむところであります。
 この工事は、繰り越した予算によって対応することとされており、また、事業にご協力いただき、既に移転されている8割の地権者の皆さんも、工事を進めてダムが早期に完成することを心から望まれているものと考えられます。
 こうしたことから、県には、土地収用法に基づく手続や付け替え県道工事の進捗を図り、石木ダムの早期完成に向け、事業を積極的に進めていただきたいと考えますが、知事の見解をお尋ねいたします。
7、投票率向上へ向けての課題と取り組みについて。(トップへ戻る)
 (1) 投票権18歳引き下げに伴い学校現場における主権者教育の課題と取り組みについて。
 昨年12月に施行されました衆議院議員総選挙をはじめ、先般の統一地方選挙においても投票率の低下は大変深刻であり、特に、本県の都市部におきましては顕著な低投票率となっております。
 国民の権利の行使としての投票率の向上をいかに図るべきか、国、地方自治体、関係する機関にとりましては重要な課題であります。
 国におきましては、ご承知のように、投票者の年齢を18歳以下に引き下げるための公職選挙法の改正も行われました。法律改正により、高校生の一部も有権者となります。投票は、権利の行使と同時に社会的責任を伴うものであり、現在、さまざまな問題も指摘されております。
 法律改正を受け、学校教育の場におきましても、特に、公教育における指導や教育がさらに重視されるかと思いますが、県教育委員会として今後どのような取組をなされるのか、お尋ねいたします。
 (2) 実施された公教育(小学校)における模擬選挙の成果とマニュアルづくりなど今後の対策について。
 選挙管理委員会では、今年1月に県教育委員会や長与町等の協力を得て、県下ではじめての模擬選挙を長与北小学校で実施されました。
 これは新聞等においても報道されましたが、特に、NHKのテレビ放送でも取り上げられるなど大変有意義な取組であったとのことであります。
 また、地方財政の総合実務誌に、慶応大学の小林教授が、本県の取組に関して論文を寄稿しておられます。
 報告の中より要点を取り上げてみますが、長崎県が取り組んだ模擬選挙は、選挙管理委員会と学校が密に連携し、担当教諭の努力、工夫によって教育課程の中に上手に模擬選挙を取り込み、子どもたちの社会への関心を醸成することに成功している。
 また、この「長崎方式」、あるいは「長与北小モデル」とも呼ぶべき模擬選挙の方法を詳しく見ながら、模擬選挙を将来的な投票率向上に結びつけるための適切な方法について検討することにしたいとのことであります。
 小林教授によって、「長崎方式」とまで評価されたこの模擬選挙を一過性に終わらせることなく、今後、県下の公教育の場に広げていくためには、マニュアルづくりを行うとともに、学校現場へシステム的に広く浸透させる取組などが検討されるべきと考えます。
 選挙管理委員会、県教育委員会として、今後どのように取り組んでいかれるのか、お尋ねいたします。
 壇上の質問はこれで終わりまして、再質問の方は対面演壇席から行わせていだきます。
 よろしくお願いいたします。

○議長 知事。

◎知事(中村法道君)
 〔登壇〕溝口議員のご質問にお答えをいたします。
 まず、現在の総合計画をどのように検証し、新たな総合計画の政策をどう組み立てようとしているのかとのお尋ねでございます。
 現総合計画では、「人や産業、地域が輝く長崎県」の実現に向けて372の数値目標を掲げ、毎年度その進捗状況の評価・検証を行いながら、計画の着実な推進に力を注いでおります。
 平成25年度末時点の目標の達成状況としては、8割以上が「達成」、または「おおむね達成」となり、ほぼ計画に沿った進捗が図られており、2つの世界遺産候補の登録や新幹線開業に向けた取組の前進、「長崎海洋・環境産業拠点特区」の指定、「長崎がんばらんば国体・大会」の開催、農業産出額や観光客数の増加、企業誘致の推進など、具体的な成果につながっております。
 しかしながら、一方で、昨年実施いたしました県民アンケートでは、「雇用対策」や「教育・子育てへの支援」等に対する満足度が低位にとどまったほか、人口の長年にわたる減少に歯止めがかからず、一人当たり県民所得も横ばいにとどまるなど、引き続き取り組むべき課題も多いと認識をいたしております。
 こうした状況を踏まえ、次期総合計画では、我が国全体が人口減少社会を迎え、地域活力の低下が懸念される中、長崎県が将来にわたり持続的に発展できるよう、本県の強みを最大限に活かしながら、人口減少対策や産業振興・雇用対策等の一層の強化を図り、活力あるたくましい長崎県を築いていくことが重要であると考えております。
 そのため、次期計画では、これまでの政策の転換や新たな視点での取り組みが必要であると考え、長崎県が目指す新しい5つの将来像を掲げ、2つの世界遺産など多様な地域資源を活かした交流の拡大、海洋エネルギー等の新産業育成や1次産業の収益力向上など、力強い産業の創出に力を注ぐとともに、それを支える「人財」の育成や地域住民が互いに支えあい、活き活きと暮らす社会づくり、安全・快適な生活の基盤づくりなどに重点的に取り組むこととしております。
 また、地域の特色を活かした地域づくりを推進するため、新たに地域別計画を策定するとともに、分野横断的な取組を一層進めるため、新たな政策横断プロジェクトも検討を進めているところであります。
 今後とも、県議会をはじめ民間有識者、県民の皆様のご意見を賜りながら、県民の皆様が将来に夢や希望を感じることのできる総合計画の策定を目指して取り組んでまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 次に、本県の人口減少の状況についてどう捉え、どういった方針で地方創生に取り組んでいくのかとのお尋ねでございます。
 地方創生は、我が国が人口減少社会に転じる中、国と地方が一体となり人口減少を克服し、「まち」、「ひと」、「しごと」の好循環を創り出すことを目指しております。
 本県は、国に先行して人口減少に直面し、「人や産業、地域が輝く長崎県づくり」に取り組んできたところであり、同じ方向を目指す地方創生が推進されることは、本県が抱える構造的課題の解決を図る新たな契機となるものと考えております。
 本県では、進学や就職に伴う若者の県外転出が人口減少の最大の要因となっており、そのために合計特殊出生率が全国3位の1.66と高いにもかかわらず、人口減少に歯止めがかからない状況につながっていると認識をいたしております。
 地方創生の推進にあたっては、「しごとを創り、育てる」、「ひとを創り、活かす」、「まちを創り、支えあう」を基本目標に掲げ、新たな発想の導入や視点の転換を図りながら取り組んでまいりたいと考えております。
 具体的には、まず、海洋エネルギーやICT関連産業等の新産業の創出、世界遺産・日本遺産登録を契機とした観光産業の高度化など、本県の強みを活かした産業の活性化に全力を挙げて取り組み、人口の受け皿となる良質な雇用の場の創出を図ってまいります。
 また、地元大学等との連携強化による県内就職の拡大、本県の暮らしやすさの発信による県内定住・移住対策の促進、元気な高齢者の移住を促進する日本版CCRCなど、新たな対策にも積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 今後、今回お示しをいたしました人口ビジョン素案や総合戦略骨子案をもとに、県議会をはじめ市町、民間、県民の皆様などのご意見を反映するとともに、産学官金等の幅広い連携体制の構築を図り、地方創生を推進してまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 次に、行財政改革について、現行の行革プランの達成状況と次期行革についての考え方についてのお尋ねでございます。
 現行の長崎県「新」行財政改革プランにつきましては、持続可能で安定的な県政運営システムの確立を目指し、事務事業の見直しや職員数の削減、県民との協働の推進など、98の個別項目に取り組んでいるところであり、そのうち97項目は、目標に対して一定の成果が得られ、収支改善効果目標額135億円についても目標を上回る効果が見込まれております。
 しかしながら、全国的な地方創生の動きの中で、人口減少や県民所得の低迷、地域活力の低下など、本県の構造的な課題の克服を図っていくためには、限られた財源や人材を最大限に活用し、組織の総力を挙げて、これまで以上に知恵を絞り、地域間競争を勝ち抜いていかなければならないと考えております。
 また、本県の財政状況は、「さらなる収支改善対策」によって、基金の枯渇という危機的な状況は回避できる見通しであるものの、依然として予断を許さない状況にあります。
 このため、来年度から取り組む「新たな行財政改革」では、県民に具体的な成果を還元できる組織運営を図るため、しっかりとした現状分析に基づく政策の立案・実施・検証・改善という流れに職員の力が集中できるよう、仕事の進め方を含めた業務プロセスの見直しを行いますとともに、事務事業の外部化やICTの活用などによる行財政の一層の効率化、省力化を図ってまいりたいと考えております。
 さらに、職員一人ひとりが政策課題を自らの目標として明確に認識し、高い意識で業務を担える人材の育成についても一層力を入れてまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 次に、西九州自動車道の完成見通しと県の取組についてのお尋ねでございます。
 西九州自動車道は、九州北西部の主要都市間の連携強化、一体化を促し、地域経済の発展・活性化に寄与する重要な道路であります。
 特に、県北地域においては、農水産物等の輸送コストの削減や企業進出に伴う雇用の拡大、福岡方面からの観光客の増加等が期待されることから、早期の完成が望まれているところであります。
 お尋ねの完成の見通しについては、伊万里松浦道路の残区間で、3本のトンネルをはじめ主要な構造物の工事が順次進められており、平成30年度までに完成する見込みであります。
 また、今年度から用地取得を行う松浦佐々道路については、5月に公表された国の事業計画の中で、着手後、おおむね10年程度での完成を目指すとされております。しかしながら、明確な時期については、用地取得の見通しが立つなど、円滑な事業実施環境が整った段階で確定することも併記されております。
 このため、早期完成を目指してまいりますためには、工事着手に必要な用地をいかに早く確保するかが課題となってまいります。
 県といたしましては、関係自治体と協力し、用地取得の支援体制を整えたいと考えており、先日、県北振興局内に「西九州道現地推進本部」を立ち上げたところであります。
 今後も、産業や観光の振興による県北地域の活性化のため、西九州自動車道の早期完成に向け、積極的に取り組んでまいります。(トップへ戻る)
 次に、石木ダムの建設についてのお尋ねでございます。
 石木ダムの建設は、川棚川の抜本的な治水対策及び佐世保市の慢性的な水不足解消のためには必要不可欠な事業であります。
 さらに、既にご協力いただいている約8割の地権者の皆様のお気持ちにお応えするためにも、事業を着実に推進する必要があると考えております。
 このようなことから、昨年、収用裁決の申請という判断をしたところであり、昨年9月の迂回道路部分に続き、残りの用地についても引き続き手続を進めてまいります。
 一方、付け替え県道工事については、通行妨害を禁止する仮処分の決定がなされたにもかかわらず、依然として妨害行動が行われておりますが、今後の本格工事に向け、現在、樹木の伐採など準備作業に取り組んでおります。
 昨今の気象状況を考えますと、水害や渇水はいつでも起こり得る状況にあり、石木ダムは、地域住民の安全・安心はもとより、県北地域振興のためにも早期完成を目指す必要があり、今後とも全力で取り組んでまいりたいと考えております。
 残余のご質問につきましては、関係の部局長からお答えをさせていただきます。(トップへ戻る)
 
○議長 文化観光国際部長。
 
◎文化観光国際部長(松川久和君)
 私からは、2点お答えさせていただきます。
 まず、「長崎の教会群」のイコモス現地調査に向けて、どのような取り組みがなされているのかとのお尋ねでございますが、「長崎の教会群」の世界遺産登録実現のためには、イコモスからの勧告内容は大変重要であることから、この秋に予定されている現地調査の前までに、構成資産周辺の修景や景観の整備を急いでいるところでございます。
 また、現地調査を受ける際には、調査員に資産価値や保存の状況などをしっかり理解していただく必要があることから、現在、文化庁のご指導をいただきながら、市町とともに資産全体の調査順序や、資産ごとにどこで、どのような説明を行うか、さらには、想定問答の作成、写真パネル等の資料の精査等を行っているところであります。
 今後は、調査本番を想定したシミュレーションを実施するなど、関係県、市町と一層の連携を図りながら、登録実現に向けて万全の準備を整えてまいります。(トップへ戻る)
 次に、世界遺産登録を踏まえた、観光客の受け入れ体制の整備状況についてのお尋ねですが、世界遺産登録を機に大幅に増加することが見込まれる国内外からの多くの観光客をスムーズに受け入れ、満足いただくためには、ソフト、ハード両面からの受け入れ体制の整備が喫緊の課題と認識しております。
 そのため、昨年から県及び市町、関係団体、交通事業者等による受け入れ推進協議会を、また、庁内においても連携会議を設置するなどして、受け入れに向けた課題を共有しながら、各種対策について一体となって取り組みを進めているところであります。
 具体的には、教会堂の秩序ある公開の仕組みづくりのため、教会堂への教会守りの配置や、見学時の事前連絡制度の試行などに取り組んでおります。
 また、シャトルバスの運行など二次交通アクセスの整備も含めた周遊ルートづくり、外国語対応を含むガイドの育成、案内板の多言語表記、宿泊施設の確保、Wi−Fi環境の整備など、引き続きそれぞれ課題解決に向けて官民一体となって取り組んでまいります。(トップへ戻る)
 
○議長 農林部長。
 
◎農林部長(加藤兼仁君)
 本県におけます農地中間管理事業の貸付実績と目標を下回った原因をどのように捉え、解決していこうと考えているのかとのお尋ねでございます。
 本県におきましては、公益財団法人長崎県農業振興公社を農地中間管理機構に指定するとともに、市町段階におきまして振興局、市町、農業委員会、JAで構成する推進チームを設置し、事業の周知、貸し出し希望農地のリスト化、受け手の公募への誘導、マッチング等に努めてまいりました。
 その結果、昨年度は、借り受け希望として1,575件、2,748ヘクタールの応募があり、貸し出し希望農地については1,860ヘクタールのリスト化を行い、3月末までに目標面積800ヘクタールの約7割に相当する555ヘクタールの貸し付け手続を完了したところでございます。
 しかしながら、貸し出し希望農地の中には、中山間地域の小規模農地など、現状では使い勝手の悪い農地も多く含まれ、借り受け希望者の要望に沿う農地が不足していることなどから、借り受け希望に対していまだ2割の貸し付けにとどまっております。
 そのため、まずは優良な貸し付け農地を確保する必要があることから、全ての市町において「人・農地プラン」にかかるアンケート調査を実施し、貸し出し意向を個別に把握することで、優良農地の掘り起こしとマッチングを行ってまいります。
 あわせて、現状で使い勝手の悪い農地については、狭地直しや進入路の整備などの簡易な基盤整備、放牧や直売所向け野菜の栽培を検討するとともに、まとまりのある遊休農地につきましては、基盤整備の実施などの条件整備を行い、農地中間管理事業における農地集積を一層推進してまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 
○議長 水産部長。
 
◎水産部長(熊谷徹君)
 県として、どのように養殖業の振興を図ろうとしておられるのかとのお尋ねですが、本県養殖業を地域の基幹産業として維持・発展させていくためには、需要に見合った生産を行うとともに、収益性の向上を図ることが何よりも重要であると認識しております。
 そのため、国が定めたガイドラインや県内関係者の申し合わせに基づき、生産者等に対して養殖尾数増大の抑制を指導し、経営の健全化を図っております。
 また、収益性の高い経営体を育成するため、協業化によるコスト削減や販路の拡大、新たな貝藻類養殖の導入による経営の多角化、高品質化の取り組み等への支援を行ってまいります。
 さらに、今年度からは、経営改善や新たな事業展開を目指す経営体に対して、関係機関が連携し、一歩踏み込んだ形で経営指導や改善計画の策定指導に取り組むとともに、必要な機器整備等も支援することとしております。
 これらを総合的に展開することにより、本県養殖業の振興を図ってまいります。(トップへ戻る)
 
○議長 総務部長。
 
◎総務部長(上田裕司君)
 県立大学佐世保校の建替えに伴う施設の充実及び建替えにかかるスケジュールについてどのように考えているのかというお尋ねでございます。
 施設の充実につきましては、大学法人としては、学部・学科再編による科目増に対応するための中・小教室及び演習室の増設や、課題解決型学習に対応するための特別教室、留学生との交流を図るためのグローバルカフェ機能を有した自習スペースの増設などが必要と考えており、現在、必要性や施設の内容について精査を行っているところであります。
 建替えスケジュールにつきましては、地質調査、基本設計、実施設計に2年、本体工事に3年から5年を要すると考えており、老朽化が進んでいることを踏まえれば、早期建替えが必要であるため、次年度に基本設計に着手できるよう検討を進めているところでございます。(トップへ戻る)
 
○議長 教育長。
 
◎教育委員会教育長(池松誠二君)
 主権者教育についての県教育委員会の今後の取組についてのお尋ねですが、現在、小中学校では、学習指導要領にのっとり、政治の働きや選挙の仕組み等について指導が行われております。
 今後は、公職選挙法の改正を踏まえ、子どもたちの身近な生活と結びつけて選挙権を行使することの重要性を指導するなど、主権者教育の一層の充実を図ってまいりたいと考えております。
 また、高等学校においては、全ての生徒が教科「公民」で政治参加の重要性等について学んでいるところですが、生徒の一部が有権者となることから、政治への参加意識や、国や地域の抱える課題を主体的に考え判断する力をより高めることが必要となります。
 そのため、国から配布予定の副教材の活用方法を含めた教員研修の充実を図るなど、生徒の有権者としての意識を高めるための指導力向上に努めてまいります。
 次に、長与北小の模擬選挙の取組の県内への普及についてのお尋ねでありますが、長与北小学校におきましては、模擬選挙だけでなく、自分たちが住む長与町が抱える課題を取り上げ、ふるさとの未来について考える学習が展開されたと聞いております。この学習は、子どもたちが政治や選挙を自分たちの生活に関わるものとして捉える上で大変有意義なものであったと考えております。
 県教育委員会としましては、この取り組みについて、町役場への聞き取り学習から模擬選挙に至るまでの一連の流れを、まずはホームページで紹介するとともに、市町教育委員会にも周知し、今後の指導のあり方について協議してまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 
○議長 選挙管理委員会委員長。
 
◎選挙管理委員会委員(松尾等君)
 模擬選挙を公教育の場に広げていくためのマニュアルづくりや、学校現場へシステム的に広く浸透させる取組などが検討されるべきではないかというお尋ねでございますが、今回の模擬選挙は、事前に投票所入場券を各家庭へ送付するとともに、授業参観形式で開催したことなどもあり、児童の選挙への関心の醸成に大きな成果を生み出しただけでなく、保護者、家族、地域住民への皆さんに大きな波及効果をもたらしたものと考えております。
 今回の模擬選挙は、県教育委員会の支援を受け、小学校が学習指導案を作成し、県選管が選挙制度の説明や投票に際しての進行シナリオ、さらには、事前学習を含めた一連の実施状況のDVDを作成するなど、県・市町選管と学校教育との連携モデル事業として実施をいたしました。
 今年度は、県北地域で同様の模擬選挙を実施する予定でおりますが、県選管の主催だけでは、今後の広がりにも限界があるため、先般、市町の選挙管理委員会委員長にDVDを視聴いただき、各市町選管での実施を推奨するとともに、DVDを県内全ての小中学校へ配布する準備を県教育委員会の協力を得て進めているところでございます。
 選挙管理委員会としましては、今回の取組を通して、一つのモデルを築いたところであり、今後も、県教育委員会と連携して多くの市町で主体的に取り組んでいただけるよう、積極的に働きかけてまいります。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 まず、いろいろ前向きなご答弁をいただきまして、ありがとうございます。
 それでは、地方創生について再質問をいたしたいと思います。
 国の方からは、地方の雇用創出ということで、30万人を一応5年の間にするということになっているんですけれども、その雇用を、30万人といったら、大体40ぐらいで割ると7,000人ぐらい、今まで社会減で行っていた6,000人を補うだけの、一つの県にくることができるのではないかと、そういうふうに私は思っております。
 その中でやはり企業の誘致、あるいは産業の振興を図っていってする部分が、どのようにやっていこうとしているのか、ちょっと見えないんですね。先ほど大学と、産学官との連携を取りながらということですけれども、企業誘致にしても、今回、佐世保地区の方ではウエストテクノということで、8割近くの企業が一応まいっております。また企業誘致を進めるためには工業団地の造成も必要になってくると思うんですけれども、県の方としてそこのところを、受け入れ体制をどのように5年の間にやっていこうと考えているのか、聞かせていただきたいと思います。(トップへ戻る)
 
○議長 知事。
 
◎知事(中村法道君)
 人口の社会的な減少に歯止めをかけるうえで、いかにして良質な雇用の場を確保・拡大していくかというのが非常に大きな課題となってまいります。
 そういった意味で、議員ご指摘のとおり、企業誘致というのは、これは一番効果の期待できる分野でありますので、これまでも力を注いでまいりましたけれども、これからもしっかりと取り組んでいかなければいけないと思っております。
 今日の企業誘致の大きな流れといたしましては、近年、特に、さまざまな災害リスクの回避という観点等を含めて、オフィスセンターの誘致が続いているところでありますので、そういった分野にさらに積極的な誘致活動を展開していかなければいけないと思っております。
 ただ、そのためには、受け皿となるオフィスビルフロアを確保する必要がありますし、また、製造業等についても、当然ながら工業団地等受け皿を整備していく必要がございます。
 そういったことから、さらに各関係市町とも連携をしながら、そういった受け皿づくりを含めて、積極的に検討を進めていかなければならないと考えているところでございます。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 わかりました。ただ、オフィスビルの関係ですけれども、地方としてそれぞれの市町がオフィスビルをつくっていただいて、それに企業を誘致したいというのは多くの地方が思っていると思うんですけれども、オフィスビル関係については県はどのように関わっていこうと考えているんですか。(トップへ戻る)

○議長 知事。

◎知事(中村法道君)
 まずは、オフィスといっても、県下全域で展開可能だと言うにはまだ時期尚早の感じがいたしております。どうしても優秀な人材を安定的に確保するということになると、それなりの周辺地域の人口の規模が求められてまいります。
 そういった中、オフィスビルについては、受け皿が不足する傾向になってまいっているものですから、民間企業が取り組むオフィスフロアの整備・開発等について新たな支援措置等も講じているところでございます。これは、当然ながら各市町が主体となって取り組まれる場合もありますし、また、民間企業で自ら取り組まれる場合等も念頭に置きながら、こういった支援措置を講じていくことといたしております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 今回、地方創生の部分をちょっと見せてもらったんですけれども、骨子案ではあるんですけれども、今までを見て、今までやってきていたことを書き出しているような、そういう感じがしたんですね。これは新しいものだというのが、長崎版だと、地方創生として社会減を止めるんだと、そういう長崎としての意気込みが私としてはちょっと、産業関係の中で見受けられないんですけれども、知事はこのことについて、やはりもうあと、9月までに議会で私たちに提案するんですけれども、そのことについて強い何かを持っているならば、考えをお尋ねしたいと思います。(トップへ戻る)
 
○議長 知事。
 
◎知事(中村法道君)
 確かに、議員ご指摘のとおり、これからいよいよ地域間競争が厳しい時代になってまいりますので、地方創生を進める上では長崎県らしい独自性、あるいは新規性のある施策を組み立てていく必要があるものと考えております。
 今回の骨子案では、総合戦略の基本的な目標や戦略の体系をお示ししたところでありますけれども、今後は、これらの施策体系の中でも、特に本県の優位性、豊富な海洋資源、あるいはアジアとの近接性、交流の歴史、全国有数の暮らしやすさといった、そういった本県の持つ強みを最大限に活かしながら、重点的に取り組むべき施策を組み立て、明らかにお示ししていかなければならないと考えております。
 現在、民間の有識者の方々にもご参加いただいて、懇話会を設け議論をいだいておりますけれども、積極的なご意見、ご提言もいただいておりますので、そういったご指摘の点も踏まえ、力強い戦略の策定に向けて、引き続き努力してまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 今回の基本施策のあれでは、一応3つの大きな柱として、「しごとを創り、育てる」、それから「ひとを創り、活かす」、それと「まちを創り、支えあう」ということなんですけれども、この3項目の中に小項目として出ている部分について、やはり長崎としての、これは長崎にだけしかないというものを創り出していただきたいなと私は思っております。
 特に、産業の振興について、今まであった施策しか私には見えてこないんですよね。だから、はっきりとした、なかなかそれは難しいことかもわかりませんけれど、知恵を出したところに国は金を出すと言っているわけですから、やはりほかにない知恵を、県の職員の皆さん方も本当にすばらしい頭脳を持った方々ばかりですので、ぜひ、一般の方々のいろいろな、民間の方々の意見を聞きながら、早急に長崎版としてのすばらしいものをつくっていただきたいと思っております。一応、これは要望しておきたいと思います。
 それから、3項目目の「まちを創り、支えあう」というその中ですけれども、1項目目の結婚・妊娠・出産から子育てまで一貫して支援するというこの部分があるんですけれども、これも今までやってきたことをこれからもやっていこうと、そういうふうにしか見えないんですね。私たちは、今、自然減を早急に止めなければ、長崎県としては本当に大変、衰退に陥っていくのではないかと思っておりますので、今こそ、この5年の間に、人口ビジョンでは2030年でしたか、2020年かまでに一応自然減を止めていこうというそういうあれになっていたのかなと思うんですけれども、その辺についてやはりもう少し大きな、この自然減を止めるための施策を県の方として考えていただきたいと思っております。いかがでしょうか。(トップへ戻る)
 
○議長 知事。
 
◎知事(中村法道君)
 少子化対策というのは非常に大きな課題でありまして、さまざまな観点から施策を総合的に推進していく必要があるものと考えているところであります。
 そういった中で、今、取り組めている事項、まだまだ取り組みが足りない事項、多分にあると思いますので、そういった個々の課題等について議論を深め、具体的な施策の中でお示しをしなければいけないと考えているところであります。これから具体的な中身を十分ご提案できるように、熟度を高めてまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 長崎県は出生率では全国で3位ということで、1.66か幾らかだったと思うんですが、それはわかるんですけれども、国よりかいち早く自然減少が、2001年度からもうはじまっているんですね。だから、長崎県は社会流出というよりか、自然減も多いんですよ。そこら辺がもう少し早めに解決していかなければいけない問題だと思っているんですね。そのためには、止めるためには出生率2.07が必要であるということを聞いております。そのことについて、やはりこの地方創生の中に早く盛り込んでいかなければ歯止めをすることができないし、まだまだ減っていくことになってくるんです。
 私としては、この総合戦略の中に、今回、2月定例会では、330万円を限度で第3子の方を一応無料で3年間引き上げると、そういう施策を県のほうから示されたんですけれども、それは可決しておりますけれども、この第3子だけを生み育てようとする、そういう人たちばかりではないと思うんですよ。1人おっても2人を生みたいし、2人おっても3人を生みたいと、経済が成り立てばと。3人おる人は4人を生みたいという方々がやはり私はいると思うんですね。だから、それをやっていくためには、やはり育児費が相当かかってくるんですよ。そのことについて、やはりある程度、国がということに、県のほうとしてはなるかもわかりませんけれども、今、この危機的な状況にある中では、やはり県が主体となってこれを打ち出していくことも必要ではないかと私は思うんです。そのためには、やはり保育料・幼稚園料の無償化をやっていただきたいし、また、子どもが増えてくることになれば、幼稚園・保育所の施設というのも充実させていかなければいけないんです。
 しかし、小学校とか中学校、高校は、今、少子化のために統廃合を余儀なくされてきているんですね。だから、それを早く止めていくためには、今の施設を活かしていくためには、この少子化というものを、自然減というものをここで断ち切っていかなければいけないと、これは早急な課題だと私は思っているんです。
 だから、ぜひ、この幼稚園の無償化、保育所の無償化等について、いま一度県の方で精査をしていただきたいし、これを実行していただければと私は思っていますが、知事の考え方をお尋ねいたします。(トップへ戻る)
 
○議長 知事。
 
◎知事(中村法道君)
 この少子化対策の一環として、先般、議員がお触れになられました第3子の保育料無償化についてもさまざまな議論を行ってまいりました。いわゆる経済的な負担を軽減することで子どもの数が増えていくかどうかということでありますけれども、これまでのさまざまな統計等によりますと、いわゆる400万円未満の所得階層の方々は、確かに、調査結果によると子どもの数が少ないというような傾向が見られるわけであります。しかしながら、それを超える所得階層の方々には、子どもの数と所得の状況との因果関係が見られませんでした。
 それともう一つ、他県で既に第2子、第3子の無償化を進めておられる先行事例等もあるわけでありますけれども、そういった事例等も精査をさせていただきましたけれども、なかなか具体的な成果というのが検証できるには至っておりません。
 そういったことから、まずは経済的な面でご苦労されて、なかなか子どもが生みにくいという方には、それは積極的にご支援をさせていただくべきであると考え、先ほどの第3子無償化の措置を講じたわけでありますけれども、したがって、これからそういった事業の状況をしっかり見極めながら、これからも引き続き検討してまいりたいと考えております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 一応幼稚園料とか保育料を無償化にすると、それぞれの市町からいただいた統計ということでございますけれども、130億円ぐらいかかるそうですね。だから、それを130億円かかるからもうできないではなくて、今、子育てというのを県全体でとか、国全体でやっていこうと、そういう動きになってきているんですね。だから、そのことを考える時に、私は県民に少しの負担はお願いをしてでも、この無料化について積極的に県の施策として立ち上げていただきたいと、このように思っているんですけれども、いかがでしょうか。
 
○議長 知事。
 
◎知事(中村法道君)
 まずはやはり十分な効果が期待できる施策、これを組み上げていくことが最優先課題であろうと思っております。その中で、何としても施策を推進する意義があるということであれば、その後、負担をどうするのか、国策として新たな支援施策を求めていく、あるいはご提案のように、県民の皆様方に新たな負担をお願いするという選択肢もあり得るだろうとは考えておりますが、まずは、今の現状を十分分析をして、どうすれば子どもを安心して生み増やしていただけるのか、そういったことをしっかり念頭に置き、施策を組み立てていかなければいけないと思っております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 無償化について、私の私見でございますけれども、やはりこれをやっていければ、なぜこれがいいかというと、百何十億円かかるお金を県民の皆さん方に負担してもらうかもわかりませんけれども、今度は、子どもを生むことによって経済効果が、新しく生まれた子どもたちにやはり生まれてくると思うんですよ。やはりいろいろと買い物をしなければなりません。この少子化というのが、やっぱり一番、経済の衰退につながっていくと私は思っていますので、ぜひ知事におかれては、このことについて皆さん方とよく検討していただいて、よりよい施策を地方創生の中に組み込んでいただきますように要望しておきたいと思っております。
 それから、西九州自動車道の整備促進について質問させていただきます。
 西九州自動車道は、やはり開通するごとに交通量が大変多くなってまいりまして、佐々松浦間がつながると、恐らくまだまだ混雑する可能性があるのではないかと思っております。
 そのようなことを考える時に、ぜひ西九州自動車道の4車線化を図っていただきたい。このことは、私は昨年の6月定例会で質問させていただきました。やはり相浦中里インターから佐世保大塔インターまではものすごく渋滞で、事故もものすごく頻繁に起きているんですね。だから、これを解消するためには、私はやはり4車線化が必要ではないかと思っております。
 特に、佐世保中央インターから大塔までは早くしなければいけませんけれども、相浦中里についても早急に4車線化を図っていかなければいけないと思っておりますが、このことについてどのような考えを持っているのか、お答えください。(トップへ戻る)
 
○議長 土木部長。
 
◎土木部長(浅野和広君)
 西九州自動車道の4車線化につきましてでございます。
 昨年度まで有料区間に限った要望を行ってまいりました。しかしながら、議員のご指摘のとおり、相浦中里インターから佐世保中央インター間につきましては、交通量、事故件数が多いなど4車線化の必要があるものと認識しております。
 このため、道路の延伸に伴い交通量が増加している状況も踏まえて、暫定2車線区間の全線の4車線化に内容を変更し、要望しております。
 また、通勤時間帯に渋滞が発生している相浦中里インターから佐世保大塔インター間につきましては、早期の着手を特にお願いしたところでございます。
 今後も引き続き、国や西日本高速道路株式会社に対し要望を行ってまいります。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 次に、世界遺産登録に向けた推進について質問いたします。
 教会群は、離島をはじめ県内に広域的に構成資産がございまして、例えば佐世保から平戸市、あるいは小値賀町へといった、また、長崎市から南島原市、五島列島など世界遺産効果を県内に幅広く波及させていただきたいと思いますし、そのためには2泊3日とか、3泊4日とか県内を広域的に周遊させるなどのモデルコースづくりが必要ではないかと思っておりますけれども、このことについてどのようにお考えか、聞かせていただきたいと思います。(トップへ戻る)
 
○議長 文化観光国際部長。
 
◎文化観光国際部長(松川久和君)
 広域的な周遊の促進につきましては、昨年、商品化されました五島列島のキリシタンクルーズ等を活用したモデルコースを含め、現在、12のコースを長崎観光ポータルサイト「ながさき旅ネット」において紹介し、発信しているところであります。
 また、新たに長崎地域、佐世保・平戸地域、島原半島地域、五島列島地域の4地域における個人や小グループ向けの公共交通機関を利用した標準的な旅行プランの策定に取り組むとともに、市町においても構成資産を中心とした、地域内を周遊する観光タクシーやシャトルバス運行等が検討されているところであります。
 県では、こうした旅行プランについて、旅行雑誌等を通じて広く情報発信するとともに、構成資産を有する市町のみならず、より広域的な周遊ができる旅行商品の造成を旅行会社に働きかけてまいります。
 今後とも、世界文化遺産効果を県内に幅広く波及させるための取り組みを市町及び民間とともに連携しながら積極的に推進してまいりたいと思っております。(トップへ戻る)
 
○議長 溝口議員−40番。
 
◆40番(溝口芙美雄君)
 石木ダムの推進についてですけれども、人口が減少しているからダムは要らないと言われております。しかし、私は水のないところに企業も人も集まらないと思うんです。だから、人口減少を止めるためにはぜひ水は必要でありまして、このことを考える時に、やはり知事には全国で今頻発している水害や渇水等も踏まえながら、裁決申請の準備をしている用地や、いまだ手続を保留している用地について、早急に準備を整え、手続を進めていただくことなど、今後とも一日も早いダムの完成に向けて全力で取り組んでいただきますように強く要望しておきます。
 終わります。(拍手)(トップへ戻る)
 
○議長 これより、しばらく休憩いたします。
 会議は、11時10分から再開いたします。
     −午前11時2分 休憩−