平成28年 2月 定例会 - 02月29日−03号
◆40番(溝口芙美雄君) (拍手)〔登壇〕皆さん、おはようございます。
自由民主党・活正の会の溝口芙美雄でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
それでは、順次質問をさせていただきます。
1、知事の基本姿勢について。
(1) 長崎県総合計画の初年度である平成28年度当初予算に対する知事の思いについて。
平成28年度当初予算案は、昨年度から4.6%増額した7,247億円が計上されておりますが、大変厳しい財政状況の中、全国に先んじて進行している人口減少問題や、少子・高齢化への対応など、本県が抱える構造的な課題に対して、国の地方創生交付金などを活用し、創意工夫しながら何とか歯止めをかけたいと思う知事の意気込みが感じられる予算であると考えております。
特に、来年度は「長崎県総合計画 チャレンジ2020」のスタートの年であることから、総合計画に掲げる5つの将来像の実現に向けて、これまでにない新たな視点を取り入れたさまざまな取組が事業化されております。
本県の喫緊の課題は、人口減少問題であると考えており、これまでのやり方では、人口流出に歯止めをかけるまでには至っておらず、毎年約1万人の県民の方々が他県へと流出しており、本県の人口は140万人を切る状況となっております。早急な解決策を講じなければ、状況は一層深刻化していくのではないかと強い懸念を感じております。
そのため、新しい総合計画を実践するための平成28年度当初予算に対する県民の期待は大きく、これまでとは違った新たな視点、新たな試みを取り入れられたことは大変重要なことと考えております。
知事におかれましては、平成28年度当初予算をどういった思いで編成されたのか、お尋ねいたします。
また、積極的な予算編成の一方で、財政調整のための基金残高は32億円となっており、将来の財政運営を考えると大変憂慮すべき状況ではないかと思います。
今後もますます施策の重点化や事業の選択と集中を図りながらの財政運営となるものと考えていますが、今後の財政運営についてどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
(2) 世界遺産登録について。
これまで県議会においては、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の早期登録実現を目指して、平成20年3月には「世界遺産登録推進特別委員会」を設置し、当時、私も委員長としてさまざまな観点から議論を尽くしてまいりました。
さらに、平成23年2月には、議会としても「教会群」が世界遺産に登録されるよう、県民と一体となって全力を尽くすことを決議するなど、登録に向けてさまざまな取り組みを行ってまいりました。
昨年1月にはユネスコへ推薦書が提出され、秋に行われた現地調査の際には、調査員に構成資産の保存状況や価値等について十分ご理解いただいたとの報道もあり、本年7月にはいよいよ世界遺産に登録されるものと県民も大きな期待を寄せておりました。
去る2月17日の県議会全員協議会においても、ユネスコへの推薦を一旦取り下げるに至った経緯について知事より報告があり、首長として判断せざるを得なかったことを含め、知事が熟慮の末、決断されたことがよくわかりましたが、県民の皆様方をはじめ、構成資産の所有者、関係県、市町等と一丸となって登録実現を目指してきた私どもといたしましては、今回の事態に戸惑いと落胆の念を禁じ得ることができない状況でございます。
中村知事におかれましては、今回の対応は「教会群」の最短かつ確実な登録に向けた前向きなものであると申しておられましたが、そうであるならば、我々県議会としても一枚岩となって、これまで以上に積極的に支援してまいりたいと考えておりますので、まずは世界遺産登録に向けた知事の決意をお聞かせいただきたいと思います。
また、あわせて、他の候補との競合がある中、「教会群」の国内推薦の見込みと今後のスケジュールについて、お尋ねいたします。
(3) 九州新幹線西九州ルートの推進について。
県民や沿線自治体がまちづくり等に取り組みながら、九州新幹線西九州ルートの一日も早い開業を待ち望んでいることは、もはや論を待たないところであります。
しかしながら、昨年12月に国土交通省は、フリーゲージトレインの技術開発や量産車の製造が遅延することを明らかにし、また、今月には全面開業が平成37年春以降に、3年遅れるとの報道も出ております。
この状況に県民や沿線自治体の戸惑いや懸念は払拭されておらず、今後の見通しをつけていく必要はますます高まっています。
県議会や関係各市議会としても、「九州新幹線西九州ルート(長崎ルート)の整備促進に関する意見書」を採択して国に提出し、完成・開業時期を「平成34年度から可能な限り前倒しする」という平成27年1月の政府・与党申し合わせの厳守や、その内容を実現するための具体的な対応策の早急な取りまとめ、地元関係者との調整等を強く求めたところです。
一方、県側ではどのような対応をとってきたのか。全面開業が3年遅れることに対し、今後どのような方針で対応していこうとしているのか、お尋ねいたします。
(4) 石木ダム建設推進について。
石木ダムは、川棚町における洪水被害の軽減と、佐世保市の水不足に対応するため、必要不可欠な事業であることから、昨年6月の定例県議会においても、早急に事業を進めていただきたいとの要望をいたしました。
県は、その後も工事を進めようと努めてこられたようですが、妨害禁止の仮処分の決定がなされていることにもかかわらず、事業に反対されている方々による妨害行為が継続されたため、思うように進捗が図られず、また、収用委員会についても、妨害によって審理自体が中止に追い込まれるという異常な状態が続いております。
一方、事業認定の取り消しや工事の差し止めを求める訴訟が起こされたとの報道もなされており、県としては、まずは既に司法の判断がされている仮処分に従ってくれと言いたいところでしょうが、現実的には妨害が止まらないため、対応に苦慮されているというのが率直なところではないでしょうか。
2、農林水産業の振興について。
(1) TPPを踏まえた予算の状況について。
環太平洋パートナーシップ協定(TPP協定)につきまして、昨年10月5日、米国アトランタ会合において大筋合意に至り、本年2月4日には、参加12カ国による協定書への署名がなされ、今後、各国での認証手続が進められると伺っております。
政府においては、昨年11月25日に「総合的なTPP関連政策大綱」を策定し、TPPの効果を真に我が国の経済再生、地方創生に直結させるために必要な政策、及びTPPの影響に関する国民の不安を払拭する政策の目標が示されたところであります。
この政策大綱に基づき、去る1月20日に成立した平成27年度補正予算において、次世代を担う経営感覚にすぐれた担い手の育成、国際競争力のある産地イノベーションの促進、畜産・酪農収益力強化総合プロジェクトの推進、持続的な収益性の高い操業体制への転換など、総額3,122億円のTPP関連対策費が計上され、施策の具体化が図られたところであります。
しかしながら、生産現場においては、まだまだTPPに対する不安や懸念の声も多く聞かれるところであります。
農林水産業は、本県における重要な基幹産業であり、経営者として心構えを持った農林漁業者の経営発展に向けた投資意欲を後押しするためには、早期での体質強化や生産基盤の整備を進め、攻めの農林水産業への転換を図っていく必要があるものと考えております。
そこで、県として、国のTPP対策予算を踏まえ、どのように取り組んでいこうと考えているのか、お尋ねいたします。
(2) 新規就農者、就漁者対策について。
新規就農者対策について、本県の販売農家数は、平成27年農林業センサスによると、2万1,313戸で、10年前の平成17年の2万8,544戸から、高齢化等により大きく減少しております。
また、基幹的農業従事者に占める65歳以上の比率も約6割を占めるなど、今後は各産地や地域の維持さえ危惧されるところとなっております。
このような中、新規就農者を確保することは、農業の担い手を確保するという面だけでなく、人口減少対策につながるなど、地域振興を図る上でも重要な課題であると考えますが、県としてどのように新規就農者対策に取り組んでいく考えなのか、お尋ねいたします。
新規就漁者対策について。
一方、本県の漁業就漁者数は、平成25年において約1万4,000人となっておりますが、ここ10年間で約3割減少し、加えて65歳以上の比率が約3割を占めるなど高齢化も進んでおります。また、新規就漁者は、年間150名程度確保されているようですが、漁業を取り巻く環境は厳しい状況が続いていることから、就業後間もなく離職する方が多いと聞いております。
このような中、漁業生産と地域の活力を維持していくためには、新規就漁者を確保・育成することが非常に重要であり、離島・半島を多く抱える本県にとって、地域振興や地方創生の観点からも力を入れて取り組むべき課題と考えますが、県としてどのような新規就漁者の確保及びその定着にどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
(3) 輸出拡大による養殖業の振興について。
本県の海面漁業は、水産資源の減少から生産量を減らしておりますが、養殖業は、平成20年の生産額246億円から、平成25年の279億円と順調な伸びをしています。これはマグロ養殖の振興などによるものが大きいと言われております。
国は、平成28年漁期の養殖生産量ガイドライン制定において、「日本の水産物消費量が減少傾向を続ける中、世界の水産物需要は増加傾向にあり、養殖業においては、安全・安心の確保、生産の効率化を進める努力とともに、海外市場等の新たな販路を開拓していくことが重要である」としているところであります。
今後、本県の養殖業のさらなる振興を考えると、養殖魚の輸出拡大を図ることが大切であると考えますが、県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
3、中小企業の振興対策について。
(1) 地場漁業・中小企業の育成振興について。
国内の景気は緩やかな回復基調にありますが、人口減少に伴う地域経済の縮小や海外との競合激化など、中小企業を取り巻く環境は厳しい状況にあります。
「中小企業白書」によれば、県内企業の99.9%が中小企業で、従業者の92.5%が中小企業で働いているとのことであります。県内産業の振興は、中小企業の振興と言っても過言ではありません。
地域の活力を維持・向上させ、県民が安心して暮らしていける長崎県をつくっていくためには、地場中小企業の育成・振興が第一であり、県におかれても、昨年4月から「長崎県中小企業・小規模企業の振興に関する条例」を施行され、中小企業振興の指針を示されたところであります。
また、今議会には、平成28年度から5年間の産業振興の基本的方向性を示す、新たな「ながさき産業振興プラン」も上程されておりますが、地場中小企業の育成・振興に向け、今後どのような視点に立ち、どのような取り組みを進めていこうとしているのか、お尋ねいたします。
(2) 競争力強化支援について。
本県の製造業振興は、地域経済を牽引する造船やプラント、産業機械関連などの、ものづくり中堅企業への支援を軸にこれまで進められてきました。
すなわち、ある程度の従業員の規模と売上高を持つ、力のある企業の技術力、営業力、製品開発力といった競争力の強化を支援し、県外、国外からの需要を取り込み、その仕事を県内の中小企業への受注につなげて波及効果を高める取り組みであり、現行の取り組みにおいては、製品開発に成功し、県外から受注を増やす企業が出てくるなど、一定の成果が上がっていると聞いております。
しかしながら、現在の製造業を取り巻く環境に目を向けると、人口減少による国内市場の縮小、生産年齢人口の減少による働き手の不足、また、本県特有の事情としては、基幹産業である製造業において、大手造船所の分社化や、それに伴う下請企業の受注環境の変化など、まさに本県製造業は時代の大きな転換点に立っております。
本県のものづくり企業がこの状況を乗り越え、持続的な発展、拡大をしていくためには、個々の企業の生産性や技術力の向上など、やはり競争力に磨きをかけ、生き残りを図っていくしか道はないのではないかと思います。
そこで、さらなる競争力の強化に向けて、県は今後どのような施策に取り組もうとしているのか、お尋ねいたします。
(3) 雇用対策について。
地場企業・中小企業の振興策によって企業が発展していくためには、実際に企業を発展へと動かしていく優秀な人材が必要であります。
県内の雇用情勢を見ますと、有効求人倍率は平成27年12月で1.01倍と、以前に比べるとかなり改善してきておりますが、一方で、企業側においては、製造業をはじめ人手不足感が強い状況にあります。
特に、本県の場合、貴重な働き手である若年者の県外転出が多いことから、県外就職者を県内に止める、また、県外に進学した若者等を呼び戻して、県内に定着させる必要があります。
そこで県としては、地場企業・中小企業が必要としている人材をどのように育成し、確保・定着を図っていくのか、お尋ねいたします。
4、土木行政について。
(1) 西九州自動車道の整備促進について。
西九州自動車道の整備促進について、昨年6月に一般質問したところ、伊万里松浦道路においては完成見込みについて答弁をいただきました。
一方、松浦佐々道路については、平成26年度に事業化されたばかりでありますが、知事説明によりますと、既に用地取得に着手されており、昨年から松浦市において地元説明会が行われていると聞いておりますが、目に見えた進捗はまだないようであります。
地域活性化のためには、早期完成が望まれていることから、伊万里松浦道路で松浦佐々道路の今後の事業展開並びにスケジュール等について、お尋ねいたします。
(2) 東彼杵道路について。
東彼杵道路は、東彼杵・県北地域住民にとりまして長年の懸案事項であり、県央・県南地域への最短の道路となり、連携が強化され、経済流通の活性化が図られ、地域振興、長崎県の発展につながっていくものと、地域住民の期待は大きいと思われます。
そのため、佐世保市など沿線自治体による「東彼杵道路建設促進期成会」を平成10年に立ち上げ、これまで早期整備に向けた活動が行われており、昨年は期成会に民間を加え、促進大会を行う活動も活発化しております。
このように地元の機運が高まる中、県としてどのように取り組んでいくのか、お尋ねいたします。
5、長崎県立大学について。
(1) 佐世保校の建替えについて。
私は、常々、大学は、そこに学ぶ学生だけのものではなく、地域のシンボル、さらに、地域の皆さんにとってステータスであり、学生が地域に集まり、生活することによって賑わいが生まれ、経済や地域の活性化に大いに役立つ重要な存在であると考えています。
このような中、地域に根差し、新たな大学を目指し、来る4月から学部学科再編後の体制がスタートすることは、地域活性に大きく寄与するものと期待しております。
ただし、肝心の佐世保校の校舎は昭和40年代初めに建てられたものであり、老朽化しているため、これまでも私は本会議において建て替えの必要性について何度となく質問をしてきました。厳しい財政状況もあり、なかなか具体的な答えを聞くことができませんでした。
そのような中にあっても、私は佐世保校の建て替えは、遅くとも、多くの学生や県民が集い、地域に親しまれる大学を目指した学部学科再編のスタートに合わせて着手すべきとの強い思いを持っております。
今回、平成28年度当初予算案において、県立大学佐世保校建設整備事業が計上されたことは、厳しい財政状況の中、学部学科再編のスタートに合わせて、念願であった佐世保校の建て替えに着手する決断をされたということであり、まさに時宜を得たもので、地元住民として大変ありがたいと思っています。
そこで、長年の懸案であった建て替えを今回決断するに至った知事の思いをお尋ねいたします。
あわせて、事業規模や今後のスケジュールはどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
(2) 学部学科再編について。
先日、県立大学の志願状況について、「近年で最も高倍率になり、学部学科再編が影響したと思われる」とのコメントが掲載された新聞報道がありましたが、学部学科のスタートにあたって、より多くの高校生に県立大学の魅力を理解してもらうため、どのような取り組みをしたのか、また、その結果として、平成28年度の県立大学の志願状況はどうなったのか、お尋ねいたします。
6、その他。
(1) (株)十八銀行と(株)ふくおかフィナンシャルグループ経営統合について。
@知事の所見並びに県内経済及び県の施策への影響について。
今月26日、十八銀行が、九州トップの地方銀行グループである、ふくおかフィナンシャルグループと来年4月に経営統合し、再来年の4月をめどに親和銀行と合併することについて基本合意がなされたとの発表がありました。
本県において十八銀行及び親和銀行の両行は、これまで長きにわたり地域密着型の銀行として切磋琢磨しながら地域経済及び県民生活を支えてこられました。2つの銀行が競い合いながら併存していることが、我々長崎県民にとっては、ある意味見慣れた風景であります。
今回、経営統合については、県内経済にマイナスの影響が出ないのか、不安も感じるところでありますが、業務の効率化や経営基盤の強化などによるプラスの効果が大きく見込まれると思っております。
そこで、今回の経営統合の発表を受けての知事の所見、また、県内経済や県の施策・事業への影響についてどのように考えておられるのか、お尋ねいたします。
再質問につきましては、対面演壇席から質問させていただきます。
ありがとうございました。(拍手)
◎知事(中村法道君) 〔登壇〕溝口議員のご質問にお答えいたします。
まず、平成28年度当初予算に対する思いについてのお尋ねでございます。
私は、これまで、1人当たり県民所得の低迷、人口減少や地域活力の低下といった本県が抱える構造的な課題に対して、改善に向けた道筋を明らかにしたいとの思いで、県民所得向上対策をはじめ、各種施策を積極的に講じてきたところであります。
この結果、有効求人倍率の回復、観光客数の拡大や企業誘致の推進など徐々に成果が見えはじめたところではありますが、これからが地方創生に向けて具体的な成果を示さなければならない正念場になってくるものと考えております。
このため、「長崎県総合計画 チャレンジ2020」のスタートとして、平成28年度当初予算については、これまでの施策のさらなる展開や新たな視点、発想を取り入れた施策の構築に力を注いできたところであります。
特に、観光関連産業の振興については、これまでの取組により、観光客数は大きく増加してきたことから、この機を逃すことなく、次なる施策として富裕層の取り込みをはじめ、付加価値を高め、観光消費額拡大につなげていくための施策を進めていかなければならないと考えております。
また、地域の産業を支える人材の育成については、長崎県産業人材育成産学官コンソーシアムの設置や、県内大学連携による産業人材育成や県内就職促進に向けた取組が新たにはじまったところであり、あわせて、各産業分野における産業人材育成戦略の構築や、次世代の経営者のための経営塾の開講などを進めてまいりたいと考えております。
さらに、好調なオフィス系企業の誘致を一層強化するため、県有地を活用した新たなオフィスビルの建設といった思い切った投資にも踏み込んでまいりたいと考えております。
地方創生を実現するためには、県だけではなく、県民の皆様、市町、民間団体等のあらゆる関係者の方々と一体となって施策を推進していく必要があります。
これらの事業を含めて、県民の総力を結集し、「長崎県総合計画 チャレンジ2020」並びに「まち・ひと・しごと創生総合戦略」に掲げた目標の実現を目指してまいりたいと考えております。
次に、今後の財政運営についてのお尋ねでありますが、本県では厳しい財政状況が続いており、これは九州各県と比較いたしましても、特に県税の伸び率が小さいこと、地方交付税の人口減少による影響、あるいは普通建設事業の規模を一定維持していることなどが要因と考えております。
これまでは財政健全化の取り組みを進めつつ、県民所得向上対策などの積極的な施策について、基金を活用することで対応してまいりましたが、基金残高も限界に達しており、今後は、基金取り崩しによらない財政運営に転換していく必要があると考えております。
そのため、今回の予算編成では、本年度から実施している「さらなる収支改善対策」に加え、新たな行財政改革による歳入・歳出の見直しにより、昨年策定した「中期財政見通し」と比べ、約10億円程度の基金取り崩し額の圧縮を行ったところであります。
今後とも、国予算の確保にしっかりと取り組みながら、限られた予算や人員等の行政資源を重点的、かつ効率的に投入するための「選択と集中」をさらに進めることで、地方創生に向けた力強い施策の展開と、今後、10年程度での基金規模400億円台回復の双方の実現に全力を傾注してまいります。
次に、「長崎の教会群」の世界遺産登録に向けた決意についてのお尋ねでございます。
「長崎の教会群」については、イコモスの中間報告が大変厳しいものであり、今年の世界遺産登録が見込めなくなったことから、最短かつ確実な登録を目指して、今回やむを得ず推薦を取り下げたものであります。
一方、イコモスは「教会群」に潜在的な価値を認め、速やかな再推薦がなされ、よい結果が得られるよう、助言と支援を行う用意があるともされております。
このため、既にイコモスとも具体的な調整をはじめており、今後は本格的なアドバイスを受けながら、推薦書を再構築の上、平成30年の世界遺産登録に向けて、不退転の決意で取り組んでまいります。
改めて、所有者や信者の皆様方のご理解と、本県選出国会議員の皆様、県議会並びに県民の皆様方のご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げます。
次に、九州新幹線西九州ルートの推進についてのお尋ねでございます。
フリーゲージトレインの技術開発と量産車の製造が遅延することが明らかになったことを受け、与党整備新幹線建設推進プロジェクトチームに「九州新幹線(西九州ルート)検討委員会」が設置され、開業のあり方についてご議論いただいており、3月中に方向性が示されることとなっております。
また、先般、国土交通省が提出した資料では、フリーゲージトレインの量産車の投入が平成36年度末になるとの見通しが示されたところであります。
去る2月10日には、当検討委員会において、本県の意見聴取が行われましたが、私からは、開業が遅れたり、開業時期が不明確な状態では、沿線市の新幹線駅周辺のまちづくりをはじめ、平成34年度までの開業を見据えて進められている事業が大きな影響を受けることなどを訴え、開業時期を「平成34年度から可能な限り前倒しする」という政府・与党申し合わせの厳守や、その内容を実現するための具体的な対応策の早急な取りまとめ、地元関係者との調整等をお願いしたところであります。
本県としては、引き続き早期開業の実現を目指してまいりますとともに、開業についての具体案が示されれば、関係者の皆様と十分に協議してまいりたいと考えております。
次に、石木ダム建設推進についてのお尋ねでございます。
石木ダムの建設は、川棚川の抜本的な治水対策、並びに佐世保市の慢性的な水不足解消のために必要不可欠な事業であります。
このため、事業に反対する方々による妨害行為が依然として続いておりますが、準備が整い次第、残る用地の裁決を申請することとしており、工事についても、付け替え県道工事の契約を新たに締結するなど、事業の進捗に努めているところであります。
県民の安全・安心な生活を守るため、いつでも起こり得る洪水や渇水に備え、また、県北地域の発展のためにも、ダムは早期に完成させなければならないと考えており、今後とも、佐世保市及び川棚町と一体となって事業の推進に全力を尽くしてまいります。
次に、県立大学佐世保校の建て替えについてのお尋ねでございます。
県立大学佐世保校の建て替えについては、施設の老朽化等が進み、なるべく早い時期に着手したいと考えておりましたが、厳しい財政状況に加え、建て替えの前提となる学部学科再編の検討に時間を要し、今日に至ったところであります。
学部学科再編については、昨年4月に国に届出を行い、いよいよ本年4月には新たな学部学科としてスタートを切ることとなりました。
また、昨年3月には、学部学科再編に対応した新たな機能を盛り込んだ「佐世保校キャンパス整備基本構想」も策定され、大学側の建て替えに関する環境も整ったところであります。
県といたしましては、厳しい財政状況にはありますが、県立大学は、今後、地方創生を進める上で、地域を支える人材の育成という重要な役割を果たしていかなければならないと考えており、そのためにも学部学科再編の効果を高めていけるよう、今回、佐世保校の建て替えに着手することとしたところであります。
次に、十八銀行とふくおかフィナンシャルグループとの経営統合についてのお尋ねでございます。
今回の経営統合は、人口の減少などから経営環境が厳しさを増し、全国で地方銀行の再編が一つの流れとなる中、中長期的な観点から、経営の効率化と経営基盤の強化を図り、地域金融機関としての役割をより一層果たしていこうと考えられた結果ではないかと考えております。
県内経済への影響については、今回の経営統合により、国内最大の地銀グループが生まれることとなりますので、グループの総合力を発揮され、本県地域経済の活性化、県内企業の発展に対して、より積極的な支援をいただけるのではないかと期待をしているところであります。
今後、経営の効率化が進められていくものと考えておりますが、それによって余裕が生じた経営資源については、成長分野や成長地域へ積極的に投入していきたいとのお考えであり、これまで以上に地域密着型の金融機関として、地域の発展に貢献していただけるものと考えております。
また、本県の施策への影響については、例えばグループにおける国内外のネットワークを活かした県内企業と県外企業とのビジネスマッチングや、海外展開支援などの点で施策を展開する際の可能性が広がると考えており、これまで以上に連携を強めながら、各種事業を展開してまいりたいと考えているところであります。
残余のお尋ねにつきましては、関係部局長からお答えをさせていただきます。
◎文化観光国際部長(松川久和君) 「長崎の教会群」の国内推薦の見込みと今後のスケジュールについてでございますが、来年度の国内推薦を得るためには、本年3月末までに推薦書素案を国へ提出しなければなりませんが、「長崎の教会群」については、これまでの推薦書作成における調査、研究を有効に活用するとともに、イコモスからのアドバイスを受けることで、より熟度の高い推薦書とし、本年7月の文化審議会において国内推薦を確実なものにしたいと考えております。
国内候補として選ばれますと、来年1月にはユネスコへ推薦書が提出され、同年秋にはイコモスの現地調査が実施され、平成30年5月ごろのイコモス勧告を経て、7月ごろの世界遺産委員会において登録の可否が決定されることになります。
◎農林部長(加藤兼仁君) 国のTPP対策予算を踏まえた県の対応についてのご質問でございます。
TPPに関しましては、生産現場における不安や懸念の声を踏まえまして、これまで関係団体等と連携し、国に対し体質強化対策、中山間地域等への対応や関連予算の十分な確保等について強く要望してまいりました。
あわせて、今回の国の補正予算に対応し、農林業の体質強化を図るため、2月補正予算として農業農村基盤整備事業など総額約28億円、当初予算として生産施設整備を進めるための産地総合整備事業や畜産クラスター構築事業など総額約40億円の予算を計上しております。
今後とも、TPPという厳しい環境の中にあっても、離島や中山間地域を含め本県農業者の皆様が意欲を持って経営を続けられるよう、必要な国の対策予算の確保に努めますとともに、不足する対応についても、国に対してしっかり求め、生産者、関係団体等と一体となって、本県農林業の構造改革を進めてまいります。
次に、本県の新規就農者確保対策についてのお尋ねでございます。
新規就農者確保のためには、農業でもうかる姿をしっかりつくり、示すことが重要であります。
このため、これまで農協等関係団体と一体となって産地計画を推進し、生産拡大を図ってきたところであり、今後は、さらに品目別戦略の再構築と農地集積、規模拡大による雇用型経営体の育成等にも取り組み、農業所得の向上を図ることとしております。
これをもとにしまして、まずは新規就農者の7割を親元就農が占めますことから、農家子弟の多い農業高校生等に対し、産地の生産部会でのインターンシップや地元の農協、企業等との就農相談会等を実施することで、後継者を地域にとどめ、就農を促進したいと考えております。
あわせて、広く就農希望者を呼び込み、産地の維持拡大を図るための受け入れ団体等登録制度の充実強化、就農時の初期負担の軽減、就農後のフォローアップ等により、就農準備から定着まで切れ目なく支援し、新規就農者、就業者の倍増を目指してまいりたいと考えております。
◎水産部長(熊谷徹君) 私から3点、お答えさせていただきます。
まず、TPP対策に関してのお尋ねでございますが、国は、水産業の競争力強化対策として、共同利用施設の整備や漁船リース、漁業用機器の導入などに支援をすることとしており、県といたしましては、各地域における競争力強化の具体的なプラン策定を早急に進め、国の支援を積極的に取り組んでいくこととしております。
また、国はTPP対策のもう一つの柱として、水産物の輸出拡大を掲げており、平成27年度2月補正予算においては、長崎漁港の高度衛生管理対策として約6億円を計上しております。
TPPという新たな環境の中において、本県漁業者の皆様が意欲を持って漁業経営を続けられるよう、国の対策予算を積極的に活用しつつ、競争力強化や輸出拡大に取り組んでまいります。
次に、新規就漁者対策のお尋ねでございます。
来年度、市町、漁協、漁協系統団体等と連携し、「ながさき漁業伝習所」を設置し、国の支援制度も取り入れた総合的な就業対策を展開することとしております。
具体的には、UIターン者等に対する浜の魅力の積極的な情報発信や、基礎的な知識や技術を学ぶ場を提供するとともに、県内高校生等に対する体験研修の拡充による漁業への就業促進、漁家子弟等に対する技術習得期間中の生活費の支援を行ってまいります。
さらに、就業後についても、初期投資軽減のためのリース漁船取得、定着促進研修や経営指導などを実施し、それぞれの段階に応じた支援の充実を図り、就業者の確保と定着に努めてまいります。
次に、養殖魚の輸出拡大についてのお尋ねでございます。
養殖魚の海外輸出を拡大するためには、「海外のニーズに対応した魚づくり」、「まとまった数量を安定供給できる生産体制づくり」、「衛生管理の徹底」などが求められております。
そのため、県では輸出拡大に向けた情報収集や関係者への提供に努めるとともに、脂質が高いなど海外の志向に応じた魚づくりや協業化による生産・供給体制づくりについて、養殖業者と協議を進めております。
また、欧米等の輸出に際して必要な加工施設のHACCP取得が進むよう、関係者に対する研修会の開催や施設整備に向けた指導・支援を行っているところでございます。
このような取り組みを通じて、輸出の拡大と養殖業の振興に努めてまいります。
◎産業労働部長(松尾英紀君) 私の方から3点、お答えさせていただきます。
まず、地場・中小企業の育成振興に向けての今後の視点と取組についてのお尋ねでございますが、今議会に議案として提出しております「ながさき産業振興プラン」では、「生産性、競争力を高める」、「新たな需要を発掘、創出する」、「働く場を創る、改善する」、「有能な人材を育成、獲得する」の4つの基本方針のもと、本県の製造業、サービス産業の付加価値の向上を図っていくこととしております。
地場・中小企業向けの取組としましては、ものづくり企業の競争力強化や、食料品製造業の高付加価値化、アジア諸国へのビジネス拡大や宿泊業の生産性向上などを進めてまいります。
また、産業人材の育成・確保や働きやすい職場環境づくりにも取り組んでまいります。
さらに、海洋エネルギー産業の拠点形成をはじめ、センサー関連産業の集積、サービス産業の振興など、6つの重点推進プロジェクトにも注力しながら、本県産業の振興へ向け、各種施策を積極的に推進してまいります。
次に、ものづくり企業の競争力強化についてのお尋ねでございますが、本県では、中堅企業の支援により、県外需要を獲得し、これを県内企業に広げていくことで波及効果を最大化することを基本的な考え方として製造業を支援してまいりました。
新年度からは、この考え方を踏まえつつ、新たに企業の事業拡大や技術面から支援する専門家の配置や、国のプロジェクトの獲得支援に向けた産業振興財団の体制強化を図るとともに、提案型補助制度の創設や県と財団職員の連携による外部資金獲得支援などに取り組んでまいります。
さらに、県工業連合会による競争力強化の取組や共同受発注システム構築支援など、戦略的な施策を積極的に展開し、本県製造業の競争力の底上げを図ってまいります。
最後に、地場企業、中小企業の必要としている人材の育成、確保・定着についてのお尋ねでございますが、まず、県内企業の成長に必要な人材を育成するために、「産業人材育成戦略」を策定するとともに、大学を活用した「経営人材育成塾」の開講や、社員の方を大学院等に派遣する企業への支援などを実施してまいります。
と同時に、県外に流出している人材を県内にとどめるため、「県内就職支援サイト」を来月立ち上げ、積極的に情報発信していくほか、県内高校へのキャリアサポートスタッフを配置するなど、県内就職促進に努めてまいります。
また、県内企業が求めますプロフェッショナル人材の採用を支援するほか、大学生の奨学金返還を支援するための基金を新たに創設するなど、人材の育成と確保・定着の両面から取り組みを進めてまいります。
◎土木部長(浅野和広君) 私から2点、お答えさせていただきます。
まず、西九州自動車道の進捗状況でございます。
伊万里松浦道路につきましては、既に今福インターから松浦インター間の全線にわたって主要な構造物の工事が発注されており、平成30年度までの完成供用に向け、確実な事業の進捗が図られております。
また、松浦佐々道路につきましては、全線で調査、設計が進められており、特に松浦インターから平戸〜江迎〜御厨インター間におきましては設計を終え、事業化2年目にして松浦インター付近の用地取得に着手されております。
県といたしましては、今後とも関係市町と協力して用地取得を積極的に支援するなど、この道路の整備促進に努めてまいります。
次に、東彼杵道路の取組でございます。
東彼杵道路は、県北地域と県央地域を最短で結ぶ重要な路線でありますが、事業化に向けては計画段階評価への着手が必要であります。
このため、これまでに現道の問題点や課題を把握する調査を行ってきており、現在、計画段階評価の前提となる整備のあり方や効果について関係市町と検討を行っております。
今後も関係市町と協力し、計画段階評価への早期着手に向けた取組を積極的に進めてまいりたいと考えております。
◎総務部長(上田裕司君) 佐世保校建て替えについて、2点お答えいたします。
まず、建て替えの規模及びスケジュールについてでございます。
「佐世保校キャンパス整備基本構想」では、現在の老朽化しました5棟につきまして、中低層の5棟に建て替えする案が望ましいとされておりまして、事業費は最大65億円が見込まれているところであります。この規模につきましては、今後精査をしていくこととしております。
また、スケジュールにつきましては、来年度は、これらの精査、検討とあわせまして、敷地測量調査を行った後、基本設計に着手したいと考えております。
全体としましては、調査・設計に3年弱、その後の建設工事につきましては、現在地における授業と並行した、順次建て替えということもあり、財政状況を踏まえますと、6年程度と見込んでいるところであります。
次に、県立大学の魅力発信についての取り組みと志願状況についてであります。
今回の募集は再編スタートのはじめての時でありますために、今回の再編の目的並びに具体的な教育内容の特色につきまして、大学広報誌、進学情報誌、新聞、テレビ、あるいは100校を超える高校訪問などにより精力的に発信してまいりました。
その結果、平成28年度一般入試の志願状況は、過去6年で最高となります志願者2,925名、志願倍率は、前年度比2.2ポイント増の6.3倍となったところであります。
今後も、魅力発信に努めてまいります。
◆40番(溝口芙美雄君) まずはじめに、世界遺産登録について質問したいんですけれども、ただいま知事から回答いただきましたけれども、詳しいことはイコモスから直接指導を受けなければわからないということですが、今回のイコモスの指摘は、先ほど言われていましたように、「禁教・潜伏期」に焦点を当てて推薦内容を見直す必要があるということの回答じゃなかったかなと思っているんですけれども、それであるならば、今まで証拠になる資料等物証と、また、「禁教・潜伏期」に詳しい人材が必要となってくるんじゃないかと思うんですけれども、県は関係する市町、または専門的に研究している民間を含め、新たな組織を設置した方がいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺について知事の所見を聞かせてください。
◎文化観光国際部長(松川久和君) より広域的、多角的な視点から民間を含めた新たな組織を設置したらいかがかというご意見でございますが、そのようなことも当然考えられるわけでございますが、ただ、来年度の国内推薦という時間的制約の中にありましては、なかなか実現が難しい面もございます。
中間報告以降、県としましては、既に関係市町において地域の新たな物証の洗い出しに取り組んでいただいており、また、文化庁からも調査官がまいりまして、県も現地調査を一緒に実施したところでございます。
教会につきましては、これまで積み重ねてきた調査・研究の実績がありますので、これらに基づき、国内専門家からなる学術会議において議論を深めてまいりましたが、今後は、中間報告において示された「禁教・潜伏期」に焦点を当てた形で精査、検討を行うということになってまいります。
イコモスの対話との中で、どうしても不足する知見があるということであれば、ぜひ県内外の有識者の助言を求めてまいりたいと考えているところでございます。
◆40番(溝口芙美雄君) 今回、世界遺産に登録ができなかったということは、先ほど言われた「禁教・潜伏期」のことが詳しくないということですから、今までの学術的な専門家といっても、そこら辺についての詳しい方はいるのか、いないのか、そこら辺がちょっとわからないんですけれども、やはり新しい視点から考えていかないと、今回もまた、推薦に国が取り上げてくれるか、くれないかわからないんじゃないですか。そこら辺についての考え方はいかがですか。
◎文化観光国際部長(松川久和君) 現在の県としての計画がございますが、イコモスの指摘は、今回の世界文化遺産、「長崎の教会群」の潜在的価値を認めておりまして、その中で、今までは「伝来・繁栄期」、そして「弾圧・潜伏期」、そして「解禁後の復活期」と、この3つのステージのストーリーでまいっておりますが、これを禁教期、弾圧期を中心に14の構成資産を関連づけるべきであるということでございますので、今までのメンバーでの調査・研究、これが決して損なわれるものではございません。ただ、その構成、再構築をせよということでございますので、今、それに向けて作業を進めておるところでございます。
◆40番(溝口芙美雄君) そこら辺の、世界遺産についてあまりにも考え方が少し甘くないかなという気が私はするんですけれども、教会とほかに14の施設を一応世界遺産登録ということにしているんですけれども、「禁教・潜伏期」につながっていかないと、それが世界遺産にならないんじゃないかと思うんですけれども、やはりそれぞれの土地に詳しい方がいると思うんですよ。だから、そういう方々の意見を聞かずに、学術的な問題だけでやっていくというのは、また世界遺産にならないんじゃないかと、そういう気が私はしてならないんですけれども、その辺について真剣に、やはり民間の方々の意見を取り入れることを考えていただきたいと思いますが、いかがですか。
◎文化観光国際部長(松川久和君) 各地域、各市町にはそれぞれ学芸員、研究している方がいらっしゃいますし、溝口議員のおっしゃるとおり、民間の方々、ほかの方々のご意見も賜ってまいりたいというふうに考えているところでございます。
◆40番(溝口芙美雄君) ぜひ、今回は失敗がないように、イコモスからの意見を聞いてということになりますけれども、イコモスが言っていることが、もしかしたら、私たちが考えている以上のことを考えているかもわからないんですよ。だから、そこら辺についてしっかりと研究して、今回は絶対に世界遺産にするように努力をしていただきたいと思っております。よろしくお願いいたします。
それから、九州新幹線西九州ルートの推進についてですけれども、今回、リレー方式ではいかがかという話が出たんですけれども、その中にあって、知事の方としては、この間のコメントの中でも一応出ていたんですけれども、佐賀県から地元負担などが解決できれば、2022年開業も検討できるのではないかという考えですけれども、それでは、佐賀県とどのような協議を持ちながら、長崎県として積極的に取り組もうとしているのか、お尋ねいたします。
◎知事(中村法道君) 西九州ルートの開業形態につきましては、まだ国土交通省側から対応策の提案をいただいていないところでありますけれども、フリーゲージトレインの量産車の開発・製造が遅れる中で、先般、JR九州から提案されたリレー方式による開業、これは一つの現実的な選択肢ではなかろうかと考えているところであります。
これまで佐賀県では、「関西・中国方面からの流入効果を得るためにはフリーゲージトレインが必要であり、そのためには開業時期にこだわらない」という考え方を示されていたところでありますけれども、このほど「長崎県側の事情等も考慮すると、地元負担等の諸課題が解決できれば、フリーゲージトレインの量産車がそろう本格開業より前に開業させることを検討、議論できるのではないか」との話も出ていると伺っているところであり、これは大変ありがたいことであると考えております。
今後、具体的に国から開業についての案が示されるものと考えておりまして、これを受けて佐賀県ともしっかりと協議してまいりたいと考えているところであります。
なお、このリレー方式を採用することに伴いまして、別途費用が発生するということも想定されているわけでありますけれども、あくまでも初期の整備効果が十分に発揮されない状況での暫定的な開業形態という形になってまいりますので、こうした追加費用の問題等については、何とか国の方で負担いただけないものかと考えているところであります。
◆40番(溝口芙美雄君) 国からどういうふうな方式でするかというのがまだ出てないということですけれども、長崎県としての考え方は、まずリレー方式でやっていかないといけないという、そういう強い望みはないんですかね。だから、その辺について国にしっかりとこちらの方の考え方を言って、そして佐賀県と交渉していく必要があるんじゃないかと思うんですけれども、その辺については、知事、どのように考えておられますか。
◎知事(中村法道君) 先ほどもお答えいたしましたように、検討委員会において意見聴取の場をちょうだいしたわけでありますけれども、地元におけるさまざまな事情等をご説明申し上げ、平成34年度からできる限り早い時期に開業していただく、そのことが必要不可欠であるというお願いは強くさせていただいたところであります。
ただ、開業の一つの形態として、現実的にはリレー方式くらいしか考えが及ばないところでありますけれども、そうした基本的な開業のあり方については、これは国の方から改めて地元に対して相談があるものと考えているところであります。
◆40番(溝口芙美雄君) わかりました。国からのいろいろな方針を待ってということのように聞こえるんですけれども、私は積極的にリレー方式をお願いしていった方がいいんじゃないかと思うんですけれども、その辺については、今後、検討いただきたいと思っております。
それから、西九州自動車道の整備促進についてですけれども、西九州自動車道の佐々から武雄間については、4車線で計画されているものの、暫定的に2車線で供用されていると聞いております。
そのような中、特に相浦中里インターから大塔インターまでの間については、現在、2車線での計画交通量を大幅にオーバーするとともに、4車線に匹敵するぐらいの、それを超えるぐらいの交通量が今あっているとも聞いております。朝夕の通勤時間におきましては、中心的に、本当に混雑が発生して、事故も多発していると聞いておりますので、計画で4車線であるならば、暫定的に2車線で供用しているのであれば、本来の4車線にすべきと考えておりますが、県としてどのように考えているのか、お尋ねいたします。
◎土木部長(浅野和広君) 西九州自動車道の4車線化についてでございますが、今、議員ご指摘のとおり、相浦中里インターから佐世保大塔インター間につきましては、交通量とか、事故の件数が多いということで、県としても課題があると、問題があるというふうに認識いたしております。
このため、県といたしましては、国や西日本高速道路株式会社に対し、4車線化の要望について行っており、今後とも関係市町とともに早期の整備を要望していくところでございます。
◆40番(溝口芙美雄君) 要望するのも力強く、ここを早くしてやれというその要望と、ただ要望していくだけとはちょっと違いますので、それは強く訴えているんですかね。
◎土木部長(浅野和広君) はい。十分、これは必要だということで、何度となく知事を含めて国の方へ要望しているというところでございます。
◆40番(溝口芙美雄君) 今、工事が、長崎県としては高規格道路等の整備がずっと行われているんですけれども、今の西九州自動車道の佐々−松浦間を早くという形になるかもわかりませんけれども、そこがなったら、まだ混雑することになるんですよね、交通量は。だから、それに合わせて4車線化していかないと、もう事故が多発してくるんじゃないかと思うんですけれども、(発言する者あり)その辺についてしっかりと訴えていってほしいと思っております。
最後にもう一つ、力強い答弁をいただきます。よろしくお願いします。(発言する者あり)
◎知事(中村法道君) 西九州自動車道については、未開通区間の整備促進に合わせて、この通過交通量も2万5,000台を超えるという状況を強く訴えて、早期4車線化については、何度もたび重ねて要請を行っているところでございます。
今後とも、そういった姿勢で臨んでまいりたいと考えているところであります。(発言する者あり)
◆40番(溝口芙美雄君) 終わります。