平成28年  2月定例会 農水経済委員会 - 03月09日−05号

【水産部 漁協に関する資料についての質問。】
◆溝口委員 前にもちょっと言ったんですけど、養殖業の目指す姿のV、「赤潮・魚病被害の対策や安全安心な生産物の供給体制の確立」というところです。
 赤潮対策については一応やっていこうということですけれども、今、海底の漁場環境が悪化してきているんじゃないかと思うんです。もうずっと何年も使っておりますので、特にトラフグ等の漁場環境が悪くなって、かなり病気になって死んできているんですけれども、その辺の対策を、その中にもう一つ盛り込めないかという気がするんですけれども、その辺についての考え方はいかがですか。
◎柳村水産振興課長 溝口委員がおっしゃったように、赤潮ばかりではなく、長年養殖を続けた地域においては底質が一部汚れているところも見受けられます。現在は、例えば市の単独事業等で底質改良剤をまく取組も行われておりますが、県の施策ではそういう取組を行っておりません。
 県としましては、現実論として養殖業者を対象とした学習会等を総合水試等も入れて開催いたしまして、底質改良の特性、効果的な散布の方法、こういう実態論的なところからまずは取り組ませていただきたいと思っております。
 それから、他県等でもいろんな取組が行われているようですので、このあたりも総合水試を通じて調査、研究を行いまして、本県への導入の可能性等について検討したいと考えております。
◆溝口委員 これは5カ年計画でしょう。そうしたら、5カ年計画の中に主要な取組として入れていかないと真剣に取り組まないんじゃないかという気がするわけです。1項もここに増やすことはできないですか、底質環境の整備対策とかという形で。そこら辺については検討しなかったんですか。
◎柳村水産振興課長 底質悪化は、一般的にどの漁場でもということではないかと思います。例えば対馬とか五島では、底質の悪化によって漁場環境が悪くなったとは、漁協調査でも漁業者からも聞いておりません。したがいまして、ある一定地域でこういうものがあるのかなというふうに我々は認識しております。
 ですので、そういう検討もいたしましたけれども、大きな項目として入らないといいますか、読み込める部分としては、本編の53ページを見ていただければと思いますが、大きな項目に底質改良そのものを書いているわけではございませんけれども、赤潮や有害生物の対策、沿岸環境の保全というところで読み込みをしていきたいと考えております。ここの漁業者、水産生物にとって良好な沿岸漁業づくりというところ、一般論も含めていますけれども、こういうところで読み込みをしていきたいと考えております。
◆溝口委員 それは全体的な漁場環境の整備という形だから、私としては、養殖業の底質環境について、もう少し真剣に扱っていただきたいと思うんです。
 五島とかの広い海は大丈夫かもわかりませんけれども、トラフグ等は今でも内海のほうでやっているわけですから、その辺の改良を県が本格的に考えて漁協と一緒になってやっていかないといけないと思うんですよ。養殖業者だけでせよと言っても、それは無理じゃないかなと私は思っているんです。今後5カ年の計画ですから、それを盛り込んでいくことは必要じゃないかと思うんです。
 水産部長は国から来ていますので、国の方針としてどういう形になってきているのかわかりませんけれども、その辺についての考え方を聞かせていただきたいと思います。
◎熊谷水産部長 養殖場における漁場環境の改善は非常に重要な要素でございまして、持続的養殖生産確保法が平成12年ごろだと思いますが制定されまして、その後、地域ごとに漁場改善計画をつくりながら一定の基準の中におさまるようにしっかりと漁場環境を改善していくということが一つの方向性として示されております。各地域でそういった計画を策定しておりますので、引き続き、それをベースにしっかりと取り組んでいきたいと思います。
 今回、私どももさまざまなところで養殖業者の方々と議論をしてきました。地域ごと、それから養殖業者単独の意見交換会を私も直接させていただきました。そういった中で重点的に私どもに言われたのは、餌の価格の問題とか、魚価の問題でございます。
 こういった問題につきましても私どもとしては、今の委員のご指摘もございますので、関係する養殖業者なり漁協の方々としっかり意見交換して、本当に何ができるか、どうしていくかということをしっかり議論する場を一度設けたいと思っております。その上で具体的な行動計画を、この計画とはちょっと外れるかもしれませんが、何らかの形でしっかりと取り組む体制はとっていきたいと考えております。
 
 
◆溝口委員 昨日、中村委員から、まき網等の人手不足という話が出たんです。中・小型まき網の方々も、私の耳に入ったところでは人手不足になっているという話でした。発展途上国の海外の人たちを雇い入れてもいいのではないかという話も出ていたんですけれども、その辺について、水産部には何か話があっていますでしょうか。
◎五島資源管理課長 委員がおっしゃいますように、中・小型まき網についても人手不足という話を伺っておりまして、その中で一部の経営者の方からは、外国人の漁業研修制度を利用して外国人の雇用が考えられないかというようなお話は伺っております。
◆溝口委員 漁業体験研修をお願いされたということであれば、県の水産部としてどのような検討をしたのか、お尋ねします。
◎五島資源管理課長 現在、県のまき網漁業協同組合に、その実態、経営者の皆さん方のお考え、そういうものの整理をしていただくということ。それから、漁業研修制度を導入している事例が愛媛県にございますので、その県庁と、どういうふうなことがあったかという事例の把握、聞き取りをやっております。
 先行してやった愛媛県では、いろんな問題点があるようでございまして、単純に外国人労働者で経費が削減できるという問題だけでもないと。いろんな問題がありますので、その辺も県まき組合と、今後いろいろ調査、検討をしていこうとお話をしているところでございます。
◆溝口委員 ぜひ県も、県まき組合と一緒になって、外国人の雇い入れについてどのような対策ができるかということを考えていただきたいと思っております。一応、要望しておきたいと思います。(「関連」と呼ぶ者あり)
◆中村委員 今、溝口委員からあった雇用対策ですけど、これはぜひやっていただきたいと思います。船員の確保をですね。
 外国人労働者の雇用に対しても十分力を入れていくということですけれども、一つ難点は言葉の違い。言葉の違いが一番の難点なんです。先輩たちがいろんなことを教えようと思っても、言葉がネックになって通じない部分があるわけです。
 通訳はどういうふうな考えを持っておられますか。
◎五島資源管理課長 先ほど、先行してやっている愛媛県のお話をしましたけれども、委員がおっしゃいますように、問題点の一つが言葉でございます。
 外国人研修生を受け入れるということは、漁協とかが受入機関になるんですけれども、受入機関が事前に半年間の研修を受けさせなければいけない。そこの中でいろいろ勉強をするわけです。漁業の話だったり、いろんな勉強を。まずそういう対応をすることが必要になってまいります。
 あと、何人もの外国人が集まって一つの漁村の中で生活をしていることに対する地域住民の不安が出てくる。これはまさに、言葉が通じない人たちがたむろしていることに不安を感じる。そういういろんな問題が出てくるわけです。
 基本的に、言葉の問題をどうしていくかというのは受入機関が対処せねばいかん問題ですので、通訳を雇う必要が出てまいります。そこに外国人研修生を入れるための経費が実はかかってくる。
 そういう問題もございますので、単純に人件費が安いというだけでは済まされないところがあるので、そこら辺を県まき組合とよく研究していこうと考えています。
 
 
◆溝口委員 せっかくTPPの説明がなされましたので、ちょっと聞かせていただきたいんです。
 影響が、平成25年の発表によると124億円、今回の発表で7億3,000万円から14億5,000万円と、あまりにも大きな差があってわからないんですけど、その辺についての国の算出のあり方を聞かせていただきたいと思います。
◎平田次長兼漁政課長 前回は、直ちに関税が撤廃されて政策的な対応を何も考慮しないと。試算の大きな考え方としては、輸入品と競合する分は輸入品に置き換わって、その分、生産が減ってしまうと。競合する部分は全部輸入品に変わってしまうんだと、ある意味ちょっと極端な試算であったわけです。
 今回は、実際に関税は撤廃されるんですけれども、長いもので16年であったり、10年であったりという期間をかけて、10%なりの関税が、それだけの期間をかけて削減されていくと。その間に国としても生産が持続的に行われるように生産力を強化するための対策をしっかりととっていくと。その結果、価格は関税が下がる分下がるかもしれないけれども、生産そのものは維持されて生産量は減らないという試算に基づいていると、大きく根本の前提が変わっているということでございます。
◆溝口委員 わかりました。これは最初の1年間という試算かもわかりませんけど、例えば10年間というスパンの中で、最初だけの影響ということではないのかなという気が私はしてならないんです。結局は、関税がだんだん減ってくることによって輸入がだんだん増えてくる恐れもあるんじゃないかと思うんですけれども、その辺について国、県は考えていないんですか。
◎平田次長兼漁政課長 試算の大前提として最終年における影響ということなので、完全に撤廃された後の影響ということになっています。
◆溝口委員 本県水産業への影響について、肉類などの価格低下が水産物に与える影響は全然試算されていないんですが、その辺について私はかなりの影響があるんじゃないかという気がしますけど、県の考え方はどうでしょうか。
◎平田次長兼漁政課長 その点につきまして、水産関係の業界の皆様におきまして、畜肉の価格が下がることにより連動して魚の価格も下がることが懸念されるという声はいただいておりますし、私どももそう思っております。
 国に対して、それについて試算の中に反映できないのかと国が試算する前に申し上げてきたところでございますけれども、結果として、そこまで試算の中に織り込むことは難しいということで、試算には今の段階では含まれておりません。
 ただ、そういう懸念はあるわけですから、そういうことも含めまして、生産がきちんと続けられる体力をつけられるように、国の施策も取り込んで取組をしっかり進めていくことが大切だろうと思っております。
◆溝口委員 今、子どもたちはほとんど魚離れしてきているんですよね。今は肉食に子どもたちがだんだん傾いている中にあって、肉類の価格低下を考えると、水産への影響がかなり大きいんじゃないかという気がするわけですけど、部長、そこら辺の考え方を。
◎熊谷水産部長 委員ご指摘のように、もう既に平成18年に、肉類と水産物の需要の関係は逆転傾向になっております。昔は、若い時に魚を食べなくても、年齢がいけば食べるだろうと言っていましたが、実はそういう傾向が最近はないということもわかっております。
 長期的に見ますと、全国民の人口減少、水産物の需要の低下ということを考えますと、TPPと関係なく、魚を海外に輸出することも含めて総合的に対応していく必要があるというふうに私は考えています。
 また、先ほど溝口委員からございましたご指摘の点につきましては、今後のいろんな推移をしっかりと見極めまして、農業も含め、対策が不足する場合にはしっかりと国に対して要望しまして、体質強化に取り組んでまいりたいと考えております。
◆溝口委員 長崎県は水産県で全国の第2位の漁獲量があるので、その影響はかなりあるんじゃないかと思っているんです。だから、国に準じた試算は構いませんけど、県としてのしっかりした考え方をもって対策をとっていかないといけないんじゃないかと思うんです。その辺についての県の考え方、対策を今後どのようにしていこうと考えているのか、聞かせていただきたいと思います。
◎熊谷水産部長 私どもは、今回国が出された各種施策を積極的に取り組むために、いろんなプランづくりを進めていきたいと考えております。
 今年度から既に始めております水産経営支援という中で、現場の経営がどうなっているかと、雇用型漁業のビジネスモデルをつくるに当たりましては当然ながら経営状況をしっかりと見ていかないといけません。そういったさまざまな機会を通じまして漁業の現場をしっかりと把握し、そうした中で必要な対策に取り組んでいくことを考えております。
◆溝口委員 わかりました。
 対応方針として、今言ったような国の施策をいろいろと取り入れながらという形で、構造改革ということを入れているんです。水産としての構造改革はどのようなことを考えているのか、聞かせていただきたいと思います。
◎熊谷水産部長 構造改革につきましては、基本的には収益性の向上によります雇用条件の安定、そして生産力の維持、拡大ということを考えております。生産コストをしっかりと下げながら、販売力をつけてしっかりとした値段で売るということ、また、場所によりましては観光業とのセット、加工業のセット、そういったさまざまな経営の多角化を総合的に行っていくということでございます。
 特に、先ほど委員からございましたように、長崎はさまざまな漁業種類がございまして、一つの処方箋で解決するということはなかなか難しいと私は思います。それぞれの地域、魚種に合った方法を、県庁職員としてできるだけ現場に足を運びながら、一つずつ相談にのりながら、そういったものをプラン化していきたいと考えております。
◆溝口委員 長崎県は水産県でございますので、漁獲量が減ってくれば大きな問題になるし、県としても1万2,000人を今後5年間に確保していきたいと。それは高齢者も入れてかもわかりませんけど、若い人たちが働けるような体制をつくっていかないと、水産は衰退していくばかりじゃないかと思うんです。
 だから、県水産部としては、TPPに対するしっかりとした考え方、対応を今後考えて、実施になった時に慌てないような体制方もしていただきたいと思っておりますので、その辺については要望しておきたいと思います。
◎増本水産加工・流通室長 先ほどのパンフレットの数ですが、1,000部印刷しております。
 それと、加工振興祭のアンケート調査の結果ですが、長崎におきましては、県外が80%、県内の方が約10%、佐世保では、県外が5%で県内が95%になっています。