令和 元年  6月定例会 農水経済委員会 07月01日−03号

クロマグロの資源管理について


P.109 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 クロマグロの資源管理について質問したいと思っております。
 先ほど言いましたように、全国では30キロ未満の小型魚の漁獲枠が1,528.7トンもあって78.9%、また30キロ以上の大型魚が漁獲枠1,125.2トンあって52%、約半分ということで、全国的にも、やはり漁獲枠を完全に全うして捕れているという感じじゃないんですね。本当に魚が少なかったんじゃないかなと、そういう意識を受けるんですけれども、国の施策として、今後この漁獲枠を完全に使いこなしていくための制度というか、そういうものをどのように考えているのか、県のほうからどういうお願いをしているのか、お聞かせいただきたいと思っております。

P.109 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 ただいま溝口委員からお話いただきましたように、前期、第4管理期間につきましては、全国の沿岸漁業の小型魚が約300トン残余が生じております。
 それから、実はこれは大臣管理の沖合漁業、これは1月から12月が管理期間になっていますが、それについても小型魚が500トン強残余が生じているというような事実がございます。
 これは、日本全体へのマグロの来遊が非常にまばらであったと、偏りがあったというふうなことが原因とされております。ただ、全体としては、管理の成果もあって、小型魚そのものは、年々、増えてきているというような評価を国際組織の中ではいただいているところでございます。
 我々としましても、これだけ全国でも余っておりましたので、なんとか長崎県に回してくださいというお願いを漁業関係者と一緒になってやってまいりましたが、それぞれの県が持っている枠については、やはりぎりぎりまで、どうなるかわからないので持っておきたいという、なかなか融通が難しかったと。
 そうであれば、大臣管理漁業が持っているものについても融通してもらえないかというようなお話もしたんですが、これも沖合漁業の理解を得るのがなかなか難しいということと、それから漁期の後半、1月から3月が西日本が盛漁期になるわけですが、その時点で配分してしまうと、既に漁期が済んだ東日本の人たちにとってはちょっと不公平な感もあると。そういうような説明も国からあって、第4管理期間についてはうまく融通ができなかったというふうに聞いております。
 しかしながら、国際ルールでも、今期からは、余った分の5%は翌期に繰り越すことができるというふうなルールも決まりましたので、余った分の一部は来期で使えるということになりました。
 それから、国のほうでもこのまばらな状況、ムラのある状況を是正するために、大臣管理分と知事管理分のお互いの融通であったり、それから都道府県間にお互いのやりとりであったりということについて、より柔軟にできるように水産庁としてもルールを定めていただいたところでございます。
 長崎県としても、これらのルールを積極的に活用しながら、より消化が進むように、これからも努力をしていきたいと考えております。

P.109 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 国の漁獲枠が残ったということは、国際的には評価されていると、そういう感じを今受けたんですけれども、漁獲枠を満杯に捕ることができなかったら、反対に、魚が少ないんじゃないかと、そういう懸念も出てくると思うんですけれども、その辺について、国としては国際会議でそれを払拭できるような意見を出せるんですかね。どこの海区も捕れてないということになっているわけでしょう、これでは。

P.110 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 国際的なクロマグロの資源の評価の仕方の詳しいところは私もよくわからないんですが、漁獲量ではなくて、親の量とか、子どもの加入量といった科学的な手法で資源量が評価されておりますので、単年当たりで漁獲が少なかったからといって、直ちにそちらに影響するものではないというふうに認識をしているところでございます。

P.110 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 ただですね、やっぱり漁業としては、国の枠をできるだけ増やしてくださいということでお願いをしてきているわけですね。その中でこのような数字を見ると、ちょっと不安でならないんですよね。なんで捕れる時に捕らせられないのかなという感じがするんですけれども。それで、本県の漁獲枠を見ても、やっぱり全体で小型魚が85.7%ということで、90トン余り捕れてないんですよね。それで、大型魚を見たら40%、半分も捕れてないんですよね。
 これがなぜ捕れなかったかというと、皆さん方は来遊してくる規模が少なかったということですけれども、漁師の皆さん方に言わせたら、イカ釣りの灯にマグロが着いても釣られないと。イカも釣れないし、魚も釣れないと、そういう状況の中できているんですよ、漁船漁業の方々は。だから、来てるんですよ、魚は。でも、皆さん方は認識が違うんですね、ここが。そういう声が私たちのところには聞こえてくるんですよ。だから、皆さん方が捕れるようにしてやらないといけないと思うんですよ。
 もう一つ、一般質問で言いましたけれども、定置網に入ってくるのは、網を敷いとって、入ってくるのを待っているわけですね。その入ったのを捨てなさい、そういうことをしていって枠が余ってきたという状況なんですよ。
 だから、私は満杯に捕れるような、そういう施策を県としても、国としても考えていかなければいけないと思うんですよ。水産部長、どうですかね。

P.110 ◎答弁 坂本水産部長

◎坂本水産部長 マグロの漁獲状況につきましては、先ほど漁業振興課長が申し上げたように、確かにムラがあったのは事実であると考えています。
 一方でまた、漁獲枠が細分化されて、なかなか円滑に融通がいかなかったというところも、消化率が100%に達しなかったというその原因の一つではないかというふうに考えています。
 県といたしましては、さらに枠、枠の融通を加速するように、県も中に入って、枠の有効活用を進めるとともに、今回、漁獲の枠を余らせれば5%繰り越しができるというような制度もございますので、そういったルール変更により増えた漁獲枠の有効活用についても検討しながら、枠の最大限の有効を図って、漁業への影響回避に努めてまいりたいと考えております。

P.110 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 わかりました。ぜひそこは、漁獲枠を満杯に使えるように、県のほうとして施策を考えてみてください。
 それと、やはり今回5%、第5管理期間では、改善点で5%増えるということですけれども、昨年と比べて60トンぐらいかな、小型魚で増えることになるんですね。だから、その配分についてはどうするんですか。

P.110 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 今期に残余が生じた場合に、当初漁獲枠の5%まで繰り越せるということでございますので、今期はまだ終わっておりませんので、残余が生じた場合にはそういうふうになるということになります。
 そして、これから関係漁業者と意見交換をしていかなければなりませんが、やっぱり余った海区が繰り越すということが前提になりますので、繰り越した分も余ったところに優先的に配分をしていくというような格好になるんだろうというふうに考えているところでございます。

P.111 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 それは、ちょっとおかしい。
 第5期間で60トンぐらい増えるとやろう。629トンだったのが688.8トンになるとやろう、60トン増えるんですよね、今年は。

P.111 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 実は第4管理期間といいますのは、漁期を変える移行期間で、平成30年7月から3月までの9カ月間の割り当てでございました。今回第5管理期間、現在割り当てるのは1年間という割り当てになりましたので、漁獲実績そのものが増えたというのが一つでございます。

P.111 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 先ほど5%増えた分については、使ってないところに配分するという形ですけれども、そうしたら、使えないところが増えていって、使ったところは全然増えていかないことになりますよね。北松の場合は、9トンか、11トンか超過したんですよね。県の持っている留保分をもらったのに、足らなかった。そうしたら、足らないところはますます足らなくしていくんですか。そういうことだったら、ものすごくおかしな形で、捕らないところに余計枠をやって、捕ったところは減らすという今の考え方ですけれど、おかしいんじゃないですか、それは。

P.111 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 やはり管理を徹底して残余が生じた分については、今現在、長崎では5つの海区に分けて配分しているわけですが、やはりまずは、余った海区で次期活用していただくというのが基本だろうと思いますが、先ほど申しましたように、全体で余った分が5%繰り越せることに加えて、都道府県間の融通、あるいは漁協間、海区間の融通、あるいは大臣管理と知事管理の融通措置が、今期から整理をされておりますので、そういうルールを最大限に活用しながら、ムラがある漁獲についてはなるべく平準化をしていくように、漁業関係者の方とお話を進めていきたいと考えております。

P.111 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 ただ、今回の北松の場合もあれですけど、そうしたら、どこかが捕れたら、そこの分については減らしていくという形になってくるので、最初の分け方がおかしいんですよ。平成23年か24年ですかね、そのときの漁獲で分けているでしょう。そうしたら、今捕れているところが漁獲枠を超えるというのはわかりきったことじゃないですか。そうしたら、魚がきても捕らないで一生懸命努力しても、何の効果もないんでしょう。捕らなかった分について国とか県が補償するならわかるんですよ。そういうことを何もしないで、自然におる魚を捕らせないというのは、やっぱりおかしいと思うんですよ。特に定置網については、入ってくる魚を逃がすと、そういう無責任なことはできないんですよ。
 だから、長崎県でこんなに余っているのにそれをさせなかったというのが、私としては、漁協長の皆さん方は大変困っているんですよ、そこら辺について。県が強い指導力を持ってしないから、おかしくなるんじゃないですか。

P.111 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 全国の漁獲枠の配分は、国も基本的には漁獲実績に基づいて割り当てていると、やっぱりそれがベースになっていくだろうと、県としても、過去の漁獲実績を基本に、それぞれの組合長会とご相談しながら、これまで割り当てをしてきたわけでございます。
 確かに、今期のようにこういうムラがあって、一部の海区に相当来遊をしてくるというような事態もございます。そのためには、県は一部留保枠というのを持っておって、それで若干調整をしたり、先ほどから何度も申し上げますが、それぞれの融通措置というのも今度できていますので、そういうことを基本的に考えながらうまく調整していきたいと思います。
 それから、全体としましては、やはり長崎県の漁業者の要望は、長崎県の枠全体を増やしてくれというのが一番強いです。これについては、これまでも何度となく要望をしてまいっております。国のほうとしても、今年の秋に行われる国際会議においても、改めて増枠の要望をしていただけるということでございますので、無事増枠になった折には、いろいろまた対応を考えていきたいと思っております。

P.112 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 やはり漁獲枠を平成23年の時、一番ピーク時を参考にしていたら、長崎県全般に対して平等な形での枠というのができないんですよ。だから、ここ3年間とか、2年前とか3年前とか近いうちでするならですけど、平成24年とか平成25年の分を今もまた続けて、そういう漁獲枠として確保していくと、そういう考え方は見直していかないといけないんじゃないですか、3年に一回とか。そこら辺がおかしいと言っているんです。
 だから、県については、漁獲枠もですけれども、留保枠もちゃんととって、捕れるところに出せるように、少し施策をしっかりともんでいただきたいと思うんですけれども、次長、どう考えておられますか。私、一般質問で言いましたよね。そちらの関係については、どちらが責任を持ってするんですか。

P.112 ◎答弁 高屋水産部政策監

◎高屋水産部政策監 枠の配分につきましては、繰り返しになりますが、やはり国の国際ルールで定められている枠に基づいて各県が配分をいただいているというベースの数字がございますものですから、やはり配分をいただいたベースと違う年度を使うと、そこには不整合がやはり生じるものと私は認識をしております。
 ただ、これは長崎県に配分された後は、ある程度長崎県の裁量、あるいは各海区の組合長さん方の漁業者の皆さん方の意見を尊重しながら配分することは、国も認めていただいておりますので、そこのところは、先ほどから出ております県の留保枠の増加であるとか、あるいは海区ごとのその辺の融通のやり方等々の工夫の余地はまだあるかと思っております。
 そこで組合長さん方、あるいは現場を預かって実際に海に出ておられる各漁業者の方々と話し合いの中で、いい方法が見つかれば、それは国がどうこうということではなくて、長崎県内の調整の問題だと思っておりますので、そこはいい案を見つけ出せれば、それはやぶさかではないと私は考えております。

P.112 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 国が定めたからそれに従ってと、それはわかるんですよ。でも、それを3年とか幾らかで県のほうから上げて、やっぱり3年に一回見直してくださいとか、そういうことはできないんですか。

P.112 ◎答弁 高屋水産部政策監

◎高屋水産部政策監 ただいまのご意見も、実際に基準のとり方というのは、やはり現場から当初から出ている話でございまして、この話も、私どもは国に上るたび、あるいは会議の折に現場の意見として、実際こういう意見もありますということはお伝えしておりますが、やはり私は、先ほども申し上げましたとおり、国のほうの見直しが、3年に一回とかそういうところで見直しが行われておりませんので、そこで長崎県だけがそこの基準を動かすと、やはりそこは不整合が出ると思います。
 だから、国のほうもそこがわかったということで国際ルールとして見直しがもしできれば、今委員がおっしゃったようなことにもつながってこようかと思いますが、現状ではかなり難しいと思います。ただ、そのご意見は現場にあるということはお伝えしていきたいと思います。

P.113 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 政策監、私は県に早くしろと言っているんじゃないんですよ。3年なら3年の見直しとかそういうことは国に言って、国を動かしなさいということを言っているんですから、できるだけ現場の声を吸い上げて、できるだけ捕れるような形をつくっていただきたいと思いますので、このことについては、ぜひ県としていろいろな施策を、いろいろな皆さん方から聞いて、漁獲枠については留保枠をたくさんとるとかいろんなことを考えてやっていただきたいと思っております。
 それと、水産政策の改革が、それこそ何十年ぶりかであったんですけれども、特に漁業権制度の見直しということで見直しがされていると思うんですけれども、この主な内容について聞かせていただきたいと思います。

P.113 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 水産庁では、「水産改革」と称しまして、最近の漁業をめぐる諸情勢の変化に対応していくために、漁業生産力の発展とか、水産資源の保存及び管理のための措置、あるいは漁業許可、免許に関する基本的な制度の見直しを行っております。昨年の12月14日に法律が公布されております。
 溝口委員おっしゃったとおり、漁業制度の根幹をなす漁業法は、70年ぶりに改正をされたというふうに言われているものでございます。
 その中で、特に沿岸漁業の基本となります漁業権制度についてでございますが、これまでの改正漁業法に関する国の資料や説明の内容を見ますと、漁業権を取得するまでの一連の手続については、基本的にはこれまでと同様というふうにされております。
 免許の申請ができる者としまして、漁村の地先漁場を共同で利用する共同漁業権、これについては、地元の漁業者を組合員とする漁業協同組合に限定されて免許されると、これは、従来と同様となっております。
 一方で、定置網漁業を営む定置漁業権、それから、養殖業を営む区画漁業権につきましては、これまで免許申請に競争が生じた場合の処理として、免許の優先順位と、誰に免許を出すかというそういう優先順位が細かく法律で規定をされていましたが、今回の改正法では、その部分が削除されているところでございます。免許をすべき者としては、今度の新しい法律では、免許漁場を現在利用している者が、その漁場を有効かつ適切に利用している場合は、その者に優先して免許をするというふうに変わっております。すなわち、既存の漁業権者の権益の保護が明確化されたということでございます。
 また一方で、新たに設定する漁業権につきましては、生産の増大、所得の向上、就業機会の確保など勘案しまして、地域の水産業の発展に寄与するかどうかという観点を持って県が判断をして免許をするということになっております。
 ただし、改正法におきましても、知事が漁場計画というのを立てるわけですが、これも従来と同様に、利害関係を有する地元の漁業者とか、漁協の意見をきちんと聞いた上で、漁業調整上の支障がないという場合に限って免許をするというふうになっておりますので、地元の了解が得られないような状況で、組合員以外の方に漁業権の免許が行われるということがないという仕組みになっておるというふうに伺っております。

P.114 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 わかりました。ただ、私たちが報道関係で知る段階の中では、今までと違って、大きな会社が漁業権のお願いをすれば、知事がそれを認可することができると、そういうような新聞の報道関係を私たちは見てきたんですけれども、それで、内容的に、今の説明では、やはり漁業権者の許可を得なければできないということで認識していていいわけですかね。知事としては、認可を出す前に、やはり漁業権者の皆さん方に一応許しを請うということになるわけですか。

P.114 ◎答弁 中村漁業振興課長

◎中村漁業振興課長 一般的には、養殖とか定置の漁業権は、先ほど言いましたように、漁協が持つ共同漁業権の上に設定をされるということになる場合が多いので、当然県が漁場計画を設定する際も、そういう方々のご意見をきちんと伺って、支障がないというものについて、漁場計画をつくっていくということになります。
 それから、もう一つは、民間からの希望もありますが、長崎県がやっておりますように、民間の方に漁協の組合員になっていただいて、うまく協調しながらやっていくという方法もございますので、それらをうまく組み合わせながら、調整を図っていきたいと考えております。

P.114 ◆質問 溝口委員

◆溝口委員 わかりました。組合長の皆さん方も、改正された部分をなかなか勉強する機会がなくて、大変不安に思っているんですよね。だから、組合として、漁業権を国がとって、新しい人に、都道府県知事が印鑑を押せばそれでいいと、そういうような感じで思っているので、今日説明をちゃんと聞いてわかりましたので、そのことについては、組合長さん方にぜひ伝えていきたいと思っております。ありがとうございました。

P.114 ◎答弁 森川漁港漁場課企画監

◎森川漁港漁場課企画監 廃船総数は、年ごとにすべて把握できておりません。